オリンピック後の日本経済をアテネ・ロンドン五輪から考察しました【2020年トレンド予測】

オリンピック後の日本経済をアテネ・ロンドン五輪から考察しました【2020年トレンド予測】

2020年に話題になりそうなトピックを調査・紹介する連載企画「2020年トレンド予測」。今回のテーマは「ポストオリンピックの経済をロンドン五輪から予測」です。大会後の日本経済について、サイト分析ツール「eMark+」や過去の開催国の経済を参考に予測します。


東京オリパラの公式HPユーザー数推移は

2020年に話題になりそうなトピックを調査・紹介する連載企画「2020年トレンド予測」。2020年の大きな出来事としては、間違いなく東京オリンピック・パラリンピックがあるでしょう。今回のテーマはポストオリンピックの経済の行方です。経済界の誰もが気になるだろう本テーマについて、ロンドンオリンピック後の経済と比較しつつ予測します。

まずは、東京オリンピック・パラリンピックの公式HPユーザー数の推移を、サイト分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使って調査しました。

集計期間:2018年12月~2019年12月、デバイス:PC、スマートフォン

公式サイトのユーザー数を見てみると、19年5月に大幅にユーザーが増加していることが分かりました。これは5月9日に開始した東京オリンピックの観戦チケットの抽選受付が開始したことが影響していると考えられます。

また、8月と11月にもチケット抽選の関係でユーザー数が上昇していますが、それ以外の月でも100万人ほどがサイトに訪れていることが分かります。公式サイトには観戦チケットや種目等に関する情報に限らず、運営方針や会場計画なども公開されていますから、それらの周辺情報も含め、国民が注目している表れだと言えるでしょう。

開催国のオリンピック後の経済をレビュー

開催まであと約半年となり、一層盛り上がる東京オリンピック・パラリンピック。日本選手の活躍や観戦への期待はもちろん、日本経済へのオリンピック効果もまた、国民が注目するテーマです。

東京での開催が決定して以降、既に外国人観光客の増加などの経済効果をもたらしていると言われていますが、大会後はどのような行く末を迎えるのか。ここでは、過去の夏季オリンピックの例としてアテネ五輪(2004年)ロンドン五輪(2012年)を振り返り、経済との関わりを考察します。

次の図に、開催各国のオリンピック前後の実質GDP成長率をまとめました。

オリンピック開催前後の実質GDPを比較すると、アテネではオリンピック後、大きくGDPが落ち込んだことが見て取れました。一方、ロンドンでは大きな波はなく、2年後には若干向上していることが分かります。

アテネが落ち込んだ理由は何だったのか。ひとつには、不動産投資の激減が要因だと言われています。五輪需要の建設ラッシュが終了し、その反動から大きく景気が減速。もうひとつの柱として経済効果が期待されていたインバウンド需要に関しては、五輪終了後も増加したと言われていますが、建設投資の反動の影響が強く、結果的に五輪不況に陥ってしまったと考えられています。

一方、ロンドンはオリンピック開催のレガシーが活かされ、五輪特需の反動は起こりませんでした。その成功要因を、次に見ていきましょう。

イースト・ロンドン再開発が成功のカギ

ロンドンオリンピックは、古くから港湾建設に携わる日雇い労働者や外国人労働者が集まる街「イースト・ロンドン」で開催されました。

千葉銀行「EUインサイト 2019年2月号 2012年ロンドンオリンピックとその後の都市開発」より引用

イースト・ロンドンは、元々英国を支える工業エリアとして栄えた地域でしたが、海運業の国際競争などから次第に機能が低下し、1980 年代には衰退したエリアとなっていました。ロンドン開発局は、イースト・ロンドンの再開発を推進するためにオリンピックを活用する方針を策定。この再開発が、大きな経済効果をもたらしたと言われています。

例えば、メイン会場のオリンピック・パークは、大会終了後スポーツ施設や住宅などに整備され、2014年4月に「クイーンエリザベス・オリンピックパーク」が誕生。今では、年間800万人が訪れるイースト・ロンドンのランドマークになっています。

また、選手村は住宅として再生させることを想定して建設されており、大会終了後は「イーストビレッジ(EastVillage)」と呼ばれる住宅地に生まれ変わりました。住宅の約半数は低中所得者に向けて供給し、2018 年時点で約6,000人が居住しているといいます。

ロンドンオリンピックでは、オリンピック特需の建設・整備を行うだけでなく、"イースト・ロンドンを再生させる"という目的のもと、大会後にどう活かすのかを想定・計画していたことが成功要因だったと考えられるでしょう。

晴海フラッグとロンドンの類似性とは

実は東京オリンピックはロンドンオリンピックの事例をベンチマークしており、建設物の活用や交通網などから、類似性が指摘できます。

例えば、イースト・ビレッジの住宅供給のように、東京オリンピック跡地の物件が安く売り出されると予測されています。いわゆる「東京版イーストビレッジ」が、晴海にできる「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」です。

選手村がリフォームされる分譲・賃貸マンションHARUMI FLAGは、再開発物件として価格が大きな話題となっています。近隣の勝どき、月島エリアの新築マンションの平均坪単価が300万円以上(物件によっては400万円台)のところ、HARUMI FLAGの販売価格は坪単価300万円前後を予定。間取りによっては坪単価242万円という、近隣の相場よりもかなり低い価格で販売されると予想されています(参考:『HARUMI FLAG(晴海フラッグ) 予定価格と間取り モデルルーム訪問』)。

HARUMI FLAG完成予想図CG

最寄り駅(勝どき駅)から徒歩20分という交通アクセスの不便さを指摘する声もありますが、マンションの敷地内にはショッピングセンターや教育施設なども揃い、敷地内で生活が整うコンパクトシティ化が進む計画。さらに、レインボーブリッジなど湾岸部が見渡せる眺望の良さ、そしてオリンピックレガシー。物件の資産価値が上がる可能性は十分に秘めているでしょう。

また、懸念されている交通網においては、都心部とオリンピック会場を結ぶBRT(高速バスシステム)が整備される計画で、このBRTを利用すれば、晴海フラッグから都心まで高速バスで通勤できます。実はイースト・ロンドンでも、会場最寄のストラットフォード駅からロンドン中心部までの鉄道料金引き下げなどの交通整備が実施されており、ここにも類似性が表れています。

このほかにも東京オリンピックに向けた交通整備が進行しており、JR山手線「高輪ゲートウェイ駅」や東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」の開業を今春予定。さらに、渋谷や新宿、大手町でも商業施設やホテルの建設が活発に行われており、湾岸部に限らず東京全体で再開発が進んでいます。これらの建設投資は大会後も継続されていく計画となっていることから、オリンピック後の日本経済に大きな反動はなさそうだと言えるのではないでしょうか。

東京オリンピック・パラリンピック開催まであと半年。大会の盛り上がりはもちろん、オリンピック効果で経済が活性化することも期待したいですね。

分析概要

ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2018年12月~2019年12月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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