こんにちは。データマーケティングの企業・株式会社ヴァリューズでコンサルタントを務める向井と申します。
向井優(むかい・すぐる)株式会社ヴァリューズ マーケティングコンサルタント
京都大学大学院で中国哲学史を専攻。前職では外務省や大手ホテル等を中心に訪日外国人施策を担当。ヴァリューズでは、国内でのマーケティング支援を行う一方で、食品・飲料・ヘルスケア領域を中心に中国本土進出・越境EC・訪日中国人市場の調査/マーケティング支援を行っている。趣味は旅行と漢文・民俗学の文献研究。
私は本メディア・マナミナにて、主に海外でのマーケティング事情・トレンドについて調査会社の視点から分析しています。
今回のテーマはタイのコスメメディア。タイの化粧品のネット事情について、5つのメディアの事例をもとに解説します。
▼中国メーカーのブランドづくり施策に焦点を当てた記事はこちら。
ラーメンに漢方薬を入れ、スマホをまな板に使う…「他人のフンドシ」でブランドを作る中国メーカーのしたたかさ~中国市場マーケティング戦略考~
https://manamina.valuesccg.com/articles/1188中国でのマーケティング戦略について調査会社の視点から解説する新企画。ヴァリューズで海外調査を担当する、私、向井優が、最近の中国でのトレンドや調査事例を元に考察します。今回のテーマは中国メーカーのブランドづくりの施策に焦点を当てます。自社以外の力をうまく使いながら、認知やブランドイメージを高める中国メーカーのしたかかさな施策を、事例をもとに考えます。
1.タイのNo.1女性メディア「Sista Cafe」
月間利用者数が400万人を超えるとされるタイの女性向けNo.1メディアが「Sista Cafe」です。美容や化粧品を中心にファッション、恋愛といった様々な女性向け情報が掲載・投稿されています。
運営元は、日系企業のDonuts Bangkokで、日本の情報に特化したカテゴリ「Sita Café Japan」も用意されています。
日本の百貨店もタイの訪日客向けに記事広告を出稿していたりと、日本企業にとってタイの消費者と接点を持つための有力なメディアと言えそうです。サイト上にはweb広告の表示スペースもある為、美容やおしゃれ感度の高いタイの女性向けに、web広告のタッチポイントとする事も可能です。
2.化粧品ECもあるタイのメディア「LADYISSUE」
化粧品やファッションの情報を掲載しながら、化粧品の販売も行うEC機能も持つのが「LADYISSUE」です。
女性向けに化粧品やファッション、ライフスタイルのコラムやレビューを掲載しています。気に入った記事をSNSで拡散する連携機能も重視されており、5万件もシェアされている人気投稿もみられます。
筆者がこの記事を書いている時は、口紅の投稿が大きく表示されていました。国によって好まれる口紅の色合いも異なりますが、タイの生活者の好みやおしゃれの方向性が、見ているだけでも伝わってきます。
3.タイの生活スタイルが見える「Girlsfriend Club」
「Girlsfriend Club」は化粧品やライフスタイル、美容や健康を中心とした記事を掲載するメディアです。
個人的にお奨めのカテゴリは「lifestyle」の「home-decorating-diy」です。部屋のインテリアやコーディネートの記事が多数掲載されています。あくまでモデルルーム的な雰囲気ではありますが、タイの女性が「イケている」と感じる生活スタイルを垣間見ることができるのはポイントです。
4.タイの化粧品口コミサイト「Girls All Around」
「Girls All Around」は化粧品のレビューや口コミ、恋愛情報を掲載するメディアです。
フェイスマスク等のコスメアイテムの他、健康法や健康にまつわる食に関する記事も見られます。「weight lost」のコーナーからは、タイでもダイエットが大きな関心事な様子がうかがえます。韓国の美容情報なども掲載しており、東南アジアでの韓国ブランドの強さも感じます。
5.SNS上のタイ美容メディア「Spice」
「Spice」はFacebook、Instagram、YouTubeなどSNS上で美容・化粧品情報を発信するメディアです。
Facebookアカウントは「いいね!」1,130,558件、フォロワー1,200,648人と強い発信力を持っています。実はタイはfacebook大国で、バンコクが世界で最もFacebookのアクティブユーザーが多い都市との調査結果もあります。
他に、SpiceのYouTubeチャンネルではコスメに関する実演の他、実際に店舗を訪れてのレビューの様子などの動画も投稿されており、タイのコスメ事情をオンライン・オフライン両面から知ることができます。
まとめ
本記事ではタイで人気のある5つのコスメメディアを紹介しました。日本とは全く違ったメディアが閲覧されている事や、タイの女性のコスメへの関心、メーカーやメディアのクリエイティブ傾向なども垣間見えたのではないでしょうか。口コミサイトが強いとされるタイですが、商品の情報が伝わる場として、こうしたメディアも重要と言えそうです。
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京都の大学で長らく中国哲学史を研究。現在は事業会社に対するマーケティング支援を担当。中国・東南アジアを中心にグローバルリサーチにも携わっている。趣味は旅行と文献研究。