5月の急上昇アプリランキングを調査
まず、アクティブユーザー数の前月比が高い順にアプリをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
2020年5月の急上昇アプリランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
前月比は驚異の760%「マイナポータルAP」が急上昇1位
それでは早速、ランキングの1位から3位までを詳しく見ていきましょう。
■1位:マイナポータルAP
1位はマイナンバーカードを利用するためのアプリ「マイナポータルAP」でした。アプリの概要を以下にまとめます。
運営:内閣府番号制度担当室
特徴:マイナポータルを利用するためのアプリケーションソフトウェア
リリース:2017年10月
では次に、このアプリのユーザー数の推移を見ていきましょう。
「マイナポータルAP」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
マイナポータルAPのユーザー数は約514万人、前月比+約761%となっています。4月までのユーザー数は約60万人でしたので、驚異的な伸び率だとわかります。
特別定額給付金のオンライン申請は、こちらのマイナポータルAPを利用して行います。10万円給付金のオンライン申請をする人が殺到し、アプリの急上昇につながったと考えられます。
■2位:バローグループ・ルビットアプリ
2位にランクインしたのは、バローグループ店舗の買い物アプリ「バローグループ・ルビットアプリ」でした。概要は以下の通りです。
運営:VALOR HOLDINGS CO., LTD.
特徴:バローグループのチラシやクーポンが確認できる
リリース:2019年8月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「バローグループ・ルビットアプリ」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
バローグループ・ルビットアプリのユーザー数は約49万人、前月比+約204%でした。
中部地方を中心に展開するドラッグストア「V・ドラッグ」を展開するバローグループは、5月18日〜 5月22日までこちらのアプリを使ったマスクの抽選販売を実施しました。マスクの品薄が続いた5月は、シャープのマスク抽選販売が倍率は100倍以上になるなどマスク需要が高騰。こうしたマスクの抽選販売がインセンティブとなり、ユーザー数増加につながったと考えられます。
■3位:IKEA
3位は北欧発の家具量販店「IKEA」の公式アプリでした。アプリの概要は以下の通りです。
運営:Inter IKEA Systems B.V.
特徴:自宅でイケア商品の購入ができる
リリース:2020年4月30日
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「IKEA」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
これは4月末にリリースされたIKEAの新しいアプリ。以前のアプリ「IKEA Store」は主にイケア店舗内での買い物をサポートするものでしたが、本アプリではアプリ上で購買を完結できます。キャンペーンやクーポンなどのプロモーションは確認されなかったため、IKEAのブランド認知度によってインストールするユーザーが増えたと考えられます。
また、オンラインで家具を買い物したいユーザーが増えたことも急上昇の要因のひとつでしょう。IKEA公式が提供する買い物アプリは、新型コロナウイルス感染拡大によって外出を控え家で過ごす時間が増えたユーザーの「店に気軽に行けない」「家具にこだわりたい」というニーズにマッチしたのではないでしょうか。
その他上位にはこんなアプリがランクイン
上位には新型コロナウイルスの影響と思われる健康アプリやオンラインショップアプリなどがランクインしていました。いくつか紹介していきます。
■6位:アスマイル
6位にランクインしたのは、大阪府の健康サポートアプリ「アスマイル」でした。概要は以下の通りです。
運営:大阪府
特徴:健康活動の記録/健康活動によりたまったポイントで抽選に参加できる
リリース:2019年1月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「アスマイル」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
アスマイルのユーザー数は約432万人、前月比+約134%でした。
運営主である大阪府は、5月中旬に厚生労働省と共同で、府民を対象として新型コロナウイルスに関する抗体保有状況調査を実施しました。
この時、アスマイルに登録することが抽選の必須事項になっていました。この抗体検査は定員の約19倍、5万7000人の応募が集まるなど大きな反響を呼び、これが急上昇の要因の大きなひとつだと考えられます。
■7位:モバイルレジ
7位はモバイル決済ができるサービス「モバイルレジ」でした。概要は以下の通りです。
運営:モバイルレジ
特徴:カメラで請求書に印刷されているバーコードを読み取ることで決済できる
リリース:2018年4月
では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。
「モバイルレジ」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
バーコードをカメラで読み取り、公共料金の支払いなどの支払いができるアプリがモバイルレジ。5月のユーザー数は約28万人、前月比+約128%でした。
5月は市民税・県民税や自動車税などの納税のタイミングでした。マナミナで取り上げた5月の急上昇サイト記事でもYahoo!公金払いがランクインしていましたが、コロナ禍によるオンライン決済ニーズも高まり、税金の支払いのためにアプリ利用ユーザーが急増したと考えられます。
■9位:Tokyo Disney Resort App
最後にご紹介するのはオリエンタルランドが提供する「Tokyo Disney Resort App」です。概要は以下の通りです。
運営:Oriental Land Co.,Ltd.
特徴:東京ディズニーリゾートの公式アプリ
次にユーザー数を見ていきましょう。
「Tokyo Disney Resort App」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
上図から、2月以降にユーザー数が減って再び回復したことがわかります。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーは新型コロナウイルスの影響により2月末から臨時休園になっていました。そのため、入園する機会がなくアプリの起動ユーザーが減っていたと考えられます。
しかし、オリエンタルランドは5月末に両パークで購入できるグッズのオンライン販売を始めました。これは、Tokyo Disney Resort App をダウンロードし、アカウントを登録すると誰でも購入できるというものです。新型コロナウイルスの影響で臨時休園となり、オンライン上にグッズ購入のプラットフォームを設けたことがアプリユーザー増加に貢献したのではないでしょうか。
(参考:『「7時から全然つながらない」「ショップ入れなくて泣きそう」東京ディズニーランド&シーのグッズにアクセス殺到』)
まとめ
最後に5月の急上昇アプリと、アクティブユーザー増加の背景を振り返ります。
1位の「マイナポータルAP」は特別定額給付金のオンライン申請をする人が殺到し、ユーザー数の増加に繋がったと推測できます。
一方で、2位にランクインした「バローグループ・ルビットアプリ」は、マスクの抽選販売をフックに集客に成功したと言えます。また、3位にランクインした「アスマイル」も抗体検査をフックにユーザー数を伸ばしたと考えられます。
公式アプリや買い物アプリも目立ちました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ユーザーのネットショッピングの利用が増加し、公式サイトも続々とオンライン販売を始めたことが影響していると考えられます。特に「IKEA」と「Tokyo Disney Resort App」はオンライン販売をアプリ上で開始し、根強いブランド力によって利用者数を伸ばしたと言えるでしょう。
本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。
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