OYO LIFEとは?
「OYO LIFE」は、インド発のホテルベンチャーOYO(オヨ)とヤフー株式会社の合弁事業として、2019年3月から開始した賃貸サービスです。OYO LIFEでは、物件探しから入居契約、家賃の支払い、退去手続きまでをスマホ1つで行い、まるでホテルをネット予約するように部屋を借りることができます。「旅するように暮らす」がコンセプトで、よくある2年縛りの入居契約や敷金・礼金の支払いは無く、旅するように自分の好きな物件に入居できるのが特徴です。また、すべての部屋にWiFiや家具・家電がついており、契約した翌日からすぐに暮らしを始められる点も画期的です。
ユーザー数はサービス開始半年で約3倍に成長
まずはOYO LIFEのWebサイトへ2019年3月~7月までにスマートフォンでアクセスしたユーザー数の推移を見てみましょう【図1】。
サービスが開始した3月でおよそ3万人のユーザーを集め、4月にやや減少しますが、5月以降は上昇傾向で、特に7月には3月と比べ3倍以上のユーザー数となっています。
【図1】OYO LIFEのユーザー数
集客では、SNS拡散を狙ったキャンペーンがヒット
次に、流入元を見てユーザー数増加の要因を探っていきましょう。
2019年3月~7月までのOYO LIFEサイトの流入元【図2】を調査すると、外部サイトから多くのユーザーを獲得していることがうかがえます。外部サイトのランキングをみてみると、Yahoo!JAPANやYahoo!ニュース、TwitterやYoutubeが上位に入っていました。
【図2】OYO LIFEサイトの流入元
OYOLIFEは3月と6月~7月にかけて、キャンペーンを実施しており、ユーザー数の増加と関係していると思われます。3月のキャンペーンは「#いきなり東京0円ライフ」【図3】という、六本木や池袋といった都心の物件に1か月無料で住む権利が抽選でもらえるというものでした。抽選で当たっても住むことができない人はTwitterなどでシェアすることで友人に権利を譲渡することができるため、SNSからの流入が上位にランクインしていると思われます。
【図3】いきなり東京0円ライフ
6月~7月のキャンペーンは、「#最大2か月分賃料あげちゃうキャンペーン」【図4】という、OYOLIFEで12か月以上部屋を契約すると2か月分の賃料がタダになるというものでした。当初は6月30日まででしたが、人気のため7月まで延長されました。
【図4】最大2カ月分賃料あげちゃうキャンペーン
認知率は1.2%、利用率は0.1%とポテンシャルが感じられる結果に
次にOYO LIFEの認知率と、OYO LIFEで実際に物件検索を行ったかを全国のVALUESモニターを対象として2019年8月20日~9月3日に実施したアンケートで調査しました。(アンケート調査では性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計を行なっています。)
認知率【図5】は回収サンプル全体では1.2%でした。女性よりも男性で認知率が高い傾向で、特に男性30代の認知率は2.8%と高い結果でした。男性は20代~40代、女性は20代によく知られたサービスであるようです。Twitter等も活用してキャンペーンを行っていることからも20代の若者によく知られているのは納得感があります。
【図5】認知率
一方、実際にOYO LIFEで物件の検索を行った率【図6】を見てみると回収サンプル全体の0.1%となりました。全体では1.2%が認知していることから、「OYO LIFEを知っているけれど、使ったことはない」という層が多いことが推測されます。2.8%の認知があった男性30代でも検索を行った割合は0.5%にとどまりました。
また、認知率では男性20代よりも男性40代の方が高かったのに対し、検索を行った割合は、男性20代の方が高いことからも、特に男性30代~40代で「知っているけれど、使ったことはない」層が多いことが考えられます。
【図6】利用率(物件検索を行った割合)
OYO LIFEは20代~40代に人気
では、実際にOYO LIFEのサイトにアクセスした人の属性はどうでしょうか。まずは年代を見てみましょう【図7】。20代~40代で約4分の3を占めており、若い人のアクセスが多いようです。
【図7】年代
職業を見ると【図8】、最も多いのは会社員(一般社員)ですが、次に多いのが学生やパート・アルバイトとなっていました。スマートフォンで手軽に契約ができることから、20代の学生やパート、アルバイトの人が都心での家具付きの部屋を求めてサイトを閲覧していると思われます。
【図8】職業
エアビーなどの民泊や転職を検討している流れでOYO LIFEを見ている?
最後に、実際にOYO LIFEのサイトにアクセスする前後30分でどのようなメディアが見られているのかを集計してみました。まずは接触前30分に訪問したサイトランキングを見てみましょう【図9】。
会社のビジョンを中心に就職・転職求人情報を紹介するWantedlyや、旅行予約サイトである楽天トラベル、民泊予約サイトAirbnbがランクインしていました。就職や転職を検討している人がWantedlyを通じてOYO LIFEの運営会社のことを知り、企業研究の一環でOYO LIFEに流入したことや、転職先探しをしている中で勤務先に近い物件を探していることが考えられます。また、長期の旅行・出張などでの宿泊先を探している人が民泊も検討する中、OYO LIFEに流入したケースもあると思われます。
【図9】OYO LIFEサイト接触前30分に訪問したサイトランキング
接触後30分に訪問したサイトランキングはどうでしょうか【図10】。
転職サイトのDODAやenがランクインしています。接触前30分のサイト閲覧に引き続き、就職先・転職先探しを続けていることが考えられます。また、接触前30分のサイトランキングには無かった、HOME’SやSUUMO、アットホームといったサイトがランクインしていることからOYO LIFEの閲覧を機に物件探しを始めるケースがあると考えられます。OYO LIFEの物件の価格は水道・光熱費なども含まれており、一般的な賃貸サービスよりも高めに設定されていることが背景としてあるのではないでしょうか。
【図10】OYO LIFEサイト接触後30分に訪問したサイトランキング
まとめ
今回の調査結果から、サブスクリプション型の新賃貸サービス「OYO LIFE」は、ユーザー数を着実に伸ばしていて、特にTwitterなどのSNSを利用したキャンペーンを実施し、20代~40代の会社員や学生、パート・アルバイトの人を集客していることが分かりました。OYO LIFEの閲覧前後のサイトランキングからは転職や就職を検討している人、旅行を検討している人が閲覧していることが考えられました。
一方、サービス認知率は1.2%、利用率(実際に物件の検索を行った割合)は0.1%にとどまり、認知の面でも、認知から利用を促す面でもポテンシャルがあることがうかがえます。OYO LIFEは手軽に家具家電付きの部屋を借りたり解約したりできるのが魅力なので、転勤族、ミニマリスト、海外からの転入など、今の賃貸形態に負がある様々な人に支持されていくのではないでしょうか。
分析で使用した「eMark+」は調べたいサイトのURLを入力するだけでアクセス数やユーザー属性を簡単に把握することができます。無料版もありますので、今後のOYO LIFEの動向が気になる方はぜひ使ってみてください。
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