Tableauでのデータ可視化って何がすごいの? 新卒社員向けオンライン研修に潜入しました

Tableauでのデータ可視化って何がすごいの? 新卒社員向けオンライン研修に潜入しました

マナミナを運営するヴァリューズにも、この4月から新入社員が入ってきました。新型コロナの感染拡大予防のためテレワークで研修を続けています。そんな中、ヴァリューズも導入支援をしているBIツール「Tableau」を学ぶ研修がウェビナーで行われました。そこで編集部が新卒研修のウェビナーに潜入。そもそもBIとは何か、Tableauで何ができるのかを学びました。


Tableau研修ウェビナーに潜入

こんにちは、マナミナ編集部の弥富です。4月の新年度スタート後まもなく緊急事態宣言が発令され、既に1ヶ月以上が過ぎました。新型コロナの社会への影響は続き、現在も在宅で仕事を行っている方も多いかもしれません。

そんな中、マナミナを運営する株式会社ヴァリューズにもこの4月から新卒社員が入社しました。社会人としてのスタートを切って早々テレワークで研修を受けるという、前例のない事態を経験しています。慣れない中でかなり大変そうです。

このウェビナーによる研修の中で、ヴァリューズも導入支援をしているBIツール「Tableau(タブロー)」の基礎講座が行われると耳にしました。Tableauはデータ分析のための可視化ツールとして多くの企業で活用されていて、ヴァリューズ社内の実務でも頻繁に使用されています。しかし筆者はもともとコンテンツ制作系の企業出身で、Tableauの名前は多くの場面で聞くものの、どんなツールかを体系的に学んだことはありませんでした。

そこで今回よい機会なので、この新卒社員向けのTableau研修ウェビナーに潜入することに。そもそもBIとはどういったものであり、どんなメリットがあるのか。またBIツール「Tableau」とは何か、一体どんなことができるのかについて学びました。

そもそもBIとは何?

Tableauはセルフサービス型BIツールと言われるのですが、その前にそもそもBIって何? という話から研修はスタートしました。

BI(Business Intelligence)は情報活用と訳され、企業内外に存在する膨大なデータを分析して、経営の意思決定に活用されるITシステムや方法論、管理手法などを総称するコンセプトのこと。

研修の講師を務める若林広樹さんによれば、ビジネスにおいて現在におけるBIの考え方が使われ始めたのは1990年代ごろだそう。どのような文脈で提唱されたのでしょうか。

例えば営業の成績が悪化しているという課題があったとします。そんなとき、BIの考え方がない時代は主に次のような対処法を取っていました。

「おそらく原因は営業マンの活動量の減少だと思われる。だから営業マンにもっと足を稼げと発破をかけよう。」

ここでのポイントは、経験則や勘と言った「客観的な事実に基づかないもの」を根拠にした経営の意思決定が一般的だったということです。もちろん長年の経験に基づく判断は正しい場合もありますが、再現性のない非合理的な決断となっている場合もあったでしょう。

そこで、経営判断の精度を高めるためにデータを活用する流れが生まれ、20世紀の終わり頃には日本企業でもBIが着目され始めました。当時は企業においてIT化が進み、一人一台のパソコン支給や業務のシステム化が当たり前になってきたタイミング。こうした時代背景もあり、企業におけるデジタル活用が進んでいきました。

BIのメリットを示すスライド。当日は参加者がオンラインでウェビナーを受けた

若林さんはBIによるメリットを簡潔に次の3つにまとめています。

1.事実をベースにすることで勘や思い込みを排除できる

「例えば『2020年3月〜4月に売上が大幅に下がった理由は何か』という問いに対して、『おそらくコロナウイルスの影響だ』と考えられますよね。でも、その仮説に対してきちんと裏付けがなければ、証明することはできません。だからデータという事実を基にして、勘違いを排除しようとするのが重要です。」

2.大量のデータに埋もれた事実や知識を把握できる

「私は野球が好きなのですが、例えば2013年のセ・リーグのホームラン数の2位は誰か分かる人はいますか? かなりのコアファンじゃないと分からないですよね。こんなときデータベースがあれば、埋もれていた事実を把握することができます。(ちなみに2位は元DeNAのトニ・ブランコ、1位は元ヤクルトのバレンティンで60本です。)」

3.数字や知識を基に改善のサイクルを回すことができる

「実際うまくデータを活用できているかは分からないですが、例えば日々の新型コロナ感染者数を見て対策を決める、などのイメージです。データを溜め込み、その結果から次の打ち手を決めていける、という点がBIによるデータ活用のメリットですね。」

Tableauによるデータ可視化の実演

ここまでの話から、BIとは「データ分析を経営の意思決定に活用するコンセプトのこと」だと分かりました。ここからは本題のTableauの説明に入ります。

Tableauは、ガートナーの格付けで7年連続「リーダー」の称号を獲得した、BIツールを主導する製品。その特徴は「セルフサービス型の」BIツールであること、と若林さんは説明します。

セルフサービス型とは、システム部門やデータサイエンティストなど専門知識がある人でなくても使える、という意味。例えば筆者のようにデータ分析の知識が深くなくても、データ活用による意思決定ができるツールだということでしょう。

では実際、Tableauを使ってどんなことができるのでしょうか。若林さんがデモンストレーションで示してくれました。

デモンストレーションで使われたデータはTableauをインストールすると入っている、「サンプル – スーパーストア」です。まずはどんなデータか見てみましょう。

Tableauをインストールすると入っているサンプルデータ

POSデータ(Point of Salesデータの略。主に小売店のレジデータなど)がイメージされたエクセル形式のデータセットとなっています。中身としては、オーダー日や顧客名、買った製品やそのカテゴリなど。「いつ・誰が・何を・どれだけ買ったのか」という情報が入っています。

このファイルをTableauで読み込むことで、簡単にデータをグラフ化してくれます。例えば、年ごとの売上を表したのが次の様子です。

Tableauにエクセルデータを取り込むと、上の画像の左カラムにあるように、列名を自動的に判別してくれます。そして画像のように「オーダー日」と「売上」をドラッグ&ドロップするだけで、年ごとの売上が集計されてグラフ化されました。

データ可視化の作業が手軽にできることで、経営者やマーケターは「データをじっくり見て考えること」に時間を使えるようになります。この点がTableau活用でのもっとも重要なポイントでしょう。

例えば、上の画像ではオーダー日の粒度が粗いので、四半期ごとの売上の変化を追ってみます。

Tableau上で過去4年間の売上推移を四半期ごとに見てみると、グラフの波形が2019年だけ違うことが分かるでしょう。過去3年はQ2に売上の山がありますが、2019年のみQ2にピークがありません。

その理由を探れば、ビジネスの意思決定の上で重要な仮説が導けるかもしれません。そこで例えば、カテゴリごとに売上の違いがないか確かめてみます。

上の画像はフィルター(赤枠内)でQ2のみに絞り、直近2年のカテゴリごとの売上推移をグラフ化したものです。すると、棒グラフの一番左「家具」が2019年に売上減少していたことが分かりました。

実際のデータ分析では、さらにここから「地域ごとに違いがあったのではないか」とか「在庫がなかったのではないか」などと当たりをつけながら原因を深掘りしていきます。

このように、エクセルだと時間がかかる込み入った分析を、Tableauでは画面上で簡単に行うことができます。BIツール・Tableauによるデータ可視化の威力は、分析によるビジネス課題の深掘りや、施策立案のための仮説検証をスピーディーに高精度で行えることにあるでしょう。

Tableauデータ分析の「OODAサイクル」とは

最後にTableau活用のメリットをまとめます。

まずは上で見たような、データ可視化が簡単にできる点。エクセルだと集計結果が人力で、かつ属人的なものとなっていました。Tableauでデータを可視化することで、誰でも・手軽にデータから意思決定ができるようになります。

もうひとつは設計上の強みです。従来のBIツール導入の際は、最初にシステム設計が必要でした。自社でデータ活用を進めるためにはどんな画面が必要で、どんな機能を盛り込むかの要件を定めるのが一般的です。

すると、システム部門との連携が必要で時間がかかります。また、そもそもデータ活用でやりたいことが決まっていない場合も多く、使えないBIツールができあがってしまうことも多くありました。

しかしTableauの場合は、データの観察(Observe)を起点とするOODA(ウーダ)サイクルによりデータ活用を始めることができます。

OODA(ウーダ)とは、Observe(観察)→Orient(方向性を決定)→Decide(意思決定)→Action(行動)を問題解決できるまで迅速に繰り返すビジネス戦略理論のこと。PDCAサイクルによるBIツール導入の場合は最初のPlanでつまずくと大きな時間のロスになってしまいますが、観察からライトに始められる点がOODAサイクルの強みです。

現状のデータをまずは分析してみて効果を実感し、そこからだんだんと大きく広げていくというステップ。データ活用を1から始めるような企業にとっても取り組みやすいでしょう。

まとめると、BIツール導入までの速さと、データ可視化によるビジネス上の意思決定までの速さがTableauの大きな魅力と言えます。

今回の記事内容はここまでです。デモンストレーションによるTableau上のデータ分析のイメージがつかめましたし、これならグラフを見て考える作業が簡単にできそうだなと思いました。そして、ウェビナーの後半ではより詳細なTableauの機能を学びます。その内容をまとめた記事は以下リンクからご覧ください。

TableauとExcelの違いとは?基本用語からTableauの機能を理解する

https://manamina.valuesccg.com/articles/873

編集部が前回に引き続きウェビナーに潜入。Tableauの基本的な用語を学びました。

ヴァリューズによるTableau導入支援

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この記事のライター

マナミナ編集部でデスクを担当しています。新卒でメディア系企業に入社後、フリーランスの編集者・ライターとして独立。マナミナでは主にデータを活用した取り組み事例の取材記事を執筆しています。

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