アプリ内課金実態調査

アプリ内課金実態調査

20代男性の支払い額は月平均5千円超


ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、アプリ利用ログと約1万人のアンケートデータに基づき、アプリの課金動向を分析しました。

Fate Grand Order、モンスターストライク、LINE:ディズニー ツムツム..。Google Playの「売上トップのAndroidアプリ」には、ゲームアプリが名を連ね、それぞれ1,000万件以上ダウンロードされていますが、その多くはインストール時のアプリ代金が無料。 ゲームに限らず、¥120~¥9,800程度のアプリ内付加機能やサービス(アイテム)を課金する「アプリ内課金」ビジネスモデルが主流になりつつあります。こうしたアプリ内の有料アイテムにお金を払っているのはどんなユーザーでしょうか。アンケート調査とユーザーのアクセスログから探ってみました。

分析概要

有料ユーザー率、課金額は、2018年5月16日~5月23日実施のアンケート回答データ(有効回答数9,023)をもとに集計。
アクセスログは、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、主に主要課金アプリのユーザーを対象に調査。ヴァリューズ保有のAndroidスマートフォンモニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に換算して推測。

考察サマリ

全体では1/3がアプリ課金、20代男性は半数近くにのぼる

アンケート調査でアプリ利用者中の有料ユーザー率を調べたところ、回答者全体では32.5%がアプリ内課金をしていることがわかりました。
なかでも20代男性は47.4%が課金しており、他の属性に比べ有料利用が突出しています。女性も20代が最多の36.3%。女性は年代層とほぼ反比例して有料ユーザー率が下がりますが、男性は20代~40代までは同じ傾向ながら、50代は32.5%と一転有料ユーザー率が増えています。

図表1 性・年代別のアプリ有料ユーザー率

電子書籍・マッチング・ゲームジャンルは、アプリ利用者のうちの25%以上が有料ユーザー

お金を払っても使いたいアイテムのあるアプリはどんなジャンルでしょう。
アンケート結果では、電子書籍、マッチングアプリ、ゲームアプリなどのジャンルが有料ユーザー率上位を占め、それぞれアプリユーザーの25%以上がアプリ内課金をしています。有料ユーザー率は概ね男性の方が女性より高く、特にマッチングアプリの男女の有料ユーザー率の差が顕著です。音楽アプリとレシピアプリのみ、女性の方が有料ユーザー率が高くなっています。

一人当たりの支払い額が高いのはマッチングや電子書籍。ニュース、ゲームは幅広い層を獲得

実際に支払っている月平均利用金額で見ると、ジャンルのランキングはマッチング、ゲーム、電子書籍の順に入れ替わります。
なかでもマッチングは3,800円と、ユーザー数は少ないながら、課金額は高い傾向。ゲームは300円未満の小額課金ユーザーが27.0%を占める一方で5,000円以上も2割を超え、幅広いニーズに応えているようです。有料ユーザー率の高い音楽や動画は平均1,000円で、電子書籍やニュース、辞書・翻訳の方が単価は高いことがわかります。

20代男性のアプリ内課金額は平均5,000円超。1万円以上のユーザーも2割にのぼる。

月平均支払い額を性・年代別に調べたところ、金額でも男性が女性を600円ほど上回ります。全体では2,000円未満のライトユーザーがボリュームゾーンを占めるなか、20代男性の支払額は月平均5,200円。1万円以上のユーザーも21.0%にのぼります。

アプリ利用頻度が高いのはゲームジャンル。

主要ジャンルのアプリログを確認したところ、特に「Pokemon GO」、「パズドラ」といったゲームが群を抜いて起動日数が多くなっています。「Pairs」は月11日以上起動する人が過半数を超えており、ゲームジャンル以外の中では、比較的起動頻度は高いといえそうです。動画や地図・ナビ、クーポンは月平均5日以下で、利用頻度はそう高くないようです。

課金ユーザーが多いジャンルのアプリごとの起動日数別に、有料ユーザー/無料ユーザー比率を確認しました。10日以下のライトユーザーと21日以上のヘビーユーザーに二極化する「Pairs」、起動日数が多いほど、課金ユーザー比率も上がっていく「Pokemon GO」、「ディズニーツムツム」や「日本経済新聞電子版」とアプリごとにパターンが異なります。「Pairs」は1か月プラン、3か月プラン、6か月プラン、12か月プランと、有料会員機能が使える期間によって、課金額が変わってくる仕組みになっています。短い間に集中して出会いたいタイプと、長い目で相手を探すタイプとで、同じ課金者でもアプリの利用の仕方が違っているのかもしれません。

課金の有無別に主要アプリの月平均起動日数を見ると、全体的に課金ユーザーの方が非課金ユーザーよりも起動日数が多く、ロイヤリティの高さが確認できます。特に課金有無による起動状況の違いが大きいのは「Pokemon GO」、「モンスターストライク」、「ぐるなび」で、月平均7日以上の差が出ました。

図表7 アプリごとの課金有無別月平均起動日数

関連記事

ポケGO、FGO、ツムツム、パズドラ…4大人気ゲームアプリで徹底比較!「ゲームアプリ利用者のユーザープロファイル」レポート

https://manamina.valuesccg.com/articles/543

利用者が多い4大人気ゲームアプリ、ポケGO、FGO、ツムツム、パズドラについて、アンケート調査とスマホアプリのログデータを用いてユーザー像を徹底比較。それぞれのユーザー特徴が明らかになりました。

【2019年版】男女×年代別 実際によく使われているアプリランキング

https://manamina.valuesccg.com/articles/526

世の中のユーザーがどんなアプリを利用しているかを、実際の行動ログから調査。全体、男女別、20代男女別の3パターンで2019年6月の顔ぶれを行動ログデータから分析しました 。

2019年のアプリ市場を振り返る!実際によく使われているアプリランキング

https://manamina.valuesccg.com/articles/673

2019年も間もなく終わります。そこで今回は、日常生活やビジネスシーンなどで欠かせないものとなっているスマートフォンのアプリについて振り返ってみました。2019年はどんなアプリが人気だったのでしょうか? 2019年1月~10月のアプリランキングTOP30と、前年と比較して利用者数が伸びているアプリについて紹介していきます。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

サービス終了から約1年…Zenly利用者はどこへ?位置情報共有アプリの現在

位置情報共有アプリ、Zenly。かつて一般的ではなかった「位置情報を共有する便利さ」をユーザーに伝え、位置情報共有アプリという新ジャンルを開拓しました。友人や家族との待ち合わせに使ったり、スマホの紛失に備えたり、災害時の安否確認として使ったり…とユーザーに様々な需要を生み出したZenlyですが、2023年2月3日にサービスを終了しました。ではその後、Zenlyユーザーはどのアプリを利用しているのでしょうか?この記事では、Zenlyに代わる位置情報共有アプリの現在を、サービス終了直後の分析結果と比較しながら考察します。


YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


自分を癒す、潤す、小さなご褒美!プチ贅沢調査【スイーツ編】ホワイトペーパー

自分を癒す、潤す、小さなご褒美!プチ贅沢調査【スイーツ編】ホワイトペーパー

日本生活協同組合連合会の「節約と値上げ」の意識についてのアンケート調査結果によると、回答者全体の93.3%の人が節約を意識しているという今、何かとメディアで取り上げられているのが「プチ贅沢」。本レポートでは、どのようにして「プチ贅沢」が生活に取り入れられているのか、日常生活における小さな幸せの追求が、どのようにして個人の生活の質を向上させているかという視点で、中でも手軽に取り入れられる「スイーツのプチ贅沢」にフォーカスを当て、考察しました。<br>※調査レポートは記事末尾のフォームより無料でダウンロードいただけます。商品企画やマーケティングをご担当の方はぜひご確認ください。


YouTube, Shorts, & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 1>

YouTube, Shorts, & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 1>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


YouTube, YouTube Shorts, & TikTok usage: TikTok is about 40%! “Learning” for YouTube & “Trends” for TikTok

YouTube, YouTube Shorts, & TikTok usage: TikTok is about 40%! “Learning” for YouTube & “Trends” for TikTok

Compared to YouTube, which has a high usage rate, what is the usage rate of short-form videos, like YouTube Shorts and TikTok? What are their most popular videos, their position in daily life, how are they used? Which leads to purchasing a product? Based on the survey data, we investigated the usage of each medium.


最新の投稿


Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

Z世代就活生の約7割が出社中心の働き方を希望!ある程度拘束されても手取り足取り教えてほしい【電通調査】

株式会社電通は、2024年卒または2025年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に、就職活動に関する意識調査「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施し、調査結果を公開しました。


データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

データ分析のヴァリューズが「競合分析ガイドブック」を公開 ~ 商品企画からプロモーションまで、知っておきたい 6つのフレームワーク・8つの事例・19の分析ツールを徹底解説 ~

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、運営するデータマーケティング・メディア「マナミナ」にて公開した記事から厳選し、知っておきたい6つのマーケティング・フレームワーク、8つの事例、19の分析ツールを収録した「競合分析ガイドブック」を公開しました。


交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

交渉学を深める ~ 英知ある交渉とは

さまざまなビジネスシーンで見られる「交渉」。よりスマートにお互いの利益を引き出す交渉を行うにはどのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。また、現在持ち合わせているあなたの「交渉能力」をアップデートするためには、どのような「交渉術」を備えるべきなのでしょうか。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が「交渉」概念の基礎から、さらに深い「交渉学」の世界まで解説します。


悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

悩みを抱えた人の語りからこころと社会を学ぶ「夜の航海物語」のススメ〜現代社会とメンタルヘルス〜

「カウンセリング」と聞いて、どんな印象を持ちますか?専門家とともに自分のこころを見つめる経験は、その後の人生の糧にもなります。臨床心理士の東畑開人氏の著書「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(新潮社)は、気付かないうちにあなたも染まっているかもしれない、孤独に陥りがちな現代社会の価値観に気づかせてくれます。「読むセラピー」と称された、カウンセラーとクライアント(依頼者)の夜の航海物語を、精神保健福祉士の森本康平氏が解説します。


Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio、「顧客エンゲージメント最新動向」を発表 データ使用状況の開示と高い透明性の重要性を明らかに

Twilio Japan合同会社は、「顧客エンゲージメント最新動向」の日本語版を発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ