セミナー概要と講演者紹介
【講師紹介】
Tableau Software, LLC Partner Account Senior Manager 青木 隆夫 氏
2016年にTableauに参画依頼以来、日本におけるパートナーエコシステムを強化すべく日々邁進中。2019年にはデータ界隈のトレンドをカジュアルにお届けするメディア“Data Friday”のパーソナリティも務めた。
株式会社ヴァリューズ 事業企画局 マーケティングコンサルタント 若林 広樹
システムベンダーに入社しBIツールを使ったシステム構築やデータ分析の他、顧客向けのトレーニングやセミナー講師を担当。その後、WEB系事業会社のWEBマーケティングの担当として新規顧客獲得や広告運用の業務を担当した後ヴァリューズに入社。 現在はお客様が持っているデータを活用してマーケティングの支援を行う他、WEBマーケティングデータとBI共有プラットフォーム「Tableau」を組み合わせた新たなサービスの開発にも従事。
それでは、オンラインセミナー内容に入っていきます。
■第1部:Tableau Software, LLC 青木隆夫氏
DXとデジタライゼーションの違いとは
新型コロナがもたらした変化は非常にインパクトがあり、これまで当たり前だった生活、同じようなビジネス展開は難しい。これからの時代、重要なことはデジタルトランスフォーメーションです。コロナ禍で、多くの企業がDXやデジタルトランスフォーメーションがより一層進むだろうと語っていますが、果たしてトランスフォーメーションとは何なのか?よくよく考えていかなくてはいけません。
まず、よく勘違いされがちなのですが、デジタルトランスフォーメーションとデジタライゼーションを混同されてしまうことがあります。デジタライゼーションとは、簡単にいうとデジタル化のことであり、デジタルトランスフォーメーションとは全く異なるものです。
例えば、従来紙でやっていたものをWordやExcelやPowerPointなどデジタル媒体に変えていく、これはデジタライゼーションです。ただし、そこには新しい付加価値、バリューはなく、これまでアナログにやっていたものが単にデジタルに変わっただけで、デジタルトランスフォーメーションではありません。
デジタルトランスフォーメーションとは、これまで自分たちがやっていたものをデジタルの力を使って今までにないカタチ、場を生み出してお客様と共に新しいビジネスをつくっていく、バリューをつくっていく、そこまで出来て初めてデジタルトランスフォーメーションといえるのではないでしょうか。
企業がデジタルトランスフォーメーションを果たすために、どのように進めていけばいいのか考えることは難しいのですが、ひとつの考え方として紹介したいこと、それが「データの活用」です。
なぜ、“Data is new oil”と言われているのか
“Data is new oil”は数年前から言われ始めていますが、なぜ“new oil”と呼ばれているのでしょうか?
Oil(原油)は非常に重要な役割を果たしており、また限られたリソースです。日本でもなかなかとれませんが、オイルがとれるような中東諸国ではオイルマネーで潤っています。現代のビジネスで必要かつ貴重なリソースはデータに変わり、データの活用こそがビジネスの成功に非常に重要であると言われているわけです。
データを活用するということがなぜ重要なのかというと、ひと昔前に比べればデジタル化(デジタライゼーション)が進みデータとして記録されることになりました。つまり、データを追いかけたり、分析することができますし、今までみえなかったものがみえてくるということです。
アメリカにあるAmazonGoではレジを置かない無人店舗を行っています。
商品を手にとってレジを通さずにゲートを通るだけ。事前に紐付いているアカウントと消費が紐付き、クレジットカードから買い物ができるシステムです。
ユーザーエクスペリエンスはレジを通らないという体験ですが、販売側からみえるものはどういう人がいつ何時に来て、いつどの商品を買ったのか、そして棚に戻したのかがわかります。
POSデータ(Point of sales)というのは昔からありましたが、それはあくまで買ったデータでしかなく、店内でどう動き、何と何を比較して手に取り、最終的にこの商品を選んだといったデータがとれるようになったのです。
データの力は偉大でこれまで見えなかったものが見えてくるというのは今の話のとおりですが、データに皆さんの「創造力」が加わり、「データ×創造力」となると、新しいビジネスが生まれてくる。データを活用するということが新しい時代を生き抜いていくのに必要な力なのです。
21世紀最もセクシーな職業は”データサイエンティスト”?
ハーバードビジネスレビューには「21世紀最もセクシーな職業はデータサイエンティストである」と掲載されていました。
データサイエンティストとは学術的なアプローチ、統計など高い専門性をもつ人材をイメージすると思います。私たちが簡単になれるようなものではありません。ただし、そこをテクノロジーが解決するようになっています。Tableauの様な製品を使えば、データサイエンティストのような高度な知識ではなく、しっかりデータを見ながらデータと会話し、データを使ってコミュニケーションをとっていける、データを活用し新しい何かを創造していくようなことが重要になるのです。
このスキルを伸ばしていく上でおさえておきたいのが「データリテラシー」です。
まずリテラシーとは何でしょうか。Wikipediaから出典していますが、いわゆる読み書き能力、識字率を指します。日本の識字率はご存知のように非常に高いことで知られています。
一方、データリテラシーはどうでしょうか。日本語のWikipediaで「データリテラシー」と検索しても検索結果がでてきません。しかしながら、英語のウィキペディアにいくと、きちんとでてきます。データリテラシーとはデータを読み、理解し、想像し、情報として伝える能力のことです。
検索結果からも分かるように、グローバルでは既にデータリテラシーという力をしっかりつけてデータを使ったコミュニケーションができる人材が求められるようになってきています。必ず日本にもこの波はやってくると思いますし、既にその様な人材をどう確保していくか検討に入っている経営の方もおられます。
伝えたいことは、データを自分のビジネスの中でいかに活用できるか。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を達成するためには、ビジネスの課題とデータのアプローチ、この両方をもっている人が今後重宝されていくと考えられます。
雇用市場で爆発的に需要が伸びているITスキル
フォーブスが発表した「雇用市場で爆発的に需要が伸びているITスキル トップ10」というものがありました。どのようなものが並んでいるか上からみていくと、1位はビッグデータ(IT)、2位はNode.js(デザイン)、そして3位はタブロー(研究/分析)が来ています。
続いてNoSQL(IT)、アパッチハドゥープ(IT)、HTML5(IT)、パイソン(研究/分析)です。
この中で商用ソフトウエアとして販売されているのは、タブロー、オラクル、セールスフォースとなっており、非常に誇らしいのですが、こうしたソフトウエアを活用し、データリテラシーやデータ×創造力を高めていくことがDX(デジタルトランスフォーメーション)の達成へとつながっていきます。
■第2部:株式会社ヴァリューズ 若林広樹
データ活用例:Tableauを使ってInstagramとTwitterユーザーの比較
ここからは、VALUESが持っているデータを使って、実際にTableau(タブロー)で分析するとどんなものが見えてくるのか紹介していきます。
InstagramとTwitterの2つのアプリを比較し、それぞれどういったユーザー層の違いがあるのかをTableauでみてみました。
Tableauでの分析レポートの例(Instagramユーザー)
上図は【Instagramを月100回以上起動している女性】の方のアクセスデータをTableau上で可視化したものです。左側がサイトランキング、アプリランキング、そして右側のマッピングはInstagramユーザーの興味のあるジャンルを表しています。
まずはサイトやアプリのランキングをみていくと、ZOZOTOWNやGUなどファッション系のサイト、メルカリといったフリマアプリを主に使っていることがわかります。スターバックスや旅行系サイト、美容関係のアプリがよく起動されていることもこの分析結果からわかります。
マッピングをみると、右上が興味関心のあるものを指しているのですが、ファッション、コスメ、ダイエットなど美容系の興味関心が強くなっていて、逆に左下の方をみていくとゲーム、アニメなどサブカルチャー系は興味関心度が低いということがわかります。
Tableauでの分析レポートの例(Twitterユーザー)
次に【Twitterを月100回以上起動する女性】のデータをInstagram同様にみていきます。
こちらの女性のサイトラングを見ると、pixiv(ピクシブ)といった画像系の共有サイトだったり、ブログ系、チケットサイトなどが上位に表示されています。
アプリランキングをみていくと、ニコニコ動画といった動画コミュニティ型サイト、ゲーム系のアプリなどが起動されていることがわかります。
マッピングにも目を向けると、イベント・コンサート、読書などやはりサブカルチャー系への興味関心度が高いことがわかります。
このように、InstagrmとTwitterユーザーをデータから比較してみると傾向が違うということがよくわかります。Instagramの方が美容系ジャンルの興味関心が強く、Twitterの方が漫画、アニメなどサブカルチャー系への関心が強いことがわかります。
ひとくちにSNSでマーケティングするといった際に、インスタやTwitterを一括に考えがちですがデータ分析をしていくとSNSでもユーザー像が違うことが見えてくるかと思います。それぞれのターゲットに対してどうアプローチしていくか、データから企画やアイデアを広げることができるでしょう。
今回は、我々ヴァリューズが持っているデータを使ってTableauで可視化するとこのようなものが見えてくる、という一例をご紹介しました。
ヴァリューズでは具体的にTableauを使った分析のサポートを行っています。Tableauスタートパックという形で、ダッシュボードのテンプレートなど、予めキット化されたものをご提供し、まずはTableauを始めてみるという方の支援をしています。ご興味のある方は、ぜひ下記から資料をダウンロードください。詳しいご案内をお送りさせて頂きます。
セミナー資料をダウンロード【無料】
詳細資料のダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。
■関連記事
DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されるようになった理由のひとつに、経産省のDXレポートがあります。今後、多くの企業でDXの推進されるなか、実際に自社の発展につなげるために必要なこととは?まずは、DXの本質である「ビジネスプロセスの変革」を明確に理解することです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が声高に叫ばれていますが、DXで「革新的なビジネスモデルを生み出す」には既存の組織や業務を大幅に変更する必要があり、手探りの企業も多いのではないでしょうか。基礎知識から組織編成まで、DX推進のノウハウを事例や資料をもとにまとめました。
2018年MRT株式会社に新卒入社。オンライン診療サービス新規事業部に所属し、医師患者医療業界の方の声からオンライン診療情報サイトの重要性を感じ「MedionLife」を立ち上げる。リアルな声を大事にした"web上にいきるbookづくり"を目指し日々奮闘中。料理したり植物を育てたりすることがすきです。マナミナ編集部元ライター。