1.インタビュー対象者一覧表とは
■●概要
インタビュー対象者一覧表とは、インタビュー協力者の情報をデモグラなどの基本情報、スクリーニング調査で聴取する意識・行動などの付加情報から構成し、同一のグループとして4~8名分のカードにまとめるアウトプットです。
本表があることで、調査テーマの質問を行うにあたり相手の背景や立場を理解することができます。また、プロフィール形式の表なので前日や当日にすぐに見返すことができ、開始直前のブリーフィングで参照する時にも便利です。
当日の対象者情報については、データベースから抽出した時のリスト形状で他の候補者情報も入った表ファイルで運用されるケースも多いのですが、表形式そのままだと文字サイズも項目情報も見づらいため本表の形式に直します。
■●構成要素
インタビュー対象者一覧の構成要素は以下のようになります。
※付加情報にはスクリーニング調査で聴取する意識・行動などの重要項目を入れます(本稿では新サービスについての受容性を尋ねる調査内容の時の例で記載します)
◎基本情報
1.グループ
・インタビュー対象者の括り
・性別、子どもの有無、利用経験の有無、利用経験の長短などを基準とした分類
・たいていは4名程度を1グループとして、情報の対比ができる2グループ(8名程度)で編成することが多い
<記入例>
・A(グループ)
2.日時
・インタビューの実施日時
<記入例>
X月X日(X)10:00-11:00
3.ID・姓
・対象者の会員ID、モニターID、候補者リストのセル番号など
・対象者の苗字
・事前連絡や謝礼付与の時に取り違えないようにID情報も本表内に保持しておく
<記入例>
1111 サトウ様
4.性別・年齢
・対象者の性別と年齢
<記入例>
女性 48歳
5.未既婚・子ども
・対象者の婚姻状況と子どもの有無
・子どもの年齢や学齢が重要な場合はその情報も記載する
<記入例>
既婚・子どもあり
6.職業
・対象者の業種情報や職種情報
・職業情報は生活スタイルを読み解く上でも参考になる
<記入例>
パート・アルバイト・フリーター
7.世帯年収
・対象者の世帯年収
・関係性的に把握するのが難しい場合は職業上の役職や暮らしぶりから推測する
<記入例>
X00万~X00万
8.居住地
・対象者が住んでいる都道府県
・実際に必要なケースは多くはないため不必要に詳しく広げないように注意する
<記入例>
XX県
◎付加情報
1.主利用サービス・利用頻度
・事業ドメインにおいて対象者がメインで利用しているサービスとその頻度
<記入例>
○○○○メイン併用(月に2-3回程度)
2.購入経験品目
・対象者がプロダクトで購入したことがある品目
<記入例>
ビューティ・コスメ、グルメ・食品、ビール・ワイン・お酒、医薬品・ヘルスケア・介護用品
●3.新サービスの利用意向:選択回答
・新サービスの利用意向(5段階評価)
<記入例>
ぜひ利用したい
●4.新サービスの利用意向:自由回答
・新サービスの利用意向(評点を付けた理由)
<記入例>
有料プランで300円の課金はお手頃。
年間で3,600円は他社の年会費程度。
■●このアウトプットの導入が向いているケース
「今回のインタビュー対象者はどのような人たちなの?」
⇒この質問に一枚で答えるためのアウトプット
①不慣れなメンバーもインタビュアーを務めるケース
日程ごとにインタビュアーを分ける運営体制は珍しくありません。この時気をつけたいのは、インタビュー経験が少ないメンバーは進行を消化するだけでいっぱいで、相手の状況を加味した話の引き出しまで辿り着かないこともあります。
当然ながらインタビュー実施において話をしてくれる相手の要素は大きく、どれだけ相手の情報を事前にインプットしておけるかは重要です。インタビューガイドを読み合わせるだけの事前準備だけでは足りないので注意したいところです。
②モニターの対応を拡大協力者が担当しているケース
組織体制によっては、インタビュー調査の前工程である候補者リストの抽出や、リクルーティング・謝礼付与などのモニター対応業務を分業制で進めることもあります。例えばCS(カスタマー部門)や事務スタッフが対応するケースです。
この分業体制は便利な反面、作業が対象者の抽出・確定の工程までだと、担当者が持つ緊張感の差から当日に必要な対象者情報を欠いてしまうこともあります。また作業色が強い業務なので、協力者側も達成感を得にくい難点があります。
2.作り方
①日程順に対象者情報を並べる
・日程順に対象者情報を並べると期間中に次回実施情報を参照しやすくなる
②基本情報と付加情報を並べる
・基本情報と付加情報を並べることで対象者の背景や立場への理解が深まる
③近しい情報は一行にまとめる
・表をコンパクトに保つべく近しい情報同士は一行にまとめる
(データを抽出したままの項目配置だと表が縦に長くなってしまう)
3.使い方
①インタビューガイドの内容をフィットさせる
対象者一覧表を使うと、話を聴く相手にこそ聞きたいことや、それによってどのような流れで話を聴くと良いかをイメージできます。同じ表に同一グループ内の対象者情報も見えているので、セッションごとに期待する役割を検討できます。
これは言い換えると、調査テーマに即して汎用的な作りのインタビューガイドの内容をセッションごとにフィットさせる作業とも言えます。本番でも基本情報が既にインプットできていることで導入から本題に移行しやすい効果があります。
②環境設定を行う事務スタッフとの成果共有に
対象者一覧表はインタビューの事後も報告書内に対象者情報として収録されるので、プロジェクトに関わる関係者の皆が参照します。それにより、拡大関係者も含めて必要不可欠な成果物を作成したことの貢献を分かち合うことができます。
もしこれが消えものの候補者リストの作業協力だけだと、中間成果物は日の目を見ることなく仕事の足跡が残りません。拡大関係者と長く良い運営体制を築く意味でも、ひと手間かけて対象者情報を編集しておくことで一体感を得られます。
リサーチャー。上智大学文学部新聞学科卒業。新卒で出版社の学研を経て、株式会社マクロミルで月次500問以上を運用する定量調査ディレクター業務に従事。現在は国内有数規模の総合ECサイト・アプリを運営する企業でプロダクト戦略・リサーチ全般を担当する。
デザインとマーケティングを横断するリサーチのトレンドウォッチャーとしてニュースレターの発行を行い、定量・定性の調査実務に精通したリサーチのメンターとして各種リサーチプロジェクトの監修も行う。著書『ユーザーリサーチのすべて』(マイナビ出版)
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