2021年、「〇〇とは」で検索された語句
2021年7月に上半期を調査した記事に続き、本稿は2021年通年(2021年1月〜12月)ではどのような「〇〇とは」検索が多かったのかを見ていきます。
2021上半期「〇〇とは」「初心者」「おすすめ」の複合検索ワードから今年のトレンドを探る
https://manamina.valuesccg.com/articles/1429今年の上半期のトレンドを検索キーワードから振り返ってみます。「〇〇とは」という検索から言葉の意味に注目されたキーワードは何か、「初心者」や「おすすめ」などと共に検索されている語句から、今年注目を集めているテーマは何かを探ります。分析ツールにはWeb行動ログや検索キーワードの分析ができる「Dockpit」を用いました。
まず、「〇〇とは」検索を属性別(性別・年代別)で見ると、男性の方が多く、年代は20代が多いことがわかります。
図:「〇〇とは」の検索ユーザー属性
続いて、「〇〇とは」の「〇〇」には、一体どんなキーワードが検索されているのかを見てみます。
下図は、左側が検索が多いキーワード、右側が掛け合わせワードとして複合検索されることが多いキーワードのランキングとなっています。
図:「〇〇とは」関連検索キーワード
2021年上半期でも1位にランクインしていた「SDGs」が大差の1位となっています。
2位には下半期で検索数を伸ばしてきた「NFT」がランクイン。2021年の上期に2位だった「CLUBHOUSE」は3位という結果になりました。
■「NFTとは」
NFT(Non-Fungible Token)とは、本来複製や改ざんが可能なデジタルデータを、ブロックチェーン技術を用いて、偽造不可能なデジタルデータとされたものを指します。
これによりNFTは、複製及び代替が不可能な唯一無二で偽造もできない資産(所有権)と言えます。
このNFTそのものにも価値がありますが、バーチャルなものやリアルなものに価値を付与する、または真贋における証明書として用いられることも少なくありません。
身近なところですと、NFTアートやファッション業界において、本物であることの証明の裏付けとなり、正規の価値が保障されることで安心して流通が行えるなど、利用用途は様々で、今後のNFT市場の広がりも大変注目されています。
ツイートが約3億で販売!? NFT関心層が増加する様子を検索キーワードから分析
https://manamina.valuesccg.com/articles/14472021年3月、Twitterにおける最初のツイートをTwitter社のCEOがおよそ291万ドル(約3億1500万円)で販売したことが話題となりました。この販売の裏側には、「NFT」というブロックチェーン技術を活用したデジタルデータが大きく関わっています。今回は徐々に話題を生み、大手企業もその市場に参入し始めている「NFT」について、検索ワードから分析します。
この「NFT」単体を検索しているユーザー数推移を別途見てみたところ、2021年1月の検索数と最も検索数が多かった2021年11月を比較すると、約110倍ほどの伸長を見せています。
図:「NFT」検索ユーザー数推移
また、「NFT」検索ユーザーの掛け合わせ検索キーワードやそれに基づく属性を見ると、男性の若年層から中年層に検索されているのが特徴的で、キーワードネットワーク図を見ると、「〇〇とは」と同様に「ゲーム」「アート」といったキーワードも多数であることがわかります。
「NFT」の検索を多数牽引した理由としては、社会的に「NFTアート」の話題が注目されたことに起因するのではないかと推測されます。
図:「NFT」検索ユーザーの詳細
■根強い「Amazon」「Google」関連のキーワード検索
2021年上半期でも「〇〇とは」の複合検索ワードのTOP10に入っていた「Amazon」「Google」の2つのキーワードですが、2021年通してもトップ5入りしています。
この2つのキーワードのワードネットワーク図のそれぞれからの派生語句を見ると、やはりコロナ禍での生活様式の変化が大きく起因しているように見受けられます。
「Amazon」では、「MUSIC」といった余暇を埋める手段として連想できそうなものの他、一方では「パントリー」「FRESH」などの、生活用品のネット購入が検索されていることから、コロナ禍で外出制限のあった状況などを経て、EC需要が高まったとも想像できそうです。
「Google」では、「CLOUD」「WORKSPACE」といったリモートワーク関連のキーワードが継続して検索されていました。コロナ禍におけるワークスタイルの変化を余儀なくされ続けていることが、この検索キーワードからも読み取れるのではないでしょうか。
図:「〇〇とは」検索のワードネットワーク
「おすすめ」との複合検索キーワードから見えてくる消費者の生活事情
■「コストコ」「洗濯機」「株主優待」「業務スーパー」と生活に密着したキーワードが
続いて「おすすめ」検索と掛け合わせ検索キーワードを集計しました。
頻出ワードとしては、「コストコ」「洗濯機」「株主優待」「業務スーパー」など、生活用品(食料品)などの購入や生活事情を具体的に表した検索ワードが上位となりました。掛け合わせキーワードを見ると、「安い」が上位。よりお得に生活用品を手に入れるための情報収集が盛んだったと言えそうです。
「ふるさと納税」も上記同様、生活用品(食料品)の「お得さ」を求めてか、上位にランクインしています。また「ふるさと納税」は12月末日が申し込み締切日でもあるため、駆け込みで下半期に急伸したとも言えるでしょう。
実際、別途「ふるさと納税」検索ユーザーの推移を集計したところ、上半期の検索数ピークだった2021年6月の数値と下半期のピークだった12月を比べると、約2.5倍に伸びていました。
次いで、ランキング下段で特徴的なのは、「スマートウォッチ」「ワイヤレスイヤホン」「ノートパソコン」などデジタルデバイスの検索です。こちらはコロナ禍でのリモート環境を整えるため、デジタルデバイスの情報収集が多くされていたと推測できそうです。
図:「おすすめ」関連検索キーワード
2021年「アプリ」で一番検索されていたものは?
■「アプリ」検索でもコロナ禍による生活様式の変化が浮き彫りに?
こちらは「アプリ」で検索されたキーワードのランキングです。
検索キーワードを見ると、「トリマ」「ZOOM」「ワクチン接種証明」「証明写真」「マイルズ」など具体的なサービス名が出てきました。
低迷するコロナ禍経済が消費生活にも影響してか、少しでもポイントやマイルをお得に貯めたいという消費者心理が、「トリマ」の上位検索や「マイルズ」の検索に現れているのではないでしょうか。これについては、2021年上半期の「おすすめ」検索キーワードのランキングにも上がっていた「ポイ活」からの動きが継続されているとも言えそうです。
「ZOOM」は既にコロナ禍ならではの検索ワードとなり得たと言っても過言ではないでしょう。この検索による需要を感じる限りでは、引き続きリモート、オンラインでの社会活動が続くことが予想されます。
また、コロナ禍において特徴的なアプリとしてもう一つ加わったのが「ワクチン接種証明」でしょう。
図:「アプリ」関連検索キーワード
■掛け合わせワードの季節比較で見る、「アプリ」検索はどのように変わったか?
2021年は年始より新型コロナウイルス感染防止策として緊急事態宣言がとられました。その年始(2021年1月〜3月)と、罹患者数の減少により緊急事態宣言が明けた年末(同10月〜12月)の「アプリ」と掛け合わせで検索されたキーワードの変化を、季節比較から見てみます。
図:「アプリ」掛け合わせキーワード(季節比較)
年始の掛け合わせ検索キーワードを見ると、2020年に登場した「CLUBHOUSE」が引き続き根強い関心を掴んでいたようです。単純に「新しいもの」の魅力という理由に加え、コロナ禍での余暇を楽しむものという意味合いでも注目度が高かったのではないでしょうか。
同様にして、「アサルトリリィ」といったオンラインゲームの検索も多く見られます。
一方、年末の掛け合わせ検索キーワードでは、「ワクチン接種証明」関連のキーワードが目立ちます。この時期は、2年に渡るコロナ禍の中でも一旦の落ち着きを見せた時期でもあり、外出を伴う社会行動を再開するための検索といった消費者心理がうかがえます。
まとめ
2021年上半期の調査に続き、今回は2021年の1年間を通してインターネットで検索されるキーワード、掛け合わせ検索で出現したキーワードに着目して、消費者意識の動向や世の中のトレンドを振り返ってみました。
2021年通年で注目度の高かった「SDGs」は、引き続き現代のスタンダードな生活常識・意識として浸透していきそうです。
また、下半期に注目を集めた「NFT」については、更なる「NFT」市場の拡大も期待されていることから、2022年以降も目にする機会が多くあるかもしれません。
「おすすめ」や「アプリ」などの検索ワードからは、消費者が消費に対していかに「合理性」や「経済的」な活動を検討しているかという、リアルな生活行動が垣間見える検索キーワードがいくつも現れました。
季節によっても検索キーワードは変わりましたが、「コロナ禍」の影響も甚大で、社会全体は元より消費者の生活様式まで大きく左右されたと言えそうです。
2022年、年始より再び猛威をふるっている変異型コロナウイルス。今年も在宅での活動が余儀なくされるのか、どのような生活様式が生まれるのかによって、また新たな検索ワードが現れるのではないでしょうか。そして、それらの検索ワードを探ることで、消費者を取り巻く様々な物事の「今」を的確に知ることができると考えます。今年も引き続き注目していきます。
Dockpitでできること