2020年7月の急上昇サイトは?
まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
7月の急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「eMark+」画面より)
マイナポイントやGo Toキャンペーンの関連サイトがランクイン
それでは早速、ランキングの1位から詳しく見ていきましょう。
■1位:ケータイWatch
1位は携帯電話・PHS・スマートフォン関連のニュースを取り扱うウェブサイト「ケータイWatch」でした。
7月にサイトが急上昇した原因はなんでしょうか。実際にサイト内のコンテンツランキングを確認してみましょう。
「ケータイWatch」のコンテンツランキング(対象デバイス:PC、「eMark+」画面より)
上位は楽天モバイルやXperiaなど携帯電話市場の最新動向に関するページが多いと分かります。また、2位と3位は「マイナポイント」に関するページでした。実際に2位のページにアクセスすると、マイナポイント事業のポイント還元についてまとめた記事でした。
9月からは利用額の25%が付与されるマイナポイントのポイント還元キャンペーンが始まります。先月に本メディア・マナミナで公開した6月の急上昇アプリ記事でも「マイナポイント」が3位にランクインするなど、関心度の高さがうかがえます。
では、どのような経路でユーザーが訪問したのでしょうか。eMark+で流入元の内訳を見ていきます。
「ケータイWatch」の流入元セッション数(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
すると、外部サイトからの流入が最も多いことがわかりました。さらに内訳を見ていきます。
「ケータイWatch」の流入元外部サイトランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
7月は関連サイトからの流入が増え、サイトの急上昇に繋がったと言えるでしょう。「ケータイWatch」を運営するインプレス社のメディア「家電Watch」や「AV Watch」などの関連サイトに掲載することで、流入を集めた様子が読み取れます。
■2位:TRAVELZOO
2位は、オンライン旅行情報メディア「TRAVELZOO」でした。こちらも先月の急上昇サイト記事に続き、旅行サイトが上位にランクインしました。どのようなページに注目が集まったのかコンテンツランキングで確認してみましょう。
「TRAVELZOO」のコンテンツランキング(対象デバイス:PC、「eMark+」画面より)
1位のページのUU数が非常に多いことが分かります。実際にこのページにアクセスすると、Go Toキャンペーンの概要をまとめた記事でした。
どのような経路でユーザーが訪問したのか見てみましょう。
「TRAVELZOO」のセッション数流入元(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
自然検索での流入が圧倒的に多いことがわかります。内訳を見てみましょう。
「TRAVELZOO」の自然検索キーワード(対象はPC、「eMark+」画面より)
上位のキーワードは全て「Go Toキャンペーン」に関連していました。TRAVELZOOは、世間の関心度の高い「Go To トラベルキャンペーン」の記事による集客に成功したことが、急上昇の要因だと考えられます。
■3位:dマガジン
3位にランクインしたのは、NTTドコモが提供する雑誌のサブスクリプションサービス「dマガジン」でした。急上昇の原因はなんでしょうか。
コンテンツランキングを確認してみましょう。
「dマガジン」のコンテンツランキング(対象はAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
注目を集めたのは、「6周年キャンペーン」と「毎日クイズ☆週間チャレンジ」に関するページでした。どちらも抽選や条件をクリアすることでdポイントを獲得できるキャンペーンです。dマガジンはポイントによるインセンティブで消費者心理を刺激し、訪問ユーザー数を増加させたと考えられます。
ところで、6月の急上昇サイトランキングにおいても関連サイトである「dトラベル」がランクインしていました。こちらのサイトでもdポイントのクーポンが配布されています。NTTドコモは関連サイト内でdポイントを用いたトークンエコノミーを形成しており、その強みを活かしたポイントキャンペーンによって集客を成功させていると言えそうです。
キャンペーン効果で集客に成功?その他の上位サイト
7月の急上昇1位から3位のサイトは、Go Toキャンペーンやマイナポイント事業をフックに集客に成功したサイトが目立ちました。その他の上位にランクインしたサイトも政策効果や新型コロナウイルスの影響によって訪問数を伸ばしていました。早速見ていきましょう。
■5位:American Express
5位はクレジットカード「American Express」の公式ホームページでした。
ユーザーがどのような経路で訪問したのか流入元も見ていきます。
「American Express」のセッション数流入元(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
流入元を見ると、外部サイトからのセッションが多いと分かります。そこで、どのようなサイトからの流入が多いのか内訳をみていきましょう。
「American Express」の流入元外部サイトランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
最も多かったのは、American Expressの「キャッシュバックキャンペーン」の告知ページでした。
American Expressは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、厳しい状況にある中小店舗を支援するキャンペーン「SHOP SMALL(ショップスモール)を7月3日から始めました。これにより、カード会員は国内の中小店舗約10万店でのカード利用で、30%のキャッシュバックを受けられるそうです。
American Expressはこうしたキャッシュバックキャンペーンをフックにサイト訪問数を増加させたと考えられます。
■6位:国土交通省
6位にランクインしたのは「国土交通省」の公式ホームページでした。観光庁は国土交通省の外局であるため、国土交通省のホームページに観光庁の公式ウェブサイトがあります。世間でも注目を集める「GoToトラベル」キャンペーンの影響でユーザーアクセス数が急上昇したと考えられます。
実際にサイト内のコンテンツランキングを確認してみましょう。
「国土交通省」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
上位の大半が観光庁のページでした。ランキング1位のページは、7月15日時点の「Go To トラベル事業」の概要が記載されたPDFページとなっています。
Go To トラベル事業は、キャンペーンの開始を前倒したり、東京に住む人と東京を目的とした旅行を直前に対象外にしたりするなど、制度の曖昧さが問題視されていました。仕組みが不明瞭なGo Toトラベル事業に関するアクセスが観光庁へ急増し、サイトの急上昇に繋がったと推測できます。
■10位:味の素ダイレクト
10位は、味の素のサプリメント・スキンケアの公式通販サイト「味の素KK」がランクインしました。
注目を集めたページをコンテンツランキングで確認しましょう。
「味の素KK」のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
1位のページはサプリメントのお得なキャンペーンのLPでした。
コロナ禍で外出を自粛した影響により、昼も夜も家にいて身体を動かさなくなる「運動不足」が問題視されています。サイトの急上昇の要因として、こうした運動不足が続き健食に注目が集まっているという背景があると考えられます。
まとめ
最後に7月の急上昇サイトと、その増加要因をまとめます。7月は政策効果によって急上昇したサイトが目立った、と言えるのではないかと思います。
まず、先月に引き続き「マイナポイント事業」の影響が色濃く反映されました。1位のケータイWatchではマイナポイント事業のポイント還元についてまとめた記事が注目を集めていました。世間の関心度の高いキャンペーンをフックにすることで、情報感度の高いユーザーの集客に成功したと言えるでしょう。
また、「Go To トラベル」の影響で2位にTRAVELZOO 、6位に国土交通省がランクインしました。Go Toキャンペーンが社会に与えた影響は大きいことがうかがえます。
その他のサイトは、独自のキャンペーンを行うことで訪問者数増加に成功していました。例えば3位のdマガジンは、独自のポイント制度を用いたトークンエコノミーを形成しており、強みを活かしたポイントキャンペーンによって集客を成功させていると言えそうです。また、American Expressのキャッシュバックキャンペーンについても、時流に即した訴求がサイト訪問者数を集めたのではないでしょうか。
本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。急上昇サイト分析機能は無料ですので、より詳細なデータを知りたい方はぜひ見てみてください。
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