GREEN SPOONは価格がネック……1回だけのお試し需要あり?
最初に分析するのは、2020年3月に冷凍スムージーサブスクリプションをスタートさせた「GREEN SPOON」。野菜を手軽に摂取できるサービスを目指し、スムージー、サラダ、スープの提供を行っています。累計販売数100万食を突破した人気のサービスです。
商品はカップ入り、もしくはパウチ入りの冷凍状態で届き、レンジで加熱するかミキサーで攪拌することで食べられます。
まず、「GREEN SPOON」のサイト訪問者はどのような人なのか、性年代別属性を見てみましょう。
「GREEN SPOON」サイト訪問者属性 性別
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「GREEN SPOON」サイト訪問者属性 年代
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
女性が多く、年代は20~40代の割合が多いことがわかりました。一人暮らしなどで栄養の偏り・野菜不足が気になる方が関心を持っているのかもしれません。また、サービス開始が2020年3月とコロナ禍による外出自粛の始まりの期間と重なっていることもあり、「自宅での食事をちょっと豪華に」「在宅勤務でのランチに良いものが欲しい」と考えた人が多かったことも、サービスへの注目増の要因だと予想されます。
一方で、「Green Spoon」検索者の検索キーワードをDockpitで見てみると、上位には「口コミ」「解約」という文字が目立っていました。
「GREEN SPOON」検索者の検索キーワード
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「口コミ」は、やはりサブスクリプションサービスなので「本当に美味しいのか」「便利なのか」といったことが、申し込み前の懸念としてあることが考えられます。実際に「GREEN SPOON 口コミ」で検索してみると、サービスを利用した人の忌憚ない意見が掲載されており、「カップとパウチが選べるけれど、カップは可愛いが冷凍庫内でかさばる」「味はとても美味しい」などの口コミを見ることができます。
そして「解約」です。口コミを見ていると味への不満はあまり見られなかったものの、「GREEN SPOON」のスープの価格は8食で7,776円(税込、2022年8月現在)で1食あたり972円と、スープ1杯の値段としては決して手頃ではありません。見た目の可愛さや野菜を手軽に摂取できることに魅力を感じ申し込んだものの、金銭的なことがネックとなり、解約を検討する人がいると考えられます。
その影響が、GREEN SPOON検索者がほかに関心を持っているワードにも現れていました。
「GREEN SPOON」検索者の関心ワード
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「GREEN SPOON」検索者がほかに関心を持っているワードには、「楽天」がランクインしています。「GREEN SPOON」には楽天での公式ショップもあり、こちらは単品の買い切りとなっています。
サブスクリプションサービスでの申し込みよりは割高になるものの「まずは味を確認したい」「1回だけ食べてみたい」という人が興味を持っているようです。「GREEN SPOON」側もそのニーズを把握し、楽天での販売をしているのでしょうね。
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スナックミーは満足度は高いが解約のわかりづらさが不安?
続いては2016年3月にサービスを開始した「スナックミー」です。2週間(あるいは4週間)に1回、様々なジャンルのおやつが8種類個包装になって届くサービスで、ポスト投函されるサイズ感も人気です。申し込み時に行う「おやつ診断」によって100種類以上のラインナップから自分好みのおやつが届きます。
まず「スナックミー」検索者の性年代別属性を見てみましょう。
「スナックミー」検索者ユーザー属性 性別
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「スナックミー」検索者ユーザー属性 年代
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
検索者は圧倒的に女性の割合が多く、特に20代が多いです。いわゆる「スナック菓子」ではなく、人工添加物・白砂糖などは不使用ということもあり、美容や健康に気を遣う人が利用している印象です。
では、検索者はどんなキーワードで検索しているのでしょうか。
「スナックミー」検索者の検索キーワード
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
検索キーワードを見てみると、「評判・口コミ」「退会できない」といったワードが上位に目立ちます。「スナックミー」の価格は1回当たり1,880円に送料330円を加えた2,210円(税込、2022年8月現在)。1つのおやつは20g~30gで8個入り……ということでこちらも決して安いとは言えません。
実際に「スナックミー 口コミ」で検索すると、「おやつ診断にはあまり意味がない」「8種類の中に似たようなものが複数入っていた」「リクエスト機能はあるが通らないこともある」などのネガティブなものも。逆に、「美味しいのでむしろ大袋で食べたい」「高い気もするが身体に良いので嬉しい」「食べ過ぎない量なので良い」といったポジティブなものも見られました。
退会については、わかりにくい場所に退会申請ボタンがあること、そして「お休み」と「退会」が紛らわしい表記になっていることなどから、混乱している人が多いことが伺えました。解約ボタンを押しても自分の会員データが残っており、「登録データそのものの削除をご希望の場合は、恐れ入りますがカスタマーサポート宛にご連絡ください」と記載が出ることも不安につながり、多く検索されているようです。
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ナッシュは味への口コミを見て類似サービスと比較する人が多い?
最後に、冷凍宅配弁当を提供する「ナッシュ」についても調べてみましょう。ナッシュは2018年にサービスを開始し、コロナ禍で大きくユーザー数を伸ばし、サービス開始から2年で累計500万食を突破するなど好調な印象です。
「ナッシュ」を検索する人はどんな人でしょうか。
「ナッシュ」検索者ユーザー属性 性別
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「ナッシュ」検索者ユーザー属性 年代
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
男女比は半々ずつくらい、年代は20~30代の割合が多いです。自炊があまり得意ではない人、在宅勤務での昼食需要などで興味を持っている方が多いのではないでしょうか。SNSの広告でよく見かけることも若者の興味を惹く要因だと考えられます。
こちらも検索者の検索キーワードを見てみましょう。
「ナッシュ」検索キーワード
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
前述の「GREEN SPOON」「スナックミー」同様、「口コミ」という言葉があります。また、「まずい」という少し気になるワードも……。これは1食あたり糖質30g以下、塩分2.7g以下に制限していることから、「味が薄い」と感じる場合が多いことが要因のようです。
メリットである「健康に良い」という点が、逆に味に影響を与えていることが考えられます。糖質を抑えるために使用されている「低糖質米」が美味しくないという意見や、「解凍がうまくできずに水っぽい」などの口コミが目立ちました。とはいえ、そうした健康への配慮の影響を受けずに美味しいメニューもあるようです。メニューは自分で選ぶことができるので、「これを選べば大丈夫」と美味しいものを教えてくれるサイトもありました。
「ナッシュ」検索者が関心を持っているワードにはどんなものがあるのでしょうか。
「ナッシュ」検索者の関心ワード
(集計期間:2021年8月〜2022年7月、デバイス:PC&スマートフォン)
「関心ワード」の上位には「三ツ星ファーム」という言葉が。これは他社の類似サービスです。価格も見た目も提供されるものも非常に似ており、どちらにしようか比べている人が多いことがわかります。
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まとめ
ここまでみてきた3つの「食のサブスク」はいずれも、InstagramやTwitterのキャンペーンを積極的に行い、認知度を高めてきました。現在食のサブスクリプションサービスが増加していることを考えると、まず必要なのは「認知度を上げる」ことだといえるでしょう。
一方で、興味を持って申し込みをしても価格面で解約を検討する人が多いことが、検索キーワードから課題として浮き彫りになりました。小売店での購入と比べ、支払いが継続し、割高になりがちなサブスクリプションサービスの場合、「足りない」「選べない」「味に不満」といったマイナスイメージが生じると、解約につながりやすいと考えられます。
最初に広告を見た時に感じた「いいかも!」「ほしい!」「食べたい!」をいかに継続させる仕組みを作るかが重要なのではないでしょうか。たとえば「GREEN SPOON」の場合、「可愛いがサイズが大きすぎて冷凍庫に入らない」といった声が目立っており、これも継続を阻害する危険要因のひとつかもしれません。一般的な商材と比べ、口コミがSNSに上がりやすい点が特徴でもあるので、こまめにチェックしつつUXを改善することが、サービス継続につながるのではないでしょうか。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。