シニアの『プチ贅沢』~ 財布の紐が緩むとき|リクシス共催セミナーレポート

シニアの『プチ贅沢』~ 財布の紐が緩むとき|リクシス共催セミナーレポート

少子高齢化が急速に進んでいる日本では、シニアマーケットにおける消費ニーズをどう捉えるかが重要になっています。本セミナーでは、シニアがどのようなものに興味・関心をもっているのか、「旅行」「食事」のカテゴリーに焦点を当てて徹底解説。「プチ贅沢」というテーマにおいて、シニアにどういった商品が支持されているのかレポートします。


スピーカー紹介

シニア世代の「プチ贅沢」とは?

まず、2022年1月にヴァリューズが実施したアンケート調査から、シニアの興味・関心について探っていきます。

上のグラフは年代別に、興味が高いものの順に並べられています。全年代で最も興味・関心の高いものが「国内旅行」で、全体の40%前後を占めており、およそ人口の2人に1人は旅行に興味を示しているということになります。

60歳以上のシニア世代は国内旅行の次に、「健康・医療・病気」「テレビ番組」「映画」「経済」「読書・書籍」「音楽鑑賞」「政治」「パソコン」「グルメ・レストラン」の順に関心が高いです。

これらのカテゴリーの中で贅沢や高めの出費という観点でみると、「国内旅行」と「グルメ・レストラン」が挙げられるため、この2つのカテゴリについて調査していきます。なお「グルメ・レストラン」に関しては、「ちょっと良いもの」という切り口で、「お取り寄せ」というテーマに絞りました。

シニアの「旅行」検討行動

まずは、シニアの「旅行」についてみていきましょう。

少し贅沢な旅行、というテーマで調査する上で今回参考にしたのが、高級宿泊施設を専門とするオンライン予約サイト「一休.com」です。ワンランク上の旅行やラグジュアリーな施設を厳選し、一般的なホテルや旅館と比べて高めの価格帯を揃えているのが一休の特徴です。

コロナ禍でもシニアの旅行検討は起きている?

次のグラフは世代別にみた、2021年1月から2022年8月までの一休の閲覧者数を表しています。未だコロナ禍ということで、シニア層の旅行への意欲は回復していないのではと思われるかもしれませんが、いずれの世代も閲覧者数は右肩上がりになっています。

さらに、2022年の4月〜8月にかけては高水準になっていることが分かっています。コロナ禍にあってもシニアによる旅行検討は起きていると言えるでしょう。

また、他年代で閲覧者数が増加しているのと同じタイミングでシニア世代の増加も見られるので、シニアがあえて行楽シーズンを外して検討しているわけではなさそうです。

シニアは平日を活用して旅行を楽しむ傾向

では、シニア層がいつ旅行へ行っているのか、細かくみていきましょう。

次のグラフは消費者のWeb行動ログデータと一休における検索結果画面のURLから、「宿泊開始日」と「宿泊最終日」という観点で、旅行が何曜日から始まり何曜日に終わっているのか集計したものです。

調査期間:2020年8月~2022年8月

左側のグラフから、60代や70代のシニア層は、平日の宿泊開始・終了割合が高くなっていることがみてとれます。特に70代は働かれている人が少ないこともあり、時間の都合がつきやすく、平日をうまく活用して混雑を回避していると考えられます。

シニアに人気の宿泊先

続いて、シニア層が他の世代と比べてよく閲覧している宿の特徴を分析しました。

シニアの閲覧数が多い宿は、
・伝統がある
・山あいにある
・落ち着いた雰囲気の宿
といった特徴があり、静かにゆったり過ごせる場所が選ばれる傾向にあります。

一方で若年層では、
・テーマパーク連携ホテル
・バーのような雰囲気のホテル
・六本木のおしゃれなビジネスホテル
などの、シニアとは対照的なホテルが多く閲覧されています。

このように、世代によって求められているものが大きく異なるため、どんな商品が好まれるのか、ターゲットごとにニーズを明らかにしていく必要があると言えるでしょう。

シニア層にリーチするなら朝がおすすめ?シニアのデジタル生活実態を徹底調査

https://manamina.valuesccg.com/articles/1783

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シニアの「お取り寄せ」検討行動

ここからはシニアの贅沢グルメとして、「お取り寄せ」について調査していきます。
下のグラフはオレンジがシニア、ブルーが60歳未満のユーザーの「お取り寄せ」を含む検索数を表したものです。どちらの層も2020年4月から爆発的に検索者数が増加し、翌5月にはさらに大幅に伸びていることが確認できます。

両方のグラフにある赤い横線は2019年9月時点の検索者数を表していますが、2年後の2022年9月にはその2倍程度の水準が続いているのがこのグラフから読み取れます。コロナ3年にあっても、シニアのお取り寄せニーズは継続しているということがわかりますね。

では、シニアはどこで「お取り寄せ」グルメをみているのでしょう。60代以上に絞ったユーザーが、「お取り寄せ」検索後にどのサイトを閲覧しているのか、分析しました。

調査期間:2020年10月~2022年9月

最も閲覧数の多かったサイトは順に、食品や衣類などに強みを持つ「楽天市場」、歴史ある婦人誌の公式通販「婦人画報のおかいもの」、お取り寄せまとめサイト「おとりよせネット」となっています。

そこでここからは、流入が最も多い楽天市場の中で具体的にどんな商品が閲覧されているのか、細かく解説していきます。

シニアに人気の「お取り寄せ」食品・スイーツは?

世代ごとのお取り寄せ人気商品として、「食品」と「スイーツ」の2つのカテゴリに分けてみていきましょう。

調査期間:2021年9月~2022年8月

こちらは年代別に「お取り寄せ食品」の人気商品カテゴリをランキング化したものです。

どの世代も牛肉が1位に入り、60代以上シニアの2位以降はカニ、魚卵、貝類などの水産品がランクインしています。これは、普段の食事で和食が多いためといえるでしょう。加えてフルーツも人気となっています。

調査期間:2021年9月~2022年8月

続いては、「お取り寄せスイーツ」で人気商品カテゴリを見ていきます。
いずれの世代もチーズケーキやクッキーなどの洋菓子が上位入りしていますが、シニアは上位に和菓子もランクインしているのが特徴的です。その他、より詳細な分析では、干し柿やイチジクなどのドライフルーツ、くるみやアーモンドなどのナッツ類もシニアに人気であることがわかってきました。

お取り寄せでは、「普段から食べられているもので、いつもよりちょっと良いもの」が人気な様子が伺えますね。

普段の生活をちょっと贅沢にするのがシニア世代

今回は「シニアのプチ贅沢」というテーマで、「旅行」と「お取り寄せ」のそれぞれでどういった検討の特徴が見られるのか、調査してきました。

■シニアの「旅行」
・若年層と比較して、平日などを利用して宿泊を行なっており、時間の自由がきくという点を生かしている。
・宿泊先では、自然(特に山など)で静かなエリアの宿泊施設を評価している点が特徴。

■シニアの「お取り寄せ」
・現在でもお取り寄せニーズは2019年に比して高い水準。
・シニアもEC(楽天など)を利用している。
・魚介類、フルーツ、和菓子など、取り寄せている商品はシニアのライフスタイルを反映したものとなっている。


このように、普段の生活を少しアップグレードするようなプチ贅沢をするのが、シニア消費の特徴と感じとれる結果となりました。

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