大手企業Webサイトの訪問者数が急上昇、デジタル広告への投資増の結果か?富士フイルムやNEC、ソニー、コカ・コーラなど【20年8月急上昇サイト】

大手企業Webサイトの訪問者数が急上昇、デジタル広告への投資増の結果か?富士フイルムやNEC、ソニー、コカ・コーラなど【20年8月急上昇サイト】

2020年8月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型の市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はeMark+を使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。


2020年8月の急上昇サイトは?

まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。

8月の急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「eMark+」画面より)

1位は前月比+1238%の富士フイルム公式オンラインショップ

それでは早速、ランキングの1位から詳しく見ていきましょう。

1位:富士フイルム ビューティー&ヘルスケア online

1位は富士フイルムの化粧品・サプリメントのオンラインショップ「富士フイルム ビューティー&ヘルスケア online」でした。

経営の多角化を図ってきた富士フイルムは、実は化粧品・サプリメント領域にも進出しています。このサイトの急上昇の要因はなんでしょうか。eMark+でサイト内のコンテンツランキングを確認してみましょう。

「富士フイルム ビューティー&ヘルスケア online」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位のページのUU数が非常に多いことが分かります。実際にアクセスしてみると、このページは糖質ケアサプリメント「メタバリアEX」のLPとなっていました。

では、富士フイルムはどのような集客方法を採用していたのでしょうか。eMark+ではWebサイトへの流入元を分析することができます。この機能を使って集客施策を見てみましょう。

「富士フイルム ビューティー&ヘルスケア online」のセッション数流入元(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

外部サイトからの流入が圧倒的に多いとわかります。さらに流入元の詳細を見ると、ポイント系サイトが複数ランクインしていました。同社はポイント施策による集客でサイト訪問者数を急上昇させたと考えられます。

本メディア・マナミナで公開した先月の急上昇サイト記事でも、サプリメントを取り扱う健康食品通販サイト「味の素ダイレクト」がランクインしていました。新型コロナによる外出自粛、運動不足の影響から、サプリメント需要の高まりが指摘されていますが、それを裏づける結果と言えるかもしれません。

2位:LINE占い

2位にランクインしたのは、LINEが提供する占いサービス「LINE占い」でした。

どのようなページに注目が集まったのかコンテンツランキングで確認しましょう。

「LINE占い」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位と2位のページのUU数が非常に多いことが分かります。実際にアクセスすると、1位はLINE占いで人気占い師の運勢占いのページとなっていました。

ではどのような経路でユーザーが訪問したのか流入元を見てみましょう。

「LINE占い」の流入元セッション数(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

「LINE占い」の流入元・外部サイトランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

外部サイトからの流入が目立ちます。さらに流入元の外部サイトの内訳を見ると、「LINE BLOG」や「LINEポイントクラブ」が上位にランクインしていました。8月は関連サイトからの流入が増え、サイトの急上昇に繋がったと言えるでしょう。コミュニケーションアプリ・LINEのアクティブユーザーの多さを活かすなど、LINE占いはオウンドメディアや関連サイトを活かして利用者を集めたのではないでしょうか。

3位:NEC LAVIE公式サイト

3位はNECの個人向けノート・デスクトップパソコンの公式通販サイト「NEC LAVIE公式サイト」でした。

同様に、急上昇の原因をコンテンツランキングで探っていきましょう。

「NEC LAVIE公式サイト」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

ランキング1位は、以下のようなNECの広告限定優待クーポンが掲載されているページでした。こちらは、NEC Directの広告からアクセスすると、PC購入の際の割引クーポンがもらえる設計となっています。

次に流入元も確認しましょう。

「NEC LAVIE公式サイト」の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

一般広告からの流入が半分以上を占めています。詳細を確認すると、ディスプレイやアドネットワーク、アフィリエイトなどの広告プラットフォームが目立ちました。リモートワーク化の時流をつかみ、お得な値段でPCを買えることをデジタル広告で訴求した結果、訪問者数が上昇した可能性が考えられます。

GoogleやSony、コカ・コーラも上位にランクイン

その他上位にランクインしたサイトには、大手企業のデジタル広告施策の影響がうかがえました。早速みていきましょう。

6位:Google ストア

6位に「Google ストア」がランクインしていました。こちらはGoogleのデバイスやアクセサリを購入できる公式オンラインストアです。

Googleは8月20日にスマートフォン「Google Pixel 4a」を発売して注目を集めましたが、どうやらこのことと関連があるようです。コンテンツランキングで確認しましょう。

「Google ストア」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

1位はGoogleストアのトップページでしたが、2位は「Google Pixel 4a」の商品ページでした。その他にも、「Google Pixel 4a」の関連ページが複数上位にランクインしています。

ではどのような経路によるユーザー訪問が上昇したのか、対象月の8月と、1ヶ月前の7月の流入元を比較して分析してみましょう。

「Google ストア」の7月の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

「Google ストア」の8月の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)

7月と8月の流入元を比較すると、自然検索や外部サイトからの流入セッション数は大きく変化していません。一方で、8月は一般広告からの流入が大幅に増えたことが分かります。

流入元の内訳を見ると、アドネットワークからの流入が大半でした。8月に新作スマートフォンを発売したGoogleストアは、話題となった新商品の広告施策によって集客に成功したのかもしれません。

7位:Sony Reader Store

7位はソニーが提供する電子書籍の総合書店「Sony Reader Store」でした。Reader Storeは電子書籍の販売に加え、そのまま購入した書籍をスマホやタブレット・パソコンから読めるサイトとなっています。

では急上昇の要因はなんでしょうか。コンテンツランキングで確認してみましょう。

「Sony Reader Store」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

1位のページのUU数が圧倒的に多いことが分かります。実際のページが以下です。

こちらは新規入会者対象のクーポン配布ページでした。ソニー社では電子書籍・マンガサイトへの広告費投下が功を奏し、訪問者数の増加につながったのではないでしょうか。

8位:Coca-Cola Park

8位はコカ・コーラの会員サイト「Coca-Cola Park」でした。

急上昇の原因をコンテンツランキングから探ってみましょう。

「Coca-Cola Park」のコンテンツランキング(対象デバイスはスマートフォン、「eMark+」画面より)

「綾鷹 豊かな食卓キャンペーン」に関するページが上位に多数ランクインしていました。8月17日に始まったこちらのキャンペーンは、綾鷹を購入し、QRコードを読み込んで抽選に参加することで商品が当たるものです。

このプロモーションでは吉岡里帆さんを起用して「おうち時間を充実させよう」というメッセージを発信し、時節にあったコミュニケーション設計となっていました(参考:プレスリリース)。併せて「#綾鷹とひと工夫で旨み豊かな食卓」の動画をYoutubeで公開し、認知獲得を図っています。消費者のモーメントに合わせた綾鷹のキャンペーンが、本サイトの集客に効果を上げたと考えられます。

まとめ

最後に8月の急上昇サイトと、その増加要因をまとめます。

上位には富士フイルム、ソニー、NEC、Google、コカ・コーラなどの大手企業のデジタル広告施策の影響が目立ちました。

1位の「富士フイルム ビューティー&ヘルスケア online」は、外部のポイントサイトも活用し、集客に成功したと考えられます。また、3位の「NEC LAVIE公式サイト」、6位の「Google ストア」も、それぞれ適切な広告配信によってユーザーを集めたと言えるでしょう。

特に、8位の「Coca-Cola Park」は綾鷹のキャンペーンが集客効果をあげたと推測できます。こちらは、吉岡里帆さんを起用して時節にあったメッセージを発信しており、withコロナのキャンペーン施策の好例とも言えるでしょう。

新型コロナの影響により大手企業各社のデジタル戦略への投資傾向が高まっているとされています。今回の急上昇サイトで訴求されていたプロダクトは、サプリメントやPC、スマートフォン、電子書籍・マンガなどです。いずれも現在の状況と紐付けて考えられることから、大手各社がデジタル広告への投資を進めていることを裏づける結果と言えるかもしれません。

本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのeMark+を使用しています。急上昇サイト分析機能は無料ですので、より詳細なデータを知りたい方はぜひ見てみてください。

eMark+ 無料で競合調査ができる! 無料登録はこちら

関連記事

Webで消費者とのコミュニケーションに成功したサイトは…?公式note活用のLINE、ギフトマーケティングも台頭【20年9月急上昇サイト】

https://manamina.valuesccg.com/articles/1088

2020年9月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型の市場分析ツール「<a href="https://www.valuesccg.com/service/emarkplus/" target="_blank">eMark+(イーマークプラス)</a>」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はeMark+を使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。

通販のトレンドキーワードからヒット商品の兆しを探る。Google Pixel 4aやアディダスマスク、思考の整理学などがスコア上位に

https://manamina.valuesccg.com/articles/1070

2020年8月に検索回数が急上昇したキーワードをまとめ、世間の関心ごとからヒットしている・注目を浴びている商品について、最新トレンドを分析します。この夏に多数の人が関心を寄せた商品について、消費者のインサイトを探っていきましょう。

マスクで注目、アイリスオーヤマのデジタル集客を深堀り!コーポレートとECサイトの連動も強みか

https://manamina.valuesccg.com/articles/986

独自の商品開発でヒット商品を続々と生み出し、国内マスク生産など新型コロナへの迅速な対応も注目を集めたアイリスオーヤマ。本稿では、そんなアイリスオーヤマを深掘りします。サイトのユーザー推移や流入元・人気コンテンツを、市場分析ツール「eMark+」を使って調査し、アイリスオーヤマの集客構造を紐解きます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)


“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

“第2次”アサイーブームは続くのか? 検索者属性や検索ニーズからカテゴリ浸透の未来を考察

近年再び話題になっている「アサイー」。若い女性を中心に人気を集めているようです。他にはどのような特徴を持つ人がアサイーに関心を持っているのか、アサイー検索者がアサイーのどんなことに興味を持っているのかについて、Web行動ログデータから分析・考察します。そして、アサイーブームのこれからを考えます。


「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」をデータ分析のヴァリューズが公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)


Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Analyzing the rapidly growing interest in Gacha Gacha using data! Introducing cases applied in marketing

Capsule toys, or “Gacha Gacha,” have become popular globally with people all ages for their affordability and collectability, especially in Japan, with the establishment of Gacha Gacha specialty stores. We will analyze the user segment interested in Gacha Gacha and explore how companies can apply it in marketing.


最新の投稿


ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

ポッドキャスト、マーケターの約8割が認知も活用は約1割!活用における課題は「制作ノウハウがない」が最多【オトバンク調査】

株式会社オトバンクは、企業のマーケティング担当者を対象に「ポッドキャストに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

スイート&スパイシー「Swicy(スワイシー)」味の商品が続々と登場!アメリカで人気の背景とは | 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年11月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、アメリカの食品業界で新たなトレンドワードとして注目されている「Swicy(スワイシー)」とその流行の背景について取り上げます。


DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

DB型サイトでSEO施策を実行して対策ページが上位化するまでにかかった期間は"6か月"が最多【eclore調査】

株式会社ecloreは、同社が運営する「ランクエスト」にて、データベース型サイト運営者を対象に、SEOの実施状況やその効果について調査を実施し、結果を公開しました。


SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

SEOに積極的に取り組んでいるサイトの9割以上が表示速度の重要性を認識!改善に取り組む目的は「顧客体験の向上」と「リピート率の改善」が上位【Repro調査】

Repro株式会社は、Webサイト運営・管理者を対象とした、「Webサイトの表示速度改善についての実態調査」を実施し、結果を公開しました。


感性について ~ マーケティングとハプティクス

感性について ~ マーケティングとハプティクス

人には5感が備わっています。さらに突き詰めれば第6感という感覚も。それら人の持つ感性や感覚を補うべくあらゆる技術も日々進歩していますが、人のそれらの代替となるような技術はまだ未完の途上です。それほどに他に取って代われない私たちの感性・感覚。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、広告やマーケティングを通して人の感性の深さを説き、ハプティクス(Haptics)を用いて人の感覚の重要性を解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ