アンケートとインターネット行動ログデータを組み合わせた市場調査および事業成長支援サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、日本および中国本土でインターネットリサーチを実施し、日本人・中国人女性の美容に関する支出金額と日本化粧品へのブランドイメージの差異を調査しました。
2018年には延べ800万人以上が日本を訪れる(*1)など増え続ける訪日中国人や、中国からの越境EC利用者は、インバウンド産業においてますます重要性が高まっています。
そんな中ヴァリューズが2018年11月に発表した調査(*2)では、越境ECの利用習慣や訪日経験のある中国人女性が化粧品に支出する金額が明らかになりました。今回、新たに調査した日本人女性の化粧品支出金額と比較することで、日本と中国における美容意識の差異を探りました。また、各化粧品ブランドへ抱くイメージについても日中間の意識の違いを調査しました。
*1 訪日外客数・出国日本人数データ|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/月別・年別の訪日外客数および各国・地域別の日本人訪問者数のデータを確認できます。
分析概要
<日本側>
全国のヴァリューズモニターのうち美容に興味がある女性を対象として、化粧品・サプリメントの購買状況、日本化粧品のブランドイメージについてアンケート調査を実施しました。
※回答期間: 2018年10月24日~2018年10月31日
※全体回答者数: 5,243人
※本調査対象者数: 3,326人
※性年代別インターネット人口に則したウェイトバック集計後の有効サンプルサイズ: 3,470 ss
<中国側>
中国本土の大手市場調査会社モニター会員の協力のもと、越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人女性に対して、化粧品ブランドの認知、購買状況や越境ECの利用状況、美容に対する意識等についてアンケート調査を実施しました。
※回答期間: 2018年6月28日~2018年7月9日
※全体回答者数: 4,112人
※本調査対象者数: 1,059人
※性年代別インターネット人口に則したウェイトバック集計後の有効サンプルサイズ: 1,032 ss
※2018年11月発表済
考察サマリ
■越境EC利用や訪日経験のある中国人女性が化粧品に使う金額は日本人女性の2倍以上、中国は35歳未満の若い世代でも美に多額の投資
日本人女性が1ヶ月あたりに購入する化粧品の平均金額を年代ごとに算出し、中国人女性の購入金額と比較しました【図1】。
中国人女性は35歳未満の若い世代で多くのお金を使いその後低下していくのに対し、日本人女性は年齢が上がるごとに購入金額もなだらかに上昇しています。日本人女性が使う金額は全年代で中国人女性より低く、24歳以下では約3分の1、最もお金を使う40歳以上でも約2分の1という結果になりました。中国の35歳未満の若い世代は、一人っ子政策が始まった頃に生まれた世代で、中国の経済成長とともに消費意欲・美容意識が向上し日本との差がより拡がったようです。
■サプリメント購入金額は年齢とともになだらかに上昇も、やはり日中の差は歴然
さらに化粧品だけでなく、サプリメントの購入金額も日中両国の女性年代ごとに調査しました【図2】。
日本人女性と中国人女性の購入金額の差はさらに拡がり、30~35歳未満では中国人女性の約8分の1という結果になりました。日本人女性は年齢が上がるごとに消費が高まっていくのに対し、中国人女性は30~35歳未満が購入金額のピークとなり、全年代をみると曲線を描いています。
【図2】で示した化粧品の購入傾向に比べると、やや年齢を重ねてからサプリメントへの意識が高まるようです。30歳未満の方がまだ意識が低い部分を鑑みると、マーケティングのターゲット策定や注力分野も検討の余地がありそうです。
■日本人女性は化粧品の信頼性重視、中国人女性は革新性・ハイテクブランドを好む
日中両国の女性に対し、日本の化粧品ブランドへ抱くイメージを調査し、コレスポンデンス分析で位置関係を可視化しました【図3】。
全体の傾向をみると、中国人女性は日本の化粧品ブランドに独自性・効果の部分を評価しているのに対し、日本人女性は信頼性・親近感を抱く傾向があるようです。
またSKⅡ、ポーラ、コスメデコルテに高級感を感じる日本人女性に対して、中国人女性は革新的・先進的というイメージを抱いています。これらのブランドは中国において、日本でハイテクを意味する「黒科技(ブラックテクノロジー)」と呼称され、高品質・高機能が高く評価されていることも背景にあります。SKⅡは中国人女性に「神仙水」として話題になり、公式サイトでもその呼称を採用するなど、現地におけるブランド戦略もしっかりおこなっているようです。
<コレスポンデンス分析とは>
クロス集計表の表側(日本化粧品ブランド)と表頭(ブランドイメージ)の相関が最大になるように各項目を数値化する手法。今回は二次元マップにすることで日本化粧品ブランドとブランドイメージの位置関係を可視化することに用いた。
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“美”をテーマにした中国人女性へのマーケティングでは、世代間の差に要注意。
「中国人女性の日韓化粧品ブランド認知・購入状況調査」レポート
https://manamina.valuesccg.com/articles/432中国本土でインターネットリサーチを実施し、中国人女性の日本と韓国の化粧品ブランド認知状況について調査。(ページ数|32p)
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