ブランド戦略立案に必要な3つのフレームワーク

ブランド戦略立案に必要な3つのフレームワーク

ブランディングのための戦略=ブランド戦略。戦略立案のためにはいくつかのステップを踏む必要があります。その際にフレームワークを利用すると効率が上がります。ここではブランド戦略立案に便利なフレームワーク「3C分析」「SWOT分析」「PEST分析」をご紹介します。


ブランド戦略の概要

ブランド戦略とは商品やサービス、そして自社に対して顧客に共通したイメージを持ってもらう活動のための戦略です

ブランド戦略の実行によって得られるメリットに、商品・サービス・自社の知名度向上が挙げられます。

知名度の向上によって、
・顧客からの信頼を得られ、長期にわたっての売上確保を期待できる
・競合他社との差別化
といった恩恵を期待できます。

ブランド戦略の効果的・効率的な立案に役立つ「フレームワーク」

顧客からの信頼を得て長期的な売上確保を目指したり競合他社との差別化を図るために、以下のフローでブランド戦略を立案します。

1.自社の強みを把握し、ターゲットを決定
2.ポジショニングの決定
3.ブランドアイデンティティの明確化
4.ブランドの宣伝活動

フレームワークは1番目の「自社の強みを把握し、ターゲットを決定」の段階で利用します。フレームワークは課題解決の枠組みや構造をまとめたもので、抜けがない効率的な検討を可能にします。

続いてターゲットの決定に移りますが、この時に自社をとりまく環境分析を行います。ここで

・3C分析
・SWOT分析
・PEST分析

という3つのフレームワークを活用します。

3C分析

3C分析とは、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの要素の頭文字「C」を取った分析方法です。

■Customer(市場・顧客)
顧客にどれほど購買意思があるのか、また能力などを分析していきます。市場の大きさや成長性、購買に至る過程などが分析に含まれます。

■Company(自社)
自社の経営状況や強みについて調べておきます。市場が変化にどのように対応すべきか、自社の比較を行います。

■Competitor(競合)
競合他社について、また競争の状況を調べます。自社のオリジナリティを探すのに必要なポイントです。

3C分析のフローは以下のとおりです。

1.市場・顧客を分析する
>マクロ、ミクロ的な視点・分析から自社の周りの脅威を判断します。

2.競合を分析する
>直接的な競合の売上や市場シェア、広告、マーケティング手法などを分析します。

3.自社を分析する
>自社の特色を分析し、さらに魅力を付け加える部分を判断し、差別化を図ります。

3C分析にあたっては、適切な情報収集が必要不可欠になります。効率よく的確なデータ収集にあたっては、Web行動ログを対象としたマーケティングリサーチツール「Dockpit」の利用をおすすめします。

3C分析の概要とフレームワークの重要性とは?目的とやり方を解説

https://manamina.valuesccg.com/articles/512

自社の製品・サービスをマーケティングするには、自社が置かれた市場環境や強み・弱みなどを理解してマーケティング戦略を立案し、施策を実行していきます。マーケティング戦略立案にあたり、顧客・競合・自社の3つの要素から分析する3C分析という方法があります。この記事では、3C分析の意味や実際の手順、事例を元に3C分析活用の注意点を解説します。

SWOT分析

SWOT分析とは、「内部環境か外部環境か」と「事業にとってプラス要因かマイナス要因か」の2×2軸で4つに分類し、事業を取り巻く要因を整理するフレームワークです。

・Strength(強み)=内部環境xプラス要因
・Weakness(弱み)=内部環境xマイナス要因
・Opportunity(機会)=外部環境xプラス要因
・Threat(脅威)=外部環境xマイナス要因

ただし、SWOT分析はあくまで自社を取り巻く外部環境・内部環境を整理したものに過ぎません。これを施策に具体化していく作業が「クロスSWOT分析」です。

外部環境(機会と脅威)を縦軸、内部環境(強みと弱み)を横軸とし、かけ合わせた領域に対する施策を検討します。

競合調査の代表的フレームワーク3種(3C分析・4P分析・SWOT分析)

https://manamina.valuesccg.com/articles/589

市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握するために行う「競合調査」。ビジネスの競合調査でよく使わているフレームワークが3C分析・4P分析・SWOT分析です。本稿では、各フレームワークの概要と分析方法、使い分けをご紹介します。

PEST分析

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)、以上4つの観点の頭文字を取った、外部環境(マクロ環境)を分析する方法です。

PEST、それぞれに関する自社にまつわる情報を収集していく必要がありますが、以下のような情報を集めていきます。情報のソースは新聞などのマスメディア、調査内容に関係する業界誌や講演会などに絞っておくと効率的です。

Politics(政治)
>法律、法改正、税制、裁判制度、政権、政治団体

Economy(経済)
>為替、株価、経済成長率、景気動向、消費動向、物価指数

Society(社会)
>人口動態、流行、世論、宗教、教育、社会情勢

Technology(技術)
>IT、インフラ、特許、技術開発投資、イノベーション

P、E、S、T、それぞれの自社に関する(と思われるものも含む)情報を集めたら、各要素に振り分けて紙に書き出すなどし、可視化します。この段階での目的はあくまでもPESTが自社に与える影響の把握なので、それほど神経質になる必要はありません。

続いてはPESTに分類した内容を「事実」と「解釈」に振り分けます。事実とは、実際に起きていて誰にも変えられないもの。解釈は普遍的であったり恣意的であったりする理解の仕方を表します。

振り分けられた事実は、「機会(=好機)」と「脅威」に振り分けます。外部環境が自社にもたらす影響は、機会にも脅威にもなり得ます。したがって、ここでの振り分けは多角的な視点が必要になります。

最後に、機会と脅威が「短期的」か「長期的」に振り分けていきます。同じ「機会」にあっても、すぐに起こりそう(=短期的)なのか、何年か後に起こりそう(=長期的)なのかを一緒にしてしまうと分析の際に効率を下げてしまいます。

まとめ

顧客からの信頼を得て長期的な売上確保を目指したり競合他社との差別化を図るためのブランド戦略立案の第一段階には、3C分析、SWOT分析、PEST分析、これら3つのフレームワークを利用すると、正確なものに仕上げられます。どれかひとつ、というよりも組み合わせて利用するとさらに効果的です。

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この記事のライター

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