調査分析背景
新型コロナウイルス感染拡大以降、大きく変わった消費者の生活様式。コロナ禍も2年目となり、変化した生活様式は継続しているのか、はたまたコロナ前に戻っているのでしょうか。
今回ヴァリューズでは、消費者の生活実態を捉えるため、感染拡大前、コロナ1年目、そしてコロナ2年目のいまと、時系列でどのような変化を辿ったのか、アンケート回答と独自のWeb行動ログを掛け合わせた調査分析をし、第二弾「メディア編」として発表いたしました。
コロナ2年目でもネット利用は45%以上が増加と回答、テレビは1年目と比べ大幅減少
コロナ感染拡大後、自宅で過ごす時間が増加したことに伴い、インターネットやテレビといったメディアを利用する機会も増えました。コロナ2年目を迎えた現在の利用時間に増減はあったのでしょうか。
各メディアへの接触について、消費者が「増えた」/「変わらない・見ていない」/「減った」のか調査しました。
第1回 緊急事態宣言時と比較した現在、メディアごとの接触頻度が「増えた」をみると、「インターネット(スマートフォン、タブレット)」(45.5%)、「インターネット(PC)」(31.5%)が少々ポイントを下げたものの、高い数字を記録しました。
一方、「電子書籍」(13.2%)、「ラジオ(インターネットラジオも含む)」(9.7%)、「新聞(電子版を含む)」(9.1%)、「雑誌・フリーペーパー」(5.4%)などはインターネットと比較すると大きく後れを取っています。
また、「テレビ」(29.9%)が8.8ポイント下落した一方、「有料動画配信サービス」(21.9%)が2.5ポイント上昇しており、「テレビ」の利用者が「有料動画配信サービス」にシフトした可能性もうかがえます。
定点アンケートでみるとオフラインに限れば、新しい情報の入手先として「テレビ」の影響力は強く、「テレビCM」(41.2%)、「テレビ番組」(40.3%)と存在感を見せています。
次いで「新聞記事」(17.9%)、「新聞の折り込みチラシ」(12.6%)、「新聞広告」(11.7%)と新聞が追いかけていますが、インターネットの勢いに押されているのか、「雑誌」(9.6%)、「雑誌広告」(6.1%)、「フリーペーパー(HOT PEPPERなど)」(5.7%)といった媒体は全体的に元気がありません。「雑誌広告」では、コロナ前(2020年1月)と比べても79.7%まで低下していました。
オンラインに関しては「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」が情報の入手先として、コロナ前から現在にかけて、安定的かつ着実に浸透しています。
一方、「インターネットの掲示板やブログの書き込み」はコロナ前比が75.5%と下がり幅が大きく、「SNS」が情報収集だけでなくコミュニケーションの場としてもパイを奪ってきているのかもしれません。
「VODサービス」の利用者数が継続伸長、見逃し配信アプリはTVerの一強状態
マスメディアの変化はどうでしょうか。「テレビ」や「ラジオ」といった従来のメディアには特に変化がない一方で、「VODサービス」の「接触あり」は2020年1月(24.6%)から2021年1月(31.4%)と、この1年間で大きく上昇しました。
また、「電子書籍」も2020年1月(24.8%)から2021年1月(26.8%)と微増ではありますが上昇していました。
インターネット関連のマスメディアが一般化したからなのか、「雑誌・フリーペーパー」は2020年1月(33.1%)から2021年1月(29.2%)、「新聞」は2020年1月(50.8%)から2021年1月(48.4%)とシェアを失いつつあります。
ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログで見逃し配信アプリのユーザー数推移をみると、「TVer」がユーザー数を約750万人抱えており、一人勝ちと言っても差し支えないほど驚異的な支持を集めています。
フジテレビが運営する「FOD」も一時期は上昇気流に乗りかけていましたが、「TVer」でもフジテレビ制作の番組が視聴できるようになり、それ以降は苦戦を強いられています。
コロナ2年目も「Instagram」と「Twitter」は接触時間が増加
次に、SNSの接触時間をみてみます。「LINE」の接触時間はコロナ前後も関係なく変化なし。もはや連絡手段のインフラとして日常生活に溶け込んでおり、今後も大きな変化は見られないのかもしれません。
「SNS」で接触回数を増やしつつあるのが「Instagram」と「Twitter」。2020年1月と比べて2021年1月には「Instagram」は3.7ポイント、「Twitter」は2.9ポイント増加していました。
コロナ禍で旅行に対するハードルが上がったなか、「Instagram」で鮮やかな写真を見て旅行気分を味わったり、コロナが落ちついた時に足を運びたい観光地や飲食店をチェックしているのかもしれません。
ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログで各SNSのユーザー数推移をみると、「Twitter」と「Instagram」は第1回緊急事態宣言の約2か月間、大きくユーザー数を伸ばしていました。外出自粛による暇つぶし、未曾有の事態に備えるための情報収集など、様々なニーズがうかがえます。
また、「TikTok」のユーザー数自体は各SNSに及びませんが、2020年3月(約264万人)から2021年9月(約521万人)と、1年半の間にユーザー数が約2倍になっていました。
アプリの利用時間はおおむね変化はなし、動画アプリの一人勝ち
コロナ禍で利用アプリに変化があったのか定点アンケートでみてみると、多くはコロナの影響は受けていませんでしたが、「動画アプリ(YouTube/AbemaTV/TVerなど)」だけは2020年1月(66.1%)から2021年1月(70.1%)となり、接触時間を大きく伸ばしていました。“映像はテレビで見る”という常識が変わり、スマホやタブレットの画面越しに、アプリで視聴する時代になりつつあるのかもしれません。
ヴァリューズの消費者行動ログ分析ツール「Dockpit」で、「アプリ」とかけ合わせて検索されたワードを分析すると、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年4月ごろは「マスク」「マスク在庫速報」といったワードが目立ちました。
ただ、2021年になると「ワクチン」といったコロナ関連のワードから、一時期注目を集めた「CLUBHOUSE」といったコロナと関係ないワードも多く見られはじめ、国民がコロナ騒動に対して徐々に落ち着きを取り戻しているかのような様子もうかがえました。
調査・分析概要
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男女)を対象として、 2021年7月6日~7月13日にアンケート調査を実施。(回答者25,401人)
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
※アプリのユーザー数は、Androidスマートフォンでの起動を集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。アプリのカテゴリはGoogle Playのアプリカテゴリより取得。メール、Google Chrome、YouTube、Googleマップ、Gmailなどプリインストールアプリは対象外とする。
■本レポート内で引用した調査
・P7「第1回 緊急事態宣言解除後(20年6月)の過ごし方」は以下より引用しました。
出典: https://manamina.valuesccg.com/articles/931
調査対象:国内の20歳以上の男女25,382人、調査期間:2020年6月16日~6月25日
・P8以降 で引用した定点アンケートのnは以下の通りです。
20年1月実査回=53,678 20年7月実査回= 52,244、21年1月実査回= 52,157
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