2023年に押さえるべき、SNSマーケティングのトレンドは?|「2023年1月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

2023年に押さえるべき、SNSマーケティングのトレンドは?|「2023年1月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

ヴァリューズのマーケターが、コンテンツマーケティングの今をお届けする本連載。2023年第1弾は、SNSマーケティング先進国における動きなど、2022年の主要SNSの動向を振り返り。今後の予測や対策すべきポイントについて解説します。押さえておくべきは、「ワンストップ送客」「短尺動画」「インフルエンサー収益化強化」の3点です。


【解説者紹介】

2022年、主要SNS動向の振り返り





:2023年1月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、昨年の日本における主要SNSの動向を振り返っています。新しい年が始まったタイミングで、ぜひおさらいしてみましょう。

今回注目トピックとして取り上げたのは、「ワンストップ送客」「短尺動画」「インフルエンサー収益化強化」の3つです。一つひとつ説明していきます!




1. SNS上で認知から購買まで。「ワンストップ送客」





:まず「ワンストップ送客」から説明します。

これまで多くの企業は、SNS施策を「認知拡大」や「既存顧客とのコミュニケーション」「コミュニティメンテナンス」などのために行ってきたと思います。2022年はその目的に「送客」が加わったことがポイントです。










岩間利用者はSNS上で、認知から購買までワンストップで行えるようになったんですね。










:背景には、各SNSから、送客に貢献しやすい機能がリリースされたことがあります。

例えば、Twitterは6月に、新製品発売予告ツイートにリマインダーボタン「Product Drops」を付けられるテストを開始しました。クリックすると、発売当日に通知が届いてリマインドしてくれるんです。利用者の購買行動を促す機能と言えるでしょう。
また、7月にはInstagramが「Payments in Chat」という機能をリリースし、Instagram上で、DMを使った問い合わせから支払いまでを完結することが可能になりました。

「Product Drops」も「Payments in Chat」も、アメリカでの展開が中心で、現時点で日本では未対応なのですが、このような送客に貢献できる機能は、いずれ日本にもやってくると思っています。










岩間:なるほど。認知から購買までの動線が、より明確になりそうですね。








:ちなみに中国のSNS事情について紹介すると、中国版TikTok「抖音(Douyin) 」では、実は4、5年前ぐらいから、認知拡大から購買までアプリ内でワンストップで完結できる環境になっています。抖音(Douyin)上で動画を見て、興味があれば、そのままアプリ内で購入することが日常になっているんです。










岩間:アメリカや中国など、マーケティングの最先端を走っている国で、すでにSNSのアプリ内で購買までできるようになってきているということは、日本でも近々そうなると考えられますね。




2.TokTokに対抗。続々リリースの「短尺動画」





:続いてのトピックは「短尺動画」です。短尺動画の盛り上がりは、TikTokの流行が関係していると考えています。

TikTokは2017年にリリースされ、今では世界各国の若者の間で人気のアプリです。このTikTokに対抗するため、各SNSでは縦型短尺動画の機能を続々とリリースしています。

例えば、Instagramでは、2020年8月にリリースしたショート動画機能「リール」を、2022年6月から注力し始めています。注力ポイントとしては、次の3つが挙げられます。

①15分未満の動画は今後すべてリール扱いとなる
➁リールが簡単に作成・編集できる複数のツールを提供
③お気に入りのフィード投稿か、リール動画の投稿をプロフィールのトップに固定できる新機能を導入










岩間:Instagramが、リールに注力していることがよくわかりますね。










:数値としても結果が出ています。ヴァリューズのデータを使って、リールページのセッション数の推移を見ると、注力し始めた6月以降で一気にセッション数が増えていることがわかるんです。








:さらに9月からは、Twitterも「Videos for you」という動画機能をテストしています。短い文章でリアルタイムな情報を好むTwitterユーザーに、どこまで普及するかを見ているそうです。ユーザーに積極的に利用してもらうというよりは、テストがメインの目的であると公式発表されています。日本では現状未対応の機能ではあるものの、近々やって来るのではと思っています。

このように、様々な媒体が2022年から短尺動画の機能に注力し始めている姿勢を見ることができます。










岩間:みんな注力し始めたということは、逆に言うとどこも同じような機能があるといった印象を受けてしまいますね…。










:おっしゃる通り、日本の各主要SNSを機能面から見ると、差がどんどん少なくなっている状況です。

9月にアメリカのメタ社が実施した内部調査の結果によると、Instagramのリール動画の視聴時間は、TikTokの1割未満であることがわかりました。この要因として、同社が挙げているのが、オリジナルコンテンツの不足です。どのSNSでも似たような投稿がされているということですね。

このような課題を解決するために改めて注目されているのが、最後のトピックにもつながるインフルエンサー(クリエイター)の存在です。




3.オリジナルコンテンツを強化。「インフルエンサー収益化強化」





:どのSNSでも似たような投稿がされてしまう、オリジナルコンテンツ不足問題。対策として各SNSは、オリジナルコンテンツを生み出すインフルエンサーのモチベーションを上げる様々な取り組みを行っています。

例えば、TikTokでは2022年1月に動画へのギフティング機能を発表しました。視聴者は動画を見て「いいな」と思えば、投げ銭のようにお金やギフトを投稿者に送ることができます。そうすることで、インフルエンサーの新しいコンテンツを制作するモチベーションも上がると考えられます。

対してInstagramは、6月に独自コンテンツを上位に表示するアルゴリズムにアップデート。9月にはインフルエンサー向け収益化支援ツール「Gifts」のテストを開始するなど、複数の動きが見られます。

YouTubeも9月に、短編動画「ショート」の制作者に広告収入の45%を還元する仕組みを導入する、と発表しました。








岩間:各SNSが同じような機能を持っている状況では、インフルエンサー自身も、どのSNSを使おうか迷ってしまいますよね。だからこそ、収益化をはじめとして、SNS側がインフルエンサーに対してメリットがある状態を生み出す流れを感じました。










:このようにインフルエンサーが活躍できる場が整えられてきていることから、今回「インフルエンサー収益化強化」も注目すべきトピックとしてピックアップしました。




SNS最新動向を踏まえ、マーケターがとれる対策





:今回説明したことをまとめたうえで、今後の対策についてお話します。

1つ目の「ワンストップ送客」に関しては、今後SNS上で認知から購買までをワンストップで完結できるようになると説明しました。

Web広告やSEO周りをメインで展開していて、まだSNSを活用していない企業も少なくないのではないでしょうか。しかし、今回お伝えしたように、今後SNSにおける動線がより明確になっていく可能性を考えると、SNSでファンを蓄積していくことが必要です。今のうちにSNSを活用したマーケティングに取り組むことをおすすめします。

2つ目に紹介したトピックは「短尺動画」でした。各SNSが続々と短尺動画機能を展開し始めています。すでにSNSを活用しているけれど、まだ短尺動画に取り組んでいないという企業は、ぜひ活用してみてください。
また、各SNSが短尺動画機能をリリースすると同時に、機能面での差別化ができなくなっているという話もしましたね。だからこそ、媒体の特徴やユーザーの特徴、利用目的などを把握したうえで、自社の商品やサービスに合うSNSで施策を展開することが大事になってくると考えます。

最後の「インフルエンサー収益化強化」は、各SNSで支援に力を入れていることもあり、今後もっと熱くなっていくトピックだと思います。

企業が行える対策としては、自社の公式発信だけでなく、インフルエンサーなど第三者による発信にも力を入れていくことです。インフルエンサーマーケティングを実施するときには、企業がインフルエンサーに「こういう感じで紹介してほしい」と一方通行に働きかけるのではなく、インフルエンサーのやり方を尊重し、インフルエンサーを信頼しにいく姿勢が非常に重要になっていくでしょう。








岩間:ありがとうございます。主要SNSの最新動向をばっちり復習できました!










:以上、1月のコンテンツマーケティング動向「SNS編」でした。次月のネタも楽しみにお待ちください。






本記事でご紹介した、コンテンツマーケティング最新動向レポートは下記フォームから無料でダウンロードできます。ぜひお申し込みください。

ホワイトペーパーダウンロード【無料】|コンテンツマーケティング最新動向レポート(2023年1月版)

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

関連する投稿


YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


ソーシャル分析で消費者のリアルな声を掴むには

ソーシャル分析で消費者のリアルな声を掴むには

近年、年齢や国籍を問わず、SNSは人々の生活に欠かせない存在となっています。SNSの口コミを活用して、マーケティング課題を解決するための調査方法は「ソーシャル分析」と呼ばれます。本記事では、ソーシャル分析の定義と事例を紹介します。 (ソーシャルメディア分析、ソーシャルリスニング、SNS分析は、本記事ではソーシャル分析と総称します。)


YouTube, Shorts, & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 1>

YouTube, Shorts, & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 1>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


YouTube, YouTube Shorts, & TikTok usage: TikTok is about 40%! “Learning” for YouTube & “Trends” for TikTok

YouTube, YouTube Shorts, & TikTok usage: TikTok is about 40%! “Learning” for YouTube & “Trends” for TikTok

Compared to YouTube, which has a high usage rate, what is the usage rate of short-form videos, like YouTube Shorts and TikTok? What are their most popular videos, their position in daily life, how are they used? Which leads to purchasing a product? Based on the survey data, we investigated the usage of each medium.


The number of next-gen social media “Bluesky” users is rapidly growing. Is it the newest trend among Gen Z?

The number of next-gen social media “Bluesky” users is rapidly growing. Is it the newest trend among Gen Z?

When X’s (formerly Twitter) specs changes, Bluesky was seen as a potentional alternative to X, but it struggled to gain traction. However, after removing its invite-only system on February 7, 2024, user numbers surged as anyone was now allowed to make an account. We'll examine user demographics and usage of Bluesky.


最新の投稿


Z世代の音声メディア利用率は約3割 ラジオやポッドキャストを"ながら視聴"で【僕と私と調査】

Z世代の音声メディア利用率は約3割 ラジオやポッドキャストを"ながら視聴"で【僕と私と調査】

僕と私と株式会社は、株式会社ニッポン放送と共同で全国のZ世代を対象に、ラジオやポッドキャストなどの音声メディアに関する意識調査を実施し、その結果を公開しました。


職場のデジタル化に遅れを感じる人は約6割 進まない原因に「経営上位層の認識遅れ」や「古いシステムの継続利用」などの声も【TOA調査】

職場のデジタル化に遅れを感じる人は約6割 進まない原因に「経営上位層の認識遅れ」や「古いシステムの継続利用」などの声も【TOA調査】

TOA株式会社は、全国の20~50代の働く男女を対象に「職場環境・デジタル化の実態に関する調査」を実施し、結果を公開しました。


YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

株式会社リーディング・ソリューションは、BtoB企業に勤務する経営者・役員、会社員の中でも、デジタルマーケティングに関与している方を対象に、「BtoBデジタルマーケティング実態調査」を実施し、結果を公開しました。


“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

緩やかな回復を続けている中国経済では、人口の半数近くを占める「80後(1980~89年生まれ)」、「90後(1990~99年生まれ)」、「00後(2000年以降生まれ)」が消費の主力となっています。これらの年代の消費者は生活の質や精神的満足をより重視する傾向にあり、中国経済に新しいトレンドを生み出しています。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ