Tableauを学ぶシリーズ、番外編です
こんにちは、船田です!先日、マナミナの企画として、BIツールのTableauを1から教えていただき、その模様を連載(全5回)でお伝えしました!
Tableauとは一体どんなツール? BI初学者がTableauを1から学びます!【第1回】
https://manamina.valuesccg.com/articles/1127来年から株式会社ヴァリューズに入社予定の船田くんがTableauを1から学んでいきます。講師はTableauの公式パートナーである株式会社ヴァリューズで、セミナーも行っている若林さん。初回はそもそもTableauとは何か、BIツールとは何かについて学び、Tableauを実際に利用するイメージを掴みます。Tableauを使って、社内データの活用などを考えている方、ぜひ一緒に勉強していきましょう。
実は本連載を終えたあと、国や地方自治体が統計データをTableauで可視化して、一般の人々に公開しているサイトがあることを知りました!そこで本稿は番外編として、これらのサイトを見ながら、実際の現場で行われているTableau活用事例を勉強します。
また、サイトでは、Tableauで統計データをビジュアライズするだけでなく、国や自治体でしか収集のできないようなデータがオープンデータとしてまとめられているので、市場調査やマーケティングにもきっと役立つことでしょう。
それでは、各サイトを1つずつ紹介しながら、気になったグラフやビジュアライズをピックアップしていきたいと思います。
日本政府環境局のTableauデータ
1つ目は日本政府観光局(JNTO)のサイトです。
日本政府観光局(JNTO)の観光統計データです。訪日者数、都道府県別訪問率、旅行消費額、世界各国・地域の外国人訪問者数など、インバウンドに関する各種データやランキングを閲覧・ダウンロード(Tableau,Excel,CSV,PDF)することができます。
このサイトでは、日本政府観光局(JNTO)が日本の観光に関する統計データを公開しています。
具体的な掲載データは、例えば日本を訪れた外国人旅行客の数や、外国人旅行客が日本で何を買っているかなど。また反対に、海外を訪れる日本人旅行者の数といった観光にまつわるデータが広く公開されています。
一例として、費目別の1人当たりの旅行消費額の内訳を示した次の円グラフを挙げます。
日本政府観光局(JNTO)より
一見シンプルな円グラフのようですが、この円グラフは右側にあるプルダウンリストで、「年」と「国・地域」を自由に選択でき、さらにラジオボタンで「目的」に応じた円グラフを見ることが出来ます。
先ほど挙げた円グラフはアメリカの旅行消費額ですが、試しにプルダウンから中国のデータを見てみましょう。
日本政府観光局(JNTO)より
2つの円グラフを見比べると、全く異なる内訳となっていることがわかります!アメリカの旅行者は宿泊費にお金を多く使っており、一方で中国の旅行者は買い物に多くのお金を費やしています。
例えば、この円グラフから各国の旅行者の消費行動の特徴を読み取って広告のターゲティングに活かしたり、旅行者の特徴に合わせたプランを開発するなどのマーケティング利用が考えられます。
特に海外からの旅行者をターゲットにしている会社には非常に役立つ統計データがそろっているでしょう。
引っ越し時に役立つ?札幌市のTableauデータ
続いては、札幌市が一般財団法人さっぽろ産業振興財団とともに公開している「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA-SMART CITY SAPPORO」です。
札幌市ICT活用プラットフォーム | DATA-SMART CITY SAPPORO
https://data.pf-sapporo.jp/札幌市とさっぽろ産業振興財団が共同運営する「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA-SMART CITY SAPPORO」は、データを活用してイノベーションを創出するための共通基盤として、官民が保有するオープンデータやビッグデータの収集・管理・提供を行っています。また、本サイト掲載データはCKAN標準APIでの活用も可能となっています。
このサイトでは、札幌市が持つデータを中心に、Tableauなどでビジュアライズしたダッシュボードを見ることができます。また、データを公開しているだけではなく、民間企業や個人が取り組むデータの利活用を促進するための窓口としての一面も併せ持っています。
一例として、札幌市内の生活関連施設を地図上で示した次の図を紹介します。
上の図では、札幌市北区でフィルターをかけていますが、エリアごとに生活関連施設がどのくらいあるのかを視覚的に確認することができます。
ライフステージによって重要となる生活施設は異なりますので、地図に表示する生活施設の種類を選択して可視化できる点において、生活者にとって役立つビジュアライズです。
このようなデータを活用すれば、例えば引っ越し時の住居選びなどにも役立つかもしれません。
市政に関わるデータを公開する横浜市
続いては、横浜市が公開している「横浜市オープンデータポータル」です。
このサイトでは、横浜市の統計データだけではなく、気温や降水量、ごみ収集量のデータなどをオープンデータとして公開しています。
参考に、市政への満足度と要望を散布図にした次のビジュアライズを挙げます。
市政への満足度・要望(2019年度)、神奈川県横浜市
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示4.0 国際
(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)
要望と満足度を可視化し、横浜市ができていること・できていないことを市民に明示しています。市民への説明責任を意識した自治体運営が感じられるでしょう。
また、この散布図を見ることによって、市民からの要望が高いにも関わらず満足度の低い左上のプロット項目が、重点的に取り組むべき課題だと分かります。
このように自治体が、要望と満足度を市民にしっかりと調査し、データを可視化していくことで、市民にとって自治体が身近に感じられるようになるかもしれません。
京都の特色を生かすには?
さて、次は京都府が公開している、京都府オープンデータポータルサイト「KYOTO DATASTORE」です。
「KYOTO DATASTORE」では、京都府の暮らしや街づくり・観光や文化といった様々なデータを中心に、オープンデータとして公開しています。
これまで紹介してきたサイトとは少し異なり、文化や観光といったデータがたくさんあり、京都の特色がデータ上に表れています。このサイトからは、観光資源と、駅別の乗降客数を地図データと掛け合わせて表示しているダッシュボードを紹介します。
本ダッシュボードは、地域課題解決の取り組みの一環として2017年に行われた「RESASハッカソンin京都」で使用されたもの。左は「観光資源」のプロット、右は「駅別乗降客数」のプロットとなっています。
右側の駅別乗降客数の図を見ると、人気の観光スポットがあって新幹線の停車する京都駅周辺の駅の利用が極端に多くなっていることがわかります。
一方で、左側の観光資源のプロットを見ると、京都府の上側は多くの観光資源が集結しているにも関わらず、駅の利用客数は非常に少なくなっています。
ここから、京都府の上側の観光地をPRして、新たな京都府の魅力に気づいてもらうことが京都全体を盛り上げていくことにつながるといった施策が考えられます。
この京都府のダッシュボードのように、データを可視化することで、自分たちの都道府県や地域などが持つ新たな可能性を発見できるのも、Tableauでのビジュアライズの魅力です。ダッシュボードはTableau Public上でも公開されており、連載の最終回で紹介した、Tableauで作ったファイルの共有方法の良い活用事例となっています。
▼つくったTableauダッシュボードを公開する方法は下記の記事でまとめています。
Tableauで作ったワークシートをダッシュボードにする!BI初学者がTableauを1から学びます【最終回】
https://manamina.valuesccg.com/articles/1237来年から株式会社ヴァリューズに入社予定の船田くんがTableauを1から学んでいきます。講師はTableauの公式パートナーであるヴァリューズで、Tableauセミナーも行っている若林さん。第5回(最終回)は、地図データを使ったビジュアライズ、ダッシュボードの作成を学びます。Tableauを使って、社内データの活用などを考えている方、ぜひ船田くんと一緒に勉強していきましょう。
地域ごとの生活習慣を可視化する兵庫県のデータ
続いては、兵庫県の公開しているオープンデータです。
この兵庫県のサイトでは例えば、兵庫県内の新型コロナウイルスの感染状況をはじめ、様々な情報を発信すると同時に、非常に多くの統計データを公開しています。
特に健康に関するデータがたくさん揃っている印象を受けました。参考として、神戸市中央区の特定検診や生活習慣のデータが、兵庫県全体に対してどのように異なっているかを示した下のダッシュボードを紹介します。
ダッシュボードを見ると、県全体に比べ神戸市中央区では女性の喫煙者や朝食を食べない人が男女ともに多いことが、すぐにわかります。また、死因として男性の肝臓ガンが多くなっており、重要な示唆のように思われます。
このように、市町村単位でなりやすい病気などが把握できるようになると、それに応じた病院の設置や、病気になる前に検査を各市町村が促すことで、病気の早期発見につながり、多く人の命が救われるかもしれません。
また、同じく兵庫県の情報企画課もTableau Public上で様々なダッシュボードを公開していますので、是非チェックしてみてください。
神戸市の人口が少ない地域に外国人居住者が多いのはなぜ?
最後に、神戸市が公開している「Open Data Kobe」を紹介します。
このサイトでは、「子育て・教育」や「交通」といったデータをはじめとして、神戸市に関するデータを誰でも利用することができます。
また、本サイト内にある「アプリマーケット」では、神戸市のオープンデータを活用したサービスやアプリの事例が紹介されており、オープンデータの活用方法の参考になります。
オープンデータの一例としては、神戸市の各区の主要指標の相関関係を表したダッシュボードを取り上げます。
上のダッシュボードは、人口と外国人住民数の相関関係を示しています。
左上の図を見ると、少し強い負の相関関係があることが分かり、人口が多い区ほど外国人住民数が少ないという関係性が見えてきます。
1つの可能性として、神戸が工業地帯として栄えていることが考えられます。工場が建設されている場所の付近に住宅はあまりないため、人口は少なくなります。一方で、工場に働きに来た外国人労働者は、工場の近くの住宅に住むことが多いと推察されます。結果、人口が少ない区ほど、外国人が多く住んでいるという結果が出たと考察できそうです。
このように、いろいろな指標で各地域を比べ、その背景にある関係性を考えるのは面白いかもしれません。
まとめ
ここまで、国や自治体がTableauを活用してデータをビジュアライズし、公開をしているサイトを色々と紹介させていただきました。Tableauの活用と一口に言っても、様々なビジュアライズの方法があることがわかったと思います。
Tableauに関してだけではなく、データの可視化においては、何を伝えたいのかを明確にしてビジュアライズをすることが非常に重要です。特にダッシュボードでは、たくさんの情報を表すことが可能です。閲覧者にとっては何を示したいのかが分かりづらくなってしまうことがあり、注意が必要でしょう。
一方で、利用者が操作することで自分の欲しい情報を選択できるのは、ダッシュボードの大きな利点です。Tableauでのデータ可視化の上では、メッセージ性とカスタマイズ性のバランスが非常に重要になるでしょう。
また、データに応じて最適なビジュアライズ方法は変わります。その点、Tableauは簡単に様々なビジュアライズを試すことができるので、その時々に最適なデータの可視化をすることができそうです。
ぜひいろいろな場面でTableauを活用してみてはいかがでしょうか!
▼本メディア・マナミナを運営するヴァリューズではTableauの導入支援サービスも提供しております。「Tableauを利用してみたいけど、どのように可視化すればよいのか分からない」などのお悩みをお持ちの方は、お気軽に下記お問合せフォームよりご連絡ください。
2021年4月ヴァリューズに新卒入社。
大学でデータ分析について学びながら、ヴァリューズでインターンとして働いていました。