LINE・楽天・ドコモなど経済圏を持つ企業がポイント還元で横展開サービスのユーザーを集める図式に【11月急上昇サイト】

LINE・楽天・ドコモなど経済圏を持つ企業がポイント還元で横展開サービスのユーザーを集める図式に【11月急上昇サイト】

2020年11月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型の市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はeMark+を使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。


2020年11月の急上昇サイトは?

まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。

11月の急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「eMark+」画面より)

1位は年賀状サイトの挨拶状.com。楽天やLINEも上位に

1位:挨拶状.com

1位にランクインしたのは、「挨拶状.com」の年賀状印刷特設サイトでした。こちらでは、豊富なオリジナルのイラスト・デザインの中からオンライン上で年賀状を作れます。どのようなページに注目が集まったのか、コンテンツランキングで確認してみましょう。

「挨拶状.com」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

年賀状商品のページが上位を占めていました。年末に先駆け年賀状を準備しようとする人が増えたため、サイト訪問者数が急増したと考えられます。

2位:楽天チェック

2位は楽天が運営する「楽天チェック」でした。こちらは特定の街のお店に来店し、アプリを起動してチェックインすることで楽天ポイントが貯まるというサービスです。

利用者にポイントを付与する代わりに、マーケティング活用データを収集する狙いもあるでしょう。では、コンテンツランキングで急上昇の要因を探ってみます。

「楽天チェック」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

UU数の多い1位のページにアクセスしてみると、下記のようなページでした。

こちらは11月中に開催されていたポイントキャンペーンです。条件をクリアすることで10万ポイント分の楽天ポイントが各ユーザーに山分けされるというものでした。

次にどのような経路でユーザーが訪問したのか見てみましょう。

「楽天チェック」の流入元セッション数(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

外部サイトからの流入が目立ちます。内訳を見ると、楽天市場や楽天PointClubといったグループサイトからの流入が大半を占めていました。

楽天グループは共通通貨である楽天ポイントを活用した経済圏が強み。様々なポイント制度が存在しポイント還元キャンペーンを数多く展開しており、ポイ活に熱心なユーザーも多いです。

楽天チェックは、ポイントキャンペーンによって既存の顧客基盤から訪問ユーザー数を増加させたと考えられます。

4位:LINE MUSIC 公式note

4位にランクインしたのは「LINE MUSIC 公式note」でした。こちらはLINE運営の音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」の公式noteで、アーティスト情報やキャンペーン等の情報を配信しています。こちらのサイトは9月の急上昇サイトにもランクインしていました。

今回はどのようなページに注目が集まったのでしょうか。コンテンツランキングで確認してみましょう。

「LINE MUSIC 公式note」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位のページのUUが圧倒的に多いことがわかります。実際にアクセスすると、LINEプロフィールの背景に好きなアーティストのミュージックビデオを設定できるようになったというお知らせのページでした。

次に、どのような経路でサイトに訪問したのかを流入元を確認してみましょう。

「LINE MUSIC 公式note」の流入元セッション数(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

外部サイト流入の内訳を見てみると、LINE MUSICを抑えて外部サイト1位はnoteの公式サイトでした。

noteはコンテンツ力の高い記事が注目を集めるメディアプラットフォームです。記事内では、プロフィールMV機能の新登場を記念して、TWICEメンバー別の特別動画の配信も告知されていました。日本でも人気グループのTWICEを活用することで、LINE MUSICユーザーだけでなく広くnoteユーザーの認知獲得に成功したのではないでしょうか。

鬼滅の刃やブラックフライデーの影響?その他上位のサイト

その他上位には、ブラックフライデーの影響や鬼滅の刃効果と考えられるサイトがランクインしていました。早速みていきましょう。

6位:TELASA

6位には動画配信サービス「TELASA」がランクインしました。TELASAは映画やドラマ、アニメなど幅広いジャンルの映像作品を提供しています。

急にアクセスが伸びたのは何故でしょうか。コンテンツランキングで確認してみましょう。

「TELASA」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位と2位は「鬼滅の刃」のアニメ配信のページでした。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開後3日間で興行収入46億円を突破するなど、爆発的なヒットを記録している「鬼滅の刃」。業界各所に経済効果を及ぼしたとも言われていますが、アニメを見たいと思う人々がTELASAにアクセスし、サイト急上昇につながったのではないでしょうか。

7位:イオンスタイルオンライン

7位は、イオンの公式通販サイト「イオンスタイル」でした。11月に注目を集めたページはなんでしょうか。コンテンツランキングで確認しましょう。

「イオンスタイル」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位は以下のブラックフライデーセールの予約販売ページでした。

11月に渡って開催されたこちらのセールでは、オンラインショップで様々な商品が大幅に値下げされました。また、コンテンツランキング上位にはマスクの通販ページや2021年度福袋のWeb予約のページも目立ちました。

アメリカで親しまれている11月第4週の金曜日「ブラックフライデー」のセール。近年は日本でも11月に多くの企業・商店が大型商戦をしかけています。イオンはそうした大型セールを開催したため、11月のサイト訪問者数を急増させたのではないでしょうか。また、新型コロナの影響で2021年の福福はオンランでの販売が主流になっています。コロナ禍で必須のマスクや、新年の福袋を買いたいというニーズもサイト急上昇の後押しになっていそうです。

10位:dミールキット

10位はドコモが運営する食材宅配サービス「dミールキット」の公式サイトでした。こちらは、下拵えされた料理を必要な分量だけセットにしたミールキットを家まで届けてくれるサービスです。

急上昇の原因をコンテンツランキングで探っていきましょう。

「dミールキット」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位のページのPV数が圧倒的に多いことがわかります。実際にアクセスすると、以下のようなポイントキャンペーンのページでした。

どのような経路でユーザーが訪問したのか流入元を見てみましょう。

「dミールキット」の流入元セッション数推移(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

外部サイトからの流入が急増したことがわかります。外部サイトの流入元詳細をみると、d マーケットやdメニューなどNTTドコモの関連サイトが上位を占めていました。

「dミールキット」の流入元・外部サイトランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

NTTドコモも共通通貨としてdポイントを利用しており、dポイントの経済圏を築いています。外食をためらいがちな昨今の状況も相まって、このポイントキャンペーンはdポイントユーザーの「ちょっとdミールキットを試してみようかな」といった心理を呼び起こしたのではないでしょうか。

まとめ

最後に11月の急上昇サイトと、その増加要因をまとめます。

11月は季節の影響によってランクインしたサイトが目立ちました。1位にランクインした「挨拶状.com」は、年末に先駆け年賀状の準備を始めたいと考えるユーザーを上手く取り込んだのではないでしょうか。7位の「イオンスタイル」はブラックフライデーセールや福袋予約によって集客に成功したと言えるでしょう。

また、独自のポイント制度を用いたポイントキャンペーンによって訪問者数を増加させたサイトもありました。2位の「楽天チェック」はポイ活に熱心な既存の顧客基盤から訪問ユーザー数を増加させたと言えるでしょう。また、10位の「dミールキット」も同様にポイントのベネフィットによってユーザーの消費者心理を刺激したのではないでしょうか。

6位にランクインした「TELASA」は鬼滅の刃のアニメ配信のページに多くの注目を集めたことが、サイト急上昇につながったと言えるでしょう。こちらは鬼滅の刃効果の大きさを物語っています。

本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのeMark+を使用しています。急上昇サイト分析機能は無料ですので、より詳細なデータを知りたい方はぜひ見てみてください。

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この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

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