ECマーケティングの特徴と戦略
ECサイトの集客経路はネット比率が高く、サイト内での行動など行動履歴もログで追えることが多くなっています。その結果、ECサイトのマーケティングでは大量のデータを活用するデータマーケティングが可能です。
一般にECの売上は「アクセス数(集客)× 購入率(CVR)× 客単価=売上」という方程式によって算出します。アクセス数はECサイトに訪れた人数。購入率(CVR)は注文件数÷アクセス数、客単価は売上÷注文件数によって求められます。
集客から購買意思決定・リピート購入等を含め、ユーザーに自社商品を発見・購入してもらい、継続して利用してもらうための戦略や戦術を立てる活動が、ECマーケティングの要となります。
ECマーケティングの「集客」対策で使われる主な手法
■リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告・アフィリエイト広告
ECサイトの集客に使える広告系の手法としては、リスティング広告・ディスプレイ広告・SNS広告・アフィリエイト広告などが挙げられます。
リスティング広告とは検索連動型広告のことで、指定したキーワードで検索したときに、検索結果に広告が表示されます。クリックごとに課金されるので、それを上回る売上が期待できるページを出稿します。
ディスプレイ広告とはコンテンツ連動型広告のことで、Webサイトやアプリにテキスト・画像・動画またはそれらの組合わせた広告が表示されます。課金単位は表示回数とクリック回数両方のパターンがあります。
購入意欲が高いユーザーを狙うリスティング広告と比べ、潜在的なユーザーにブランディングや認知も含めてアプローチするのに適しています。大手ではGoogle系のGDNとYahoo! JAPAN系のYDNがあります。
このほか、ファッションや健康系ではSNS広告、問い合わせや購入に対する成果報酬型のアフィリエイト広告を活用する集客方法もあります。
■SEO・コンテンツマーケティング
検索結果の上位に掲載されていれば、Web広告に頼らなくても恒常的な検索流入が期待できます。しかし、競合や大手もSEOに取り組んでいて、必ず結果が出る施策ではないことや、即効性がない点は注意が必要です。
SEO対策をして上位表示をするのは、マーケティング担当者にとって課題となる点です。普段何気なく使っているSEO対策という言葉。実際の意味や、検索エンジンへの対策をする目的とは何でしょうか?今更聞けないSEOの意味を分かりやすく解説していきましょう。
最近、書籍やインターネットでも「SEO」という言葉を目にしたり耳にする機会は増えたと思います。インターネットが普及し、ビジネスを成長させて集客をアップさせる上で「SEO」は欠かすことのできない対策です。そのため、SEOについて学習しておきたいという人も多いですが、SEOに関する書籍は非常にたくさん出版されています。そこで、たくさんあるSEO本の中から、SEOについて分かりやすく学ぶことができるおすすめの本を紹介していきます。
「コンテンツマーケティング」とは、商品の販売ページ以外に情報を発信するページ(サイト)をつくり、商品販売につなげることです。
ひとつの例としてECサイトでアパレルを扱っているとします。ECサイトへ集客するために別にファッションサイトを立ち上げ、トレンドや着こなしなどユーザーが役に立つと感じる記事をアップしていきます。そして、その記事内で自社のECサイトへ誘導、という流れです。
コンテンツマーケティングにおいてもキーワード選定などのSEOの概念が欠かせないので、SEOの基本は確実に覚えておきましょう。
ECマーケティングの「購入」対策で使われる主な手法
■ランディングページ最適化(LPO)
Web広告やSNSからの誘導で最初に流入するページをランディングページ(LP)といいます。LPを魅力的なものにしてコンバージョン率を上げるための施策がLPO、ランディングページ最適化です。
色や画像などのパーツを機械的にA/Bテストしたり、郵便番号を入力すると住所を自動入力するなどのフォーム入力補助機能を活用して、LPを見た人が途中で離脱せず購入に至る率を上げます。
■サイト内検索
ユーザーがECサイトを訪れた際に目的の商品にたどり着きやすくするために、検索機能の充実は欠かせません。一般的なワード検索以外にもカテゴリー、サイズ、価格で検索、ソートできるようにすると、サイト内の滞在時間延長にもつながります。
■レコメンド機能
「あなたにおすすめの商品」「この商品をお求めのお客様はこちらの〜」といった、商品の検索や閲覧履歴から取得された情報を表示するのがレコメンド機能。レコメンド機能には、潜在的な購買意欲を刺激し、ほかの商品もチェックするサイト内の回遊的な効果や、客単価の向上が見込めます。
■「カゴ落ち」対策
カゴ落ちとは、購入を完了する前にカートから離脱、つまりカートには入れたものの購入には至らなかったというケースを指します。
カゴ落ちの理由でもっとも多いのは、支払い時にかかる追加コスト「送料・税金・手数料」がかかることを確認して、というものです。このことから、カゴ落ちを軽減するためには、できるだけ送料を圧縮(場合によっては無料にする)し、追加料金が発生することを事前に通知しておくことが重要です。
そのほか、入力フォームのフィールド数を減らす、安全性を保証するトラストマークを利用する、サイトスピードを向上させるといった改善策が挙げられます。
■UIの見直し
ここでのUIとは、ECサイトの利便性やわかりやすさを指します。ユーザーが便利に、快適に買い物ができるかどうか、客観的に見直す必要があります。
具体的な例として、Amazonを思い出してください。同社のショッピングページは、ビジュアル的には決して美しいとまで言えるものではありませんが、ユーザーが求める商品を迷わずに探し出せ、利便性を追求しています。直帰率を下げ、コンバージョン率を上げるために、ユーザーの目的=便利な買い物ができるページレイアウトを心がけましょう。
ECマーケティングの「再訪」対策で使われる主な手法
■クーポン・会員ポイント
商品購入の際、次回購入時に割引されるクーポンや会員ポイントの付与は、ユーザーを囲い込み、再訪してもらえる割合を増やします。
■リマーケティング広告
一度でもECサイトの訪問歴があるユーザーを対象に広告を配信するリマーケティング広告。サイトに訪問=多少なりとも興味や関心があるので、クリック率が高くなります。
■メルマガ
商品を購入し、メールアドレスを登録したユーザーへのメルマガ配信という手法は、リピートユーザーやスリープユーザーにアプローチしやすいという特性があるため、広く用いられています。なかなか開封してもらえないという問題があるので、これを克服するための工夫が必要です。
ユーザーの立場になってマーケティング戦略を立てることが大切
ECマーケティングの戦略についてトータルで言えるのは、いかにユーザーファーストの視点でECサイトを運営するか、です。まずは基本的な部分をしっかり念頭に置き、その上で上記のような戦略の立案、施策の実行が重要になります。
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