こんにちは。ヴァリューズデータ分析チームの安藤です。 普段の業務では、データアナリストとして大手広告代理店やECサイトを運営する事業会社と調査を行ったり、クライアントが保有する購買データや位置情報データなどの分析・可視化の支援などを行っています。
本記事では、メモツールをテーマにアプリ行動ログを分析した事例を共有させていただきます。「Evernote」「OneNote」「ToDoist」「Notion」「Simplenote」「Dropbox Paper」の6つのアプリを対象として、行動ログを分析しました。
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メモアプリのユーザー数でもっとも多いのはEvernote
まず、今回の調査で分析対象としたアプリの2021年における基本的な指標として、月平均の推計インストールユーザー数と起動ユーザー数、1ユーザーあたりの月次平均アプリ起動回数について、弊社が保有する行動ログデータから推計していきたいと思います。
表1:メモツールの基本指標
利用が最も活発なアプリは「Evernote」であることが分かります。
アプリを起動しているユーザーの数は2位の「OneNote」と比較して倍以上という結果が示されています。
また、ユーザー1人当たりの起動回数を見てみると、「Simplenote」が対象アプリの中では最も多い傾向にあることが分かりました。一方、インストールユーザー数が最も少ない「Dropbox Paper」はユーザー1人当たりの起動回数も対象アプリの中では最も少ない結果となっています。
月次起動ユーザー数推移でNotionの成長ぶりが明らかに
次は、起動ユーザー数にフォーカスして、各アプリの月次の推移を見ていきたいと思います。
表2:メモツール起動ユーザー数の月次推移
表2では、2020年1月〜2021年12月までを対象期間としています。
最も顕著な特徴として「Notion」を利用するユーザーが2020年12月あたりを境に大幅に増加してきていることが読み取れます。
新興のサービス「Notion」はメモツールだけに収まらない多機能なサービスとして、昨年ごろから人気があがっています。長年サービスを継続している他のサービス(「Evernote」や「OneNote」など)と比較するとまだユーザー数は少ない現状ですが、今後もサービスが浸透し、ユーザー数も着実に増加していくことが考えられます。
▼関連:マナミナでのNotion調査記事
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対照的に「Dropbox Paper」は対象期間を通してユーザー数が減少傾向にあることも読み解けます。特に2020年下旬から2021年上旬にかけてユーザー数が減少している様子です。
次に、各アプリの利用ユーザー数を四半期ごとに集計し、昨対比を折れ線グラフで示したデータを見てみましょう。
表3:メモツール起動ユーザー数の昨対変化
前述したように、こちらのデータからも「Notion」の急成長ぶりがよみとけます、特に2021年の1Qは昨年と比較して10倍近くユーザー数が増加している様子も見受けられます。
一方、「Notion」以外のアプリでは、2020年から2021年にかけて、軒並みユーザー数が減少している傾向が読み解けます。対象アプリの中で最もユーザー数が多い「Evernote」に関しても2021年は平均して約-20%程度ユーザー数が減少している様子が見られました。
「Simplenote」は2020年4Qから2021年3Qにかけて前年比がマイナスとなっていましたが、直近の2021年4Qには回復している様子が見受けられます。
NotionとTodoistで若年層割合が高い
ここまでは各アプリの利用者数に注目して分析してきましたが、ここからは、それぞれのアプリを利用しているユーザーの属性にフォーカスして分析を進めていきたいと思います。表4では、それぞれのアプリにおけるユーザーの年代別の構成比率を示しました。
表4:メモツールアプリ利用者の年代構成比率
全体を通して、20〜30代のユーザーが多くなっている傾向が読み取れますが、特に「Notion」「Todoist」のアプリ利用ユーザーで特徴的に若年層の割合が高い傾向が見られます。
「Notion」では対象サービスの中でも軒並み20代のユーザー割合が高く、50%以上のユーザーを20代が占めていることが示されています。新興のサービスであることから、若者を中心に利用が進んでいることが考えられます。
一方、近年ユーザー数が減少している傾向にある「Dropbox Paper」では若年層のユーザー割合が最も低い傾向が見られ、40代の割合が3割以上となっており、対象アプリのなかで最も利用ユーザーの年齢層が高い様子が読み解けます。
次に、表5ではそれぞれのアプリを2021年に利用したユーザーの職業別の構成比率を示しています。
表5:メモツールアプリ利用者の職業構成比率
総じて「会社勤務(一般社員)」の属性がボリュームゾーンとなっている傾向が見られます。
特徴的なポイントとしては、「ToDoist」「Notion」は学生の割合が比較的高くなっていることや、「Dropbox Paper」において会社経営者の割合が高くなっていることなどが読み解けます。
Notionが勢いを増し、Evernoteは押され気味か
最後に本記事での分析をまとめます。
まず、人気メモツールアプリの中では、長年サービスを継続している「Evernote」「OneNote」を依然として多くのユーザーが利用していることが分かりました。ただし、「Evernote」などの人気サービスは近年利用ユーザーの減少が起こっており、特に2020年の後半ごろからその傾向が顕著に現れていると言えます。
一方で、新興のサービス「Notion」は現状での利用ユーザー数は多くはありませんが、近年大幅にユーザー数が伸びてきていることが分かりました。特に20〜30代の若年層のユーザーは「Notion」などの新興サービスを利用する傾向が強いようです。
今後とも各アプリの動向には要注目です。今回の分析をぜひご自身の業務に活かしてみてください。
▼ヴァリューズではWeb行動ログデータを活用した市場動向/競合分析を得意としています。興味をお持ちの方は下記ボタンよりお気軽にご相談ください。
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同志社大学商学部商学科卒業後、新卒でヴァリューズに入社。
データアナリストとして大手広告代理店やECサイト、化粧品業界などを担当。
ヴァリューズのWEBログデータの分析だけでなく、購買データや位置情報データなどの分析・可視化や活用支援も行う。