こんにちは、現役Z世代による“Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
第16弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、現役大学生のまりん(02年生まれ・音楽好き)も分析に参加し、ライティングを担当しています。
“Z世代”とは
“Z世代”は1990年代後半〜2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃〜1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2024年2月時点で16〜26歳のモニターをZ世代、27〜41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
Z世代とミレニアル世代の関心はどこに?
2024年2月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。
検索者数が前月比でどれだけ増加したのか、その増加率順でランキングを作成しています。検索者のボリューム順のランキングではない点にご留意ください。
Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前月比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前月に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2024年2月(前月比は2024年1月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2024年2月時点で16~26歳(Z世代)・27~42歳(ミレニアル世代)のモニター
まりん:Z世代のキーワードランキングには、1位「Bluesky」、9位「ブルースカイ」、ミレニアル世代のキーワードランキングには13位「ブルースカイ」がランクインしていますね!
ばんちゃん:Blueskyと言えば、2023年1月にリリースされた新しいSNSだよね!X(旧Twitter)に似た操作感とデザインが以前話題になっていたよ。でも、どうしてリリースから一年以上経った今、また話題になっているのか気になるね。
こと:そうだね!あと、「猫ミーム」はZ世代では3位、ミレニアル世代では7位とそれぞれかなり上位にランクインしているね。YouTubeやTikTokなどのSNSによく流れてきていたよね!
ロン:最近では芸能人やインフルエンサーが実写で「猫ミーム」を真似ている動画もちらほら見るようになったよね!
ばんちゃん:Z世代では4位「花粉」、7位「花粉症」、10位「目薬」といった花粉症に関する単語も多くランクインしているね。確かに2月に入ると、春の訪れと共に迫り来る花粉への恐怖を感じる人も増えてくるよね。
まなてぃ:Z世代で8位にランクインしている「LYPプレミアム」ってなんだろう?みんな聞いたことある?
まりん:ある時期から突然LINEの中に「LYP」というロゴが現れ始めて、タップしてみた時に知りました!「LYP」は、「LINE」「Yahoo!」「PayPay」の頭文字を繋げたもので、「LYPプレミアム」に登録すると各サービスの追加機能や割引が使えるようになるようです。
参考:https://premium.yahoo.co.jp/
ロン:LYPプレミアムについては、テレビCMを見るまで全く知らなかったな。なぜLYPプレミアムはZ世代の話題を集めているんだろう?
まりん:それでは、今回は2024年2月にZ世代の中で特に話題を集めていた「Bluesky」「猫ミーム」「LYPプレミアム」の3つをテーマとして、話題の背景や関連したマーケティング活動について考察していきましょう!
Blueskyの未来とZ世代のSNS事情
まりん:Blueskyは、X(旧Twitter)の代替候補としてリリース当初から何度も話題になっているようですね!
以前マナミナで調査した結果によると、Blueskyの定着ユーザー数は順調に増加していて、Z世代を含む流行に敏感な若者がユーザーの多くを占めているようです。XやInstagramなどの大手SNSには劣るものの、調査対象とした新興SNSの中では、Threadsに次ぐユーザー数を誇っています。2/7(水)にリリース時から存在した招待制が廃止になったことで、再び大きな注目を浴びているようです!
次世代SNS「Bluesky」のユーザーが急増中?Z世代の新たなトレンドになるか
https://manamina.valuesccg.com/articles/3204「Bluesky」は、X(旧Twitter)からの乗り換え候補として注目を集めたSNSです。リリース当初やXの仕様変更の際には話題になったものの、Xを代替するほどの規模にはなっていませんでした。そんな「Bluesky」ですが、2024年2月7日、ユーザー獲得のネックになっていた招待制が廃止され、誰でもアカウント登録が可能になったことで、ユーザー数が急増しています。そこで今回は、「Bluesky」の特徴や利用状況について調査し、今後の動向を占っていきます。
■招待制の廃止がBlueskyの今後を左右する?
まなてぃ:招待制といえば、以前大きな話題になった音声SNSアプリ「Clubhouse」を思い出したよ。招待されることに優越感があって、そう簡単にはやめられなかったなぁ。
ロン:確かに、招待してもらえた嬉しさと優越感で使ってみようと思う人は多いかもしれないね!ただ、せっかく招待されてBlueskyを使い始めてみても、周りでBlueskyを使っている人が少なければ結局使わなくなってしまうんじゃないかな?
ばんちゃん:そう考えると、招待制ではユーザー数が増えにくいかもしれないね。招待する人とされた人のコミュニティは少しずつ広がっていくかもしれないけど、爆発的にユーザーが増えることはあまり考えられないかも。その観点では、2/7(水)に招待制が廃止されたことが今後のユーザー数に大きく影響してくるかもしれないね。
■Z世代はSNSをどう使い分ける?
こと:そういえば、さっき話題に上がった「Threads」もかなり勢いを伸ばしているみたいだね。ただ、私自身はInstagramで面白そうなThreadsの投稿を目にしてそれを見に行く、というような使い方をしているんだよね。だから自分にとってのメインのSNSはあくまでInstagramで、たまにInstagram経由でThreadsを見に行くような感じかな。
2023年のトレンド、あの後どうなった?2024年はどうなる?【Threads編】
https://manamina.valuesccg.com/articles/3107Threads(スレッズ)とは、2023年7月にMeta社がリリースした新興SNSです。サービス開始当初こそX(旧Twitter)を代替する候補として注目を集めたものの、一時的なトレンドとして下火になった印象があるかもしれません。そんなThreadsですが、インスタからの流入促進効果もあってか、実はじわじわとユーザー数を伸ばしており、再加熱の兆しも見られています。そこで今回は、2024年1月時点で改めて利用動向を調査し、Threadsの今後を占います。
まりん:私も以前はInstagram、Xを合計8つくらいのアカウントで毎日閲覧していましたが、その日々に疲れてしまったので、現在は意図的に閲覧するアカウントの数を減らしています。いわゆるSNS疲れというものなのかもしれません。
まなてぃ:私も毎日見るのはTikTokくらいで、Instagramはときどき、Xは災害や電車の遅延状況を確認する程度にしか使っていないな。
ロン:そう考えると、Z世代の多くは、メインのSNSを1つ決めて、それ以外のSNSは状況に応じて時々利用する、というようなSNSの使い方をしているのかもしれないね。
猫ミームのバズ要因は?企業の便乗ってどうなの?
こと:猫ミームって気づいたらすごく流行っていたけど、みんなはどこで初めて知ったのかな?私はInstagramのおすすめにリール動画として流れてきて初めて知ったよ!
ばんちゃん:私はXにTikTokの画面キャプチャが流れてきて知ったよ!
まなてぃ:私は2月頃にTikTokに流れてきて知ったよ!私の友達はYouTubeのショート動画で知ったらしい。猫ミームは色々なSNSを通じて拡散されたんだね!
■中毒性のある曲と共感のしやすさがバズの背景?
まりん:私の大学の友人も猫ミームを作成していました!また、大学の友人との会話の中で誰かが猫ミームの曲を歌い始めて気づいたらみんなで歌っている、というような状況もあります。特に「チピチピチャパチャパ」でお馴染みの「Dubidubidu」などの耳に残る曲や、アヴリルラヴィーンの「Girlfriend」などの懐かしい曲が、中毒性や親しみやすさにつながっているのかもしれません。
ロン:確かに、「チピチピチャパチャパ」は文面でもよく見るようになったよね!僕は仕事の大変さを伝える猫ミームをよく見て、みんな大変なんだなぁ...と思って、元気をもらっているよ。猫ミームの題材としては、仕事や日常生活で起きた不幸な出来事が多い気がするんだけど、みんなはどう思う?
まなてぃ:確かに、共感を誘うような内容が多い印象!不幸なことって人に共感してほしいけど、なかなか言いづらいよね。だけど、猫ミームの「可愛さ」と「ユーモア」で、不幸なことでも柔らかくポップに伝えることができるのかもしれないね!
■企業の広告利用にはハードルが高い?
こと:最近では芸能人・インフルエンサーや企業が実写で猫ミームを真似している動画も増えてきたよね!コメダ珈琲店の実写猫ミーム動画が特に印象に残っているかも!猫の声まで社員が演じることで、著作権の問題を回避しているみたい。
ロン:僕も見た!企業の公式が出している動画だと気づかずに、最後まで見ていたな。
ばんちゃん:猫ミームを企業が作成する場合、著作権問題を含めた懸念点がいくつか考えられるね。猫ミームは少々雑な合成のチープ感が評価されている印象があるけど、企業の宣伝に使うにはチープすぎるかもしれない。
まりん:以前「なぁぜなぁぜ?」という文言を使ったショート動画が流行した時には、企業が便乗しているとあまり良い印象を持てませんでした。消費者にどのような印象を与えるかは別として、認知獲得施策としては機能するのかもしれません。
ロン:そう考えると、各種権利問題を突破したとしても、猫ミームを広告に使いやすいのは、消費者にとって親しみやすいイメージのtoC企業になるのかもしれないね!
まなてぃ:猫ミームのようにテンプレを使って作れる動画やコンテンツは、完全なオリジナルコンテンツに比べて簡単に作成できるから、今後も大きくバズるミームが生まれるかもしれないね!
特典でZ世代の多様なニーズに応える?LYPプレミアム
ロン:LYPプレミアムはZ世代のトレンドランキングには入っているものの、Gen-Z調査隊メンバーの中ではあまり認知度が高くないよね。
こと:私はこのランキングを見て初めて知ったよ。最近テレビではCMをたくさん流しているみたいだよね。認知施策のメインをテレビCMにしているように見えるけど、それだとZ世代を含む若者にはあまり認知が広がらないように思えるな。
ばんちゃん:LYPプレミアムってZ世代にとってどんな魅力があるのかな?
まなてぃ:LINEではいくつか機能が追加されて、PayPayでは限定クーポンの獲得やポイント還元率の上昇が特典になっているみたいだね。Yahoo!ショッピングはLYPプレミアム特典でお買い得になるみたいだけど、そもそもZ世代はYahoo!ショッピングを使っているのかな?
まりん:Dockpit(※)で、「Yahoo!ショッピング」の競合サイトだと考えられる「Amazon」とサイト訪問者数を比較してみました!
※毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール
以下の図を見ると、Z世代が含まれる20代では、Yahoo!ショッピングのサイト訪問者の割合はAmazonを大きく下回っていますね。ここから、Z世代はAmazon・ネット利用者全体と比較して、あまりYahoo!ショッピングを使っていないことがわかります。
「Yahoo!ショッピング」、「Amazon」サイト訪問者数の年代
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC・スマートフォン
ロン:そう考えると、Yahoo!ショッピングの特典はZ世代にはあまり響かないのかもしれないね。でも逆に、LYPプレミアムへの登録をきっかけにYahoo!ショッピングを利用し始めることもあるのかも。
Yahoo!ショッピング以外の特典についてはどうなんだろう?LINEでは最大5パッケージのLINEスタンプが使い放題になるみたいだよ。
こと:私はあまりLINEスタンプを使わずに会話してしまうから、その特典はそこまで魅力的に感じないかも。同年代の友達の多くは何か決まったスタンプを使うか、そもそもスタンプを使わないかどちらかな気がする。逆に、母が色々なスタンプを送ってきてびっくりすることがあるかな。
ばんちゃん:私の母も追いスタンプをしてくることが多々あって驚いているよ。案外私たちの親世代の方々の方がスタンプを多く持っていたりするよね。
まりん:あとは、LINEの着信・呼び出し音に好きな曲を選ぶことができたり、トーク内のアルバムの利便性が上がる特典もあるみたいですね。LINEを頻繁に使う人にとっては、自分だけのLINEにカスタマイズできるという意味で喜ばれそうです!
まなてぃ:そう考えると、絶対にZ世代全体に刺さる!と断言できるような特典はあまり見つからないね。とはいえZ世代の注目は一定集めているから、今後Z世代が実際にどれぐらいLYPプレミアムに登録するのか、気になるところだね。
■サブスク戦国時代!Z世代はサブスクに厳しい?
ばんちゃん:そもそも、Z世代はサブスクをどんな風に使っているんだろう?
まりん:私は「Amazon Prime Student」、「Apple Music」、「YouTube Premium」を継続的に利用していて、長期休みなどのまとまった時間が取れる1ヶ月間だけ「Netflix」を契約することがあります。大学生で使えるお金にも制限があるので、長期間継続して契約し続ける価値があるのかどうかは日々考えていますね!
こと:私もVOD系のサブスクをいくつか利用しているけど、見たいコンテンツがあれば利用開始して、見終わったら解約する、という使い方をしているかな。サブスクを契約する目的がはっきりしていると、その目的が達成された時にはすぐ解約することが多いのかもしれないね。
ロン:Z世代はかなりサブスクに厳しいのかもしれないね。使えるお金に制限がある人も多いから、本当にお金を払ってまで契約する価値があるのかをしっかり見極めようとする場合が多いのかもしれない。逆に、サブスクの内容と価格に納得感があれば契約・継続利用につながると考えられるね。
まとめ
今回は、2024年2月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、「Bluesky」「猫ミーム」「LYPプレミアム」について分析・考察を行いました。
では、今回の分析・考察の結果を簡単におさらいしましょう!
①2024年2月 Z世代キーワードトレンド 第1位「Bluesky」
・2/7(水)の招待制廃止が大きな話題を呼んだようです。招待制廃止が今後のユーザー数に大きな影響を与える可能性があります。
・Z世代はSNS疲れなどの理由から、メインのSNSを1つ決めてそれ以外のSNSは必要な時に利用する、という傾向にありそうです。
②2024年2月 Z世代キーワードトレンド 第3位「猫ミーム」
・猫ミームは、中毒性や懐かしさが感じられる曲と共感のしやすさを理由に大きくバズったと考えられます。
・企業が猫ミームを広告利用するには、権利問題や企業イメージ問題などいくつかの問題を乗り越える必要があり、ハードルが高そうです。消費者からのイメージが柔らかめのtoC企業であれば比較的利用しやすいかもしれません。
③2024年2月 Z世代キーワードトレンド 第8位「LYPプレミアム」
・Gen-Z調査隊内では、サービス認知はそこまで高くないという結果に。
・Z世代はサブスク契約にかなり厳しいようです。サブスクの内容と価格に対する納得感が契約・継続利用を促すようです。
Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)