eMark+で訪問ユーザー数急上昇サイトを調査。母の日サイトやジョージアの成功理由は

eMark+で訪問ユーザー数急上昇サイトを調査。母の日サイトやジョージアの成功理由は

2019年4月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? 市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はeMark+を使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトをチェック。4月のトレンドを調査しました。


UU数増加率1位は「日比谷花壇 母の日コム」、2位は「缶コーヒー『ジョージア』」

まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。

デバイスはPCとスマートフォンの合算。ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に即して推計。

時事ネタとお得なキャンペーンでユーザーを獲得

それでは早速、ランキングの1位から3位までを詳しく見ていきましょう。

1位:日比谷花壇 母の日コム

前月と比べてサイトを訪れた人が最も著しく増えていたのは、「日比谷花壇 母の日コム」でした。5月12日の母の日にむけて関心が高まったことは言わずもがな、こちらのサイトでは、メルマガ登録によるプレゼントキャンペーンの告知に特にPVが集中していました。

「母の日コム」のコンテンツランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

「eMark+」のSite Analyzerという機能で、サイト内のコンテンツランキングを見ることができます。それによると、「母の日コム」内ではメルマガ登録キャンペーンページがPV全体の85.9%を占めていることが分かりました。

では、ユーザーはどのような経路でページを訪れたのでしょうか? これを調べるために流入元(このサイトの直前にユーザーが見ていたサイト)を見てみましょう。

「母の日コム」のセッション数流入元(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

流入元はほとんどが外部サイトからという結果になっていました。そこで、この内訳を見てみます。

「母の日コム」流入元の外部サイトランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

ランキングにはポイントサイトが並んでいました。メルマガ登録でポイントがもらえ、かつ景品が当たるキャンペーンにも応募できるというメリットが、ユーザーを集めたと考えられます。

2位:缶コーヒー「ジョージア」

2位の「缶コーヒー『ジョージア』」は、前月比で約7倍に訪問ユーザー数を伸ばしています。

「ジョージア ジャパン クラフトマン」シリーズのコーヒーを買ってポイントをためると、合計3000名にG-SHOCKが当たる、という太っ腹なキャンペーンが4月下旬から開始していました。応募にはWebサイトにアクセスする必要があり、そのためUU数が増加したものと想像されます。

3位:選挙ドットコム

3位の「選挙ドットコム」は時事ネタで分かりやすいですね。地方統一選挙の特設ページにアクセスが集中していました。検索エンジンからの流入が非常に多く、4月の統一地方選挙への関心の高まりが見て取れます。若者の政治離れが叫ばれる中、20代のアクセスが14.1%で、人口比よりも多かったのが印象的です。
※日本人の総人口における20代の占める割合は約11%(総務省統計局、平成28年10月1日推計データより)。

「選挙ドットコム」訪問ユーザーの年代別割合(対象デバイスはPC&スマートフォン合算、「eMark+」画面より)

楽天ポイントサイトや東京オリンピックサイトもランクイン

4位以降にも、考察の余地ある急上昇サイトが並んでいます。

まず、5位の「楽天ポイント加盟店サービス」もキャンペーン特需があったようです。これはアプリをダウンロードしてキャンペーンにエントリーすると、ガソリンスタンドで使えるポイントがもらえるというもの。楽天の各サイト内で強力に広告を打ち出した結果、訪問ユーザー数が増加したものと思われます。

7位「フラワーギフト イイハナ・ドットコム」も母の日関連で関心を集めていましたが、1位の「母の日コム」と同様に流入元を詳しく見てみると、トラフィック獲得の構造は類似していました。

以下のグラフは流入元の種類別の割合です。81%とほとんどが外部サイトからの流入ということがわかります。

「イイナナ・ドットコム」の流入元セッション構成比(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

さらにその外部サイトが具体的にどこなのか見てみると、上位5サイトがポイントサイト(提携サイトの利用など様々な条件で換金可能なポイントを稼ぐサイト)であることが分かりました。

「イイナナ・ドットコム」の外部サイトランキング(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

「イイナナ・ドットコム」も各種ポイントサイトとうまく連携して訪問ユーザー数を伸ばしたことが分かります。

10位「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」もタイムリーで興味深いところです。コンテンツランキングを見てみると、チケットやグッズに関する情報配信サービスへの登録およびログインページが最も見られていました。19年5月のチケット申し込み期間に向けて、情報収集を行うユーザーの様子がうかがえます。

「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」のコンテンツランキング(デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

まとめ

最後に2019年4月の急上昇サイトの、訪問ユーザー数の増加要因をまとめます。

1.時事ネタ
母の日や地方統一選挙、2020年東京オリンピックなど、旬な話題についてのコンテンツがアクセスを集めていました。

2.広告+お得なキャンペーン
今月PV数を増やしたサイトには、懸賞などのお得なキャンペーンを行い、それを様々な方法で宣伝しているサイトが多く含まれました。宣伝方法は多岐にわたり、「母の日コム」や「フラワーギフト イイハナ・ドットコム」のように外部のポイントサイトからユーザーを引き入れているサイトもあれば、「楽天」のように自社で抱える複数の事業の各サイトから引き入れていると思われるところもありました。

今回取り上げたトレンドや他社事例を活用し、キャンペーン施策立案などのマーケティング活動に活かしてみてください。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。



dockpit 無料版の登録はこちら


この記事のライター

ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


【事例あり】リテールメディアとは?メリットや注目される理由を紹介

【事例あり】リテールメディアとは?メリットや注目される理由を紹介

リテールメディアとは、販売データや顧客データを元に広告を配信する仕組みのことです。特にアメリカをはじめとする海外市場では、WalmartやAmazonなどの大手小売業者がリテールメディアの活用により成功を収めており、日本でもその波が広がりつつあります。 そんなリテールメディアですが、「リテールメディアが何を指しているかがわからない」「どのようなメリットがあるかわからない」といった声も多く聞かれます。 そこでこの記事では、リテールメディアの基本的な内容から、市場規模や事例までをわかりやすく解説します。


現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!早くも「夏」の準備開始?「母の日」プレゼント選びも(2024年5月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!早くも「夏」の準備開始?「母の日」プレゼント選びも(2024年5月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第19弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「夏」「母の日」の2テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。Z世代の準備・楽しみ方が気になる「夏」、「母の日」のプレゼント選びの悩み など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。


現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「名探偵コナン」「MBTI診断」はなぜ人気?「GW」の過ごし方は(2024年4月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「名探偵コナン」「MBTI診断」はなぜ人気?「GW」の過ごし方は(2024年4月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第18弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「名探偵コナン」「ゴールデンウィーク」「MBTI診断」の3テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。 登場キャラクターや企業とのタイアップで話題を呼んだ劇場版「名探偵コナン」、Z世代の過ごし方が気になる「ゴールデンウィーク」、Z世代の出会いの場で活用される「MBTI診断」など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。


現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「イマーシブ・フォート東京」「変な家」のプロモーションを考察(2024年3月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「イマーシブ・フォート東京」「変な家」のプロモーションを考察(2024年3月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第17弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「イマーシブ・フォート東京」「変な家」「新生活」の3テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。イマーシブ・フォート東京が刺さるのはどんな人?映画化で話題の「変な家」と、マンガ広告が生み出す購買活動とは?、Z世代のニーズに刺さる家電のサブスクリプションとは?など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。


最新の投稿


SEO対策、企業の40%が重要視も実施率は25%未満【メディアリーチ調査】

SEO対策、企業の40%が重要視も実施率は25%未満【メディアリーチ調査】

株式会社メディアリーチは、企業のマーケティング課題を解明するための定期的な調査として、2024年11月に実施した『経営者・役員対象:SEO対策意識調査 2024・2025年』の結果を公開しました。


Z世代の6割以上は「SNS」が認知のきっかけに!特に「衣類・ファッション」はSNSで比較・検討を行う割合が高い【僕と私と調査】

Z世代の6割以上は「SNS」が認知のきっかけに!特に「衣類・ファッション」はSNSで比較・検討を行う割合が高い【僕と私と調査】

僕と私と株式会社は、全国のZ世代/Y世代/X世代を対象に、商品カテゴリー別のカスタマージャーニーに関する調査を実施し、結果を公開しました。


ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

株式会社オトバンクは、企業のマーケティング担当者を対象に「ポッドキャストに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカの食品業界で新たなトレンドワードとして注目されている「Swicy(スワイシー)」とその流行の背景について取り上げます。


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ