カスタマージャーニーの3つの具体的な使い方

カスタマージャーニーの3つの具体的な使い方

カスタマージャーニーは、近年様々な企業において顧客の分析に活用されています。多様化した顧客の購買行動を可視化して、それぞれの接触ポイントごとに改善施策を実施することで、コンバージョンを改善します。今回はカスタマージャーニーの具体的な使い方を3つに絞り込んでご紹介します。


カスタマージャーニーとカスタマージャーニーマップの関係

顧客が商品を購入するまでの流れを「旅」に例えるカスタマージャーニー。顧客の購買行動におけるフェーズを、時系列に合わせて図式化したものが「カスタマージャーニーマップ」です。

「カスタマージャーニーマップ」を作成するにあたっては、まずゴールを設定します。購買や資料請求など、最終的に改善したい指標をゴールに分析範囲を決めます。

次にペルソナとなる顧客像の設定をし、購買行動の各フェーズの接点となる媒体での行動や思考をまとめ、最終的に「カスタマージャーニーマップ」として図式化します。最近はWebのアクセスログから、購買に至らなかった見込み客の行動なども把握できるようになっています。

カスタマージャーニーとは?意味とマップの作り方を3分で学ぼう

https://manamina.valuesccg.com/articles/555

今回は、マーケティング用語の「カスタマージャーニー」の意味と作り方についてです。カスタマージャーニーでは、顧客が商品を知ってから購入するまでの接点や心理、行動を「カスタマージャーニーマップ」として図式化します。カスタマージャーニーの接点やアクションに対する施策を打つことで、顧客目線のマーケティングを実現できるメリットがあります。

犬を飼う人のカスタマージャーニーとは?アンケートとWeb行動ログのビッグデータで分かること

https://manamina.valuesccg.com/articles/522

マーケティングにおいて、ユーザーとのコミュニケーション施策を決めるために必要なのがカスタマージャーニー。カスタマーの心情理解のための調査としてはアンケートを用いることが多いですが、インターネット上の検討行動は分かりません。これを明らかにするのがWeb行動ログデータです。犬を飼育し始めた人の、飼育前と飼育後のカスタマージャーニーを例にセミナーが行われました。

カスタマージャーニーマップの見方

カスタマージャーニーマップでは横軸に購買行動のフェーズ、縦軸にそのフェーズでのイベントや課題がマッピングされています。

カスタマージャーニーマップのテンプレート(ダウンロードできます)

1.横軸の見方
横軸となる購買行動モデルには、AIDMA(アイドマ)の法則や、AISAS(アイサス)の法則が活用されています。

「認知」
「興味・関心」
「比較・検討」
「行動」
「共有」

などが描かれています。左から右へ時間軸の経過が表現されています。

2.縦軸の見方
上から下へ

「接触ポイント」
「思考」
「感情」
「課題」
「施策」

などの項目が描かれます。

それぞれのプロセスにおいて、「接触ポイント」や「思考」によってターゲットの購買意欲などを分析します。

3.カスタマージャーニーマップの例
カスタマージャーニーマップのフォーマットやまとめるべき内容を、豊富な事例と無料のテンプレートで紹介しています。

カスタマージャーニーマップの事例と無料テンプレートまとめ

https://manamina.valuesccg.com/articles/599

マーケティングでカスタマージャーニーに取り組む際、最終的に「カスタマージャーニーマップ」としてまとめます。作り慣れていないとカスタマージャーニーマップのフォーマットやまとめるべき内容に迷いが出ることもあるはずです。この記事では豊富な事例と無料のテンプレートでカスタマージャーニーマップ作りを支援します。

カスタマージャーニーマップの使い方

カスタマージャーニーマップを使うと、ターゲットである「ペルソナ」の思考や行動を横の時系列ごとに分析できます。すると課題や改善点が浮き彫りになってくるでしょう。カスタマージャーニーマップの具体的な使い方をまとめました。

1.関係者で共通認識を持つ

カスタマージャーニーマップは、メンバーや関係部署間での共通理解を促進するツールとして使えます。またカスタマージャーニーマップを作る過程で顧客の理解が深まるのもポイントです。

部署を越えたマーケティングでも、矛盾のない一貫した施策ができるのがメリットです。

2.商品やサービスが抱えている課題を洗い出す

カスタマージャーニーマップによる分析からは、課題点も浮き彫りになってきます。

接触ポイントごとに異なるマーケティング施策が必要ですが、現代ではネット/スマホ/TV他接触ポイントが多様化していて、一つの媒体で全てを網羅できません。

そこでペルソナごとの接触ポイントを洗い出し、接触ポイントごとに認知や行動を変化させる施策を実施する積み重ねが最終的なコンバージョンの改善につながります。

3.全体を俯瞰し、ユーザー目線で現実的な改善策を立てる

カスタマージャーニーの分析で明らかになった課題に対して、改善策を検討します。例えば「認知」から「興味・関心」に移行する率を5%改善する、といった顧客の思考や行動を変容させるマーケティング施策の積み重ねが最終的なコンバージョン改善につながります。

まとめ

カスタマージャーニーの具体的な使い方を紹介しましたが、作成や分析は部署やチームにおける数多くの意見を必要とします。その分析を基に、顧客の購買意欲などを俯瞰的に捉えて、改善していく事で売上につながるのです。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


カスタマージャーニー

関連する投稿


大反響!博報堂 若者研究所と解き明かす、Z世代特有の意思決定行動とは? | セミナーレポート

大反響!博報堂 若者研究所と解き明かす、Z世代特有の意思決定行動とは? | セミナーレポート

2023年2月17日(金)に開催され、大反響を呼んだZ世代の行動実態解説セミナー。本記事では、MarkeZine Day 2023 Springでもコンテンツ化された当セミナーの内容をお届けします。独特の価値観や消費力の拡大で世界的に注目されているZ世代について、特徴的な意思決定行動とその背景にある心理を分析。現役大学生のリアルな声と、行動(ファクト)ベースのWeb行動ログデータを組み合わせて、Z世代の実態を明らかにします。


生命保険のカスタマージャーニーの実態は?マーケティングへの活用事例も解説

生命保険のカスタマージャーニーの実態は?マーケティングへの活用事例も解説

競争が激しくなる保険業界ではカスタマージャーニーの把握の重要性が高まっています。実際の保険検討者のネット上の検討行動を可視化・解説しながら、カスタマージャーニーの活用事例についても取り上げます。


ペルソナの作り方を徹底解説!事例やテンプレートも紹介

ペルソナの作り方を徹底解説!事例やテンプレートも紹介

マーケティングに役立つペルソナの活用方法を、具体的な事例と作り方に役立つ本を通じて学びます。ターゲットを代表する典型的なユーザー像を「ペルソナ」として設定すると、顧客視点のマーケティングになると共に関係者間でターゲット像を共通認識できるメリットがあります。


マーケティングリサーチとは何か?事例でリサーチャーが基礎知識を解説

マーケティングリサーチとは何か?事例でリサーチャーが基礎知識を解説

マーケティングリサーチの基礎知識について具体例を交えて紹介します。マーケティングリサーチとは、「組織が商品・サービスを提供するために、お客様を知り、お客様にあった商品・サービスをつくることで、様々な経営資源を効率的に運用するために顧客を知る活動」のこと。マーケティングリサーチを自社のマーケティング活動のなかに取り入れるには、どのタイミングで、何を、どのように行えばいいのでしょうか。当メディアを運営する株式会社ヴァリューズのリサーチャーがマーケティングリサーチについて解説したセミナーから、ポイントをまとめました。


購買プロセスの理解がマーケティング戦略を実行する上で重要な理由

購買プロセスの理解がマーケティング戦略を実行する上で重要な理由

効果的にマーケティングの戦略・施策を練る上では、ターゲットユーザーの購買プロセスなどの市場環境の把握が重要になります。しかしWeb利用の拡大により、検討・購買行動が多角化し、全体像を掴む調査が難しくなっています。そこに消費者の意識と行動間のギャップも合わさり、既存の意識調査のみでは市場環境の把握が難しくなっていると言えます。その課題を解決できるのが、アンケートと行動ログを用いてターゲットの意思決定プロセスと離脱要因を把握する購買プロセス調査です。今回はこの購買プロセス調査について、仕組みや利点、実際の調査事例を解説します。


最新の投稿


Since ChatGPT first launched, how have its users changed? Investigating the actual situation regarding ChatGPT users

Since ChatGPT first launched, how have its users changed? Investigating the actual situation regarding ChatGPT users

ChatGPT emerged as the pioneer of generative AI in November 2022, and the number of users continued to grow. We conducted research on the number of users and their personas for March 2023 (4 months after its release). Now (after approx. 9 months), we look to see if there have been any changes in ChatGPT's user base.


サイバーエージェント、Webサイト上で3DCGを活用し顧客に新しい体験を提供するバーチャルストアサービスを開始

サイバーエージェント、Webサイト上で3DCGを活用し顧客に新しい体験を提供するバーチャルストアサービスを開始

株式会社サイバーエージェントは、AI事業本部において3DCGを活用し、企業の販促活動を支援するバーチャルストアの開設・運営サービスを開始したことを発表しました。


BYDのコンパクトEV「ドルフィン」。初速の反応や関心層は?

BYDのコンパクトEV「ドルフィン」。初速の反応や関心層は?

EV業界でトップを走るテスラに続いて日本に参入した、EVメーカーのBYD(比亜迪)。2023年9月20日に日本市場向けEVの第二弾としてコンパクトEVの「ドルフィン」を発売しました。車体価格は363万円と、一般的に高額なEVの中では手頃な価格帯でありながら高い機能性が注目されています。 今回は、BYD「ドルフィン」Webページの訪問者の調査を行い、初速の反応やどのような人が関心を持っているか調査していきます。


年末年始、これさえ見とけば大丈夫!2023年のトレンド振り返り

年末年始、これさえ見とけば大丈夫!2023年のトレンド振り返り

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2023年も様々なトレンドが生まれ、個別に記事として取り上げてきました。今回はそんな調査記事の総集編として、2023年の重要トレンドを振り返ります。


トレンドワードに「麻布台ヒルズ」「アニヤハインドマーチ」など...「週間」検索キーワードランキング(2023/11/19~2023/11/25)

トレンドワードに「麻布台ヒルズ」「アニヤハインドマーチ」など...「週間」検索キーワードランキング(2023/11/19~2023/11/25)

行動ログをもとに週次の検索急上昇ワードランキングを作成し、トレンドになっているワードについて取り上げます。2023年11月19日~11月25日は、11月24日に開業した日本一の超高層ビル「麻布台ヒルズ」や、11月23日から発売開始のユニクロとのコラボ商品で話題の英国ブランド「アニヤハインドマーチ」などが検索急増していました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ