カインズの通販サイトがコロナ影響でユーザー急増!成長を遂げるホームセンターEC市場を調査

カインズの通販サイトがコロナ影響でユーザー急増!成長を遂げるホームセンターEC市場を調査

新型コロナウイルスの影響で外出制限が続き、小売業界は大きな岐路に立たされています。そんな中で、ホームセンター業界は特にオンラインショップで売上を大きく伸ばしているようです。今回はホームセンター大手5社を取り上げ、オンラインショップのユーザー数推移や検索キーワードなどから、好調の理由を調査します。


大手ホームセンター5社のECサイトのユーザー数を比較

分析対象とした大手ホームセンターは
・カインズ
・コーナン
・DCMホールディングス
・コメリ
・ナフコ

の5社です。それぞれの売上規模や店舗数などを以下の表にまとめました。年間売上トップはカインズ。オンラインショップのユーザー数は2位のコーナンを大きく突き放しており、同社の売上を支えていると考えられます。

ホームセンター5社比較

ホームセンター5社比較
年間売上高は各社IR情報より(2020年8月時点)。千万以下切り捨て。

カインズ:www.cainz.com/shop/
コーナン:www.kohnan-eshop.com/shop/
DCM:www.dcm-ekurashi.com
コメリ:www.komeri.com/top/
ナフコ:nafco-online.com

ホームセンター通販のカインズ

コーナン公式サイト

ホームセンター通販 DCMオンライン

ホームセンター通販コメリドットコム

ホームセンターナフコの公式オンラインストア

カインズオンラインショップ、新型コロナ影響で急増

次に各社のオンラインショップに訪れたユーザー数の年間推移を確認します。各社、新型コロナウイルスの影響でユーザー数が増加していることがわかります(赤枠が新型コロナ影響)。

特にカインズのオンラインショップは2020年3月以降ユーザー数が急増。もともとオンラインでは他社の追随を許さない圧倒的なユーザー数を維持していましたが、コロナ禍がさらなる追い風となりました。

オンラインショップ訪問ユーザー数推移

オンラインショップ訪問ユーザー数推移

期間:2019年8月〜2020年7月
デバイス:PC&スマートフォン

スマホ利用率がオンライン成長の鍵⁈

次に、ユーザー属性を比較します。下のグラフのとおり、男女比はいずれも男性比率が高い中、カインズの女性比率は47.7%と他社と比較して高いことがわかります。
年代は40代がボリュームゾーン、コメリは50代、60代が多くみられました。

また、オンラインショップの使用デバイスを比較すると、カインズのみスマートフォン比率が高いことがわかりました。

オンラインショップ訪問ユーザー属性

オンラインショップ訪問ユーザー属性

期間:2019年8月〜2020年7月
デバイス:PC&スマートフォン

使用デバイス比較

使用デバイス比較

期間:2019年8月〜2020年7月

同時検索は「営業時間」よりも「通販」「オンライン」

続いて、ホームセンターの各社名と合わせて検索されているキーワードから、ユーザーのニーズを探ります。
※期間は新型コロナ影響を受けた2020年3月〜7月に設定。
※カインズのみスマートフォンユーザーが多いためデバイスをスマートフォンに指定。

各社とも、社名と共に「オンラインショップ」「通販」、実店舗の「営業時間」が多く検索されていました。すべてのホームセンターで、実店舗の営業時間よりもオンラインショップが検索されていることからも、オンライン好調の流れがみえてきます。

カインズは「マスク」など感染予防関連キーワードが人気

それぞれの検索キーワードを詳しくみていきます。

カインズ:
「マスク」が同時検索キーワードの上位に。マスクを含む品薄商品の抽選販売も話題になりました。そのほかには「ゴミ箱」「自転車」などの商品も検索されました。これらもウイルス対策に関連していると考えられるでしょう。

コーナン:
オンラインサイト名「コーナンEショップ」が多く検索され、同サイトが認知されていることがわかります。商品で検索されたのは「防炎レース」「すだれ」でした。

DCM:
DCMブランドが上位を占めました。商品名で検索されたのは「寝具3点セット」でした。

コメリ:
オンラインサイト名「コメリドットコム」が多く検索され、同サイトが認知されていることがわかります。商品で検索されたのは「合い鍵」関連でした。

ナフコ:
商品名で検索されたのは「ソファ」「オフィスチェア」などの家具が多くみられました。「巣ごもり」やリモートワークによる需要が伸びたと考えられます。

カインズは「マスク」や「ゴミ箱」など具体的な商品名で検索された回数が多いようですが、他社は「オンラインショップ」「営業時間」が多く検索されています。

ホームセンター各社同時検索キーワード

ホームセンター各社同時検索キーワード

期間:2020年3月〜7月
デバイス:PC(カインズのみスマートフォン)

まとめ

新型コロナウイルス禍でホームセンター業界が好調です。オンラインショップの利用者を増やしていることが要因の一つと考えられます。

主要ホームセンター5社のオンラインショップを分析すると、他社に先んじてユーザーの囲い込みに成功していたカインズが、新型コロナ影響で大幅にユーザーを獲得。マスクやゴミ箱、自転車など、ウイルス感染対策グッズが多く検索されました。

また、すべてのホームセンターで、実店舗の営業時間よりもオンラインショップが検索されていることからも、オンラインシフトの波は確実にきていると考えられるでしょう。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+(イーマークプラス)」を使用し、2019年8月~2020年7月におけるユーザーの行動を分析しました。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニター(20代以上男女)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。サイトに訪れるユーザー数や属性など、無料でお使いいただける機能もあります。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。



dockpit 無料版の登録はこちら


関連記事

中国でライブ配信×ECのライブコマース市場が急成長!|中国ライブコマースに関する調査報告書

https://manamina.valuesccg.com/articles/1079

ライブ配信とECを掛け合わせたサービス「ライブコマース」。中国のライブコマースは2016年に登場し、2019年以降、成長期を迎えています。<br>中国市場調査サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、中国iResearchの自主調査結果を翻訳し、TikTokや快手(クワイショウ)などの中国ライブコマースに関する調査報告書を日本語レポートにまとめました。(ページ数|37p)

Web施策を次に活かす効果測定とは?行動喚起ユーザー倍増に成功した解析手法を紹介|セミナーレポート

https://manamina.valuesccg.com/articles/1069

Webキャンペーンやコンテンツ拡充などのデジタル施策は、「ターゲットへ届いたか」「狙った行動喚起に繋げられたか」などの効果測定を適切に行うことで、新たな発見を得られ、それを踏まえた次の施策を検討することができます。 そして、それらのフィードバックには自社サイトで得られる閲覧状況を把握するだけでなく、サイト外でのユーザー行動分析が有効です。9/16にヴァリューズが開催したオンラインセミナーでは、これらの効果測定に役立つWEB行動ログデータを活用したユーザー調査手法を紹介。実際のECサイトでの分析事例をもとに解説されました。本稿は、そのレポートをお届けします。

「コロナ影響による『おうち時間』『在宅ワーク』~増えたおうち時間でどの家具が注目されているか」レポート

https://manamina.valuesccg.com/articles/1002

withコロナの新しい生活は、私たちの住まいに対する意識にも変化をもたらしました。長い時間を過ごす場所であるからこそ、自宅をより快適な空間にしたいと思う人も多いはずです。コロナ禍において、暮らしを彩る家具業界はどのような影響を受けているのか分析しました。(ページ数|9p)

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連するキーワード


EC コロナ影響 eMark+

関連する投稿


ディーエムソリューションズ、越境EC事業化にあたっての意識・実態調査を公開

ディーエムソリューションズ、越境EC事業化にあたっての意識・実態調査を公開

ディーエムソリューションズ株式会社は、同社が運営する「ウルロジ」にて、全国の20-70代の男女でEC事業を運営している担当者や責任者を対象に「越境EC事業化にあたっての意識・実態調査」を実施し、結果を公開しました。


ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

新型コロナウイルスの蔓延を経て、ファッション業界でもオンラインショッピングの利用が急拡大しました。実店舗よりも選択肢が増える状況下で、多くの支持を集めるブランド「GRL(グレイル)」「ユニクロ」「GU」「SHEIN(シーイン)」に注目し、好調の理由を分析します!


ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

EC事業において重要な指標の一つであるLTV(ライフタイムバリュー)。LTVは顧客が生涯にわたってもたらす総収益を示す指標で、既存顧客のLTVを高めることで売上の維持、拡大につながります。 本記事では、LTVの基本的な概念と計算方法、LTVを高めるため方法について解説し、実際にLTVの向上に成功した事例についても紹介します。LTVの改善施策を考える際に役立てていただければ幸いです。


若者は海外旅行に積極的?最新の旅行需要を調査。航空会社大手、LCCの集客動向は

若者は海外旅行に積極的?最新の旅行需要を調査。航空会社大手、LCCの集客動向は

全国旅行支援や新型コロナウイルスの5類移行の影響もあり、徐々に人の移動が活発になってきました。今回は、昨今高まっている旅行需要に注目し、検索データを通じて旅行や観光への人々の関心を調査します。また、各航空会社の集客層の違いについても比較していきます。


最新の投稿


A(エース)、電通・電通ライブ・アドビと共にAI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画

A(エース)、電通・電通ライブ・アドビと共にAI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画

株式会社A(エース)は、株式会社電通、株式会社電通ライブ、アドビ株式会社と共に、AI主導型SNSマーケティングソリューション「VERTICAL」に参画したことを発表しました。


「未病」と「予防」におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは

「未病」と「予防」におけるCEP(カテゴリーエントリーポイント)とは

生活者が「予防」に取り組みはじめる“きっかけ”=CEP(※)とはどのようなものでしょうか?少し不調が出始めていたり健康診断の結果が悪かったりして「予防に取り組まなきゃ」と思っていても、なかなか行動に移せないこともあるでしょう。そんな「未病」の状態に着目して、ヴァリューズの持つWeb行動ログデータの分析から、実際に予防に取り組み始めた生活者の文脈と、ヘルスケア業界における課題を考察しました。 ※CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは、「ある商品を購買または利用する際に、それを検討するきっかけとなる状況」のことを指します。


BtoBのWebサイトは情報を増やしすぎると逆効果?必要最小限の情報で判断しやすい構成が重要【アルテナ調査】

BtoBのWebサイトは情報を増やしすぎると逆効果?必要最小限の情報で判断しやすい構成が重要【アルテナ調査】

アルテナ株式会社は、法人向けサービスを検討する際のWebサイトの重要性を明らかにするため、「法人向けサービスにおけるWebサイトの印象調査」を実施し、結果を公開しました。


欲しいと思う推し活・オタ活グッズ1位はアクリルスタンド!2025年は”カスタマイズ可能なグッズ”が流行る?【プラスワンインターナショナル調査】

欲しいと思う推し活・オタ活グッズ1位はアクリルスタンド!2025年は”カスタマイズ可能なグッズ”が流行る?【プラスワンインターナショナル調査】

株式会社プラスワンインターナショナルは、推し活・オタ活をしている方を対象に、「欲しいと感じる推し活・オタ活グッズ」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


BEENOS、海外の消費者を対象にした越境ECの利用意向に関する意識調査結果を公開

BEENOS、海外の消費者を対象にした越境ECの利用意向に関する意識調査結果を公開

BEENOS株式会社は、同社グループが運営する海外向け購入サポートサービス「Buyee(バイイー)」を利用する海外の消費者を対象に「越境ECの利用意向に関する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ