いま、スポーツマーケティングが熱い!| 第3回 DX成功事例を追う フェンシング編(1)

いま、スポーツマーケティングが熱い!| 第3回 DX成功事例を追う フェンシング編(1)

連載第3回からは、競技ごとにスポーツマーケティングの動向をとりあげます。最初の競技は、デジタルトランスフォーメーション(DX)へ向けた成功事例として注目が集まる「フェンシング」です。


「フェンシング」は2018年度高校生運動部ランキングでは40種目中27位で、約2,500人が所属。公益社団法人日本フェンシング協会(以下、日本フェンシング協会)の「協会登録」会員(協会主催行事参加には登録が必要)は2018年12月上旬時点で6,056人です。

「稼げる種目」への転換

日本でフェンシングの認知度が上がった転機は、太田雄貴さんが2008年北京大会で日本人初のオリンピックメダルを獲得してから。でも、公式サイト等によると、メダルで注目は集めたものの、競技人口が増えたわけでも「稼げる種目」に変わったわけでもなかった、とのこと。2013年の全日本男子決勝大会では、観客が150人しかいなかったといいます。

公益社団法人 日本フェンシング協会 公式サイト

http://fencing-jpn.jp/

日本フェンシング協会の公式ウェブサイトへようこそ! 当協会は、我が国におけるフェンシング競技を統括する唯一の団体として、フェンシング競技を通して国民の心身の健全な発達に寄与することを目的にしています。 何卒よろしくお願い申し上げます。

そんななか太田さんは、2017年8月、オリンピック競技の加盟団体中最年少の31才(当時)で日本フェンシング協会会長に就任。

我々は、満員の会場で選手が最高のパフォーマンスを発揮することを「アスリート・ファースト」と定義し、強化と集客の両面に力を入れてきました。(公益社団法人 日本フェンシング協会会長 太田 雄貴)

太田会長が目指すのは、「メダル至上主義」からの脱却、「稼げる種目」への転換です。公式サイトには、「ベンチャースポーツ」としてスポーツビジネスの新たな姿をゼロからつくり上げ、収益事業を増やしていく意気込みが語られています。

試合をエンターテインメントというProductに

新生・日本フェンシング協会は、6000人(という数え方が合っているかどうかも再考の余地ありですが)の国内競技人口を5万人に育てる目標を掲げ、エンターテインメントとしてのフェンシングに、大きく大会方針を転換。

2018年12月9日には、「ジャニーズの聖地」として知られる新宿の劇場、東京グローブ座で「第71回全日本フェンシング選手権大会」という新たなユーザー体験(UX)を提供します。

人気DJや剣士に扮するダンサーのパフォーマンス、センサーデータで選手・審判の興奮度を、機械学習で剣先の軌跡を可視化した「フェンシング・ビジュアライズド」の演出がメディアにもとりあげられ、計700名分のチケットがわずか40時間で完売。

当日の演出には「凄い!わかりやすい!」「すごい…選手として一線で活躍して、若くて発想力もある方が就任すれば業界も変わりますよね。」「卓球でも使えないかな?」といったツィートが集まりました。

同大会のPriceは、S席5,500円~B席2,500円。太田会長就任直後2017年の同大会では1,000円だったので、新たなUX提供により最大4倍以上のCustomer Costを創造したことになります。

2017年は1,500人を集客したものの、家族や友人を頼っての「手売り」だったといいますから、流通コスト削減にも貢献しました。Placeという観点ではAbemaTVでの放映も注目を集めます。

一連の型破りな取組みは、デジタル・トランスフォーメーション(DX)へ向けた成功体験の大きな一歩といえるでしょう。

日本フェンシング協会のサイトは2年間で倍以上アクセス増加

日本フェンシング協会の主なD2C(Direct to Customer)チャネルは、ゲームのほかに公式サイトとFacebook、Twitter、YouTubeがあります。

ほかに太田会長が個人ブログ「太田雄貴オフィシャルブログ「Allez」Powered by Ameba」SNSアカウントを運用しています。

太田雄貴オフィシャルブログ「Allez」Powered by Ameba

https://ameblo.jp/1125-yukiota/

太田雄貴さんのブログです。最近の記事は「役員について」です。

ネット行動ログ分析ツールeMark+で調査した公式サイトの訪問者は、2017年8月の太田雄貴さん会長就任頃から、じわっと増加中。

ページビューも直近では約70万ページ/半年程度と、2017年4-9月の約30万ページに比べて倍以上増えていました。

日本フェンシング協会サイトの半年ごとの利用状況推移(2017年4月-2019年3月 PC+SP)

この記事のライター

法政大学院イノベーション・マネジメント専攻MBA、WACA上級ウェブ解析士。
CRMソフトのマーケティングや公共機関向けコンサルタント等を経て、現在は「データ流通市場の歩き方」やオープンデータ関連の活動を通じデータ流通の基盤整備、活性化を目指している。

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