コロナ禍による失業解決策として屋台の出店が推奨された中国。「歩道で営業禁止」から一転|中国トレンド調査

コロナ禍による失業解決策として屋台の出店が推奨された中国。「歩道で営業禁止」から一転|中国トレンド調査

新型コロナウイルスの感染が収束しつつある中国で、地方政府が消費喚起策、失業解決策に相次いで動いています。具体的な施策の一つとして、中心部の歩道で屋台を出店することが推奨されました。これまで環境に悪影響を与えるため、禁止になっていた歩道での屋台出店は今、上海、済南、南寧を初めとした27以上の都市で解禁され、服や雑貨などを売る個人の出店や飲食の屋台が歩道で溢れています。さらに、中国の最大規模のSNS「Weiboウェイボー」で屋台経済が急上昇ワードとなり、新型コロナウイルスの影響で大幅に増加した失業者が屋台の経営者と一変し、一つの町だけで10万人ほどの雇用を生み出しました。屋台経済の復興は、コロナ後の景気回復に向けた奇策と言えます。


Weibo(ウェイボー)で#屋台経済#が急上昇ワードに

まず、どんな人が屋台の出店者であるか、かつて「違法」とみなされた屋台経済の復興に対して、人々がどんな反応を示したのかについて調べてみました。

屋台の出店者は、果物を売る農民、「煎饼果子(ジィエンビングオズ)」(中華クレープ)などの食べ物を売る高齢者住民、服や雑貨を売る会社員まで様々な属性があります。

鄭州市のある工芸品を売る屋台主によると、会社員である彼女は、副業として屋台を経営し、1日で1000元(15,000円)の収入を得られています。

果物の屋台

工芸品の屋台

工芸品の屋台

人気な屋台軽食「煎饼果子(ジィエンビングオズ、中華クレープ)」

2020年6月、Weibo(ウェイボー)で、#屋台経済#が急上昇ワードとして挙げられ、「屋台でどんな商品を売るか」という話題が大勢の人に関心を持たれています。

24,000人が回答した結果、「小吃(シャオチー、軽食)」が最も人気であり、その次に「雑貨」と答えた人が多くなっていました。

また、インターネットの普及により、屋台の様子をライブ中継で消費者に届けることもできるようになりました。ライブ中継をすることによって、自分の屋台の魅力を伝えることができ、屋台の復興に対して好印象を持つ消費者が増え、売上にも繋がります。

つまり、コロナの影響で閉じこもる生活を送ってきた人々が屋台を「手っ取り早く雇用を生む、収入を得る」施策として捉え、屋台経済を支持する人が多数派でした。

一方で、屋台経済の復興に対して、「人が密集した場所なので、コロナ感染再発の心配がある」、「地域によって全然違う管理策があり、管理が疎かになった地域では衛生的、環境的問題が発生する」と反対の声もありました。

これからの屋台経済の展開にあたって、営業時間、場所などに関する地方政府と経営者との交渉、「ルールの統一化」が求められます。

Weibo(ウェイボー)での反応

人気の屋台「孟婆湯」とは?

次に、人気を集めている屋台について調べてみました。

河南省鄭州市の「孟婆湯」を売る屋台がWeibo(ウェイボー)で最も話題となった屋台です。「孟婆」(もうば)とは忘却をつかさどる、地府(冥界)の女神です。中国の民間伝説によると、冥界を離れる者は、必ず「孟婆湯」を一杯飲んでから転生し、「孟婆湯」は完全に記憶を失う効果があります。

この伝説とコロナに翻弄され、明るい未来が見えない状況に置かれた人々の焦る心理を生かし、「孟婆湯」の屋台が現れました。

「孟婆湯」の屋台

「孟婆湯」の屋台

「孟婆湯」の屋台を経営する張煜豊さんは1981年生まれのスタートアップ起業家です。「シェアクローゼット」に1500万円投資して失敗した彼は、2年前「佛系卜茶」というミルクティー専門店を経営し始め、「孟婆湯」は元々その店の一つのメニューでした。

しかし、「佛系卜茶」も失敗してしまい、コロナ禍に重ね、生計の維持が困難になった彼は、屋台経済の波に乗り、鄭州市中心部の歩道で「孟婆湯」を売り始めました。

「孟婆湯」は漢方と苦丁茶(くうていちゃ、苦みがある中国茶)を煮込んだお茶であり、飲むと甘味、酸味、塩味、苦み全部味わうことができます。

「孟婆湯」を買うために並んでいる人々

屋台経済のトレンドはインターネットの普及に伴い、「孟婆湯」はWeibo(ウェイボー)で注目され、1時間待たないと買えないほどの人気となりました。

そして、今、「孟婆湯」は無料販売しており、インフルエンサーになった「孟婆」はWeibo(ウェイボー)やTikTokなどのSNSの閲覧量だけで収入を得られています。

「デジタル化屋台」の今後

屋台経済の復興に伴い、小売りやネット企業も屋台の出店をサポートし始め、メーカーが手がける移動販売車の売れ行きも好調となりました。

例えば、EC大手のアリババと京東は屋台経営者に対し仕入れ商品の後払いや補助金などの支援サービス提供を発表しました。

テンセントは5000万人の屋台経営者向けWechat payを通して屋台経営のデジタル化支援を提供し、バイドゥは消費者が屋台の場所を簡単に調べられるように、傘下の地図アプリに屋台経営者による運営場所の登録フローを簡潔化させると発表しました。

RPA、グラウンド、ビッグデータ、キャッシュレス決済などを活用したデジタル化屋台の増加に伴い、屋台経済は今後も存在力を増すのではないかと考えられます。

海外市場データ |中国市場調査サービス|株式会社ヴァリューズ

https://www.valuesccg.com/service/omd/

中国人の消費意識と実態、ECモールやWeb広告の現状、Web行動の実態について把握できるサービスです。 中国人のネット行動をデータベース化。中国市場の実態が分析できる調査サービスを実現!

<参考文献>

「爆红郑州的“孟婆汤”幕后推手是他 」

https://www.sohu.com/a/400935139_167288

「中国地摊经济:后疫情时代全民摆摊能否解决就业难」

https://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-52934118

「話題沸騰「屋台経済」、好調の波にのる中国大手企業ら」

https://www.chaitopi.com/2020/06/08/0882/

「香港株前引け 小反落、利益確定売り 中国露店関連は急騰」

https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0IHK02_U0A600C2000000/

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この記事のライター

中国出身の留学生。慶應義塾大学に在学中。

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