ホワイトプラスが運営する宅配クリーニング「Lenet(リネット)」の調査によると、家事のタイパ(タイムパフォーマンス)を会社員では3人に2人が意識していると回答。タイパを意識している家事において「料理」が2番目に、「掃除」が3番目に多い結果となっていました。さらに、時間を有効活用するために実施していることの3番目に「時短家電」がランクイン。
今回は、『時短家電(タイパ家電)』上位の「食洗機」と「ロボット掃除機」にフォーカスして生活者の気になりごとや、コンテンツマーケティングで押さえるべき観点について分析します。
日常生活の負担を減らす「食洗器」にニーズあり
まずは、直近1年間の「食洗機」と「ロボット掃除機」を検索しているユーザーのボリュームをヴァリューズが提供するWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて調べてみます。
「食洗器」は毎月17~20万人程度、「ロボット掃除機」は5万人程度で推移していて、「食洗器」の検索者数は「ロボット掃除機」の3倍以上となっていることから、関心が高いことがうかがえました。食器洗いは日常のことなので、その負担を少しでも減らしたいと考えているユーザーが多いようです。
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー数推移
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
「食洗器」と「ロボット掃除機」の属性を比較
次に、「食洗機」と「ロボット掃除機」の検索者のユーザー属性を見ていきます。
■関心層は30代が中心
性別では「食洗器」は女性割合が多く、逆に「ロボット掃除機」は男性割合がやや多い結果となっていました。
年代別では、いずれも30代が1/4以上を占めており、次いで40代、20代となっていました。
Z世代が『タイパ』を意識していると言われていますが、時短家電となると既婚者が多い年代にニーズがあるようです。
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー属性:性別
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー属性:年代別
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
■「食洗器」は既婚に関心層が多い
未既婚で見てみると、「食洗器」は既婚が6割と多くなっていました。
家族が増えると洗いモノのボリュームも増えることから、時短を図りたいと考える人が多いことが読み取れます。
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー属性:未既婚
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
■「ロボット掃除機」は子供なしユーザーが関心層
子供有無では、「ロボット掃除機」は子供なしの割合が多いことがわかりました。
掃除の頻度が増える子供ありユーザーの方が需要がありそうですが、この結果をみると乳幼児との相性で検討を躊躇している可能性があると考えられます。
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー属性:子供有無
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
■いずれも関心層は高年収傾向
世帯年収は、ネット利用者全体と比較すると、どちらも高年収の方が割合が高い結果となっていました。「ロボット掃除機」の方が「食洗機」よりやや高年収の傾向にあるようです。
「食洗器」「ロボット掃除機」の検索ユーザー属性:世帯年収
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
性別で気になりごとが異なる
掛け合わせ検索をユーザー属性別(縦軸:年齢、横軸:性別)にマッピングしてみたところ、「食洗器」は女性が"『哺乳瓶』を食洗機で洗えるか"を気にしている様子がうかがえました。『コンパクト』も目立つワードとなっており、キッチンに収まるかどうか、サイズ感も気にしているようです。
男性は『工事』や『取り付け』『交換』などのワードが気になっていることから、設置やメンテナンスなど女性とは別の観点が気なっているようです。
「食洗器」掛け合わせ検索ワードの属性マップ
(縦軸:年齢、横軸:性別)
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
「ロボット掃除機」は、女性が"テストする女性誌"をテーマにした検証雑誌の『LDK』を参考にしていることや、『静音』の検索が目立つことから音も気にしている様子がうかがえました。
男性は『Panasonic』や『マキタ』『Amazon』などが目立っており、どんなショップでどのメーカーを購入するかを気にしているようです。
こちらも、性別で気になる観点が異なることが特徴的でした。
「ロボット掃除機」掛け合わせ検索ワードの属性マップ
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
「食洗器」はメーカー指定、「ロボット掃除機」は比較検索されやすい
次は、掛け合わせワードからユーザーの気になりごとも探ってみます。
「食洗器」は、『パナソニック(PANASONIC)』や『リンナイ』『ミーレ』などメーカー名が多数ランクインしていることから、メーカーを比較検討していることがうかがえました。他には『ビルトイン』や『フロントオープン』など形状も気になっているようです。
また、『水筒』が洗えるかもポイントとなっているようです。
「食洗器」の掛け合わせワード
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
「ロボット掃除機」は『おすすめ』や『比較』、『ランキング』『口コミ』がランクインしていることから、比較検討して購入したいと考えているユーザーが多いようです。メーカーでは『アンカー(ANKER)』や『ルンバ』『パナソニック』が人気のようです。
掛け合わせワードからは、「食洗機」はメーカーを指定して検索するユーザーが多く、「ロボット掃除機」は比較検討するユーザーが多いことが読み取れました。
「ロボット掃除機」の掛け合わせワード
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
今後は、サブスク・レンタルの需要も
最後はどんなコンテンツが人気なのか「食洗器」と「ロボット掃除機」の検索後の流入ページを見てみましょう。
「食洗器」は、徹底した自社検証と専門家の声をもとにおすすめ情報を提供している『mybest』の食洗器の比較ページが多くランクインしていました。他には、『パナソニック』や『リンナイ』のメーカーサイトが目立ちました。
ここでも「食洗器」はメーカーを気にしている様子がうかがえました。ユーザーはメーカーサイトをチェックしつつ、メディアサイトでも商品情報を確認しているようです。
「食洗器」検索後の流入ページ
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
mybestの「工事不要食洗機のおすすめ人気ランキング16選【徹底比較】」ページ
「ロボット掃除機」は『価格.com』や『Rentio(レンティオ)』などのメディアサイトが目立ちました。「ロボット掃除機」は「食洗器」とは異なり、メーカーサイトと併用して確認しているユーザーは少ないようで、比較サイトなどのメディアサイトから情報を得たいと考えているようです。
ちなみに、5位にランクインしている『Rentio(レンティオ)』は最新製品を買わずに試せる、家電のサブスク・レンタルサービスとなっており、iRobot、SHARP、SONY、Panasonicなどの生活家電をレンタルして使うことができるようです。ユーザーがレンタルも視野に入れて検討していることから、今後はサブスク・レンタルの需要もさらに伸びるかもしれません。
「ロボット掃除機」検索後の流入ページ
期間:2022年5月〜2023年4月
デバイス:PC&スマートフォン
家電お試しサービス Rentio[レンティオ]
「タイパ」関連記事のご紹介
ヴァリューズでは、過去に「タイパ」に関連する記事を公開しています。以下もあわせてご覧ください。
タイパとは?Z世代が重視する「タイパ至上主義」の背景とマーケティング事例
Z世代の購買心理・最新のトレンドを知るために、タイパの概要や価値観、マーケティング事例を解説しています。
【三菱UFJ信託銀行×ヴァリューズ共同研究調査】 「タイパ」実態 “動画の倍速再生”は約5割が実践 “タイパ意識”は男性20代、女性30代が最も高い
三菱UFJ信託銀行が提供する情報銀行サービス「Dprimeの個人ユーザー」を対象にアンケートを実施し、Z世代を中心に注目が高まる「タイパ(タイムパフォーマンス=時間対効果)」の実態調査をおこなっています。
時は金なり ~ 倍速消費と「タイパ」の裏にある心理
株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が、タイパ志向に対する企業の向き合い方も含めて解説しています。
まとめ
今回は、「食洗器」と「ロボット掃除機」の検索キーワードについて調査しました。
「食洗器」は「ロボット掃除機」よりも検索ニーズが高いことがわかりました。検索ユーザーの年代は30代が高くなっていました。また、性別で気になる観点が異なることも特徴的でした。
「食洗器」はメーカーを、「ロボット掃除機」はメディアサイトで比較検討しながら検索していることがうかがえました。
メディアサイトでは、「食洗器」「ロボット掃除機」いずれも徹底した自社検証と専門家の声をもとにおすすめ情報を提供している『mybest』が上位にあがっているほか、「ロボット掃除機」では『Rentio(レンティオ)』など家電のサブスク・レンタルサービスの需要もあるようです。
キーワード分析は、掛け合わせワードや属性マップなどから、ユーザーがどんなことを気にしているのか、どんなニーズがあるのかなどを把握することが可能です。よりよいコンテンツ作りのために、ぜひ「Dockpit」をお役立てください。
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