サウナ流行を牽引するのは20代、流入ページ1位は「サウナイキタイ」。検索分析で見るサウナのトレンド

サウナ流行を牽引するのは20代、流入ページ1位は「サウナイキタイ」。検索分析で見るサウナのトレンド

小さくないコロナ禍の影響を受けつつも、再び大きな流行となっているサウナ。いまサウナに注目しているのはどんなユーザーで、何に着目しているのでしょうか。この記事では、サウナに対して寄せられている関心やそのユーザーについて、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使って調査します。


近年のサウナブーム、ユーザーはどれくらい伸びたのか

特に若者の間で流行中のサウナ。トレンド具合を知るため、まず「サウナ」の検索者数の推移を見てみましょう。なお、本記事の分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用します。

「サウナ」検索ユーザー数の推移

「サウナ」検索ユーザー数の推移
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

検索者数は全体的に右肩上がりの傾向となっていることが分かります。2020年3月から2020年6月にかけては約11万人にまでユーザー数は減少していましたが、その後右肩上がりで増加し、2022年1月の検索者数は約37万人と、3倍以上にもなっています。

これだけユーザーが増加していれば、ブームとされるのも納得の増加度合いです。20代である筆者の周りでも、この1年間でサウナにハマる友人が増えました。自分もそれにつられてサウナにハマってしまった一人です。

ここで、2020年3月から2020年6月にかけての減少の要因を探るために、その前の期間のデータも見てみましょう。

「サウナ」検索ユーザー数の推移
(集計期間:2019年1月~2020年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

2019年8月と2020年1月にユーザーが大きく伸びており、全体として2019年~2020年3月まではユーザーが増加しています。となると、2020年4月からの減少にはコロナの影響が考えられそうです。

実際、「サウナ」の掛け合わせワードのなかで最もユーザー数が多いのが「コロナ」であり、さらにその推移に注目するとほとんど2020年3,4月に検索されています。

「サウナ」検索ユーザーの掛け合わせワードランキング、1位

「サウナ」検索ユーザーの掛け合わせワードランキング、1位
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

サウナは特性上、頻繁な換気は難しい上に人も密集しやすくなっています。こうした特徴から、コロナ感染を懸念してサウナに関する検索を行ったユーザーが3,4月は多かったようです。

現在ではコロナに対する意識の変化や、施設ごとにガイドライン等が整備されたこともあり、再びユーザーが急増していると考えられます。

【関連】伸びる「宿泊のサブスク」利用者はどんな人?ユーザー数や属性、ワーケーション関心層の特徴も調査

https://manamina.valuesccg.com/articles/1571

働き方改革やコロナ禍でのリモートワーク推進等により暮らし方が多様化する現代。ワーケーションへの関心も高まる中で、定額で全国の住居を利用できるサブスクリプション型宿泊サービスが登場しています。この新しい時代のサービスを利用するのはどんな人なのか?今回は、HafHとADDressの2サービスに着目し、ターゲットとなりうるワーケーション関心層と比較しながら分析していきます。

サウナ流行を牽引するメインの世代は20代

続いて、ユーザーの属性に注目してみましょう。
まず男女比では下図のようになっています。

「サウナ」検索ユーザーの男女比

「サウナ」検索ユーザーの男女比
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

サウナのイメージとしては男性が多いイメージがありますが、実際に男性が6割強と多くなっています。

年代別ではどうでしょうか。

「サウナ」検索ユーザーの年代構成比

「サウナ」検索ユーザーの年代構成比
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

年代の構成比としては、20・30代がそれぞれ25%程度、かつネット利用者全体の構成比も大きく上回っており、メインユーザー層となっています。逆に50代以降はネット利用者全体の比率よりも少なくなっています。

また、家族構成としては未婚のユーザーが6割となっており、ネット利用者全体と比較して15%高くなっています。

「サウナ」検索ユーザーの未既婚割合

「サウナ」検索ユーザーの未既婚割合
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

サウナは一人、もしくは友達同士で楽しむ側面が強く、また1回の入浴時間もある程度長くなるためにこのような結果となっていそうです。

世帯年収の構成比も見てみましょう。

「サウナ」検索ユーザーの年収構成比
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

年収構成比は全体として高所得者の構成比が高くなっています。サウナ好きをアピールする経営者も多いですが、データとしても高所得者の方がサウナを好むことが分かります。

ここまでユーザーの属性に注目してきましたが、現在のサウナブームを牽引しているのはどの層のユーザーなのでしょうか。ユーザー属性の推移に注目したところ、特に年代構成比について大きな変化がありました。

「サウナ」検索ユーザーの年代構成比の推移

「サウナ」検索ユーザーの年代構成比の推移
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

20代に注目すると、2020年3月頃には15%だった比率が、2022年2月には32%と倍以上になっています。このことから、現在のサウナブームを牽引しているのは20代のユーザーだと言えそうです。

また、全体のユーザー数が3倍以上となるなか、30・40代の比率がほとんど変わっていないことから、30・40代のユーザーもかなり増加していることが分かります。

【関連】Z世代に今何が刺さっているのか?検索行動から顕在ニーズを分析し、トレンドを探る

https://manamina.valuesccg.com/articles/1491

昨今マーケティングの文脈で注目度が大きく上昇している「Z世代」。1990年代中盤以降に生まれた世代を指し、幼少期からデジタルに触れて育ってきたデジタルネイティブであるという特徴から、それ以前の世代とは全く異なる価値観を持っているとされています。InstagramやTiktokを代表としたSNSの利用時間や、SNSを通じた購買も多いため、SNSきっかけでトレンドが生まれ消費が動くことも少なくありません。今回はそんなZ世代のトレンドとして、今後大きくなりそうなものの可能性を検索キーワードから調査します。

サウナ検索での掛け合わせワード、「整う」が大幅上昇中

次に、ユーザーの検索キーワード・流入ページからユーザーの関心を探ってみます。

「サウナ」検索時の掛け合わせワードの上位をまとめたものが下表になります。

「サウナ」検索ユーザーの掛け合わせワード

「サウナ」検索ユーザーの掛け合わせワード
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

先ほど取り上げた「コロナ」以外では、「東京」「大阪」などの店舗を検索するキーワード、「効果」「整う」「入り方」といったサウナの使い方に関するキーワードが見られます。なかでも「整う」はユーザー数の推移としても大幅に増加しており、サウナに興味を持つユーザーは「整う」というキーワードをフックに興味を持っているのかもしれません。

他には日本一のサウナとの呼び声も高い「しきじ」が検索されている他、「チームラボ」(TikTokが手掛けた「アートとサウナ」(21年11月に終了)というイベント)、「女性」などの検索が多くなっています。特に「女性」についてはユーザー数の推移を見ても右肩上がりで増加しており、女性からの関心も高まっていることが分かります。

実際にユーザーが流入したページのランキングは次のようになっています。

「サウナ」検索ユーザーの流入ページ
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

上位2ページは「サウナイキタイ」「サウナタイム」と、サウナ専門のメディアのページになっていました。どちらもユーザーからの店舗に関する口コミや、サウナの楽しみ方に関する記事を掲載しているメディアとなっています。

他には、上野の「北欧」・静岡の「しきじ」といった人気店舗のホームページや、「整う」や「入り方」に関するページが人気です。掛け合わせワードの「整う」のユーザー数推移からもわかりますが、「整う」という状態が気になってサウナに惹かれている人がかなり多いと言えそうです。

流入ページ1位の「サウナイキタイ」。日本最大のサウナ検索サイトとしてサウナーの利用を集める

流行を牽引する20代は何に注目しているのか

最後に、流行を牽引する20代はサウナについて何を求めてどういった検索を行っているのでしょうか。
20代検索者のキーワード季節変化についてまとめたものが下記になります。

「サウナ」検索ユーザー(20代)のキーワード季節変化

「サウナ」検索ユーザー(20代)のキーワード季節変化
(集計期間:2020年3月~2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

2020年3月~6月はやはり「コロナ」が多いほか、「しきじ」が検索されています。「しきじ」は静岡にあるサウナですが日本一のサウナとの呼び声も高く、そういった観点でコアなサウナファンからの検索だと考えられます。

また、2020年7月から「整う」、11月から「入り方」のキーワードが入っています。「効果」については3月から検索されていますが、より初心者がサウナ自体を楽しむことが普及してきた様子が伺えます。

2021年の3月~6月では「チームラボ」が最も検索されていますが、元々20代への認知度・人気の高いチームラボとサウナがコラボしたということもあり、関心が高まったと言えそうです。

また、2021年7月からは「女性」「カップル」のキーワードが入っており、女性からの人気上昇とともにカップルでサウナを楽しみたいというニーズが増加していることが伺えます。「ホテル」「個室」「貸切」といった検索もこのニーズに関連するものだと言えそうです。

【関連】Z世代のファッション選びで「骨格診断」が主流に?検索ワードからみる最近のトレンドとは

https://manamina.valuesccg.com/articles/1612

Z世代の女性の間で流行っているファッションのトレンドについて調査します。最近流行の「マーメイドスカート」や「骨格診断」について、検索ユーザー数の推移、年代別属性や、流入先のコンテンツなどを分析。ファッション選びの際のインサイトを考察しました。

サウナブームの分析まとめ

今回は最近のサウナブームについての分析を行ってみました。結果として判明したこととしては、

・コロナ禍を経て一度大きくユーザーが減少したものの、ガイドラインの設定や意識変化等を通してコロナ前よりもユーザーが大きく増加している
20代の比率が大きく上昇しており、20代がサウナの流行を牽引している
女性からの関心も高まっており、それに伴いカップルでサウナを楽しみたいユーザーも増加している

サウナは昔から度々ブームとなっていますが、現在では個室やチームラボがアートと掛け合わせたように他分野とのコラボレーションも行われ、新しい様式として受け入れられていると言えそうです。

ブーム自体はまだまだ衰える気配がなく、地方観光回復の事業としても注目されています。今後の動向に、一人のマーケターとしても、サウナ好きとしても目が離せません。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

2022年の春から、新卒としてヴァリューズに入社。

関連する投稿


Z世代とミレニアル世代ではECサイトでのコスメ購入のタイミングやアイテムに差がある!購入する理由は「手軽さ」「お得感」「ポイントがつきやすい」【シナブル調査】

Z世代とミレニアル世代ではECサイトでのコスメ購入のタイミングやアイテムに差がある!購入する理由は「手軽さ」「お得感」「ポイントがつきやすい」【シナブル調査】

株式会社シナブルは、月に1回以上ECサイトでコスメを購入するZ世代の女性とミレニアル世代の女性を対象に、「コスメ購買意欲」の実態調査を実施し、結果を公開しました。


日本インフォメーションら、オーディション企画「timelesz project(タイプロ)」に関する調査結果を公開

日本インフォメーションら、オーディション企画「timelesz project(タイプロ)」に関する調査結果を公開

日本インフォメーション株式会社は、インフルエンサーを活用したショートムービーマーケティング事業を行う株式会社TORIHADAと女子大生・女子高生マーケティング集団「Trend Catch Project 」 を運営するRooMooN株式会社が設立した、若年層の「今と未来」について調査・研究するプロジェクト「Next Generation Lab」に参画。共同調査の第一弾として、timelesz project(タイプロ)の視聴実態と、Z世代の推しに対する価値観を明らかにするための調査を実施し、結果を公開しました。


【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

【2025年】花粉症の検索トレンド分析。近年注目されている対策は?

「時期が早い」「花粉飛散量が多い」と言われている2025年春、花粉症に悩まされている方々も多いのではないでしょうか。「花粉症」についての検索者はいつ多くなるのか、どのような人なのか、さらに注目の花粉症対策について調査しました。 ※本記事に掲載する医療情報や健康関連情報は一般的な参考情報を提供するものであり、内容の正確性や信頼性を担保するものではありません。個別の状況においては必ず医師や専門家に相談してください。


Z世代がショッピングモールに足を運ぶ理由は?求められるのはリアルな体験 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年2月)

Z世代がショッピングモールに足を運ぶ理由は?求められるのはリアルな体験 | 海外トレンドに見るビジネスの種(2025年2月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカのZ世代が見出す実店舗の魅力や、Z世代の集客をねらった各社の事例について取り上げます。


10代が単語検索を行う最大の理由は「目的が明確でなく、ざっくりと情報を収集したい」!情報が見つからないときにはワードを調整して再検索【ランクエスト調査】

10代が単語検索を行う最大の理由は「目的が明確でなく、ざっくりと情報を収集したい」!情報が見つからないときにはワードを調整して再検索【ランクエスト調査】

株式会社ecloreは、同社が提供する「ランクエスト」にて、10代(15歳以上19歳以下)の男女を対象に「単語検索vs.複数ワード検索の実態」に関する独自調査を実施し、結果を公開しました。


最新の投稿


博報堂⾏動デザイン研究所、生活者が日々情報を引き寄せ貯めこむ行動と欲求の変化を調査した「行動デザイン予報2025」を公開

博報堂⾏動デザイン研究所、生活者が日々情報を引き寄せ貯めこむ行動と欲求の変化を調査した「行動デザイン予報2025」を公開

博報堂⾏動デザイン研究所は、15〜69歳スマートフォン保有の男⼥を対象に、「情報行動・欲求に関する調査」を実施し、結果を公開しました。本調査では、生活者が日々情報を引き寄せ貯めこむ行動(情報プール)とその根底にある欲求がコロナ禍(23年)からどのように変化したかを聴取し、「行動デザイン予報」として今後の生活者トレンドを予測しています。


富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

高ランク帯のクレジットカードのなかでも特に持つ人が限られているというプレミアムなカード、通称"ブラックカード"。ブラックカードを持つことに憧れているという人も多いのではないでしょうか。本記事では、ブラックカードに関心を持つ人々の検索傾向やターゲット層の特徴を深掘りし、どのようなプロモーション施策が効果的かについて考察します。


「値上げ」の1番の注目は米、キャベツじゃなく...?検索ワードを調査

「値上げ」の1番の注目は米、キャベツじゃなく...?検索ワードを調査

物価上昇が以前と続く2025年3月。様々な分野で値上げが行われていますが、人々から特に関心を集めているのはどの物価なのでしょうか。この記事では、値上げに関連する検索ワードから、人々がどの値上げに注目しているか、2025年と2024年それぞれで分析していきます。


Z世代とミレニアル世代ではECサイトでのコスメ購入のタイミングやアイテムに差がある!購入する理由は「手軽さ」「お得感」「ポイントがつきやすい」【シナブル調査】

Z世代とミレニアル世代ではECサイトでのコスメ購入のタイミングやアイテムに差がある!購入する理由は「手軽さ」「お得感」「ポイントがつきやすい」【シナブル調査】

株式会社シナブルは、月に1回以上ECサイトでコスメを購入するZ世代の女性とミレニアル世代の女性を対象に、「コスメ購買意欲」の実態調査を実施し、結果を公開しました。


トランプ関税がもたらす変化とグローバルマーケティング戦略の潮流

トランプ関税がもたらす変化とグローバルマーケティング戦略の潮流

2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足し、連日数々の「大統領令」が発令されている今。その中でもトランプ政権の主軸となるのは通商政策、いわゆる「トランプ関税」でしょう。本稿では、日々耳にする「トランプ関税」の意味する中身を詳しく紹介。国際政治学者としてだけでなく、地政学リスク分野で企業へ助言を行うコンサルティング会社の代表取締役でもある和田大樹氏が、「トランプ関税」の大局を見極め、関係国・関係企業に及ぶ影響の光と影の部分や、今起きているグローバルマーケティングの潮流を解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ