トレンドは「コスパ×タイパ」? キーワード検索から紐解くその理由

トレンドは「コスパ×タイパ」? キーワード検索から紐解くその理由

2023年のヒット商品から推測される「コスパとタイパの掛け合わせ」。なぜこのトレンドが昨年注目を集めたのか、なぜここまでパフォーマンスにこだわるのか。関心を持つ人の属性やニーズについて、検索データから分析します。


コスパとタイパが重要視される現在

2023年11月、株式会社日経BPが運営する「日経クロストレンド」から2023年のヒット商品ベスト30が発表され、世間で話題を集めたものが多数ランクインしていました。

ランキングには、低料金のジムや一人世帯向けの食洗器、鍋要らずのパスタなどが挙がっており、昨年はコスパとタイパを掛け合わせたものがトレンドとなっていることが特徴的に感じます。

そこで、なぜコスパ×タイパの商品が流行ったのでしょうか。また、なぜここまでパフォーマンスにこだわったものが多いのかについても解き明かしていきます。

コスパ×タイパ

コスパとは、コストパフォーマンスの略語で日本語では費用対効果と言います。よく「コスパが高い」という言葉を聞きますが、それは支払った費用(コスト)に対して、それによって得られた能力(パフォーマンス)が高いことを指します。要はお買い得商品ということです。

タイパとは、タイムパフォーマンスの略語で、コスパと同様に時間対効果と言い換えられます。つまり、「タイパが高い」とは時間効率が良いということです。

従って「コスパ×タイパが高い」とはお買い得かつ時間効率が良いものという意味になります。
そんな「コスパ×タイパ」の観点で、私たち消費者にとって嬉しい商品を2つほど紹介します。

chocoZAP

1つ目は2023年のヒット商品ベスト30の第2位に選ばれた「chocozap」です。

chocozapHPより引用

「chocozap」はRIZAPグループ株式会社が運営する会員制のジムです。このジムは月額2980円で使い放題ということで、非常にコスパが高くなっています。

また入退会もスマホで簡単に、全店舗24時間365日無休で使え、さらに普段着でトレーニングを行えるという、タイパもかなり高いサービスです。

パキット

2つ目は2023年ヒット商品ベスト30の第9位に選ばれた「パキット」です。

永谷園HPより引用

「パキット」は株式会社永谷園ホールディングスから販売されている一人前用のパスタソースのことです。

これは普通のパスタソースとは違い、麺を生のままパッケージに入れて、電子レンジで温めるだけでおいしく食べられるようになる商品です。これにより、麺を茹でるという作業(コスト)を省くことができるので、コスパは高いと言えるでしょう。また同様に茹で時間も短縮できるので、タイパも高いです。

パーソナル食洗器SOLOTA

3つ目は2023年ヒット商品ベスト30の第27位に選ばれた「パーソナル食洗器SOLOTA」です。

PanasonicHPより引用

「パーソナル食洗器SOLOTA」はパナソニック株式会社から販売されている一人世帯向けの食洗器です

食器を自分で洗う必要がなくなるので、当たり前ですがタイパは以前より高くなりますね。しかし、一人暮らしに食洗器はリッチなのではと思う人がいるでしょうが、この食洗器は手洗いで使う水の約8分の1の水で洗えるようです。

さらに、SOLOTAを月額1290円で利用できるサブスクリプションのようなサービスもあるので、かなりコスパは高いと言えそうです。

コスパ、タイパに関心があるのはどのような人?

ここからはどのような人がタイパやコスパに興味があるのかを毎月更新される行動データを用いて、競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて詳しく調べていきます。

男女比にはさほど違いはない

下のグラフは「コスパ」と「タイパ」というキーワードを検索した人の男女比を表しています。

キーワード検索「タイパ・コスパ」:男女比
調査期間:2023年1月~2023年12月
デバイス:PC・スマートフォン

どちらともそれほど違いはなく、約1対1の比率です。

若い世代の占める割合が高い

続いて、年齢層についても見ていきましょう。

キーワード検索「タイパ・コスパ」:年齢層
調査期間:2023年1月~2023年12月
デバイス:PC・スマートフォン

特に「コスパ」が20~30代に検索している人が集中しています。「タイパ」についても一般的なネット利用者の構成比に比べて、30代が高くなっています。やはり若い世代の人の方がトレンドに敏感なのでしょう。

コスパとタイパは関係している

掛け合わせて検索されたワードも見ていきましょう。

掛け合わせ検索ワード:「コスパ」
調査期間:2023年1月~2023年12月
デバイス:PC・スマートフォン

上図は「コスパ」と共に検索されたワードの一覧です。第2位「ランチ」、第6位「スマホ」、第8位「居酒屋」、第13位「焼き肉」、第15位「寿司」など日常生活に関係したもの、特に食事と掛け合わせて検索されています。

掛け合わせ検索ワード:「タイパ」
調査期間:2023年1月~2023年12月
デバイス:PC・スマートフォン

同じく「タイパ」の方でも見てみると、第1位に「コスパ」がランクインしており、タイパを検索するひとはコスパも意識していることが分かります。

なぜコスパとタイパが最近のトレンドになっているのか

ここまでで、コスパとタイパが若い世代を中心に関心を集めていると分かりましたが、そもそもなぜパフォーマンスへのこだわりが最近のトレンドになっているのでしょうか。

それは、主に二つの理由があると思われます。

技術の進化によるもの

1つ目の理由として、技術の進化によるものがあると考えられます。商品やサービスが高速に生み出されている現代において、消費者は常により新しく、より良いものを求めています。なので、企業はそのニーズに応えるために常にパフォーマンスに目を向けなければいけません。

時間に追われている時代から時間を有効活用する時代へ

2つめの理由として、現代人の時間の使い方が変わったと考察します。コロナ禍を経てリモートワークが普及し、仕事がオンライン上で出来るようになったりすると、通勤時間や業務効率化できた分をプライベートの時間にあてることも可能になりました。そうしたライフスタイルの変化から、様々なこと(家事や趣味)をより短い時間で効率的にやろうという気持ちが芽生えたのではないでしょうか。より早く、より簡単なものを求める風潮は、これからも一定続くと考えられます。

まとめ

今回は2023年からの「コスパ×タイパ」というトレンドに着目して、なぜここまでパフォーマンスを求めるのかについて調べてきました。以下のような調査結果が得られました。


① コスパ・タイパの両方は若者に関心層が多い
② コスパは買い物だけではなく、食事など日常生活に求められている
➂ タイパを意識する人はコスパも意識している
④ パフォーマンスが求められるのは、技術の進化と人々の時間の使いかたの変化によるものではないか


Z世代の私の意見としては、大学・バイト・サークル・家事を行っている身として、大変ありがたい風潮ですね。自由に使える時間が増えることで友人関係を広げたり、自分の趣味に没頭したり、資格勉強が出来たりするようになるので、大学生活がより豊かなものになっていきます。

下記は、タイパについての関連記事です。こちらもぜひ一度ご覧ください。

タイパ×コスパ、今後の動きに注目です。

関連記事

この記事のライター

早稲田大学商学部1年生のハルです。愛知から上京してきて絶賛一人暮らし中。自炊にはまっています。現在マナミナにてインターン中。

関連する投稿


観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

動画視聴を通じてポイ活を行うアプリ「TikTok Lite」が注目を集めています。「TikTok」に少し変化を加えただけに思えるこのアプリですが、実は「TikTok」と同じぐらい勢いがうかがえます。そこで、本記事では「TikTok Lite」と「TikTok」のアプリユーザーのデータを分析し、双方の違いから「TikTok Lite」の人気の要因を探っていきます。


【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の20歳以上の男女45,818人を対象に、今夏の旅行予定に関する消費者アンケート調査を実施しました。またヴァリューズが保有する約250万人の独自消費者パネルを活用したインターネット行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用して、消費者の観光ニーズを分析しました。


BeRealに毎日投稿しているZ世代の割合は他の写真投稿系SNSの約2倍【マーケティングアプリケーションズ調査】

BeRealに毎日投稿しているZ世代の割合は他の写真投稿系SNSの約2倍【マーケティングアプリケーションズ調査】

株式会社マーケティングアプリケーションズは、Z世代(15歳~25歳の男女)を対象に「BeReal」を含む複数のSNSについて調査を実施し、結果を公開しました。


レトロブームで再燃? コンデジやチェキ、写ルンですの消費者ニーズをデータで深掘り

レトロブームで再燃? コンデジやチェキ、写ルンですの消費者ニーズをデータで深掘り

「コンデジ」「チェキ」「写ルンです」。この言葉を聞いて懐かしいと思う大人は多いかもしれません。スマートフォンの普及によって、カメラを買う機会は減少傾向にありました。しかしながら、最近はZ世代の間で「レトロ」が注目を集め始め、コンデジブームがやってきました。データ分析を通してそれぞれのカメラの関心層を分析します!


ROASとは?計算方法や目標値・目安、ROASを改善する7つの手法をわかりやすく解説

ROASとは?計算方法や目標値・目安、ROASを改善する7つの手法をわかりやすく解説

ROASとは、全体の売上の中で広告費用がどれだけの影響を及ぼしたかを測る指標です。 ROASを分析することにより、「効果測定を簡単に行える」「広告キャンペーンの予算配分を最適化できる」「リアルタイムでの改善が可能」などのメリットがあります。 しかしながら、「ROASはどうやって計算すればいい?」「ROASを改善する具体的な方法は?」について気になっている方も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、ROASの基礎や計算式の解説に加え、ROASを具体的に改善する方法やROAS分析に役立つツールについて解説します。


最新の投稿


アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

Repro株式会社は、アパレル系店舗アプリのインストール前後の利用状況に関するユーザー調査を実施し、結果を公開しました。


認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

未知株式会社は、全国の企業に在籍する20〜60代の方を対象に「コンテンツマーケティングの実施・成果」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

近年、美容インフルエンサーの発信により特定のスキンケア成分がフォーカスされ、「成分関心層」が増加しています。今回は、@cosmeを運営するアイスタイル社が保有する、日本最大級の美容に関する生活者データと、ヴァリューズが保有するオンライン行動データを活用。成分に関する情報感度の高いアーリーアダプター層に注目し、その裏にあるユーザーインサイトから、成分関心層と取るべきコミュニケーションを探ります。※本セミナーのレポートは無料でダウンロードできます。


官民連携の智略 ~ PPP/PFI

官民連携の智略 ~ PPP/PFI

高い効率性が求められるのは今や個人の仕事や学業の範疇にとどまらず、国の施策運営である公共事業などにもその思考傾向は浸透しつつあります。その結果、国は民間企業の協力を得て「官民連携」で公共事業を進めることでそれらを効率化し、さまざまな事業を支えている例が多く存在します。本稿では、このような「官民連携」で効率化を目指す手法のPPPやPFIなどについて、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が解説します。


観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

動画視聴を通じてポイ活を行うアプリ「TikTok Lite」が注目を集めています。「TikTok」に少し変化を加えただけに思えるこのアプリですが、実は「TikTok」と同じぐらい勢いがうかがえます。そこで、本記事では「TikTok Lite」と「TikTok」のアプリユーザーのデータを分析し、双方の違いから「TikTok Lite」の人気の要因を探っていきます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ