友人との旅行はコスパ重視でSNSやクチコミをチェック ~ 旅行タイプ別の重視点や情報収集媒体をアンケート×ログで調査

友人との旅行はコスパ重視でSNSやクチコミをチェック ~ 旅行タイプ別の重視点や情報収集媒体をアンケート×ログで調査

一人旅、友人との旅行、家族旅行、様々な旅行のタイプによって重視するポイントや情報収集の仕方にはどのような違いがあるのでしょうか。ネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用して、2019年の夏に旅行を検討した消費者のネット行動を分析しました。


調査概要

夏の旅行予定については、全国のVALUESモニター(20歳以上男女)を対象として、2019年6月21日~7月1日にアンケート調査を実施、その回答者9,219人をネット行動分析の対象としました。

アンケート回答をもとに回答者を以下の8つの旅行タイプに分類しました。
・単身旅行(男性)
・単身旅行(女性)
・夫婦のみ旅行         
・子供との旅行(末子未就学児)
・子供との旅行(末子小学生)
・子供との旅行(末子中・高・大学生)
・子供との旅行(末子社会人)
・友人との旅行

※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっています
※サイト分類のカテゴリは、ヴァリューズが独自に定義しています

男性の単身旅行者は30代40代が多い。女性の単身旅行者はどの年代も同じ程度。

まず、8つの旅行タイプ別に回答者の性年代を集計しました【図1】。単身旅行(男性)の回答者は30代、40代の割合が多いようです。 夫婦のみ旅行の人は、50代、60代が多くの割合を占め、子供が大きくなり家を出ていった夫婦やリタイア後の夫婦が、夫婦だけで旅行する姿が想像されます。友人との旅行については、20代と30代が多いことがわかりました。

【図1】性年代

【図1】性年代

女性の単身旅行は欧米が人気。子供と海外に行くのは小学生になってから。

次に、アンケートで今年の夏の旅行先をたずねたところ【図2】、いずれの旅行タイプでも国内が約70%以上を占めていましたが、女性の単身旅行者では海外旅行の割合、とくに欧米が他の旅行タイプと比べて多いことがわかりました。海外旅行先を詳しく見ると欧米の中でも、グアムが女性の単身旅行者には人気なようです。

子供との旅行では、末子が未就学児の場合は国内旅行が80%以上を占め、末子が小学生になると海外旅行(香港など東アジアへの旅行)が増えていました。

【図2】旅行先

【図2】旅行先

予算が最も高いのは小学生の子供との旅行。友人との旅行はコスパ重視。

夏の旅行の予算はどうでしょうか【図3】。
アンケート回答者全体の平均予算は約12万円、最も予算が高いのは子供との旅行(末子小学生)で平均およそ20万円でした。

次に予算が高いのは子供との旅行(末子中・高・大学生)で、子供との家族旅行は予算が高くなる傾向があるようです。要因としては、子供の夏休みの時期が決まっているため、料金が高い時期にしか旅行へ行けないことが考えられます。

一方、予算が最も低いのは友人との旅行で、平均予算はおよそ7万円ほどでした。友人との旅行は20代30代が多いこともあり、かけられるお金も多くないためコストパフォーマンス重視であると思われます。

【図3】 旅行予算

【図3】旅行予算

宿泊日数の平均は2.6泊。女性の単身旅行者で最も宿泊日数が多い。

次に、宿泊日数をみてみましょう【図4】。全体平均は2.6泊でした。2泊以下の割合は、友人との旅行で最も多いことがわかります。予算をかけず、短期間の旅行が、友人との旅行に好まれるのだと思われます。

一方、平均宿泊日数が最も長いのは、予算が最も高い子供との旅行(末子小学生)でなく、単身旅行(女性)で3.2泊でした。旅行先で海外旅行の割合が多く、欧米が人気であったこともあり、平均宿泊日数が長くなっていると考えられます。

【図4】 宿泊日数

【図4】宿泊日数

小学生以下との旅行はアウトドアや体験、中学生以上は宿泊先や観光スポット、温泉が重視される。

どの旅行タイプで、どのようなことが重視されているのかを明らかにするため、アンケートで旅行選びの際の重視点についてたずね、コレスポンデンス分析を行いました【図5】。
(旅行タイプを表す赤色の丸と重視点を表す青色の丸の距離で関係性を表しています)

単身旅行ではゴルフ、テニス等のスポーツやお祭り・イベントが重視されているようです。友人との旅行では自然鑑賞や観光スポットが、夫婦のみ旅行ではグルメや名所・旧跡が関係していそうです。

20代30代が多い友人との旅行では、お金のかかからない自然鑑賞が重視され、50代、60代が多い夫婦のみ旅行では名所・旧跡の観光や、グルメを楽しむ傾向がうかがえます。

子供との旅行では、末子が小学生以下だと海水浴、釣りなどのアウトドアや、手作り、果物狩り等の体験が重視されるようです。末子が中学生以上になると宿泊先や観光スポット、温泉等が重視されています。小学生以下の子供との旅行では、子供が主役なのに対し、中学生以上の子供は大人と同列の扱いとなり旅行に親の意向も入ってくることが想像されます。

【図5】旅行タイプと旅行の重視点のコレスポンデンス分析結果

【図5】旅行タイプと旅行の重視点のコレスポンデンス分析結果

旅行の情報取集媒体はネットが約7割を占める。友人との旅行をする人はSNS、ブログに加え、リアルな口コミといった客観的な情報を集める。

旅行の情報収集媒体に違いはあるのでしょうか。アンケートで情報収集媒体をたずねたところ【図6】、どの旅行タイプでもインターネットの割合が65%以上であり、デジタルマーケティングの重要性がわかります。

友人との旅行では口コミの割合が34%あり、重要な情報源になっていると思われます。また、子供との旅行で店頭の割合がわずかに多い傾向が見られました。子供との旅行でわからないことを店舗で相談しながら情報収集をしていると考えられます。

【図6】旅行の情報収集媒体(%)

【図6】旅行の情報収集媒体(%)

では、旅行の情報を収集する際、インターネットではどのようなサイトが見られているのでしょうか【図7】。

いずれの旅行タイプでも、旅行会社のサイト、宿泊予約サイト・旅行情報サイトが多くの割合を占めています。一方、単身旅行(男性)は、YouTubeの動画やブログの割合がほかの旅行タイプと比べて多く、実際に行った人の感想や現地の映像を通して情報収集する傾向があるようです。

また、友人との旅行では、SNSサイトの書き込み内容、比較サイト、ブログの割合が比較的多く、口コミの割合が多かったことからも、リアルとネットで客観的な意見を集めて旅行の計画を立てているようです。

【図7】旅行の情報収集媒体 インターネットの内訳(%)

旅行を予約・検討している人が特徴的に閲覧している旅行サイトは?

単身旅行(女性) ─「全日本空輸(ANA)」が1位。2位に「楽天トラベル」、3位に「じゃらんnet」

次に、アンケート回答者全体との比較により、 旅行サイトランキングを旅行タイプ別で作成しました(サイトへの接触率の差が大きい順に集計しています)。

中でも、特徴がよく出ていた、単身旅行(女性)と友人との旅行について結果を紹介します。

単身旅行(女性)者がよく閲覧するサイトをみてみると【図8】、1位「全日本空輸(ANA)」、2位「楽天トラベル」となっていました。上位には世界中の格安航空券を比較できる「skyscanner」をはじめ、海外ホテルも予約できる「エクスペディア」、バケーションレンタルサービス世界最大手の「Airbnb」がランクインしており、海外旅行志向が高いことがうかがえます。

【図8】単身旅行者(女性)がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

【図8】単身旅行者(女性)がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

アンケート回答者全体と比較して、単身旅行(女性)の接触率が高いサイトランキング
※PCからのアクセスを集計

友人との旅行─ 「agoda」が1位。レジャーの予約サイト「asoview!」やお出かけプランの紹介サイト「Holiday」がランクイン

友人と旅行すると回答した人が、よく閲覧するサイトの1位はアジアを中心としたオンラインホテル予約サイト「agoda」、2位に旅行クチコミサイト「フォートラベル」が続きました【図9】。

上位にはおでかけプランを個人が作成・投稿できる「Holiday」や、遊び・レジャーの予約サイト「asoview!」がランクインしており、クチコミを参考にしながら予算を抑えつつ旅行を楽しみたいのだと思われます。また、「Booking.com」、「じゃらんnet」、「Travel Book」など宿泊予約サイトも上位に入っています。

【図9】友人との旅行の回答者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

【図9】友人との旅行の回答者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

アンケート回答者全体と比較して、友人との旅行の回答者の接触率が高いサイトランキング
※PCからのアクセスを集計

今回の調査結果から、旅行タイプによって性年代の属性だけでなく、旅行に関する重視点も様々に変化していることがわかりました。また、情報収集媒体もネットが主でありながらも、実際に見ているサイトは異なっていることがわかりました。

旅行客の獲得には、どの旅行タイプの人を狙うのか、どんなところで情報収集しているのかをしっかり押さえ、旅行タイプ別のニーズに合わせた訴求を行っていくことが重要だと考えられます。

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