2018年観光関連サイト閲覧者数ランキング

2018年観光関連サイト閲覧者数ランキング

ニーズを満たしたコンテンツの提供、サイト利便性が成功の鍵


公益社団法人日本観光振興協会(本部:東京都港区、会長:山西 健一郎)は、ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)と協同で、2018年の観光関連Webサイトの年間閲覧者数を調査しました。

分析概要

ネット行動ログとユーザー属性情報を用いた分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」カテゴリのWebサイトおよび各都道府県公式観光情報サイトについて2018年の年間閲覧者数を集計。さらに「観光」を含む検索からの流入人数をサイトごとに集計し、2017年との比較分析を行った。
※ランキング表内の「カテゴリ」「サブカテゴリ」はヴァリューズが独自に定義。
※サイト閲覧者数や検索者数はPCおよびスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズが保有するモニタ内での出現率を基に、国内ネット人口に則して20歳以上の動向を推測。

考察サマリ

観光情報は閲覧者のターゲティング、コンテンツの充実が成功要因に。

ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」カテゴリのサイトにおいて、2018年の1年間に閲覧した人数を集計したところ[図1] [図2]、PC・スマートフォンともに上位は「じゃらんnet」「楽天トラベル」「トリップアドバイザー」の3サイトとなりました。各社ほぼ前年並みの閲覧者数を獲得しており、安定した集客状況がうかがえます。また、2017年の調査ではスマートフォンで3位にランクインしていた“旅行キュレーションメディア”の「RETRIP(リトリップ)」が、2018年は10位、閲覧者数は前年割れをしていました。「Instagram」の流行により、観光情報をSNSで得るユーザーが増えていることも背景として考えられます。一方で、“女性向け旅行・宿泊情報メディア”を掲げる旅の情報サイト「icotto」は、閲覧者数が大きく増加していました。SNSへのシフトが進む中、若い女性をターゲットとしたコンテンツの充実が成功の要因になったといえるでしょう。

また、格安旅行の検索・比較サイト「LINEトラベルjp」も前年よりも大きく閲覧者数を伸ばしていました。2018年9月に「LINEトラベル」と「Travel.jp」が統合して誕生した「LINEトラベルjp」は国内外の格安旅行の最安値比較ができるだけでなく、旅行ナビゲーターによる観光ガイド記事も豊富です。

都道府県公式観光情報サイトでは、旅予約の利便性が閲覧者数の差を生む。

続いて、都道府県公式観光情報サイトの中で閲覧者数を集計したところ[図3] [図4]、PCでは東京都の「GO TOKYO」、山梨県の「富士の国やまなし観光ネット」、長崎県の「ながさき旅ネット」の順に、スマートフォンでは東京都の「GO TOKYO」、三重県の「観光三重」、長崎県の「ながさき旅ネット」の順に多くなっていました。日々のイベント情報や各所の観光スポットなど豊富なコンテンツを揃える「GO TOKYO」が、2017年に続き1位で、PC・スマートフォンともに安定して多くの閲覧者を集めている様子がうかがえます。

また、3位「ながさき旅ネット」は、閲覧者数が前年よりも約1.4倍に増加していました。2018年7月の同県における世界文化遺産登録を受けて知名度が向上したことに加え、Webサイトから直接旅の予約を可能にするなど、サイトの利便性が閲覧者数の増加につながっていると考えられます。

「観光」検索流入者数1位のサイトは“トリップアドバイザー”。前年比31%増。

さらに、観光に関する検索から流入者が多かったサイトをランキングにしました[図5]。旅行、観光情報を扱うメディアサイトが上位を占める中、最も流入者数の多かったサイトは「トリップアドバイザー」、2位が「宿・ホテル予約 じゃらんnet」となりました。前年は僅差であった両サイトの閲覧者数ですが、2018年は「トリップアドバイザー」が前年比1.3倍と閲覧者数を大きく伸ばす結果となりました。世界中の観光地を網羅したコンテンツの充実が他サイトとの差別化につながり、閲覧者数増加の要因になったと考えられます。
一方、ジャンルを問わず情報が集まっている「NAVERまとめ」などへの「観光」検索流入者数は減少していました。「icotto」「そとあそび」など特定ターゲットに焦点を当てた観光メディアが、ユーザーニーズに合った情報を提供できるようになったことを示す一つの指標といえるかもしれません。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


リピートされる観光地を目指したDMP構築とデータ活用組織作り【広島県観光連盟インタビュー】

リピートされる観光地を目指したDMP構築とデータ活用組織作り【広島県観光連盟インタビュー】

コロナ禍を経て活況が戻った観光業において、データドリブンの施策を展開する広島県観光連盟(HIT)。本稿では「圧倒的な顧客志向」を掲げるHITでの、VALUESのデータ分析伴走支援サービスを通じたチャレンジに迫ります。


ニューツーリズム ~ 光と影

ニューツーリズム ~ 光と影

コロナ禍を経て落ち着きを取り戻しつつある今、世界中の人々が世界各国へ向けて足を運び出しました。その受け入れ先として日本も数多くの人々に選ばれています。特に昨今の円安が後押ししているのは皆さんもご存知の通りでしょう。しかし、復活しつつあるインバウンド景気に両手をあげて喜んでいるだけでは済まない事情も存在しています。その一つにオーバーツーリズムという問題が挙げられます。本稿では、「ニューツーリズム」というキーワードを元に、今、旅行業界を取り巻く光と影の部分について、株式会社創造開発研究所所長を務める渡部数俊氏が解説します。


「Gut Health」「タトゥーツーリズム」など...海外トレンドに見るビジネスの種(2023年10月)

「Gut Health」「タトゥーツーリズム」など...海外トレンドに見るビジネスの種(2023年10月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、アメリカ出身の著者が、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、新しいウェルネストレンド「Gut Health」や、旅行先でタトゥーを入れる「タトゥーツーリズム」、日本でも徐々に広がりを見せている「ジェンダーレスファッション」に注目しました。


2023年夏の旅行トレンド調査。旅行者層別に価値観を分析|ホワイトペーパー

2023年夏の旅行トレンド調査。旅行者層別に価値観を分析|ホワイトペーパー

新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けた旅行業界ですが、コロナ禍の終息に伴って少しずつ回復の兆しを見せています。そして2023年3月15日にはマスク着用が任意となり、いよいよコロナ以前の状態に戻ることが期待される夏を迎えました。そんな2023年夏の旅行にはどのようなトレンドがあるのか、2万人以上へのアンケートとWEB行動ログデータを基に分析しました。(ページ数|21ページ)


How to solve the labor shortage in agriculture? Focusing on “casual experiences” and “potential needs in urban areas”

How to solve the labor shortage in agriculture? Focusing on “casual experiences” and “potential needs in urban areas”

Labor shortage in agriculture is a big issue today. Agriculture is vital to achieving the SDGs. Its weakening can result in an unstable food supply and economic decline in rural areas. Using online behavioral data, we will analyze the segment with potential interest in agriculture and ways to solve the labor shortage.


最新の投稿


配膳ロボットの認知率は約9割、現在利用率は6割 1年後には利用率1.4倍伸びる!?【LINEリサーチ調査】

配膳ロボットの認知率は約9割、現在利用率は6割 1年後には利用率1.4倍伸びる!?【LINEリサーチ調査】

LINEリサーチは、今と近未来の流行予想を目的として「配膳ロボット」にかんする流行予想調査を実施し、その結果を公開しました。


約4割がメルマガきっかけでの商品購入経験あり/もっとも読まれやすいのは「19~20時台」【ラクス調査】

約4割がメルマガきっかけでの商品購入経験あり/もっとも読まれやすいのは「19~20時台」【ラクス調査】

株式会社ラクスは、「メルマガを読む時間帯」や「読みたいと思うメルマガの内容」など、一般のメール受信者を対象としてメールマガジンに関する調査を実施し、結果を公開しました。


BitStar、2024年1-3月「インフルエンサーパワーランキング」を発表!アニメとコラボレーションした楽曲が高視聴数を記録

BitStar、2024年1-3月「インフルエンサーパワーランキング」を発表!アニメとコラボレーションした楽曲が高視聴数を記録

株式会社BitStarは、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「BitStar Match」のデータに基づき、2024年1月~3月に活躍した動画クリエイターや動画チャンネルのランキングを発表しました。


現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「イマーシブ・フォート東京」「変な家」のプロモーションを考察(2024年3月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

現役Z世代が検索ワードからトレンドを考察!「イマーシブ・フォート東京」「変な家」のプロモーションを考察(2024年3月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第17弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「イマーシブ・フォート東京」「変な家」「新生活」の3テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。イマーシブ・フォート東京が刺さるのはどんな人?映画化で話題の「変な家」と、マンガ広告が生み出す購買活動とは?、Z世代のニーズに刺さる家電のサブスクリプションとは?など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。


いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

いま「note」がアツい!人気の秘訣はSEO?noteの集客動向を調査<後編>

2023年夏頃から集客数を急激に伸ばしているメディアプラットフォーム「note」。人気を後押ししているのはどのような人々なのでしょうか?前編では、noteが集客しているユーザーの特徴を深掘り調査し、後編では、noteが規模を拡大している要因を探っていきます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ