中国におけるキャンプブーム~キャンプ市場が急拡大|中国トレンド調査

中国におけるキャンプブーム~キャンプ市場が急拡大|中国トレンド調査

SNSで「キャンプ」関連の話題がトレンド入りしたり、キャンプ用品が売り切れたりと、中国ではキャンプブームが到来し、キャンプ経済も広く注目されるようになりました。本記事では、ブーム到来の背景と中国のキャンプ市場について分析していきます。


中国でキャンプブームが到来

ゴールデンウィークの間(4月30日〜5月4日)、キャンプ関連の話題が中国のSNSでトレンド入りし、キャンプ経済が広く注目されるようになりました。3年連続でキャンプ熱が急上昇し、特に去年と比べて検索数は746%増えました。
また、中国のInstagramである「RED」では、「キャンプ」に関する投稿数は5月24日の時点で351万を超えており、中国のオンライン旅行会社「Ctrip」の「春季旅行トレンドレポート」によると、Ctripのウェブサイトにおいて、3月から4月のキャンプ体験の予約は前月比120%増となりました。

「RED」における「キャンプ」に関する投稿

背景1:キャンプ関連政策

2015年から2017年にかけて、中国政府は多くのキャンプ産業関連政策を導入し、キャンプ産業の発展を促進する上で重要な役割を果たしました。
例えば、昨年4月に「機動者運転免許証申請・使用規定」が改定され、「軽型けん引トレーラー(C6準運転車)」という車種が新たに追加されたことによって、キャンピングトレーラーを運転して外出することが可能になりました。
キャンプ経済が注目を集め、規模が拡大している今、政府は今後もキャンプ産業政策を推進していくと考えられます。

背景2:コロナ禍の影響

昨年より中国におけるコロナ関連規制が緩和されましたが、長距離の旅行は依然として制限されています。
そこで、週末を利用して、郊外や周辺スポットに小旅行や日帰りキャンプに行くのがブームになりました。
中国の旅行口コミ投稿サイト「Mafengwo(馬蜂窩)」が発表した「2021年世界自由旅行レポート」によると、近場への旅行の人気は、前年同期比251%増という結果になっています。

キャンプ人口はZ世代がメイン

「2021年Z世代のキャンプに基づくソーシャリティ白書」によると、現在のキャンプ人口のうち、Z世代が32.8%を占めており、最も高い割合となりました。
また、iiMedia Researchのデータによると、キャンプ人口の62.8%は家族と、55.0%は友人と、42.4%は恋人と共にキャンプを楽しみ、一人でキャンプをしているのは、わずか1.7%だということが分かりました。
21歳以下の若いキャンパーは他の年齢層と比べて、アグリツーリズムと音楽、ダンス、アドベンチャーなどの要素が融合されているキャンプ場を好む傾向があります。

同じくiiMediaResearchのデータによれば、中国のキャンプ人口の28.8%が1〜2ヶ月に1回、35.4%が3〜6ヶ月に1回、19.0%が1年に1回キャンプに行っています。
iiMediaResearchのアナリストによると、キャンプは短・中距離の旅行として捉えられることが多く、中国のキャンプ人口の多くは四半期、もしくは半年に1回キャンプに出かけるそうです。

中国のキャンプ人口がキャンプに出かける頻度(凡例は左から2〜3週間に1回以上;1〜2月に1回;3〜6月に1回;1年に1回;数年に1回)

中国のキャンプ市場

2014年から2020年にかけて、中国のキャンプ場市場規模は77億1000万元(約1477億4000万円)から168億元(約3219億円)へと増加し、年平均成長率は13.9%に達しました。
2022年には、成長率は18.6%、市場規模は354億6000万元(約6794億9000万円)に達すると予想されています。

キャンプ用品需要が急成長

中国でのキャンプブームは、キャンプ用品の需要拡大にもつながっています。
昨年12月末に中国のECサイト「淘宝(タオバオ)」が発表した「今年の商品トップ10」では、今まで不人気だったキャンプと釣り、サーフィンの商品がランクインしました。

ECサイト「京東(JD.COM)」の販売データによると、2022年4月以降、京東のスポーツ・キャンプ製品の検索数は前年同期比145%と大幅に増加しました。 北京の検索数は7倍以上、仏山で約8倍、広州で約7倍増えています。

それと同時に、各種キャンプ用品の取引額も大幅に増加しました。 タープテント部門の取引額は前年同期比4倍近く、アウトドアワゴンは10倍、ハンモックとエアーマットも10倍以上増えました。キャンプ用テーブル・チェア、キャンプ用ランタン、キャンプ用マットも売上高を伸ばしています。

iiMediaResearchによると、2022年の中国におけるキャンプ用品市場規模は354億6000万ドルで、18.6%の成長が見込まれるとのことです。
市場調査会社「Report Linker」は、2027年までに中国のキャンプ用品市場は159億米ドルに達し、年平均成長率は9.1%になると予測しています。

キャンプ用品の購買傾向、映え要素も重視

中国のキャンプ人口の半数以上はテント、防水シート、寝袋、テントライトを購入していることがわかりました。 「アリババ2021国慶節大型連休における消費・旅行動向に関するレポート」では、テントをはじめとしたキャンプ用品の予約数は、前年と比べて14倍以上増という結果になりました。

キャンプ用品ブランド「Naturehike」の営業部長である洪晨氏によると、中国最大のECイベント「W11(ダブルイレブン)/ 独身の日」における昨年のNaturehikeの売上高は、前年同期比412%増となりました。特にインフレータブルテントに関しては、在庫切れが続出していました。

中国のキャンプ人口が購入するキャンプ用品(横軸は左からテント、防水シート、寝袋、テントライト、テントロープ、エアーマット、折りたたみ椅子・デスク、キャンプストーブ・食器、タープテント、おしゃれキャンプ用品(星形ランプなど)、その他)

テント以外にも、エアーマット、折りたたみ椅子、アウトドア用キッチン用品、キャンプ用ライト、キャンプ用トイレなどの多くの商品への需要があります。
特に注目すべきなのは、21.3%の消費者は星形ランプやオイルランタンなどのような、ビジュアル重視なキャンプ用品を購入していることです。

調理済み食品

キャンプ用品とは一味違うものの、キャンプブームにより調理済み食品も売上を伸ばしています。
中国におけるキャンプ飯といえばバーベキューか火鍋ですが、実はキャンプ人口の3割が面倒臭がり屋の若年層だということもあり、簡単な手順でうまく作れるような調理済み食品は中国のキャンパーに重宝されています。
京東のデータによると、ゴールデンウィーク期間中の調理済み食品の販売量は前年比250%以上増加し、1日の配達数は100万個を超えたそうです。

まとめ

現在の中国ではキャンプ人口は依然として少ないですが、新型コロナウイルス流行の状況が好転するにつれ、中国におけるキャンプ市場はさらに洗練され、成長していくと考えられます。
日本企業の参入も進んでいくのでしょうか。今後の動向を引き続きウォッチしていきたいものです。

<参考文献>
「87页纯干货,56张图表——深度解读露营经济发展现状及行业趋势」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1732308126170507528&wfr=spider&for=pc&searchword=露营市场分析
「中国露营经济产业:2022年中国露营市场规模将达354.6亿元,多元素融合露营更受年轻人」
https://www.bilibili.com/read/mobile?id=14215298
「2021年中国露营产业火热,未来有望持续高速发展」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1725096198877595798&wfr=spider&for=pc&searchword=露营市场分析
「“露营经济”催生新业态:露营热露出新考验」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1731136539818118883&wfr=spider&for=pc
「露营经济火了?用野餐垫和帐篷搭起的诗和远方」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1729181862987207223&wfr=spider&for=pc
「2021 Z世代露营式社交白皮书」
https://zhuanlan.zhihu.com/p/511575067
「露营吃什么?一顶小帐篷下有百亿食品大市场」
https://www.cbndata.com/information/245186

この記事のライター

中国出身の留学生。立教大学大学院に在学中。

関連する投稿


中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

2026年の中国では、ダイエット・エコノミーが劇的な二次進化を遂げています。2024年に始動した政府主導の「体重管理年」プロジェクトを経て、国民の意識はダイエットから全天候型のライフスタイルへと進化しています。本記事では、春節後の爆発的な需要を背景に、タイパを重視した「機能性食品のスナック化」や、小紅書(RED)等のコンテンツECが牽引する最新の消費トレンドを詳説。変容する中国若年層の心理を読み解き、日本企業が中国の巨大な健康市場を攻略するためのヒントを提示します。


中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国でアイロンビーズのブームが巻き起こっています。一見すると子供向けの遊びに思えますが、今や若者や大人が楽しむ趣味になっており、2025年の “不思議な趣味”ランキングのTop10に入るほどです。この記事では、アイロンビーズにはどのような魅力があり、人々にどのように楽しまれているのかを紹介します。


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

昼食代には迷う一方で、推し活には即決します。中国の若者に広がる「理感共生」は、節約と熱狂が同時に成立する新しい消費合理性です。本稿はこの概念を手がかりに、なぜ日常支出には極端に慎重でありながら、体験や感情価値には大胆に投資するのかを分析。将来不安や長期志向、補償的コントロールといった社会や心理的背景を整理し、この行動が中国の消費市場とマーケティング競争の軸をいかに変えつつあるのかを探ります。


リアルなモニタリング!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」日記調査機能のご紹介【第6回】

リアルなモニタリング!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」日記調査機能のご紹介【第6回】

トレンドの変化が速い、と言われている中国市場。「最近、中国市場の変化が掴めない。言語の壁もあり、中国人生活者の生活実態がよくわからない。」という声も多く耳にします。Web調査ツール「ValueQIC(ヴァリュークイック)」なら、日記形式の調査を通じて、最大14日間分のモニタリング結果をご提供することが可能です。第6回は、日記調査機能の特徴を事例とともにご紹介します。


最新の投稿


サイバーエージェント、クリエイティブ精鋭組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を設立

サイバーエージェント、クリエイティブ精鋭組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を設立

株式会社サイバーエージェントは、同社内のトップクリエイターが集結したクリエイティブ組織「リードクリエイティブセンター NEW GREEN」を新設したことを発表しました。


ADKマーケティング・ソリューションズ、Global IP Power Survey 2026 Reportを発表

ADKマーケティング・ソリューションズ、Global IP Power Survey 2026 Reportを発表

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、ADKエモーションズと共に日本・北米・中国・タイ・インドネシアの5市場、約23,000人を対象とした作品・キャラクター(IP)に関する大規模調査を実施し、「Global IP Power Survey 2026 Report」を作成、公開しました。


調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回は調査結果のランディングページ(リサーチのデータベース)について寄稿いただきました。※本記事は菅原さんの書籍『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)と連動した内容を掲載しています。


【無料レポート】タイの最新ペット市場〜猫シフトとプレミアム化

【無料レポート】タイの最新ペット市場〜猫シフトとプレミアム化

タイのペット市場では今、都市部を中心に犬を上回る勢いで「猫シフト」が進行しています。マンション暮らしに適しているからという実利的な理由が想像されますが、実際には「日々の癒やし」や「家族としてのつながり」といった感情面が主な飼育動機であることがデータから見えてきました。こうした背景から、インフレ下でもペット関連の支出は削られにくい傾向がうかがえます。 本レポートでは、ペットへの愛情を起点とした「お金の使い方」の実態を、独自のアンケートデータと共にお届けします。TikTok等のSNSをきっかけとした「共感が最後の一押しとなる」購買プロセスについても掘り下げています。


アドインテ、Osaka Metro主要4駅に次世代型マーケティング自販機「AIICO」を設置

アドインテ、Osaka Metro主要4駅に次世代型マーケティング自販機「AIICO」を設置

株式会社アドインテは、大阪市高速電気軌道株式会社の沿線4駅(御堂筋線 本町駅、御堂筋線 なんば駅、四つ橋線 西梅田駅、千日前線 谷町九丁目駅)において、多様な消費者ニーズへの対応と各駅の利便性向上を目的に、サイネージを用いた商品訴求が可能なIoT自動販売機「AIICO(アイコ)」の提供を開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ