オーガニックってどうしていいの?
オーガニックという言葉をよく耳にするようになりましたが、オーガニックがどうして良いと言われているのでしょうか?オーガニックコスメに限定して言えば、天然由来成分にこだわり、石油系合成化学成分が配合されていないという点が魅力的です。香りも香料を使わず、植物由来のハーブやアロマが中心になっているので、使っているとナチュラルな世界観に浸れて自然に触れているように思えるところも人気。また、肌への優しさを追求するだけでなく、環境にも優しいことをコンセプトとしているブランドも多く、原料には有機栽培している植物を使用していたり、パッケージにダイオキシンが発生しない素材を使用したりと、自然を守る行動につながっています。消費者は、オーガニックコスメを使うことで、自然や環境への応援をしているように感じることができます。
なぜCosme Kitchen?
■Cosme Kitchenとは
Cosme Kitchen(コスメキッチン)は世界中の個性あふれるナチュラル&オーガニックコスメを扱うショップです。コスメだけでなく、美容に嬉しいスーパーフードやお肌をいたわりながら使える雑貨や洗剤などを扱っています。日本にはない珍しいタイプのコスメが揃っており、パッケージもユニークです。インスタ映えするような見た目も、魅力の一つ。思わず足を止めてしまうような魅力的なアイテムが沢山揃っているので、今ではオーガニックコスメのセレクトショップといえば、「コスメキッチン!」いう方が多くなっているようです。
また、「美容垢」(Twitter、インスタなどで、美容について情報収集する「美容アカウント」) の人や美容系のユーチューバー、お洒落な人から愛されているコスメアイテムを多く取り扱っており、石鹸で落とすことが出来るファンデーションや全身に使えるヘアワックス、韓国で人気のスキンケアブランド『FAMME(ファミュ)』を輸入販売するなど話題の商品が揃っているショップです。また、販売されているアイテムの多くは、一般的なデパコスに比べると安いのが特徴。お財布にも優しいなんて、いいですね。
Cosme Kitchen Webstore
■業績実態
コスメキッチンはマッシュホールディングス(HD)の中のブランドです。マッシュHDの業績の伸びは好調で、基幹ブランドの「コスメキッチン」の売上高は同21%増(既存店は同17%増)と2ケタ増収。以下記事にも取り上げられています。
『ビューティ事業』は、「(ファッション事業に)輪をかけて大成功だった」と近藤社長が話すように、主力のセレクト業態「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」の売上高が同21%増(既存店は同17%増)「ビープル バイ コスメキッチン(BIOPLE BY COSMEKITCHEN)」が同25.6%増(既存的が同11.9%増)といずれも2ケタ増収。オリジナルブランドが営業利益に貢献した。
「セルヴォーク(CELVOKE)」の売上高は同178.5%増、「トーン(TO/ONE)」が同445.5%増と大きく伸ばし、「トーン」を核にした(メイクアップキッチン」も同5倍近い増収(既存店で同2.3倍)だった。
ビューティー事業のマッシュビューティーラボは34.9%の大幅増収。同社の強みであるナチュラルやオーガニックのコスメへのニーズが高まっている。特に成長したのが「セルヴォーク」と、「トーン」を軸とするセレクト業態「メイクアップキッチン」で、新規出店に加えてそれぞれの既存店も2倍以上伸ばした。
コスメキッチンの通販サイトは2年で2倍以上にユーザー増
消費者のオンライン上での行動を追っていくことで、コスメキッチンの業績が向上したヒントを見つけられないか、消費者の行動の特徴はないか、探っていきます。
消費者のネット行動を分析できるヴァリューズのツール「eMark+」を用いて調べてみましょう。
まず、下記の3つでそれぞれの接触したユーザー数の推移を調べてみます。
コスメキッチン公式Web通販サイト(https://www.cosmekitchen-webstore.jp/)
コスメキッチン公式ホームページ(http://cosmekitchen.jp/)
コスメキッチンのアプリ(GO GREEN CARD)
コスメキッチン公式通販、公式HP、アプリのユーザー数推移
※デバイス:PC、スマートフォン
アプリのユーザー数は2年間で約3.8倍に上がっており顕著な変化が見られます。一方、公式ホームページのユーザー数は約2倍、Web通販サイトのユーザー数は約2.6倍に上がっておりWeb通販サイトを通じて商品の詳細を調べたり購入する人が増えていることが分かります。
次にコスメキッチン公式Web通販サイトのページビュー数の推移を見てみましょう。
コスメキッチン公式通販のページビュー数推移
2年間の月次推移を見てみると、月ごとにばらつきはあるものの2019年11月や2020年2~4月のページビュー数の上がり方が大きいことから、サイトに訪れるだけでなく、何ページか閲覧していく人が多いことが分かり、外出自粛中にコスメキッチンへの関心があり沢山のページが読まれたとうかがえます。
2020年2~4月におけるユーザー数、ページビュー数はともに上がっていることからコロナの影響でオーガニックコスメやスキンケアの需要は上がっていると予想できます。
それでは、コスメキッチン公式Web通販サイトを訪問した人はどんな人が多いのでしょうか?性年代別に見てみましょう。
コスメキッチン公式Web通販サイトに訪問した人のユーザー属性(性別)
やはり性別では女性が9割弱という結果になりました。男性も約1割を示し、少ないながらも男性にもある程度認知されていることが分かりました。近年の男性の美意識向上によるボディやヘアケア需要、女性へのプレゼントなどでサイトに訪れたのではないでしょうか?
コスメキッチン公式Web通販サイトに訪問した人のユーザー属性(年代)
年代では20代が最も多く37.8%、ボリュームゾーンは20~30代で約65%という結果になりました。
SNSなどで情報収集し、流行に敏感な世代が多いのかもしれませんね。
どのようなサイト、検索からコスメキッチンのサイトに訪れている?
コスメキッチン公式web通販サイトを見に来る人は、その直前にどんなサイトを見ているのでしょうか?
コスメキッチン公式web通販サイト 流入元内訳
YouTubeやアットコスメ、その他メディアなどが多いことから、口コミや、人が実際に使っておススメである商品に現代の人は惹かれる傾向があるようです。どれも無料で閲覧できるのも良いですね。
また、「セルヴォーク」と、「トーン」などのコスメキッチンの中でも特に成長しているブランドサイトがランクインしていることからブランドがかかげている戦略がうまくいっていることが伺えます。
また、コスメキッチン公式Web通販サイトを見に来る人は、どのようなキーワードで検索をかけているのでしょうか?
コスメキッチン公式Web通販サイト 検索キーワード
緑で示されたように、 “ギフト”、“プレゼント”用に考えている人が多いようです。
確かに、肌に優しい化粧品をプレゼントでもらえたら嬉しいですよね。
性別で男性が約1割だったのも、女性へのプレゼントの参考にサイトへ訪れた人が実際にいたのかもしれません。
アプリの利用は増えている?
コスメキッチンで販売されている商品をお得に購入することが出来るアプリもあります。
「GO GREEN CARD」の無料会員に登録すれば、5%オフクーポンが利用できます。毎回、会計時にクーポン画面を開いて店員さんに提示すれば、総合計から5%割引をしてくれます。また、買い物をするたびに500円(消費税等を除く)につき25ポイント加算され、1000ポイントたまると1000円分のお買い物券として利用可能なポイントが付与されます。ポイントの有効期限は1年間。その他にも、会員限定お得情報のメール配信や、コスメキッチンニュース・店舗リスト・ブランドサイトがアプリ一つで完結できるのが便利です。
そのアプリの所持ユーザー(=インストールユーザー)数の推移を見てみましょう。
コスメキッチンアプリの所持ユーザー数推移
所持ユーザーは2年間で約3.6倍になっており、人気が急増しているのが分かりますね。
また直近の2020年4月で見てみても、利用前月比7.3%↑、利用前年同月比53.5%↑所持前年同月比44.2%↑と伸びていました。所持しているスマートフォンにインストールするだけでお得になるなら、アプリ所持数が増加しているのも納得ですね。
まとめ
ステイホーム期間におけるスキンケアやオーガニックコスメの需要動向について、今回はコスメキッチンに着目して、ユーザーの動向などを分析しました。特にコスメキッチン公式Web通販サイトは、新型コロナウイルスが日本で流行し始めた2月、ステイホームが奨励された3月〜4月に合わせて大幅にユーザー数を増やしています。流入元内訳においては、特定のブランドに固執することはなく、YouTubeやアットコスメなどの実際の使用感や口コミが見れるサイトが人気のようです。また、キーワード検索においてはギフトやプレゼントと贈り物用に考えている人も多く見受けられました。
ステイホームやコロナによる自粛影響で、普段はできないこと、お肌を時間をかけていたわる人が増えていることが、コスメキッチン公式Web通販サイトのユーザー数の増加から推測されます。肌への優しさや使用感の良さから、一時的な利用ではなく、顧客がリピートし、定着するのか、今後の動向も気になるところです。
調査概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用しオーガニックコスメを扱う「Cosme Kitchen」について、ユーザー推移、属性などを調査しました。
※対象期間:2018年4月〜2020年3月
※ユーザー数やセッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
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