UU数増加率1位は「日比谷花壇 母の日コム」、2位は「缶コーヒー『ジョージア』」
まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
デバイスはPCとスマートフォンの合算。ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に即して推計。
時事ネタとお得なキャンペーンでユーザーを獲得
それでは早速、ランキングの1位から3位までを詳しく見ていきましょう。
■1位:日比谷花壇 母の日コム
前月と比べてサイトを訪れた人が最も著しく増えていたのは、「日比谷花壇 母の日コム」でした。5月12日の母の日にむけて関心が高まったことは言わずもがな、こちらのサイトでは、メルマガ登録によるプレゼントキャンペーンの告知に特にPVが集中していました。
「母の日コム」のコンテンツランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
「eMark+」のSite Analyzerという機能で、サイト内のコンテンツランキングを見ることができます。それによると、「母の日コム」内ではメルマガ登録キャンペーンページがPV全体の85.9%を占めていることが分かりました。
では、ユーザーはどのような経路でページを訪れたのでしょうか? これを調べるために流入元(このサイトの直前にユーザーが見ていたサイト)を見てみましょう。
「母の日コム」のセッション数流入元(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
流入元はほとんどが外部サイトからという結果になっていました。そこで、この内訳を見てみます。
「母の日コム」流入元の外部サイトランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
ランキングにはポイントサイトが並んでいました。メルマガ登録でポイントがもらえ、かつ景品が当たるキャンペーンにも応募できるというメリットが、ユーザーを集めたと考えられます。
■2位:缶コーヒー「ジョージア」
2位の「缶コーヒー『ジョージア』」は、前月比で約7倍に訪問ユーザー数を伸ばしています。
「ジョージア ジャパン クラフトマン」シリーズのコーヒーを買ってポイントをためると、合計3000名にG-SHOCKが当たる、という太っ腹なキャンペーンが4月下旬から開始していました。応募にはWebサイトにアクセスする必要があり、そのためUU数が増加したものと想像されます。
■3位:選挙ドットコム
3位の「選挙ドットコム」は時事ネタで分かりやすいですね。地方統一選挙の特設ページにアクセスが集中していました。検索エンジンからの流入が非常に多く、4月の統一地方選挙への関心の高まりが見て取れます。若者の政治離れが叫ばれる中、20代のアクセスが14.1%で、人口比よりも多かったのが印象的です。
※日本人の総人口における20代の占める割合は約11%(総務省統計局、平成28年10月1日推計データより)。
「選挙ドットコム」訪問ユーザーの年代別割合(対象デバイスはPC&スマートフォン合算、「eMark+」画面より)
楽天ポイントサイトや東京オリンピックサイトもランクイン
4位以降にも、考察の余地ある急上昇サイトが並んでいます。
まず、5位の「楽天ポイント加盟店サービス」もキャンペーン特需があったようです。これはアプリをダウンロードしてキャンペーンにエントリーすると、ガソリンスタンドで使えるポイントがもらえるというもの。楽天の各サイト内で強力に広告を打ち出した結果、訪問ユーザー数が増加したものと思われます。
7位「フラワーギフト イイハナ・ドットコム」も母の日関連で関心を集めていましたが、1位の「母の日コム」と同様に流入元を詳しく見てみると、トラフィック獲得の構造は類似していました。
以下のグラフは流入元の種類別の割合です。81%とほとんどが外部サイトからの流入ということがわかります。
「イイナナ・ドットコム」の流入元セッション構成比(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
さらにその外部サイトが具体的にどこなのか見てみると、上位5サイトがポイントサイト(提携サイトの利用など様々な条件で換金可能なポイントを稼ぐサイト)であることが分かりました。
「イイナナ・ドットコム」の外部サイトランキング(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
「イイナナ・ドットコム」も各種ポイントサイトとうまく連携して訪問ユーザー数を伸ばしたことが分かります。
10位「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」もタイムリーで興味深いところです。コンテンツランキングを見てみると、チケットやグッズに関する情報配信サービスへの登録およびログインページが最も見られていました。19年5月のチケット申し込み期間に向けて、情報収集を行うユーザーの様子がうかがえます。
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」のコンテンツランキング(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
まとめ
最後に2019年4月の急上昇サイトの、訪問ユーザー数の増加要因をまとめます。
1.時事ネタ
母の日や地方統一選挙、2020年東京オリンピックなど、旬な話題についてのコンテンツがアクセスを集めていました。
2.広告+お得なキャンペーン
今月PV数を増やしたサイトには、懸賞などのお得なキャンペーンを行い、それを様々な方法で宣伝しているサイトが多く含まれました。宣伝方法は多岐にわたり、「母の日コム」や「フラワーギフト イイハナ・ドットコム」のように外部のポイントサイトからユーザーを引き入れているサイトもあれば、「楽天」のように自社で抱える複数の事業の各サイトから引き入れていると思われるところもありました。
今回取り上げたトレンドや他社事例を活用し、キャンペーン施策立案などのマーケティング活動に活かしてみてください。
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ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。