セミナー概要
■本日のテーマ
本セミナーでは、withコロナ・通信業界の大変革の中で以下4つについて考えます。
① MNO4社時代の中で、消費者はどの様な行動をしているのか?
→楽天モバイル検討者の行動
② 通信にまつわるターゲット像をどのように把握するのか?
→5G関心層のペルソナ分析
③ 通信へのニーズの変化をどのように把握するか?
→Wi-Fi検索者のカスタマージャーニー
④ 把握したターゲットの動きを、どのように施策に落とすのか?(施策例)
→通信の不満・不安層の獲得施策の事例
■スピーカー紹介
図:スピーカー紹介
コロナをきっかけに通信業界に関して起こった2つの変化
本題に入る前に、向井は、コロナ禍をきっかけに通信業界の起きた変化について提言しました。
向井:「在宅勤務や外出自粛により、様々なライフスタイルに変化が起きています。中でも、通信業界に特化して言えば、「メディアでの消費者との接点が増加(⇔オフラインでの接点が減少)」と、「通信・ネット利用の増加(通信サービスに関心を持ちやすくなっている)」の2点が大きな変化として挙げられるでしょう。」
向井の用いた下記データにも、コロナ禍で利用時間が特に増加したものとして、「テレビ(55.3%)とインターネット(PC:45.5% スマホ・タブレット:64.1%)」との高い数値が現れています。
図:メディア利用時間
では接触の増えたメディアの一例として、「在宅で実践したこと」と「メディア」を掛け合わせたデータを見てみましょう。
赤枠で印をつけた、「インターネット」と「動画・アプリ」が全体的に高い事がわかります。具体的に実践された行動内容をみてみると、動画や料理、リモートワークと多岐にわたります。
向井:「在宅時間のアクティビティに関する情報収集手段では、インターネットや動画・アプリが重要だと言えます。」
図:在宅時間で実践したこと
①MNO4社時代に、消費者はどのように行動しているのか?
それでは、MNOに新規参入した楽天モバイルを軸に、消費者はどのように行動しているのかを見ていきます。
下記データはMNO4社に、Y!mobileを加えた5社の通信事業者のサイトにおける、2020年3月から8月のアクセスデータです。
向井:「2020年5月以降、楽天モバイルはキャンペーンなどの効果もあってか、サイト訪問者は一気に増加しています。その伸長率は、4月までの2.3~2.8倍にもなっています。8月にはSoftBankを追い抜くまでになっている大きな伸長です。世間の関心事という点で大きな数値となっていると言えそうです。」
図:MNO4社時代 消費者の行動はどう変化したか
続いて、楽天モバイルへの移行検討者の比較検討行動について見てみましょう。
下記データは楽天モバイルのサイトにアクセスしているユーザーの併用状況のデータです。
向井:「データを見てみると、楽天モバイルとdocomoを最も多くの人が比較していることが分かります。docomoユーザーは乗り換え検討が少ないと言われている層ですが、そういったこれまで動かなかったdocomoユーザーが、楽天モバイルへの乗り換えを検討している可能性が見受けられるという事は、他の通信系企業にとっても顧客獲得のチャンスと言えるのではないでしょうか。」
図:楽天モバイルとの比較
さらに楽天モバイル検索者の深堀りを進めていきます。
2020年6月~8月の楽天モバイル検索者を抽出し、前後3時間の検索キーワードの種類によって、対象者にクラスタ分析を行ったところ、6つのクラスタに分類出来ました。
向井:「この6つのクラスタを見ると、指名検索や端末検索が多く、他の携帯会社をあまり比較していないことが分かりました。」
図:「楽天モバイル」検索者の分類
②通信にまつわるターゲット像をどのように把握するのか?
続いて、通信にまつわるターゲット像について向井が用いたのは、直近半年で「5G」について検索している人をモニター会員から抽出し、検索キーワードに基づいてクラスタ分析を行ったデータです。調査の結果、以下資料にある5つのクラスタに分かれたと解説しました。
向井:「例えば、「5G初心者クラスタ」では、「5Gとは」等、はじめて5Gに関心を持ったとみられる検索が多いことに注目です。また「端末が対応しているか気になるクラスタ」では、機種に関する検索が多く、これから買う機種や持っている機種について調べている様子が現れています。そして「キャリアのサービスが気になるクラスタ(37.5%)」では、MNOやMVNOに関する検索が多いことから、5Gの各社への影響を気にしている模様が見受けられました。
いずれにしてもどのクラスタも現在の状況で5Gを検索しているということから、情報感度が高いと言えそうです。これらの層の行動ログや利用しているアプリの調査、アンケート調査などを掛け合わせて行っていくと、より細かい人物像や様々なニーズが深く理解できると考えられます。
もう一つ重要な観点としては、楽天モバイルのような新興企業の台頭や、リモートワークの定着、エンタメのネット利用など、コロナ禍ならではのライフスタイルが5Gにも結びついていると言えそうです。
図:5Gについて消費者が気にしている事
③通信へのニーズの変化をどのように把握するか?
前項までは人物像についてみてきましたが、次はニーズについて考えてみましょう。
向井がwithコロナでの消費者動向として提示したのは下記の資料です。
図:withコロナの消費者動向
消費者の通信ニーズの中から、「Wi-Fi」への関心について、実際にデータを見ていきましょう。
向井:「「Wi-Fi(または「Wifi」)」検索者は一月あたり約170万人もの数値となっており、属性別では男性の比率が60%以上となっています。
ちなみに「リモートワーク」検索者は4月に増加した後、一月あたり約8万人を維持しています。これはコロナ前の約4倍にも上ります。
「Wi-Fi(または「Wifi」)」の検索者は、引越しや機器の老朽化などといった『ライフイベント』を理由としたケースが多いことと並行して、エンタメやリモートでのヨガ教室、キャンプでの利用といった『アクティビティ』や、リモートワークを代表とした『withコロナ』ということも検索要因になっているようです。
これらのことからwithコロナで、通信以外の活動(オフライン活動)と通信が大きく結びつくようになっていると言えそうです。」
図:「Wifi」「リモートワーク」検索者の動向
④把握したターゲットの動きをどのように施策に落とすのか?
テーマの最後として、向井はターゲットへの施策方法について、あるWi-Fiルータメーカーの事例を紹介。
向井:「あるWi-Fiルーターメーカーの買い替え需要の拡大を目的とした案件で、ネット訴求のテーマは、LP経由の商品詳細ページ閲覧の増加でした。
まずはユーザーのWi-Fiの通信状況に対する不満を抽出して、ターゲットセグメントを策定しました。
そして、各セグメントの特徴的な検索ワードの解決に繋がる情報をバナーで提示して興味喚起を行ったところ、配信開始3週間で顕在層と同じ目標CPAを大幅にクリアし、コストは3分の1に削減することも出来ました。
今回ターゲットセグメントの策定に利用したのはWeb行動ログといって、消費者の実行動が見える消費者のリアルな行動データです。それに基づいてターゲティングを行う、セグメントを作るということがより消費者に近づく強みとなり、そこからWebの広告や施策に落とし込んでいく事で、効率の良いターゲットを獲得が可能になりました。
今回のケースでは、これらのWeb行動ログデータを活用し、消費者のニーズや心理をしっかりとデジタルで把握して、それらの行動に合わせたコミュニケーションを取ったことが成功の要因となったと言えるでしょう。」
図:潜在層への広告配信事例
通信に関する業界・消費者変化まとめ
向井:「昨今、ますます競争が激化する「通信・携帯業界」。消費者もますます通信・携帯業界に関心を持つテーマが多くなると見受けられます。
そのためにも、消費者のニーズをちゃんと把握して、デジタルの施策につなげるということがますます重要になってくると思われます。」
今回のテーマにより、新興通信企業への興味、「5G」への関心、「Wi-Fi」の需要、これらを取り巻く市場へアプローチする施策方法などが垣間見えたかと思います。
直近では、5Gに対応したiPhone12の発売のニュースも大きな話題となっていますし、今後、より通信・携帯業界の活況が見込まれると言っても過言ではないでしょう。そのような中、どのようにして消費者のニーズや行動を掴むのか、大いに参考となるセミナーとなったのではないでしょうか。
図:まとめ
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■「Web行動ログから読み解く!withコロナ・afterコロナの消費者変化|携帯・通信業界編」レポート
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マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。