2023年2月の急上昇アプリランキングTOP20
早速、アプリトレンドランキングを見ていきましょう。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を用います。
下記の表は、2023年2月時点で、20代ユーザー(※)の利用者数の前月比が高い順にアプリをランキングしたものです。
※20代後半の、Z世代に含まれないユーザーも一部含みます
アプリ 20代利用の前月比上昇率ランキング
集計期間:2023年2月
デバイス:スマートフォン
ここからは、特に注目のアプリについてピックアップして詳しく見ていきます。
急上昇便利ツールは季節性が大きく影響
■2月らしい「コンパスアプリ」が複数ランクイン
急上昇ランキングの2位と3位は連続してコンパス系のアプリでした。これらのアプリは、数あるコンパスアプリの中でも恵方を教えてくれるのが特徴なので、恵方巻を食べるためにこのアプリをインストールした人が多いのではないでしょうか。
実際に、ユーザー数の推移を見てみると、確かに昨年も今年も2月だけ跳ね上がっていることが確認できました。
「恵方巻コンパス」、「デジタルコンパス」利用者数の推移
集計期間:2021年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
これらのコンパスアプリは、季節性によって急上昇に乗ったものであり、特別若い世代に限って人気なアプリではなさそうです。
20代のSNS事情は?
■メタバースSNS「Bondee(ボンディー)」もいち早く取り入れる
続いてご紹介するのは、4位にランクインしたバーチャル秘密基地アプリ「Bondee(ボンディー)」です。「Bondee」とはメタバース上に自分のアバターを作成して、友人とコミュニケーションができるSNSです。では、「Bondee」の利用者は一体どんな人なのでしょうか。
下記グラフは、「Bondee」利用者の年代割合と性別割合を表しています。利用者の年代は20代が明らかに多く、Z世代の間で注目を集めていると言っていいのではないでしょうか。また、その中でも性別については女性からの人気がやや高いことも分かります。
「Bondee」利用者の年代割合・性別割合
集計期間:2022年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
「Bondee」の詳細な分析は、こちらの記事をご覧ください。
話題のメタバースSNS「ボンディー(Bondee)」の実態とは。最新動向を調査
https://manamina.valuesccg.com/articles/22812022年12月に彗星の如く現れた、スマートフォン向けのメタバースSNS「Bondee(ボンディー)」。Metadream社が開発したこの次世代アプリがアジア各国で人気急上昇中、日本でも特にZ世代を中心に注目を集めています。今回は、メタバースSNS「Bondee」とは何か、その実態と最新動向を調査します。
では、「Bondee」が特に20代・女性からの人気を集めている要因について、詳しく見ていきましょう。「Bondee」の最大の特徴は、友達登録出来る人数が50人までに限定されている点です。これによって、友達登録はリアルでもつながりの深い友人のみに自然と絞られます。
近年では、SNSはバズればバズるほど良しとされるバズ競争の存在や、一瞬で情報拡散されてしまう不安によって引き起こされる「若者のSNS疲れ」が話題となっています。このような状況下で、あえて情報共有できる人数を制限し、対面でのやりとりに近いコミュニケーションを意識した「Bondee」の性質が今のZ世代に受け入れられたと考えられます。
また、「Bondee」ではアバターの着せ替え機能が豊富で、自分のホーム画面も自由にカスタマイズできる点も特徴的です。可愛らしい服装やお部屋をこだわって作れるというポイントが、主に女性からのウケがよかった要因となっているのかもしれません。
マナミナでは過去に、他にもSNS疲れに効くアプリとして「GRAVITY」も紹介しています。気になる方は是非こちらもチェックしてみてください。
SNS疲れに効く新しいSNS「GRAVITY」。匿名性・共感性がポイントに
https://manamina.valuesccg.com/articles/2097SNSの過度な利用で、精神的に疲れてしまう「SNS疲れ」。このSNS疲れを癒すためにリリースされたSNS「GRAVITY(グラビティ)」について、そのユーザー層を調査しました。20代には男女問わず人気のある「GRAVITY」ですが、重視点は男女の間で違いが見受けられました。
また、次の記事ではメタバースマーケティングの活用事例をご紹介しています。あわせてチェックしてみてはいかがでしょうか。
メタバースマーケティングは効果的?ビジネスへの活用事例を紹介|「2022年12月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」
https://manamina.valuesccg.com/articles/2150ヴァリューズのマーケターが、コンテンツマーケティングの今をお届けする本連載。今回のテーマは「メタバース」です。この数年で、一気に認知が広がったメタバース。しかし、結局メタバースって何を指しているの?ともやもやしている方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、メタバースとは一体何なのか、マーケティングにどう活用していけば良いのか、解説していきます!
■「友どこ」はzenlyの代わりになるか
14位の「友どこ」は、「今どこにいる?」のやり取りを失くすための位置情報共有アプリです。位置情報共有アプリというと、有名なのは「zenly」ですが、「zenly」は2023年2月3日にサービスを終了しています。「友どこ」は、そんな「zenly」の愛用者であったMixerBoxの開発チームによってリリースされた、いわば後継のようなアプリです。
また、今回はランキング外だったものの、「zenly」のサービス終了と同時に注目を集めている位置情報共有アプリは他にも存在します。その中でも特に人気なのが「whoo(フー)」と「NauNau(ナウナウ)」です。
下記グラフは、「zenly」、「友どこ」、「whoo」、「NauNau」の4つのアプリの利用者数推移を表しています。「zenly」利用者の減少に伴って、他の位置情報共有アプリの利用が増えていることが分かります。2022年12月時点では、「NauNau」が先行者利益によってユーザーを確保しましたが、その後競争が激化していき、現在は「友どこ」の利用者が最も多いようです。
「zenly」は月間アクティブユーザーが3,000万人とも言われる人気アプリでした。「『zenly』の代わりとなるアプリを見つけたいけど、似たようなアプリが多くてどれを選べばいいのか分からない」という人も一定数いそうです。
「zenly」、「友どこ」、「whoo」、「NauNau」利用者数の推移
集計期間:2022年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
では、これらのアプリにはどのような違いがあるのでしょうか。詳しいユーザーの違いについてはこちらの記事で解説しています。
Zenly利用者はどこにいった?位置情報共有アプリの利用動向
https://manamina.valuesccg.com/articles/23032023年2月にサービス終了を迎えた大人気アプリのZenly。友人や家族と位置情報を共有する便利さをユーザーに伝え、位置情報共有アプリの需要を高めました。Zenlyがなくなった今、その需要の受け皿はどのアプリが担うのでしょうか。ということで今回は、「whoo」、「NauNau(ナウナウ)」、「友どこ」をZenlyに代わる位置情報共有アプリとして取り上げ、ユーザー層やZenlyとの併用率などから、実際に乗り換えは進んでいるのか、どのアプリが優勢なのか、などを調査していきます。
健康を意識したアプリは幅広い層で利用率上昇中
■東邦ガスのウォーキングアプリが人気を集める
6位にランクインしたのは、東邦ガス株式会社が運営するウォーキングアプリ「とほがす」でした。このアプリでは一定の目標歩数を達成するとポイントを獲得でき、溜まったポイントは1ポイント1円分のAmazonギフト券と交換が可能です。ただし、毎日目標の7000歩を達成したとしても、貰えるポイントは月当たり43ポイント程度なので、お金のためにインストールするよりも、あくまで健康維持で毎日歩くためのインセンティブを与えてくれるアプリだと捉えるのがよさそうです。
年代割合を確認してみると、Z世代に限らず健康維持を目的とした幅広い層に使われているようです。
「とほがす」利用者の年代割合
集計期間:2022年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
■注目集まる「スリープテック」
同じく健康系のアプリで、「睡眠アプリ いびき, スリープマイスター」が12位にランクインしました。こちらのアプリを利用すると、睡眠中のいびきなどの録音データから睡眠周期を測定し、睡眠の質を可視化・分析することができます。その他にも豊富な音声からカスタマイズできるアラーム機能や睡眠導入用のサウンドなど、睡眠をサポートする機能が盛りだくさんです。
今回ご紹介したアプリのほとんどはリリースして間もないものですが、「睡眠アプリ いびき, スリープマイスター」はリリースから1年以上経つものの着実に利用者数が伸びていました。長期的に認知拡大を続けているということは、相応の満足度の高さが伺えます。「睡眠アプリは多すぎてどれを選べばよいか分からない」という方は一度試してみてはいかがでしょうか。
「睡眠アプリ いびき, スリープマイスター」利用者数の推移
集計期間:2021年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
また、こちらのアプリも年代割合を見てみると、20代だけでなく40代・50代でも多く利用されているようです。ただ、「とほがす」と比較すると20代の割合は高く、20代は「ウォーキングによる運動不足解消」よりも「睡眠の質向上」に関心のある人が、他の世代に比べて多いのかもしれません。
「睡眠アプリ いびき, スリープマイスター」利用者の年代割合
集計期間:2022年3月~2023年2月
デバイス:スマートフォン
今回上位にランクインしたものでも、健康系のアプリはZ世代だけに注目を集めたものではないようです。
こちらの記事では、今回ご紹介した「いびき, スリープマイスター」も含めて5つの睡眠アプリを比較・分析しています。睡眠アプリについての詳細が気になる方はこちらもチェックしてみてください。
スリープテックで注目集める睡眠アプリ。利用者はどんな人?高まる睡眠の質への関心を調査
https://manamina.valuesccg.com/articles/1938コロナ禍でライフスタイルが変化し、多かれ少なかれ、生活リズムにも影響が出ていることでしょう。そんなストレス社会を反映するかのように、今、睡眠の質への関心が高まっています。睡眠の質向上にこだわった『ヤクルト1000』は大人気となり入手困難に、枕やマットなどの寝具も次々とヒット商品を生み出しています。 そんな中で、着々とマーケットを広げているのが、睡眠アプリです。今回は話題の「スリープテック」を牽引する睡眠アプリについて取り上げます。
まとめ
今回は、最新アプリトレンドTOP20の中から、6つのアプリをピックアップして紹介しました。中でもZ世代との関連が深かったのは、4位の「Bondee」と14位の「友どこ」でした。
「Bondee」急上昇の背景の1つとして、「若者のSNS疲れ」が考えられます。幼いころからSNSに触れてきたZ世代にとって、SNSによるコミュニケーションは重要な意味を持ちます。Z世代は情報収集手段としてもSNSを駆使するので、SNSで情報を発信する側はどの媒体に打ち出すのが効果的か、SNSのトレンドを引き続き気に掛ける必要がありそうです。
「友どこ」は「zenly」のサービス終了をきっかけに注目を集めました。競争が激化する位置情報共有アプリですが、Z世代は今後どのサービスに落ち着いていくのでしょうか。
流行を作るZ世代でヒットしたコンテンツがある程度市場で成熟したときは、「他の世代のファンをどう獲得していくか」という視点も大切になってきそうです。
大学では経済学部で主に会計学を学び、2024年に新卒でヴァリューズに入社しました。現在はデータプロモーション局にて、弊社プロモーション事業のフロントを担当しています。