成長が見込める中国の食洗機市場を展望|中国トレンド調査

成長が見込める中国の食洗機市場を展望|中国トレンド調査

昨年の中国では、大型家電の市場規模が全体的に縮小しています。特に、レンジフードやガスコンロなどのキッチン家電の売上は2019年より、かなり低下しました。しかし、そんな中で食器洗い乾燥機(食洗機)のみは依然と売上を伸ばしています。本記事では、中国の食洗機市場について解説していきます。


中国の食洗機市場の現状

All View Cloud(AVC)が1月17日に発表した中国の食洗機市場の年次報告書によれば、2021年の中国の食洗機市場の売上高は99.6億元(約1,181億円)に達し、その前年比は114.4%と、不景気の中でありながら緩やかな成長を見せました。なお、食洗機の販売数も対前年1.7%増と、195.2万台でした。2022年、中国の食洗機の売上はさらに27%増加すると予想されています。

2016〜2021年の中国食洗機市場の売上高

AskCIとAVCの調査によると、中国人消費者のうちの71%は食洗機の購入を前向きに検討しているのに対して、食洗機を購入しない、あるいは購入をためらっている消費者は14%しかいません。

中国人消費者に好まれる食洗機

全体から見ると、中国人が食洗機を購入する際には、(1)食洗機の洗浄力、(2)鍋を洗浄可能かどうか、(3)食洗機の大きさ、を最も重要視しています。また、食洗機には大きく分けて据え置き型、ビルトイン型、シンクが食洗機になる超音波食洗機の3種類が存在していますが、内装に溶け込みやすく、カウンタースペースを占有しない割に、大容量であるビルトイン食洗機は、最も消費者に好まれているようです。

食洗機購入時に重要視する点

具体的に見ると、食洗機の種類から平均価格まで、ネットショップと実店舗の顧客の好みは非常に異なるようです。

食洗機の種類 ~ビルトイン型が人気

Iresearchのデータによれば、ネットショップにおいて、ビルトイン食洗機の売上は全種類の食洗機の46.6%を占めており、2020年より5.5%増加しました。次に売上が高かったのは、ビルトイン型としても使える据え置き型の食洗機で、28.2%を占めていました。また、昨年1〜11月の食洗機の人気TOP5にランクインしたのも全て上記の2種類でした。

実店舗においては、ビルトイン食洗機と超音波食洗機が最も人気でした。昨年1〜11月までのビルトイン食洗機の売上は最も高く、全種類の食洗機の81.4%も占めており、第2位の超音波食洗機が18.1%を占めいました。人気ランキングにおいても、ビルトイン食洗機と超音波食洗機の機種がランクインしており、売上をよく反映していました。

2020〜2021年の食洗機の売上構成比

食洗機の容量 ~大容量の人気が上昇

食洗機の容量から見ると、ネットショップでは8人分の食洗機は最も好まれているようで、その売上は31.7%を占めています。続いては12人分が19.8%、13人分は18.6%を占めています。

一方、実店舗に足を運んている顧客の多くは12人分と13人分の食洗機を購入しています。昨年1〜11月に12人分と13人分の食洗機の売上は合わせて全容量の食洗機の6割近くで、特に13人分の売上は2020年より4.7%増加しました。

食洗機の価格帯 ~実店舗の方が高価格帯がよく売れている

食洗機の価格帯は2,000〜8,999元(約36,363〜163,618円)と幅広いですが、ネットショップでは3,001〜6,000元(約54,563〜109,090円)の製品は最も売れ行きが良かったです。

それに対して、実店舗では6000元(約109,909円)以上の製品が最もよく売れており、その売上は約7割でした。

客層

20・30代が中心に

O-IBPのデータによると、現在中国では、30代の食洗機の平均所有率は最も高く、60歳以上および20歳未満の人々の所有率は最も低いようです。また、20代もこれから家庭を持つ人が増えるということと、家事をやりたがらないという特性を考えると、これから徐々に食洗機に対する需要が高くなることが予想されます。

3級〜5級都市に普及

現在、中国における食洗機の購入者はまだ主に1級・新1級都市に集中していますが、食洗機は今後2〜3年間で3級〜5級都市にも広がって行き、食洗機は更なる成長を遂げると予測されています。

都市化の加速に伴い、3〜5級都市では食洗機の人気がますます高まっています。

京東のデータによると、1級と新1級の都市での食洗機の売上高の伸びは、前年比で約50%を維持しているのに対して、3〜5級都市の成長率は約70%に達しており、特に昨年1月から7月にかけて、シーサンパンナ(中国雲南省に位置する自治州)をはじめとする5級都市での食洗機の売上高は対前年87.9%増とかなり好調でした。

また、3〜5級都市には2000年末までに建設された古い住宅が未だに多く残っています。これらの住宅の改修は、中国政府が推進する生計向上支援プロジェクトおよび開発プロジェクトに組み込まれています。住宅の改修に伴い、食洗機の需要も高くなることが想定されています。

中国の食洗機市場の展望

アメリカとドイツにおいては、食洗機の普及率は70%を超えており、中国と食スタイルが近似している日本でも、その普及率は29%に達していますが、中国での普及率はまだ僅か1%程度です。

食洗機の普及率は以下の要因に影響されると考えられます。
(1) 住宅面積が狭すぎると、食洗機の設置も難しくなる
(2) 世帯人数が多ければ、食器の数も多くなるため、手間を減らせるために食洗機を設置する傾向が強くなる
(3) 専業主婦文化が根強い社会では、食器洗いは主婦の仕事と看做されるため、食洗機の購入も抑制される

以上の3要因を考えると、中国は住宅面積、世帯人数、主婦の割合のいずれの点においても、日本よりも食洗機の普及に有利な環境です。そのため、中国の食洗機市場の普及率は、現在の日本市場の普及率を超える可能性は十分にあると考えられます。加えて、国民所得の増加と、若い世代の消費意識の変化と伴い、中国では食洗機の人気は加速しています。従って、中国の食洗機市場の見通しはかなり良好でしょう。

また、中国には4億7000万〜4億8000万世帯があります。この数と近年の中国での食洗機の売上高に基づいて、AVCのキッチン家電事業部総監である劉継元は、2022年には、中国の食洗機市場の小売売上高は対前年27%増加し、さらに実店舗での成長はネットショップより速くなると推定しました。

まとめ

中国の食洗機市場の成長は緩やかになったものの、今後の数年間も成長し続けると考えられます。
特に中国人消費者に人気のビルトイン食洗機は、まだまだ売上を伸ばすでしょう。

<参考文献>
「2021年中国洗碗机行业市场前景及投资研究报告(简版)」
https://m.askci.com/news/chanye/20210906/1507441580131.shtml
「2021年中国洗碗机行业运行情况分析:零售量195.2万台」
https://m.askci.com/news/chanye/20220117/1433571726729.shtml
「“懒人经济”又带火一赛道:中国洗碗机市场首破百亿」
https://www.cbndata.com/information/232775
「2021年中国洗碗机行业市场规模及消费者行为预测分析(附热销机型榜单)」
https://m.askci.com/news/chanye/20210903/0902261575594.shtml
「洗碗机行业专题研究:渗透率有望快速提升」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1721545870373997556&wfr=spider&for=pc&searchword=洗碗机%20市场
「洗碗机代替人工洗碗,走入百姓家还差几步?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1723013517853280292&wfr=spider&for=pc&searchword=洗碗机%20市场
「2021年洗碗机市场:前景广袤但不再会“雨露均沾”」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1722902686230050806&wfr=spider&for=pc&searchword=洗碗机%20市场
「2021年洗碗机市场规模近百亿,未来发展趋势如何?」
https://m.sohu.com/a/519432040_664244
「2021年洗碗机消费者与市场洞察报告」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1720637524298829752&wfr=spider&for=pc&searchword=洗碗机%20市场

この記事のライター

中国出身の留学生。立教大学大学院に在学中。

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