ブランディングとは?
商品やサービス、そして企業自体に対して顧客に共通したイメージを持ってもらう活動がブランディングです。ブランディングは顧客に対してだけではなく、自社内や関連企業に対して行うケースもあります。
こうした活動全般に対する戦略がブランディング戦略となります。マーケティングと近い印象を持たれるかもしれませんが、ブランディングが明確になっていないとマーケティング戦略も方向性を定められないので、ブランディングのほうが上位になります。
ブランディング戦略を立案するための3つのポイント
■自社の現状を把握する
まずは自社(製品・サービス)の長所、強みを把握しますが、客観的にこれらを抽出するのは意外と難しいもの。最近では、TwitterなどのSNSを利用する方法もあります。
SNSの利用は、自社内では気づけなかった強みを発見できたり、消費者が自社に持つイメージの確認といった部分でも有効です。ただし、SNSユーザーは一般消費者の中の一部ということを考慮しておく必要があります。自社の現状を把握するには、3C分析を行ったり、アンケートでブランドイメージ調査を行うなど、さまざまなアプローチがあります。
競合との違いや差分もこの段階で把握しておきます。
■ターゲットユーザーを決める
自社(製品・サービス)の現状を理解したら、ターゲットユーザーを定義します。このフェーズが戦略立案時にもっとも重要な部分と言えます。
ターゲットユーザーのニーズと環境分析を整理し、自社が狙うべきなのか、また相性はよいのかを判断します。
なお、環境分析をまとめる際はSWOT分析や3C分析といったワークフレームを活用すると効率的です。
競合調査の代表的フレームワーク3種(3C分析・4P分析・SWOT分析)
https://manamina.valuesccg.com/articles/589市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握するために行う「競合調査」。ビジネスの競合調査でよく使わているフレームワークが3C分析・4P分析・SWOT分析です。本稿では、各フレームワークの概要と分析方法、使い分けをご紹介します。
■ブランドコンセプトを固める
ターゲットユーザーに自社(製品・サービス)をどう思われたいか、イメージされたいか、反対にこちらはユーザーにどのような価値を提供したいかを考え、ブランドコンセプトを固めます。当然ながら、現状のイメージとかけ離れていないようにします。
ターゲットユーザーが自社を知っている、製品やサービスを利用している、といったことに対してどのようなメリットがあるのかも考える必要があります。
ブランディング戦略成功事例:商品編
■レッドブル
エナジードリンクのさきがけと言える「レッドブル」。『冒険者を称え、翼をさずける』というブランドコンセプトのもと、レッドブルを飲むことは単なる栄養ドリンクとしてではなく、エキサイティングな体験であり、スリルや冒険であると定義しています。
こうしたブランディングは、スポーツイベントへの積極的な協賛にも現れています。これらのイベントの宣伝を通じて、エキサイティングな体験やスリルがレッドブルと関係していると想起させています。
こうした独自のブランディングにより、新興のレッドブルが短期間で驚異的な成長を遂げられたと言えます。
モータースポーツ、バイク、スノー、サーフィン、ミュージックなどの最新ニュース、イベント、ライブストリーミング、動画や写真をレッドブルの世界で体験しよう
■ハズキルーペ
メガネタイプの拡大鏡といえば、どうしても高齢者への訴求を考えがちですが、ハズキルーペはTVCMにおいて、武井咲や小泉孝太郎といった、まだ拡大鏡に頼る必要がない世代を起用し、インパクトのある演出を行っています。
その理由は、ハズキルーペの購買ターゲットの拡充にあります。TVCMの第一弾は石坂浩二を起用し、同氏と近い世代、つまり60代以上の顧客獲得につなげました。続いて舘ひろしの起用で50代まで顧客層が拡大。そして、渡辺謙の熱演が話題を呼んだ第三弾では、CMのインパクトもあり、顧客層は30代まで広がりました。
スマホの普及により小学生の視力低下が著しくなり、「スマホ老眼」とも言える症状を抱えた若者が増えると見込まれています。これにより、ハズキルーペはより幅広い層に訴求するためのブランディングを行っていると読み取れます。
ハズキルーペ オンラインショップ | Hazuki Company株式会社
https://www.hazuki-l.co.jp/shop/大きく見える メガネ型拡大鏡 「ハズキルーペ」のオンラインショップです。
ブランディング戦略成功事例:サービス編
■「スターバックスコーヒー」のブランディング事例
「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」をミッションとして掲げるスターバックス。そのスターバックスでは広告に頼らず、店員を通じてファンを増やすブランディング手法を取っています。
スターバックスでは、顧客と触れ合う機会が多い店員「バリスタ」の研修に力を入れていて、コーヒーの知識、淹れ方などはもちろん、ブランドアイデンティティについても多くの時間を割くため、1人あたりの研修時間は80時間にものぼります。
アルバイトが数日の研修で現場に出るカフェも多いなか、こうした店員からの接客を通じてユーザー体験を向上させ、ほかのカフェとの差別化に成功しています。
Starbucks Coffee Japan|スターバックス コーヒー ジャパン
https://www.starbucks.co.jp/スターバックス コーヒー ジャパンの公式ホームページ。新商品・メニュー情報、店舗検索、イベント情報、求人情報、エスプレッソドリンク用語の解説、コーヒー豆の解説、IR情報、CSR情報など。
■「スーパーホテル」のブランディング事例
1996年の創業時に1泊5,000円ほどの価格で宿泊できるホテルとして評判となったスーパーホテルですが、2001年からは新たにサービスの質の高さやエコ・ファーストといったLOHAS意識を掲げ、「ビジネスホテル」からの脱却を目指しています。
しかし、顧客には「スーパーホテル=リーズナブル」という過去の強みで認識されがちで、本来LOHASを受け入れやすい女性や若年層を取り込めない、LOHAS的な部分の認知度は低めと言わざるを得ない状況でした。
今後の成長のためにビジネスマンだけではなく、増加傾向にある観光客、さらに女性や若年層といった新たな顧客をターゲットとし、ブランディングの見直しを行いました。
天然素材にこだわった客室やアメニティ、健康志向の朝食、IT利活用によって業務効率を高めて顧客へのサービス時間を増やすといった、同社の意識をLOHASよりも伝わりやすい「Natural Organic Smart」というコピーに変更しました。これに沿ってロゴやホテル内外のデザイン心地よさを全面に出したものに改めています。
その効果で新たなイメージとなったスーパーホテルは、新たなターゲット層にも受け入れられ、高水準の稼働率、好調な売上を実現しました。
【公式最安】スーパーホテル ホームページ【ビジネスホテル予約】
https://www.superhotel.co.jp/ビジネス、観光に便利な全国展開のホテルチェーン。J.D.パワーホテル宿泊客満足度で6年連続1位。公式予約ならキャッシュバック特典もございます。
ブランディング戦略成功事例:企業編
■「タニタ」のブランディング事例
体温計や血圧計、調理器具など健康器具の販売で有名なタニタは、『「はかる」を通して世界の人々の健康づくりに貢献する』という企業理念にもとづき、従来からの計測器などの商品のほか、健康づくりそのものを手掛けるようになりました。
当初は同社の社員食堂が社員の健康を考え、高栄養・低カロリーな食事を提供しているという広報活動によって有名になり、その食堂のレシピを書籍化するとミリオンセールスを達成します。その後は丸の内を皮切りに誰もが立ち寄れる「タニタ食堂」を全国に展開。
健康を「はかる」だけではなく、健康づくりそのものへ貢献する姿勢が、「健康」や「安全」といったポジティブなイメージを消費者に与えています。
健康をはかる”タニタ” 「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。 タニタは、食事・運動・休養のベストバランスのご提案を通して、 24時間皆様の健康づくりをサポートしていきます。
■「星野リゾート」のブランディング事例
リゾート運営を行う星野リゾートでは、従来からの旅館やホテルとは一線を画するおもてなしの手法、たとえば従業員と顧客の関係を同等のもの(従来のような主従関係ではない)とし、顧客ひとりひとりに合わせたサービスの提案、といったコンセプト設計を行い、顧客満足度を高めています。
これらのコンセプトづくりに現場社員が関わることで、社員満足度の向上も果たしています。顧客満足度、社員満足度それぞれの高まりが多くのリピーターを獲得し、星野リゾートはおもてなしの代表格であると認知させることに成功しました。
星野リゾート公式サイト。各地にあるリゾートホテル・温泉旅館・都市観光ホテル・スキー場などの最新情報、空室情報、旅行の魅力などについてご案内します。ご予約は当サイトが最もお得です。
まとめ
ブランドコンセプトを固めずに、マーケティング戦略は打ち出せません。自社の立ち位置、顧客のニーズを正確に把握し、ブランドコンセプトを固めるフローは、どの成功事例においても忠実に守られています。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。