中国人女性の美容に対する意識と支出金額調査

中国人女性の美容に対する意識と支出金額調査

“美”をテーマにした中国人女性へのマーケティングでは、世代間の差に要注意。


アンケートとインターネット行動ログデータを組み合わせた市場調査および事業成長支援サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、中国本土でインターネットリサーチを実施し、中国人女性の美容に対する意識と支出金額について調査しました。

年々増え続け、2017年には延べ700万人以上が日本を訪れた(*1)中国人の消費は、「爆買い」が落ち着いてからもインバウンド産業の最大のターゲット層であり続けています。最近では中国人の中でも旅行先として日本の人気が高まっており、中国の旅行予約サイト大手、携程旅行網(シートリップ)が発表した今年の国慶節期間中の人気旅行先ランキングでは、日本が初めて首位に立ちました(*2)。
直近のヴァリューズの調査では、訪日中国人が日本滞在中に購入する品目の中で最も多くの人に購入されているのは化粧品でした。また、日本滞在中に限らず、帰国後の越境ECでの購入率も化粧品が1位となっています。中国人は美容について何を意識し、化粧品を購入しているのでしょうか。本調査では、中国人女性の美容に対する意識や化粧品への支出金額を探りました。

*1 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/visitor_trends/
*2 中国人の「国慶節」人気旅行先、日本が初の首位 (写真=共同):日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3553935019092018FFE000/

分析概要

中国本土の大手市場調査会社モニター会員の協力のもと、越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人女性に対して、化粧品ブランドの認知、購買状況や越境ECの利用状況、美容に対する意識等についてアンケート調査を実施しました。
※回答期間: 2018年6月28日~2018年7月9日
※全体回答者数: 4,112人
※本調査対象者数: 1,059人
※性年代別インターネット人口に則したウェイトバック集計後の有効サンプルサイズ: 1,032 ss

考察サマリ

お肌や髪のお手入れを大切にする中国人女性。ムダ毛はあまり気にならない?

越境ECの利用習慣があり、かつ過去1年間に訪日経験のある中国人女性に対して美容のために普段意識していることを聴取したところ【図1】、意識している人の多い順に、顔のスキンケア、UV対策、ヘアケア・頭皮ケア、保湿・加湿、ボディのスキンケア、となりました。特に顔のスキンケアとUV対策については意識していると答えた人が8割を超えており、中国人女性にとっては顔の美白が美容に関する最大の関心事のようです。
一方、意識していると答えた人が最も少なかった項目はムダ毛の処理でした。日本人女性では気にする人の多いムダ毛ですが、中国人女性はあまり気にしない人が多いようです。

ミレニアル世代以降は“外見の美”、ミレニアル世代以前は“内面の美”を比較的意識しやすい。

続いて9つの項目について、意識している人の割合を年代別で比べてみました【図2】。眉毛・髭・まつ毛のケアやムダ毛の処理については年齢が低くなるほど意識している人の割合が高く、中国人女性の中でも若い人には意識されている項目であることがわかりました。一方、睡眠やサプリメントについては比較的年齢の高い層で意識している人の割合が高くなっています。
中国人女性の美容に対する意識は年代による違いが大きく、ミレニアル世代以降(20代~30代)は比較的“外見の美”を、ミレニアル世代以前(40代以上)は比較的“内面の美”を重視しやすい様子がうかがえます。

化粧品により多くのお金を使うのは35歳未満の若い世代。

さらに意識だけでなく、化粧品に対する1か月あたりの支出金額についても聴取しました【図3】。化粧品に対する支出金額には30代半ばを境に大きな差が見られます。35歳未満では1か月あたり1,000元以上使っていると答えた人が6割を超える一方、35以上では半数程度に留まっており、若い世代が化粧品により多くのお金を使っていることがわかりました。
“外見の美”に対する意識の強さが、化粧品に対する支出金額にも表れている様子がうかがえます。中国人女性に対して“美”をテーマにしたマーケティングを行う際には、年代による大きな違いを考慮する必要がありそうです。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


中国市場

関連する投稿


“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

緩やかな回復を続けている中国経済では、人口の半数近くを占める「80後(1980~89年生まれ)」、「90後(1990~99年生まれ)」、「00後(2000年以降生まれ)」が消費の主力となっています。これらの年代の消費者は生活の質や精神的満足をより重視する傾向にあり、中国経済に新しいトレンドを生み出しています。


ソーシャル分析で消費者のリアルな声を掴むには

ソーシャル分析で消費者のリアルな声を掴むには

近年、年齢や国籍を問わず、SNSは人々の生活に欠かせない存在となっています。SNSの口コミを活用して、マーケティング課題を解決するための調査方法は「ソーシャル分析」と呼ばれます。本記事では、ソーシャル分析の定義と事例を紹介します。 (ソーシャルメディア分析、ソーシャルリスニング、SNS分析は、本記事ではソーシャル分析と総称します。)


中国定性調査サービス“百路QIC”で見た、中国における「都市市場」VS「下沈市場」の今

中国定性調査サービス“百路QIC”で見た、中国における「都市市場」VS「下沈市場」の今

昨今の中国の購買力や経済力を押し上げる原動力となるのは、中国総人口の7割を占める「下沈市場」だと言われています。対して中国国内1級〜2級の都市からなる「都市市場」との違いはどのようなところにあるのでしょうか。ヴァリューズ独自の中国定性調査サービス「百路QIC(ヴァリュークイック)」を用いて「都市市場」と「下沈市場」のライフスタイル意識や購買チャンネルなどを比較調査しました。


未来を拓く中国食品業界。2023年の最新トレンド

未来を拓く中国食品業界。2023年の最新トレンド

中国では日々さまざまな変化が起こっており、食品業界も例外ではありません。中国は多くの消費者を抱える中、食品業界はほぼ毎年革新を遂げ、新たなトレンドを生み出しています。この記事では2023年の中国食品業界の中で、とくに注目すべきトレンドを3つ紹介します。


回復を見せる中国の旅行業。最新の傾向を調査

回復を見せる中国の旅行業。最新の傾向を調査

コロナ禍が収束した2023年、中国において観光業が復活を見せています。中国での国内旅行はコロナ禍前の2019年の水準近くまで回復し、海外旅行も緩やかに回復の兆しを見せています。本記事では中国の国内外旅行の現状をデータを用いて確認し、旅行業における現在のトレンドについて紹介します。


最新の投稿


YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

YouTube, Shorts & TikTok: Comparing Gen X, Y, & Z! Usage rates, how they’re used, & effectiveness of ads <Part 2>

Gen Z has been enjoying videos since their school days and known as one of the first to adopt short-form videos. We’ll analyze how they use video-format social media and compare with Gen X and Y. This analysis will cover medium usage, popular content, daily integration, purchasing behavior, and awareness.


BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

BtoBデジマに取り組む約8割が成果を実感 年間予算は5,000万円未満の割合が約7割 【リーディング・ソリューション調査】

株式会社リーディング・ソリューションは、BtoB企業に勤務する経営者・役員、会社員の中でも、デジタルマーケティングに関与している方を対象に、「BtoBデジタルマーケティング実態調査」を実施し、結果を公開しました。


“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

“質”重視の消費観がもたらす。2024年中国経済の新傾向

緩やかな回復を続けている中国経済では、人口の半数近くを占める「80後(1980~89年生まれ)」、「90後(1990~99年生まれ)」、「00後(2000年以降生まれ)」が消費の主力となっています。これらの年代の消費者は生活の質や精神的満足をより重視する傾向にあり、中国経済に新しいトレンドを生み出しています。


Z世代はYouTube、TikTokなど動画主体のSNSの利用時間が長くなる傾向【CCCMKホールディングス調査】

Z世代はYouTube、TikTokなど動画主体のSNSの利用時間が長くなる傾向【CCCMKホールディングス調査】

CCCMKホールディングス株式会社は、全国16~24歳の男女を対象に『Z世代のSNS利用実態や生活満足度との関係性』について調査を実施し、結果を公開しました。


Z世代にとってSNSは承認欲求を満たす場ではない?身近な人とのコミュニケーション手段としての利用が多数【SHIBUYA109 lab.調査】

Z世代にとってSNSは承認欲求を満たす場ではない?身近な人とのコミュニケーション手段としての利用が多数【SHIBUYA109 lab.調査】

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、同社が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』にて、Z世代を対象に「Z世代の承認欲求に関する意識調査」を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ