データマーケティングとは?なぜ重視されるのか
「データマーケティング(=データドリブンマーケティング)」の基本概念は、データ分析を顧客へのアプローチに活かすマーケティング手法です。この手法が重んじられるようになった背景に、Webの発達があります。
Webが発達することで、顧客はリアルとWebを往来しながら、購買を決めるようになりました。いわば、購買決定までのプロセスが複雑化している、と言えます。そのため、データにもとづいたマーケティング施策で、購買の的確性を高める必要があるのです。
データマーケティングの「データ」には、自社で収集・管理しているデータはもちろんのこと、他社保有のデータ、行政が公開しているデータと、対象となる商品、サービスに関するデータ全般を指します。
データマーケティングとは何?効果的な分析で成果を上げる方法とは?
https://manamina.valuesccg.com/articles/513顧客のデータを元にして、マーケティングをするデータマーケティング(データドリブンマーケティング)。マーケティング施策として一般的に活用されている手法です。しかしデータマーケティングが何を指すのか、また本当の必要性は理解できていないという方もおられます。そこでこの記事では、データマーケティングの詳細やメリットを詳しく解説します。
データマーケティングの目的を明確にする
データを統合・連携して分析するデータマーケティングの目的を掘り下げます。
データマーケティングの第一の目的は、まず、多くのデータから顧客行動を可視化し、顧客のニーズを読み取ります。それをきめ細やかなサービスの提供の背景とし、新規顧客獲得、既存顧客のつなぎとめ、単価増加などといった売上向上に必要な行動に転換することになります。
つまり、データ活用によって顧客を理解し、その後に関係性を向上させ、最終的に売上増につなげる、ということです。
データマーケティングによって、単に売上という数字を伸ばすだけではなく、顧客満足度の向上、ひいては企業価値の高まりにも結びつくという別のゴールも意識しておく必要があります。
データマーケティングのメリット
データマーケティングのメリットを大別すると、主に2つあります。
まず、効率のよい販売促進が可能になります。
データを管理して運用=業務効率向上です。具体例としては、社内で散在し、人手で集めていたデータを、ツールによって管理することで工数を削減できます。
データを集めていくほど、施策の精度を向上させられるので、顧客への適切にアプローチできます。つまり、販売促進活動の効率が高まります。
続いて、顧客との関係性向上です。
これまでは、それぞれの担当者が顧客情報を持っていることが多く、担当者が変わるとデータを再収集する必要がありました。しかし、データマーケティングでは一元管理されたデータを活用できるので、社内の誰もが同じ情報を共有できます。
情報の共有は、顧客に対して継続性を持ったアプローチや相手に合わせたサポートをしやすくします。結果として顧客との関係性を強める接し方ができる、というわけです。
実際のデータマーケティングの手順は?
データマーケティングを行う際の手順は、以下の8つのステップに分けられます。
1.目的を明確化する
2.仮説を立てる
3.データを俯瞰し全体像をとらえる
4.データ分析し特徴を捉える
5.その特徴を深堀りする
6.深堀りした結果から戦略を立てる
7.施策を実行する
8.施策の効果を検証する
各ステップの詳細は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ここでは、データの収集と分析という基本について、もう一歩踏み込んで解説します。
データに基づくマーケティングを行う「データマーケティング」。活用方法として想定される「One to One マーケティング」「マーケティングオートメーション(MA)」などはいずれも大量のデータの取り扱いを前提としています。生のアクセスログを行動履歴に整理するなど、データマーケティングにおけるデータ活用のポイントをまとめました。
■データ収集
収集すべき基本的にはデータは、顧客属性となる顧客の年齢、住所、また性別といった「顧客属性データ」と買った物や金額などを集めた「購買データ」です。これらは自社のサービスや商品を購入した履歴をデータとして保存することにより蓄積されます。
こうしたデータが社内の各部署に散在している場合、これらを一元管理できるシステムなどを活用し、データ管理からスタートします。
収集して活用できるデータとして業界の市場動向、アンケート結果があります。マーケティングの対象に収集するデータを選別します。
収集したデータは、ダッシュボードなどを作成して可視化できるようにし、次のステップ「分析」に備えます。
■データ分析
膨大になったデータは、BI(Business Intelligence)ツールを活用すると、見やすく仕分けられます。
データ分析によって、具体的な課題や解決策を見つける……これが着地点になります。仮説を立てられたら、仮説を元にして行動を起こしましょう。
分析できても、実際に解決策を実行するのには、判断を行える立場の人がデータマーケティングを理解している必要もあります。分かりやすく解説できるようにデータを分析し、レポート化するのも大切なポイントです。
データ分析はツール活用で効率UP
データの収集、分析を効率よく行えば、そのぶん本来の目的であるプランの実行速度、回数を増やせます。そのためにはツールによる分析がベストです。
また、データの整理・集計や広告の最適化をツールで自動化できれば、専門知識がない人でもデータマーケティングができます。以下、おすすめのツールを紹介します。
■データの整理・統合段階で使いたいツール3選
Tableau(タブロー)
データの集計、分析やグラフの作成、レポート作成などの機能を備えています。
Tableauについては、こちらの記事も参考になります。
TableauとExcelの違いとは?基本用語からTableauの機能を理解する
https://manamina.valuesccg.com/articles/873マナミナを運営するヴァリューズにも、この4月から新入社員が入ってきました。新型コロナの感染拡大予防のためテレワークで研修を続けています。そんな中、ヴァリューズも導入支援をしているBIツール「Tableau」を学ぶ研修がウェビナーで行われました。そこで編集部が前回に引き続きウェビナーに潜入。Tableauの基本的な用語を学びました。
IM DMP
膨大な量のオーディエンスデータ(属性情報とWeb上での行動ログ)を利用し、様々なマーケティング施策を打ち出す手助けをしてくれます。
IBM SPSS
分析の専門知識が無くても短期間でデータ活用スキルをマスターできるツールです。
データマーケティングに役立つツール7選。DMPや統合ツール、MAをまとめました
https://manamina.valuesccg.com/articles/624コンピューターやインターネット、スマホの普及により大量のデータが集まる時代。この大量かつ複雑なデータをマーケティングに活用するには、高いスキルとノウハウを持った人材、そして多くの時間が必要です。データの整理・集計や広告の最適化をツールで自動化できれば、費用や時間を節約できるとともに専門知識がない人でもデータマーケティングができるようになるメリットがあります。今回は大量のデータを活かすためのデータ統合ツールやマーケティングオートメーションのツールをご紹介します。
ツール導入を足踏みしたり、導入自体をゴールにしてしまい、手段が目的化してしまう状況が多く見受けられます。そうしないためにはどうすべきか? ツールを導入し、データドリブンなマーケティング文化を浸透させているサントリーの事例をチェックしてみてください。
サントリーはDMPで「お客様ともう一度つながる」。Quick-Winで進めるデータ活用とは
https://manamina.valuesccg.com/articles/723プライベートDMP活用までの道のりとこれからをテーマに、ヴァリューズの岩村がサントリーさんにお話しを聞きました。DMPはそもそも導入で足踏みしてしまったり、導入自体がゴールとなって手段が目的化してしまったりすることも多い状況です。サントリーさんの事例から、データドリブンなマーケティングの文化を浸透させていく方法を探ります。
■データ分析を効率よく行えるツール4選
データマーケティングにおいては取り扱う情報の量が桁違いに多くなるため、ツールで自動的に最適化する「マーケティングオートメーション」が必要になります。
ツールの選定、導入する際には以下の3項目をチェックしておく必要があります。
1.BtoB向けなのかBtoC向けか?
組み合わせによって使うべきツールは異なる点を留意しておく必要があります。
2.使いたい機能が搭載されているか?
必要な機能を明確化し、無駄なコストになる使わない機能が多いものを省きます。
3.誰でもデータを使えるか?
プログラミングなどの専門的なスキルがない人でも、使えるツールを選定し、ツール導入の最大のメリットであるヒューマンリソースの無駄をなくす、を重視します。
Pardot(パードット)
Webトラッキング、エントリーフォーム制作といった基本的な機能はもちろん、マーケティング結果を遂次レポーティングできるのが最大の特徴です。
SATORI
自社サイトを閲覧中の見込み客にポップアップを表示し、コンバージョンを促すなどの機能のほか、見込み客の属性に合わせて最適化したコンテンツの表示も可能です。
Oracle Marketing Cloud
CMSとの連携でリードジェネレーションを効率的に獲得し、そこからニーズを詳細に解析して成約に結び付けます。
Adobe Marketing Cloud
蓄積された、リードに関する膨大なデータソースを独自のDMP(データ管理プラットフォーム)で一元的に管理し、リードナーチャリングを有効に行います。
データ分析に必要な組織づくり
マーケティング戦略の仮説を立てて調査し、実行後検証するサイクルを高速に回さなければ、データマーケティングをおこなう意味がありません。そのためには社内のデータを使いやすく整理し、データを扱える人材を増やす必要があります。
したがって、概念やツールだけではなく、社内の組織変革にも取り組む必要が出てきます。
以下の記事ではデータを扱える人材を数百人規模で育成した日経新聞社の事例を紹介しています。どこから手をつければよいのか、人材、組織づくりの際の参考になります。
Webアクセスのログなど大量のデータが取れる今「データマーケティング」に取り組む企業が増えています。データマーケティングに取り組むには、データを扱える人材を組織的に育成する努力が必要です。データマーケティングできる組織づくりを事例も参考にしながら見ていきます。
また、2004年から先駆けてデータ分析の部署を内製していた花王では、データ処理の基盤構築とデータをマネジメントする部隊がセットになって機能しており、「データ分析はひとりでやるものではなくてチームでやるものという意識」が根づいているそうです。以下の記事で詳しく紹介しています。
なぜ花王は強力なデータ分析チームを作れたのか? リスクを取るリーダーが率いる総勢20名の組織とは
https://manamina.valuesccg.com/articles/753データ分析チームを社内で組織化していきたいという動きは多くの企業で高まっていますが、人材は社内で育成すべきか、あるいは外部パートナーの手を借りるべきかといった人手の悩みや、そもそも何から始めたらいいのかと課題を抱える方は多い状況です。そんな中、早くからデータ分析組織の内製化を進めていた花王さんは、どのような取り組みをされているのでしょうか。データ活用コンサルタントであるヴァリューズの岩村がその秘訣を聞きました。
実際のデータマーケティング事例
事例をみることで、自社におけるデータマーケティングをどこで活用するのかというヒントを得られます。ここでは3つの事例を紹介します。
■A/Bテストでキャンペーンを最適化:資生堂ジャパン
資生堂ジャパンのデータ活用例のひとつは、広告を出稿してリーチが100人、態度変容が起きるのがだいたい30%、実際に購入するのが10%とした場合、これらの目標値をデジタル上の何らかのアクション地点(例・購入完了ページに到達)で計測。
その後、ターゲットにどんな知覚刺激を与えると態度変更が起きるかのパターンを複数用意し、それらのパターンを同一環境でA/Bテストを重ねた結果、マーケティングに関して理論上172%効率化できた、という実績を上げています。
データ分析からデータ活用へ ~資生堂ジャパンのデータ活用事例を交えて~ (後編) | SuperMagazine
https://supership.jp/magazine/seminar-report/2622/2月14日、東京ビッグサイトにて開催されたマーケティング・テクノロジーフェア2018の特別講演に広告事業本部 CMOの中村大亮が登壇しました。 講演では、資生堂ジャパンのマーケティングを部門横断で支援するメディア統括部に所属する山崎様が現在行っているマーケティング施策を伺うと共に、データ・ドリブンマーケティングを進めるための体制づくりや、データ分析のアプローチを軸に対談形式で行われました。 <講演概要> 講演タイトル:「データ分析からデータ活用へ ~資生堂ジャパンのデータ活用事例を交えて~」 スピーカー: 資生堂ジャパン メディア統括部 メディアミックスG 山崎 智史 様 Supership...
■データを活用したOne To Oneマーケティングを実施:JAL
月2億ほどあるJALのWebアクセスログデータの解析を元に、見込み顧客に対する適切なレコメンドやアプローチを行っています。
航空券は高額商材で、ほとんどの人は複数回Webを訪れ比較検討するため、購入に至っていない人の行動履歴の解析が有効になります。
JAL、ベネッセが実践するデータ活用マーケティングの今 — アクティベーションデザインセミナー2018 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議
https://www.advertimes.com/20180905/article276342/どのようにデータ活用を進めていくべきなのか。すでにデータ活用に取り組んでいる企業は、どのようにして顧客創造・獲得から育成までにデータを駆使しているのか。そのヒントを提供すべく、2018年7月30日、大阪・堂島で「アクティベーションデザインセミナー ビッグデータ時代の新しいマーケティング潮流」と題したセミナーが開催された。
■散在しているデータを一箇所に集めて利用可能な状態にする:ダイワロイヤルホテル
全国28箇所で展開しているダイワロイヤルホテルでは、予約状況データがじゃらんなどOTA(Online Travel Agent)ごとに異なっていたり、Google Analyticsデータがホテル毎に異なるなど、マーケティング施策を検討しようにも、データが様々な場所にあり、集計が大変な状況にありました。
これを改めるため、データコンサルティングサービスを提供するヴァリューズでは、まずGoogle Analyticsデータを統合して一元管理するためのダッシュボードの導入を支援。その結果、データ集計作業にかかっていた工数削減に成功しています。
データマーケティングは予算のかかる大規模プロジェクトか?事例で見るスモールスタートを踏み出す方法
https://manamina.valuesccg.com/articles/532データをマーケティングに活かすためにはどうすればよいのでしょうか。このテーマのセッションが「日経クロストレンドFORUM 2019」で行われました。ポイントは「スモールスタート」。大和リゾート株式会社のデータマーケティングのプロジェクト事例が語られます。
データに基づきキャンペーンを最適化したり、パーソナライズしたりするデータマーケティング。従来の属性データに加え、ネットの購買行動などの行動データが取れるようになったことで企業が使えるデータ量は爆発的に増加しています。大量かつ複雑なデータ=ビッグデータを活用するデータマーケティングとその事例をご紹介します。
データマーケティングの本質を再確認
データの収集、分析の目的を明確にしておく。そして、そのデータを扱うための組織づくりを考慮する、といったことが肝心です。
データマーケティングによる施策を行った後は、目標を達成できたのかを分析し、PDCAサイクルを回し、データの収集、分析だけでは終わらせないという意識が重要です。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
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