2021年天猫(Tmall)トレンド予測    前編|中国トレンド調査

2021年天猫(Tmall)トレンド予測 前編|中国トレンド調査

アリババグループが運営する中国最大のECモール『天猫(Tmall)』の分析によると、「家」、「懶」、「猫」、「髪」、「抽(抽選)」、「粧(メイク)」、そして、「酒」、という7文字が今年の中国のトレンドになるようです。「2021年天猫(Tmall)トレンド予測」前編では、この7文字のうちの「家」、「懶」、「猫」がそれぞれ、何を意味しているのかを説明します。


先日、天猫(Tmall)は過去の新商品トレンドに基づいて、2021年に発売される新商品とユーザーの新商品における需要について予測を行いました。その結果、家、懶、猫、髪、抽(抽選)、粧(メイク)、酒、という7文字が今年の中国のトレンドになるのではないかと予測しました。

では、この7文字がそれぞれ、何を意味しているのかを説明していきましょう。

1.「家」

家は文字通り、家にまつわる商品のことを意味しています。中国ではコロナ禍の影響で、休みの時は外出を控えるだけではなく、仕事は在宅勤務の形式になり、学校もオンライン授業を行うようになりました。

そのため、家にいる時間はこれまでより大幅に長くなり、2020年に家での時間を充実させるための商品は売り上げを伸ばしました。

トレーニング

まず、トレーニングする場はフィットネスクラブから自宅に変わり、それに応じて家庭用トレーニング器具などが増加しました。

中国の大手Web通販サイト「京東商城」のデータによれば、昨年2月のローイングマシンの売り上げは134%の増加、ダンベルは60%、そして、エキスパンダーは109%の増加が見られました。

なお、縄跳びやヨガマットなどのフィットネス用具の売り上げも大幅に増加しました。また、去年9月3日に中国タオバオで発売された任天堂の「リングフィット アドベンチャー」は、発売されてから10時間以内に1万台が売り切れました。

任天堂の「リングフィット アドベンチャー」

娯楽

外出が減少したことで、外での娯楽も少なくなりましたが、その分、家での娯楽のための設備の売れ行きが良くなりました。

映画館で映画を観ることができなければ、家にプロジェクターを設置すれば良いのです。例えば、家電メーカーのJmGOの「G9」プロジェクターは、昨年の天猫(Tmall)の「独身の日セール」で1億元(約16億円)も超える売り上げを叩き出しました。また、同じ家電メーカーであるXiaomiの「Mi TV 4A」テレビは、昨年5月に出回ってから年末までに7万台以上を販売しました。

Xiaomiの「Mi TV 4A」テレビ

美容

コロナ禍でマスクを着用することが多くなったため、マスクによる肌の炎症やバリア機能の低下、ニキビなどの肌トラブルも発生しやすくなりました。また同時に、家にいる時間が増えたので、スキンケアも入念にできるようになりました。

「生意参謀」のデータによると、2020年1月から11月までの天猫(Tmall)での美顔器の売り上げは50億元(約800億円)にも達し、2019年同時期の売り上げより71.3%の増加が見られました。

天猫(Tmall)は、この家庭用用品のブームは今年も続くと考え、今年も在宅生活を充実させるための商品が続々と新たに発売されると予測しました。

2.「懶」

「懶(ラン)」は「怠ける」などの意味を持つ漢字ですが、在宅生活が続くと、家事も面倒に感じる時が多々あります。特に中国の若年層は、家事をすると幸福感が低下すると感じ、家事から解放されたい欲求が高い傾向にあります。

この面倒くさがりな性質から、おまかせ家電は数年前から流行り始め、コロナの影響でさらに勢いを増しました。特に、中国の若者にとって最も避けたいとされている家事のTOP3である皿洗い、料理、そして掃除に関するおまかせ家電は最も売れ行きが良かったようです。

皿洗い

現代社会では、皿洗いといえば食器洗い乾燥機でしょう。All View Cloud(AVC)のデータから、2020年第一四半期の食器洗い乾燥機の販売数は24.6万台で、前年同期より10.4%増加したことが分かります。

また、2020年9月に公開された慢慢買(manmanbuy)の京東商城における食器洗い乾燥機の販売台数ランキングによれば、一位の家電メーカーの華帝(VATTI)の販売数は7200台を超え、それに続く二位の美的集団の販売数は6100台を超えました。

調理

昨年2月、京東商城における電気グリル鍋の販売数は2019年2月より140%増え、加熱式お弁当箱の売り上げは480%増えました。特にタオバオでは、小熊(Bear)の加熱式弁当箱の販売数は前年同月より718%も増えました。

また、ネット経由で調理メニューを追加することができる自動調理家電も今後流行ると予測されています。例えば、今年発売の家電メーカーのティネコ(tineco)のスマート自動調理機は既に500台以上を売り上げており、天猫(Tmall)の「スマートキッチン家電ランキング」第1位を獲得しました。

掃除

掃除家電も中国の若者に大人気です。36Kr研究院のインタービューによれば、中国の若者の76%が掃除機を持っています。

天猫(Tmall)のデータによれば、ティネコ(tineco)のハンドフリーのセルフクリーニング機能付きの「IFLOOR 3」乾湿両用掃除機は2020年3月に発売された後に12万台を売り上げました。なお、テクノロジー企業のECOVACS ROBOTICSの「N8」ロボット掃除機は昨年の天猫(Tmall)の「独身の日セール」での売り上げは1億元(約16億円)を超えました。

ECOVACS ROBOTICSの「N8」ロボット掃除機

『2020年スマートホーム製品業界に関する研究およびその報告』によれば、中国ではコロナの影響で長期間の自宅待機生活が続いた後、76%のインタビュー対象者は生活の質の向上を求めており、かつ、より多くのスマートホーム製品の購入を検討していると回答しました。

また、コロナ終息後も、スマートホーム製品はますますと普及していくと予想されています。Zion Market Research (ジオンマーケットリサーチ)の分析によれば、2022年までに、中国も含めて、世界のスマートホーム市場はさらに拡大し、その規模は534.5億ドル(約5.55兆円)を超える可能性があるとされています。

3.「猫」

日本と同様、中国でも猫ブームが巻き起こっています。中国のペット関連市場規模は2019年までに2024億元(約3.24兆円)に達し、その前年比は118.5%で、依然として急速な成長を見せています。

2019年の猫の飼育頭数は前年より8.6%増え、さらに猫一頭あたりの平均消費額も前年より10.3%増えました。なお、飼育頭数においても、消費額においても、猫の対前年同期比増加率は犬より高くなっていることは注目すべき点でしょう。

また、ペットフード・ペット用品の市場規模の成長も著しいです。2019年までの中国のペットフード・ペット用品の市場規模は86.3億ドル(約9000億円)と大きく、その増加率も世界一です。

QuestMobileによって発表された『2020ペット経済洞察報告』によれば、2020年10月までに、ペットに興味・関心を示す人数は5.3億人を超えました。さらにTikTok(ティックトック)や快手(クアイショウ)のような短編動画共有アプリ、およびWeiboやREDのようなSNSアプリにおけるペットのコンテンツによって、ペット好きな人数はこれからも増加すると予想できます。

『2020中国ペット消費傾向報告』では主に猫の経済について分析されています。

猫フードと猫のおやつの市場規模は急速に拡大しており、その速度はドッグフードより遥かに速いようです。特に、若い女性ユーザーは猫フードの品質と付加機能にこだわる傾向があるため、値段が高めの高級猫フードを購入することが多いです。

また、中国の若年者はネットショッピングを好むので、ECサイトでのペット用品も全体的に売れ行きが良く、例えば、昨年11月11日に、京東商城における猫トイレの売上高は前期比232%増加で、猫缶や猫フードの売上高は前期より150%以上の増加が見られました。

TAOBAO(タオバオ)の猫関連の商品ページ

猫フードのほか、猫用品の市場も拡大していくと予想されています。

特に、中国の若者の面倒くさがりな性質から、自動猫トイレや自動給餌器などの需要が大きくなるでしょう。天猫(Tmall)は特に注目に値する2021年のペット用品の新商品として、小佩(petkit)の全自動猫トイレ、Catlinkの大容量自動給餌器とペットカメラをピックアップしました。

※2021年天猫(Tmall)トレンド予測の後編は、明日2月16日に公開予定です。

<参考文献>
「天猫小趋势,这7个字预测2021年新品趋势」
https://m.sohu.com/a/443490173_120538942/
「疫情当下,这些产品销量暴涨600%以上 」
https://www.sohu.com/a/391830570_120638937
「疫情带动小家电爆发式增长 美容仪行业发展空间巨大」
http://software.it168.com/a2021/0115/6432/000006432036.shtml
「智能家居走了20年,依然“碎片化”? 」
http://www.lubanyuan.cn/news/hangye/8968.html
「36氪研究:2019十大巢流生活用户调研报告」
http://www.199it.com/archives/887105.html
「最讨厌的九大家务排行,你最不喜欢做哪个呢?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1640499651906771846&wfr=spider&for=pc
「因为疫情 这些智能家电在国内火了」
https://www.huahuo.com/appliance/202002/37821.html
「电热饭盒成“网红”销量抢眼销售暴涨300%」
https://www.xinpin1688.com/article-8325-1.html
「Smart Home Market Increasing At A Good Pace To Reach USD 53.45 Billion Globally By 2022: Zion Market Research」
https://www.globenewswire.com/news-release/2019/01/22/1703206/0/en/Smart-Home-Market-Increasing-At-A-Good-Pace-To-Reach-USD-53-45-Billion-Globally-By-2022-Zion-Market-Research.html
「2020年国内洗碗机销量有望达到200万台」
https://www.ncrw.com.cn/news/caijing/54541.html
「2020年9月京东洗碗机销量排行榜」
https://zhuanlan.zhihu.com/p/269421709
「QuestMobile发布2020萌宠经济洞察报告,小象优品等电商宠物用品销量持续增长」
http://www.cet.com.cn/xwsd/2738346.shtml
「《2020中国宠物消费趋势报告》新鲜出炉,猫咪成年轻人标配!」
https://xw.qq.com/cmsid/20200104a0n5vy00
「2020萌宠经济洞察报告:萌宠群体超5.3亿,喵星人VS汪星人,谁更能带货、拉消费?」
https://www.36kr.com/p/1011404743683847
「2020年中国宠物行业发展情况分析:国内宠物行业快速发展壮大,“井喷时代”已经到来」
https://www.chyxx.com/industry/202006/876638.html

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

中国出身の留学生。立教大学大学院に在学中。

関連する投稿


メタバースブーム、中国ビジネスに新しい風

メタバースブーム、中国ビジネスに新しい風

Facebookが社名を「メタ」に変更したことでも話題になり、注目が高まっている「メタバース」。TikTokなどのSNSマーケティングやOMO施策の最前線に立つ中国では、どのようなメタバースビジネスが展開されているのでしょうか。メタバースとEC、SNS、飲食それぞれ掛け合わせた中国ビジネスを中心に、動向を解説します。


ウィズコロナ時代の「モノの買い方変化」「ショールーミング行動の実態」を調査

ウィズコロナ時代の「モノの買い方変化」「ショールーミング行動の実態」を調査

ウィズコロナ時代とも言われる2022年、顧客の獲得戦略を練る上では、消費者が実店舗×ECをどのように活用しているのか、リアルな消費者行動を理解することは必須となるでしょう。そこで今回は、ウィズコロナ時代の「モノの買い方変化」および「ショールーミング行動の実態」に着目し、消費者トレンドを分析。分析には、国内の20~60代の男女6,105人を対象にしたアンケート調査と、ヴァリューズが独自保有する消費者行動ログを用いました。


アフターコロナのインバウンドの動向は?データから対策を考える|ウェビナーレポート

アフターコロナのインバウンドの動向は?データから対策を考える|ウェビナーレポート

新型コロナウイルス感染拡大により、インバウンド観光産業は未だ厳しい状況が続いていますが、ワクチンの普及や感染状況の落ち着きから訪日観光客の受け入れが再開し、インバウンド回復に大きな期待が寄せられています。ヴァリューズで開催された「アフターコロナに向けたインバウンド対策セミナー」では、訪日観光客数が上位地域の中国・台湾・タイにフォーカスして、消費者の行動変化について徹底解説。いま消費者が求めていることや、旅行意向の変化はどういったものなのか、レポートします。


中国で注目の「DingTalk」「飲料ブランド」など...ベスト記事「海外データ」編

中国で注目の「DingTalk」「飲料ブランド」など...ベスト記事「海外データ」編

今年で3周年を迎えるマナミナ。特別企画として、カテゴリごとのPV数トップ5の記事をご紹介します。 第8弾の今回は「海外データ編」をお届け。世間の関心が高いテーマについて、振り返ってみましょう。


The innovative business model that took SHEIN to the top of the fast fashion industry

The innovative business model that took SHEIN to the top of the fast fashion industry

COVID-19 impacted the fashion industry, contributing to temporary, yet prolonged, closures of shopping centers. Despite tough circumstances, SHEIN, an apparel brand established in China in 2021, continued to grow rapidly. We used VALUES' web behavior analytics tool, Dockpit, to understand SHEIN's strengths.


最新の投稿


Analysis of smartphone-related keyword searches of non-Japanese manufacturers like OPPO

Analysis of smartphone-related keyword searches of non-Japanese manufacturers like OPPO

The "SIM lock ban" has been mandated since October 1, 2021. Now, all smartphones must be "SIM-free." We investigate and analyze OPPO, which entered the Japan market in January 2018, along with Huawei and ASUS, two top-ranking overseas manufacturers that offer affordable products.


気になるガソリン価格の値上げ。燃費関心ユーザーはどんな人?消費者Web行動分析ツール「story bank」で調査

気になるガソリン価格の値上げ。燃費関心ユーザーはどんな人?消費者Web行動分析ツール「story bank」で調査

昨今、原油高の影響でガソリン価格が高騰しており、物流に影響を及ぼしているほか、家計も圧迫されるなどで省エネ意識が格段に高まっているのではないでしょうか。そこで今回は、自動車選びの中でも消費者が気になるポイントのひとつである「燃費」について、関心を持っているユーザーをクラスタ分析し、その人物像を調査しました。分析ツールはヴァリューズが提供する消費者Web行動分析ツール「story bank」を用いています。


「貯金」と「貯蓄」の検索行動で浮き彫りになるユーザー像とその関心事とは

「貯金」と「貯蓄」の検索行動で浮き彫りになるユーザー像とその関心事とは

2019年に問題になった「老後資産2,000万円」が記憶に新しいなか、政府によって「資産所得倍増計画」が発表されました。「貯蓄から投資へ」とも謳われている現在。「お金」に関して、漠然とした不安と戸惑いを抱えている人も多いのではないでしょうか。「人生100年時代」とも言われる長い人生のために、どのように資産を作り守って行くか。「貯金」と「貯蓄」という2つのワードを検索する消費者のWeb行動に着目し、調査・分析しました。


「業界別」アプリランキング - 旅行・地域編 -

「業界別」アプリランキング - 旅行・地域編 -

「業界別」アプリランキング、今月は「旅行・地域」編です。アプリ利用ユーザー数の順に並べると、1位は「楽天トラベル」、2位「じゃらん」、3位「ANA」…という結果に。トップ20まで掲載しています。


【YouTube利用動向調査】男性は学び系・女性は熱量高く多様な動画を視聴 | ショート動画に代替されにくい“ながら見”コンテンツが若者に人気

【YouTube利用動向調査】男性は学び系・女性は熱量高く多様な動画を視聴 | ショート動画に代替されにくい“ながら見”コンテンツが若者に人気

利用率9割という圧倒的な浸透率を誇るYouTube。生活の中での位置づけや、実際の使われ方、よく見られるコンテンツとはどのようなものなのでしょうか。またそれらは、性年代で切ったときにどのような違いが出てくるのでしょうか。アンケートとWeb行動ログデータから、YouTubeの利用動向を調査しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら