ソーシャルリスニングとは?活用方法とメリット・デメリット

ソーシャルリスニングとは?活用方法とメリット・デメリット

ソーシャルリスニングはTwitter・Instagram・Facebookなどのソーシャルメディア(SNS)を使って消費者の声を収集・分析してマーケティングに活かす方法です。消費者視点でのマーケティング戦略の立案や、自社が気づいていなかった指摘を得られるメリットがあります。


調査にSNSを活用する「ソーシャルリスニング」

ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディアから消費者の声を収集し、調査・分析してマーケティングに活かす調査方法です。

既存のアンケート調査の場合、回答内容は質問の範囲に限られてしまう傾向があるのに対し、ソーシャルメディアでは消費者が自由に意見や感想を発信しているので、会社・ブランド・商品に対する消費者のリアルな評価を集められるのが特徴です。

利用シーンとしては会社やブランドのイメージ、商品に対するニーズ、プロモーションの効果確認などに使われています。

ソーシャルリスニングのメリット・デメリット

メリットは消費者目線のマーケティングが可能になることです。TwitterやInstagramは匿名性が高く、消費者の正直な意見を集められます。またネガティブな意見が多い場合、事態が炎上に至る前に収められる可能性が出てきます。

デメリットは情報量が膨大で必要な情報の抽出が難しいこと、匿名性の裏返しとしてプロフィールがわからず精査が難しいことなどが挙げられます。例えばアンケート調査では当たり前の年齢や性別などの基本的な属性も容易には特定できません。

ソーシャルリスニングの活用事例

ソーシャルリスニングは大手企業でも様々な活用事例が出ています。

明星食品のブログ分析事例

ロングセラー商品を刷新する際は、変化に対する既存顧客の反応が気になります。明星食品では「チャルメラ」リニューアルにブログ分析でロイヤルユーザーの感想をチェックしました。

以前は担当者が手作業で口コミを探していましたが、SNS分析ツールの「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」を活用し効率化しています。

明星食品株式会社

https://service.hottolink.co.jp/case/detail02/

「チャルメラ」刷新時、ブログ分析でロイヤルユーザーの満足を確認しました

無印良品のInstagram活用事例

生活雑貨を扱う無印良品では、Instagramの「#mujipen」「#mujipens」という独自ハッシュタグで海外の無印良品ファンが交流しているのに気づきました。品揃え豊富で品質が高い無印良品のペンを使ったイラストが多数投稿されていたのです。

そこで公式に「#mujipenart」というハッシュタグでアートコンテストを開催したところ、およそ4万件もの投稿が集まったと担当者は語っています。ユーザー発のキャンペーンと言えるでしょう。

SNSを活用したトレンド分析の例

ソーシャルリスニングの強みは、より短期のトレンドを時系列の変化込みで捉えられる点にあります。

ferretでは2017年の夏から話題となった「#ナイトプール」をキーワードにTwitterとInstagramの投稿を分析しました。その結果、3年で投稿数が60倍になるなど急激な時系列変化を観測できました。

トレンドの初期を捉えられれば、拡散力が強いインフルエンサーを特定してウォッチしたりマーケティングに活用することも可能でしょう。

2017年話題の#ナイトプールで学ぶ!ソーシャルリスニングでできること

https://ferret-plus.com/8328

*あなたの会社はソーシャルメディアをビジネスに活用できていますか?* このような質問をされた時、自信を持って「できている」と答えられる企業は少ないのではないでしょうか。 今回は日本国内で特に利用者数が多いTwitter(国内月間アクティブユーザー数 4,000万人 2016年9月時点)と、近年若い女性を中心に急激に利用者数が増えているインスタグラム(国内月間アクティブユーザー数1,600万人 2016年12月時点)の2つのソーシャルメディアを対象に、ソーシャルリスニングの活用方法・使い方を説明します。

ソーシャルリスニングに使えるツール

情報量が多いSNSからのデータ収集・分析にはツールを使うのが一般的です。ツールによって対応SNS、得意なこと、制約事項が変わってきます。

見える化エンジン

https://www.pa-consul.co.jp/mieruka/scene/

見える化エンジンは、顧客の声分析からSNS分析まで、あらゆるテキスト情報を“見える化”するテキストマイニングツールです。

ソーシャルメディア分析では、様々なソーシャルメディア(Twitter、Facebook、Instagram、ブログ等)の投稿や発言内容から、任意の検索ワードを含むソーシャルデータを瞬時に収集。

テキストマイニングにより膨大な量のつぶやきから定性的な傾向を導き出し、直感的でわかりやすい分析結果をアウトプットすることができます。ソーシャルリスニングから企業の商品・サービスの反響を把握したり、プロモーション施策の効果検証に活用できます。

クチコミ@係長

https://service.hottolink.co.jp/service/kakaricho/

国内最大級のデータ量を保持し、大手企業を含む1000社に導入されている口コミ分析ツールが「クチコミ@係長」です。分析SNSはTwitter、国内ブログ、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)です。特に2ちゃんねるは独占提供となっています。

同時に10キーワードを最大13ヶ月間7秒以内に口コミ検索&分析が可能です。

buffer

https://buffer.com/

bufferはInstagram、Facebook、Twitter、Pinterest、LinkedInに対応したSNS投稿・分析ツールです。投稿・返信・分析をダッシュボードから管理でき、自社アカウントのSNS運用に便利です。

料金プランによってSNSアカウント数や予約投稿数、ユーザー数に制限があります。無料プランで小規模に試せるのも魅力でしょう。海外発のツールでデフォルトでは英語表記となっています。

Social Insight

https://social.userlocal.jp/

Social Insight(ソーシャル インサイト)はFacebook、Instagram、Twitter、YouTubeに対応し、口コミ分析、SNS効果測定、レポート作成、投稿配信をサポートするツールです。日本発で対応SNSが多く、炎上対策機能も付いています。

国内美術館では最大規模となる各種SNSの合計フォロワー34万人を持つ「森美術館」もSNS運用に活用しています。

ソーシャルドッグ

https://social-dog.net/

ソーシャルドッグはTwitterアカウント運用を管理するツールでフォロワー管理、分析、投稿予約、自動化機能があります。チームでアカウントを管理したり、登録キーワードで検索するのに便利です。

本サイト「マナミナ」のTwitterアカウント「マナミナ編集部」の中の人は、ソーシャルドッグを活用してSNS上の反応を見ています。

まとめ

TwitterやInstagramなどのSNSは日常に定着し、企業のマーケティングでも無視できない存在になっています。ソーシャルメディアでは消費者の生の声を収集できるメリットがあり、ブランドのイメージ調査、消費者ニーズの収集、プロモーション評価に活用できます。主要SNSに対応したツールも各種出揃っていて、多くの企業が導入済みです。

ソーシャルリスニングでできることを把握し、マーケティング上の目的に合わせて活用するとよいでしょう。

関連する記事

競合分析ができるツールeMark+のTarget Focusでターゲットユーザーがどんなサイトをよく見ているかを知る方法

https://manamina.valuesccg.com/articles/545

「eMark+(イーマークプラス)」のターゲットユーザー分析メニュー「Target Focus」を使うと、ターゲットユーザーがどんなサイトやコンテンツを見ているか簡単にチェックできます。

ユーザーの購買検討プロセスを理解するデータ分析手法とは。アナリストの灰谷さんに聞いてみた

https://manamina.valuesccg.com/articles/412

ヴァリューズのデータアナリスト・灰谷さんはどのようにデータを扱い、ユーザーインサイトを紐解いているのでしょうか。その調査手法を事例とともに語っていただきました。

なぜあのコスメはSNSでバズったのか?化粧品好きマーケコンサルが検索データから理由を探ります

https://manamina.valuesccg.com/articles/797

化粧品のトレンドについて調査する新企画。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントである私、伊東茉冬が気になる話題について調査していきます。初回のテーマは「バズコスメ」。SNSでバズることで人気が広がるような化粧品に関して、バズの実態や人々に受け入れられた理由をデータから考察しました。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


SNS 市場調査ノウハウ

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


国内外で受賞!味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」における生活者との共創ポイント

国内外で受賞!味の素冷凍食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」における生活者との共創ポイント

味の素冷凍食品株式会社の「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトが、日本マーケティング大賞 奨励賞の他、世界有数のPRアワードである「PR Awards Asia-Pacific 2024」で3部門のゴールドを受賞しました。「冷凍ギョーザがフライパンに張り付いた」という一件のSNS投稿からはじまったという、このプロジェクト。立ち上げの背景や、取り組むうえで大事にされていたことを、同社 戦略コミュニケーション部 PRグループ長の勝村敬太氏に伺いました。


「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)


【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

アプローチしたい顧客セグメントに到達するためには、コミュニケーション媒体として適切なSNSを選定し活用することが重要です。数多くの新興SNSも登場する中、どんなユーザーがどのSNSを選び、どのような購買活動をしているのか。今回は4大SNSとも言える、Facebook、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)それぞれのヘビーユーザーの属性、購買動機や興味関心などのサイコグラフィック、メディアの利用状況や消費行動などを調査し、ユーザープロファイルを作成しました。


Social media usage among seniors! Mainly YouTube, with significant growth in TikTok usage

Social media usage among seniors! Mainly YouTube, with significant growth in TikTok usage

There’s often a lot of focus on social media use among young people. But we also want to look at trends among “digital seniors.” We will investigate seniors’ usage of Facebook, Instagram, X (formerly Twitter), YouTube, and TikTok, analyzing usage characteristics and comparing them to usage among those in their 20s.


最新の投稿


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ