マスクで注目、アイリスオーヤマのデジタル集客を深堀り!コーポレートとECサイトの連動も強みか

マスクで注目、アイリスオーヤマのデジタル集客を深堀り!コーポレートとECサイトの連動も強みか

独自の商品開発でヒット商品を続々と生み出し、国内マスク生産など新型コロナへの迅速な対応も注目を集めたアイリスオーヤマ。本稿では、そんなアイリスオーヤマを深掘りします。サイトのユーザー推移や流入元・人気コンテンツを、市場分析ツール「eMark+」を使って調査し、アイリスオーヤマの集客構造を紐解きます。


アイリスオーヤマ、なぜ今話題に?

生活用品メーカーのアイリスオーヤマは、2009年に家電市場に参入して以降、消費者目線を重視した商品開発でヒット商品を続々輩出。話題のアイテムが揃う「なるほど家電」シリーズは、「両面ホットプレート」や「ノンフライ熱風オーブン」などのアイデア商品が話題となりました。それらは利便性に優れ価格も手頃で、大手メーカーとの差別化によりファンの心を掴んでいます。

また、新型コロナ感染拡大への対応も大きな反響を呼びました。アイリスオーヤマは、深刻なマスク不足の状況を受け、これまでの中国拠点に加えマスクの国内生産を開始。このほか、通気性に優れた「ナノエアーマスク」や非接触で発熱者を検出する「AIサーマルカメラ」など、コロナ禍の需要に合わせた商品化が注目されています。

さらに、今後の計画としてネット通販事業の拡大や飲料水事業への参入、新卒採用枠の拡大を発表。コロナ禍で日本中が経済危機に陥る中でも、失速することなくビジネスを展開しています。

アイリスオーヤマは、新型コロナ以前から「危機に強い会社」と評されてきました。東日本大震災の時には、電力不足に対応しLEDを増産し、食品事業へ進出。環境の変化を捉えた動きの素早さが、アイリスオーヤマの「強さ」の秘訣と言われています。

本企画では、そんなアイリスオーヤマを深掘り調査。新型コロナ対応で一躍注目を集めたアイリスオーヤマのコーポレート・ECサイトのユーザー動向から集客構造を研究し、強さのわけに迫ります。

過去半年のユーザー数推移を調査

まず、アイリスオーヤマのコーポレートサイトと公式通販サイト「アイリスプラザ」の過去半年のユーザー推移について、国内主要Webサイト・アプリの分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使って調査します。

集計期間:2020年2月~7月、対象デバイス:PC&スマートフォン

どちらも4月にユーザー数が増加。特に通販サイトは2月~4月で3倍以上に急成長しています。4月は緊急事態宣言が発令され、一般消費者や医療機関においてマスクの品薄が深刻化した時期。アイリスオーヤマは3月末にマスクの国内生産を開始を発表しており、マスク増産の話題がユーザー拡大に影響したと推測できます。

4月急成長の理由は?コンテンツランキングをチェック

では、具体的にサイト内のどのページにユーザーが多く訪問していたのか、人気コンテンツをeMark+でチェックしてみましょう。

こちらは、過去半年のアイリスオーヤマのコーポレートサイトのコンテンツランキングです。

集計期間:2020年2月~7月、デバイス:スマートフォン

上位10コンテンツのうち、マスクに関するページが7つを占めていました。3位にはマスクカテゴリの商品ページがランクインしています。下記のようなページです。

やはりマスク生産が話題となり、コーポレートサイトに訪れたユーザーが多くいたことがうかがえます。

では、訪問者はどのような経路でサイトに流入したのでしょうか? SNSなのか、検索によるものなのか、あるいは広告の影響か。同様にeMark+を使って、コーポレートサイトの過去半年の流入元を調べます。

集計期間:2020年2月~7月、デバイス:スマートフォン

こちらのデータによれば、検索による流入が最も多いことが分かります。どのようなキーワードで検索されたのでしょうか。

集計期間:2020年2月~7月、デバイス:スマートフォン

ここでも「マスク」のキーワードが目立ちます。

以上の分析から、アイリスオーヤマのマスク生産の情報について気になったユーザーは、「アイリスオーヤマ マスク」のようなワードでWeb検索を行い、コーポレートサイトの情報に触れていたと考えられます。

通販サイトの集客構造を研究

これまでの分析内容を参考にアイリスオーヤマの通販サイトの集客戦略を考察します。

アイリスオーヤマは、コロナ禍のニーズに応じてマスク増産を決断。大幅な訪問者増に成功しました。このような動きのしなやかさが「アイリスオーヤマは危機に強い」と評されるポイントであることは冒頭で触れましたが、時流に即した商品化と話題作りは、危機的状況に限らずアイリスオーヤマの強みと言えるでしょう。

過去半年のユーザー推移をもう一度見てみると、4月のピーク時以降、一旦は落ち着いたものの、元の水準へ戻るのではなく、7月には半年前からおよそ1.5倍に成長しています。

アイリスオーヤマはマスク増産を発表後、既存商品の生産に加え、6月には夏用マスク「ナノエアーマスク」を発売。7月には巣ごもり需要と熱中症対策に役立つ「ポータブルクーラー」を発売するなど、コロナ対策や季節需要に応える新商品を続々と打ち出しています。

このようにアイリスオーヤマは、時流に即した斬新なアイデア商品をコンスタントに開発することで世の中の関心を引き、集客に結びつけていると考えられます。インパクトのある商品はメディアで取り上げられる機会も多く、推し商品にはテレビCMの活用もしています。

また、デジタルプロモーションも積極活用しており、公式Twitterでは掲載記事や新商品紹介、自社製品のレビューなどを発信し、ユーザーとのコミュニケーションを活性化しているようです。

エッジの立った商品を軸に、PRと宣伝の両輪をうまく活用して話題を盛り上げ、一層の注目を集める。この一連の波を継続することで賑わいを保っているのではないでしょうか。

また、コーポレートサイトと通販サイトもうまく連動されています。アイリスオーヤマのコーポレートサイトでは、マスク増産や新商品情報などを発表する場であるとともに、商品情報がひとつひとつ掲載されており、通販サイトへの導線も貼られています。コーポレートサイトを訪れたユーザーが商品情報、通販サイトへと辿りやすく、離脱も抑えられるでしょう。

社会情勢や消費行動の変化に柔軟かつスピーディーに応じ、独自の商品開発力で集客を伸ばすアイリスオーヤマ。時にはユニークなアイデアで消費者を驚かせ、次はどんな商品が出てくるのかと目が離せないファンも多いのではないでしょうか。経済危機にも負けず、力強くビジネスを切り開くアイリスオーヤマがどのような展開を見せてくれるのか。今後の動向に注目です。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。

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分析概要

ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2020年2月~7月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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