ロックダウン前後の中国人の行動・消費意識変化を調査 ~ 休日の過ごし方は“ネットショッピング”が継続1位

ロックダウン前後の中国人の行動・消費意識変化を調査 ~ 休日の過ごし方は“ネットショッピング”が継続1位

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、中国の20~40代の男女1,071人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大およびロックダウンによって中国人の消費意識がどのように変化したのかアンケート調査を実施しました。


調査・分析概要

中国本土の大手市場調査会社モニター会員の協力のもと、2020年6月16日~2020年6月22日にアンケート調査を実施。(回答者1,071人 ※性年代で均等割付)

新型コロナウイルスが及ぼした中国人の生活習慣・意識変化とは

新型コロナウイルスの影響で意識し始めたことを「飲食」「衛生面」「ライフスタイル」「金銭感覚」の各カテゴリーで調査しました。まず「飲食」では、健康維持に関する項目が多く意識されるようになるなかで、ロックダウンの影響か「外食をしないようにする」46.6%で1位となりました。

次に「衛生面」では、マスク着用、手洗い、ソーシャルディスタンスなど日本でも多くの人が意識するようになった項目が上位を占めるなか、「うがいをする」は21.5%と低水準に留まりました。

「ライフスタイル」では「運動・ストレッチ・筋トレを定期的に行う」と「睡眠を十分にとる」を約半数の人が意識し始めたようです。「金銭感覚」では経済的な不安からか多くの人が節約や計画的なお金の使い方に意識を向けていました。

新型コロナウイルスの影響で意識し始めたこと

新型コロナウイルスの影響で意識し始めたこと

次に、ロックダウン前~ロックダウン解除後での土日・休日の過ごし方を調査しました。外食や買い物、ウォーキングなどがロックダウン前の水準に戻っていない一方、「インターネットショッピング」は期間を通して高水準を保ちロックダウン解除後は56.6%で1位となりました。

ロックダウン解除前後の土日・休日の過ごし方

ロックダウン解除前後の土日・休日の過ごし方

ロックダウン中に利用されたメディア、サイトとは

ロックダウンのさなかに利用されたメディアやサイトを調査したところ、SNS系、ニュース情報系、動画サイト系、ショートムービー系媒体は、利用率や利用時間増加者の割合が高くなっていました。

そのうち新規利用者率でみてみると、ニュース情報系、ショートムービー系媒体は約半数が新規に利用を始めた人という結果に。新型コロナウイルス関連情報を得るためにニュースを確認したり、長い在宅時間で抖音(Tiktok)などショートムービーサービスを新しく始める人が増えたようです。

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況

利用者を性年代別にみてみると、SNS系ではWeChatでほとんどの年代で利用時間が増加していました。

また、ショートムービー系では抖音や快手(Kuaishou)が40代の新規利用者率が高く、若者以外の層も利用を始めたようです。動画系では、20代が利用時間を伸ばしており、なかでも哔哩哔哩(ビリビリ/Bilibili)は他性年代の2倍以上も20代の利用が増えていました

レシピ系では、女性20~30代の新規利用が多くなっていました。

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況(性年代別①)

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況(性年代別①)

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況(性年代別②)

ロックダウン解除前後のメディア・サイト利用状況(性年代別②)

ロックダウン解除で外出に必要な商品の購入が回復傾向

ロックダウン中に購入が増えたものを聞くと、トップ3は「日用品(掃除用品など)」48.6%、「医薬品・サプリメント」45.8%、「お菓子・おやつ」42.6%となりました。

在宅で生活必需品が、コロナ禍で医薬品の需要が高まるなか、お菓子やおやつなどの嗜好品を楽しむ人の割合も高くなっていたようです。またロックダウン解除後に購入したものとしては、外出が可能となって需要が増えたと思われる「服・カバン・靴」が30.5%で1位になっていました。

ロックダウン中、解除後に購入が増えたもの

ロックダウン中、解除後に購入が増えたもの

ヴァリューズが独自で定義した“揺戻率”というロックダウン解除前後の購入回復傾向の指標でみてみると、同じく「服・カバン・靴」が1位になったほか、「化粧品・コスメアイテム」が2位となり、外出で人前に出ることに対して準備をしている様子がみてとれます。

ロックダウン中に購入が減少、解除後に購入が増えたもの(揺戻率)

ロックダウン中に購入が減少、解除後に購入が増えたもの(揺戻率)

次に、ロックダウン解除後に検討・購入した商品の産国を聞くと、全ての項目で中国産が1位となりましたが、多くの項目で2位に日本産がランクインしていました。

ロックダウン解除後に購入・検討した商品の産国

ロックダウン解除後に購入・検討した商品の産国

中国EC利用率はトップ3サイトが他を大きく引き離す結果に

ロックダウン解除後も利用し続けている中国のECサイトを聞くと、1位「淘宝(Taobao)」67.9%、2位「天猫(Tmall)」60.5%、3位「京东(Jingdong)」59.2%となり、トップ3が他サイトの利用率を大きく引き離す結果となりました。

4位にランクインした拼多多(Pinduoduo)はロックダウン中の新規利用率が最も高く、コロナ禍で利用者を伸ばしたようです。なお越境ECサイトとしては5位にランクインした「天猫国际(Tmall国際)」28.6%が最高位となりました。

ロックダウン解除後も利用しているEC、ロックダウン中のEC新規利用率

ロックダウン解除後も利用しているEC、ロックダウン中のEC新規利用率

次に、ECサイトで購入した商品の産国を聞くと、中国産はロックダウン前の水準にまで戻っている一方、他国産は2位の日本産でも回復率が65.3%と、完全に購入が戻るのにはもう少し時間がかかりそうです。

新型コロナ影響下でECで購入した商品産国

新型コロナ影響下でECで購入した商品産国

新型コロナ収束後には65.9%が海外旅行を希望

新型コロナウイルス影響収束後に海外旅行に行きたいかを聞くと、65.9%が「海外旅行に行きたい」と回答し、高い旅行意欲をみせました。また、行きたい国としては、他国を大きく引き離し1位が「日本」25.8%となりました。新型コロナ影響が広がる前からの人気を継続しているようです。

新型コロナ収束後の海外旅行実施意向

新型コロナ収束後の海外旅行実施意向

新型コロナ収束後の海外旅行希望国

新型コロナ収束後の海外旅行希望国

調査レポートダウンロード【無料】

中国市場における「新型コロナウイルス前後の行動・意識変化に関する調査」レポート

資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

中国人の消費、Web市場の実態がわかる!中国市場調査サービスについて

ヴァリューズの中国市場調査サービスでは、本調査の内容に限らず中国人の消費生活全般について様々なテーマのマーケティング調査をご提供いたします。中国人の行動・意識に関する定量調査、定性調査、ECモール上での購買状況データの販売もおこなっているほか、過去の調査結果をふまえた中国市場セミナーも定期開催しております。

関連記事

中国におけるアフターコロナのネット利用・購買行動を探る|中国市場セミナーレポート

https://manamina.valuesccg.com/articles/957

日本国内では、依然として感染拡大の収束が見えない新型コロナウイルス。第3波が懸念されている中国では一定の収束が見られるものの、局地的に感染が発生したケースもあるようです。生活様式の変化だけでなく、経済活動にまで甚大な影響をもたらし続けている今、中国市場でもどのような変化があったのでしょうか。今回はロックダウン前後の中国人のネット利用や購買行動などの変化に焦点を当て、株式会社ヴァリューズがアンケート調査にもとづき開催したオンラインセミナーをレポートします。

緊急事態宣言解除後の消費者行動&実施時期を調査 ~ 日用品・化粧品のEC利用や出前・宅配は 約7割がアフターコロナでも継続意向

https://manamina.valuesccg.com/articles/931

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、国内の20歳以上の男女25,382人を対象に、新型コロナウイルス感染拡大後から緊急事態宣言解除後までの消費意識の変遷、そしてアフターコロナにおける消費意欲およびその実施時期に関するアンケート調査第二弾を実施しました。

コロナ禍による失業解決策として屋台の出店が推奨された中国。「歩道で営業禁止」から一転。

https://manamina.valuesccg.com/articles/910

新型コロナウイルスの感染が収束しつつある中国で、地方政府が消費喚起策、失業解決策に相次いで動いています。具体的な施策の一つとして、中心部の歩道で屋台を出店することが推奨されました。これまで環境に悪影響を与えるため、禁止になっていた歩道での屋台出店は今、上海、済南、南寧を初めとした27以上の都市で解禁され、服や雑貨などを売る個人の出店や飲食の屋台が歩道で溢れています。さらに、中国の最大規模のSNS「Weiboウェイボー」で屋台経済が急上昇ワードとなり、新型コロナウイルスの影響で大幅に増加した失業者が屋台の経営者と一変し、一つの町だけで10万人ほどの雇用を生み出しました。屋台経済の復興は、コロナ後の景気回復に向けた奇策と言えます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


ペットと人が共に暮らす時代〜中国で広がる“ペット・フレンドリー”

ペットと人が共に暮らす時代〜中国で広がる“ペット・フレンドリー”

中国ではいま、「ペット・フレンドリー(宠物友好)」という考え方が急速に広がっています。カフェやホテル、交通機関からオンラインプラットフォームまで、人とペットが共に過ごすことを前提にしたサービスが次々と登場しています。この記事では、拡大を続ける中国のペット市場と、その背景にある価値観の変化を中心に、ペットと共に過ごす空間や新しいテクノロジーの動きをたどっていきます。


中国の若者の新たな社交方式「无料〜無料グッズ交換」とは?

中国の若者の新たな社交方式「无料〜無料グッズ交換」とは?

中国の若者の間で近年広がっている「无料(むりょう)」文化。日本語の「無料」という単語がもとになっているこの言葉は、コンサート、音楽フェス、映画祭、ミュージカルなどといったオフラインのリアルなイベントの場において、ファンたちが自作したグッズを無料で交換・配布する現象のことを指します。この記事ではこの独特な文化を深堀りし、その背景と共に人々がどんなグッズをどのように交換してこの体験から何を得ているのかを紹介します。


より早いスピード感xディスカッション会!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」ワークショップ機能のご紹介【第4回】

より早いスピード感xディスカッション会!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」ワークショップ機能のご紹介【第4回】

トレンドの変化が速い、と言われている中国市場。「最近、中国市場の変化が掴めない。言語の壁もあり、中国人生活者の考え方がよくわからない。」というのも多く耳にします。従来の調査には1ヶ月以上の時間が必要ですが、Web調査ツール「ValueQIC(ヴァリュークイック)」なら、定量調査のほかに、動画を介して、迅速に、中国人の実態調査を実施することが可能です。 第4回は、ワークショップ機能の特徴を事例とともにご紹介します。


中国EV市場 〜 爆発的成長の裏で進行する4つの課題

中国EV市場 〜 爆発的成長の裏で進行する4つの課題

中国の電気自動車(EV)市場は、販売台数で世界トップを誇り、街には新ブランドの車があふれています。価格競争も激しく、「誰でもEVを買える時代」が到来したかのように見えます。しかし、その華やかな表舞台の裏では、値下げ合戦による収益悪化、生産過剰による中小メーカーの淘汰、中古市場の急拡大、そしてバッテリー寿命という深刻な課題が同時進行しています。本記事では、この急成長市場を揺るがす4つの課題を整理し、今後の行方を探ります。


高まる健康意識!中国サプリメント市場が需給共に拡大中

高まる健康意識!中国サプリメント市場が需給共に拡大中

2024年、中国では65歳以上の高齢層が2.3億人を突破し、高齢化がますます加速しています。さらに健康意識の高まりや生活の質を追求する動きが重なる中、高まってきた需要の一つがサプリメントです。この記事では、サプリメントの市場動向と注目製品を紹介します。


最新の投稿


約7割が再来店につながらず...単発購入で終わる顧客が増加傾向?小売業のリピーター獲得に立ちはだかる壁とは【iTAN調査】

約7割が再来店につながらず...単発購入で終わる顧客が増加傾向?小売業のリピーター獲得に立ちはだかる壁とは【iTAN調査】

株式会社iTANは、小売店経営者・店舗責任者・マーケティング担当者を対象に、「小売業界における再来店促進と顧客接点の実態」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


ペットと人が共に暮らす時代〜中国で広がる“ペット・フレンドリー”

ペットと人が共に暮らす時代〜中国で広がる“ペット・フレンドリー”

中国ではいま、「ペット・フレンドリー(宠物友好)」という考え方が急速に広がっています。カフェやホテル、交通機関からオンラインプラットフォームまで、人とペットが共に過ごすことを前提にしたサービスが次々と登場しています。この記事では、拡大を続ける中国のペット市場と、その背景にある価値観の変化を中心に、ペットと共に過ごす空間や新しいテクノロジーの動きをたどっていきます。


「1円スマホ」の購入経験者は約1割も、機会があれば利用したい人は約5割と利用に前向きな姿勢あり【イード調査】

「1円スマホ」の購入経験者は約1割も、機会があれば利用したい人は約5割と利用に前向きな姿勢あり【イード調査】

株式会社イードは、スマートフォンやデジタルライフについてユーザー目線で最新情報をお届けするメディア「LiPro(インターネット)」において、1円スマホに関心のあるユーザーを対象に「1円スマホ」に関する関心・意向についてアンケート調査を実施し、結果を公開しました。


新興テック企業「Nothing」。2年で7倍成長の理由を世代別に分析

新興テック企業「Nothing」。2年で7倍成長の理由を世代別に分析

ロンドン発、今注目のテクノロジーブランド「Nothing(ナッシング)」。2020年の設立以来、スマートフォンやオーディオ製品を中心に、透明感ある唯一無二のデザインと高い性能で、多くの大企業がひしめくテック業界で急速に存在感を高めています。そんな革新的なNothing製品は、どのような人々に支持されているのでしょうか。本記事では、Nothingのサイト訪問者データをもとにユーザー像を分析し、なぜNothingが注目を集めているのかを年代別に考察していきます。


電通デジタル、リテールメディアが生活者にもたらす購買行動とブランド指標への影響についての調査結果を公開

電通デジタル、リテールメディアが生活者にもたらす購買行動とブランド指標への影響についての調査結果を公開

株式会社電通デジタルは、生活者のリテールメディアへの接触が購買行動およびブランド認知に与える影響を明らかにするため、「2025年 リテールメディア調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ