こんにちは、現役Z世代による”Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
第12弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、現役大学生のとりとり(01年生まれ・カフェ好き)も分析に参加し、本記事のライティングまで担当しています。
“Z世代”とは
“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2023年10月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
Z世代とミレニアル世代の関心はどこに?
2023年10月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。
Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前月比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前月に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2023年10月(前月比は2023年9月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2023年10月時点で16~26歳(Z世代)・27~41歳(ミレニアル世代)のモニター
まろん:どちらの世代でも、人気YouTuber「しばなんチャンネル」の離婚騒動に関するキーワードが多くランクインしているね。
こと:特にZ世代のランキングでは、1・3・5・21位が関連ワードとなっていて、この騒動への関心が高いみたいだね。私自身、普段はあまりX(旧Twitter)を見ないけれど、なんとなく調べちゃったもん。関係図や状況整理をするポストもよく見かけたよ。
とりとり:この話題では、既婚者による公認でプラトニックな婚外恋愛関係「セカンドパートナー」の存在も炎上の火種になりましたよね。「セカンドパートナー」はドラマ「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日系列)の2023年10月17日放送回でも取り上げられたり、略して「セカパ」と呼ばれたりしており、今や社会現象となっています。
まなてぃ:最近、クリエイターの炎上がやたらと話題になっていますよね。「ごめぇんね」動画で大炎上した「犬系彼女ののち」も記憶に新しいです。
とりとり:ゲーム系だと、Z世代4位の「マリオワンダー」のほかに、Z世代24位に「スイカゲーム」がランクインしています。スイカゲームは9月に新規ランクインしてから継続して人気なようです。
ばんちゃん:アニメ系・漫画だと、Z世代のランキングには、6位「薬屋のひとりごと」、17位「フリーレン」(葬送のフリーレン)、26位「転スラ」(転生したらスライムだった件)がランクインしているね。
まろん:ミレニアル世代では6位「はめつのおうこく」9位「暗殺教室」12位「かつて女の子だった人たちへ」がランクインしていて、話題になったアニメ作品が世代で異なるのが面白いね。
とりとり:エンタメ系の他には、季節を強く意識したワードが数多くランクインしています。15位「クリスマス」22位「冬」23位「ハロウィン」25位「11月」と、季節モノ消費好きなZ世代の傾向がよく表れています。
こと:「ハロウィンが終わり次第即クリスマス」っていう流れ、もはや毎年恒例だよね。それにしても、10月の検索キーワードランキングで12月の季節系イベント「クリスマス」がランクインするのは驚きだよ。
とりとり:今月もトレンド盛りだくさんですね!今回は、「葬送のフリーレン」「マリオワンダー」「クリスマス」をテーマとして、これらのランクインの背景を考察していきましょう!
「葬送のフリーレン」ヒットの背景
■「葬送のフリーレン」とは?
とりとり:「葬送のフリーレン」は、2023年9月29日から放送開始されたアニメ作品で、アニメ放送に伴ってトレンド入りしたものと考えられます。テレビメディア、雑誌でも取り上げられ、話題になっています。
メディア情報 ※2023年10月18日更新 - NEWS|アニメ『葬送のフリーレン』公式サイト
https://frieren-anime.jp/news/404/毎週金曜よる11時放送!原作: 山田鐘人・アベツカサ(小学館「週刊少年サンデー」連載中)、マンガ賞2021 大賞受賞作が待望のTVアニメ化!“魔王を倒した後の世界”を舞台に繰り広げられる、魔法使いフリーレンと仲間たちの旅路。
こと:このアニメが配信開始されたとき、小学館が提供する新漫画サービスアプリ「サンデーうぇぶり」がサーバーダウンしたり、YouTubeショートでも切り抜きを見かけるようになったりと、注目度は高いみたい。
第1話 冒険の終わり/第2話 僧侶の嘘 / 葬送のフリーレン - 山田鐘人/アベツカサ | サンデーうぇぶり
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496548997914魔王を倒した勇者一行。 魔法使いフリーレンはエルフであり、他の3人と違う部分があります。 彼女が”後”の世界で生きること、感じることとは――
せーら:私は「葬送のフリーレン」を全話観ているのですが、この作品はマーケティングの効果もあって人気を高めている印象があります。金曜ロードショーで初回を放送したことや、アニメ「推しの子」と同様に、主題歌がYOASOBIの楽曲であることからも、マーケティングに力を入れていることがよくわかります。
まろん:僕もこの作品を観ているよ。Amazonプライムなどの各種動画配信サービスで放送時間帯に縛られずいつでも観られるのがいいよね。
■ヒットの背景にある「アニメ好き」への価値観の変化
まろん:「推しの子」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「SPY×FAMILY」など、直近5年では大ヒット作品になるアニメが多いよね。日常的にアニメを観る人が増えてきたのかな?
ばんちゃん:最近は社会現象になるくらいアニメ人気が高まっているよね。「アニメを観ている」「二次元系のコンテンツが好き」と公表することへの抵抗感が小さくなったことで、元々アニメを観ていなかった層も気軽にアニメを観るようになったんだと思う。
こと:たしかに、私たちが中学生の頃は、アニメに関する話題は、アニメ好きな子だけで集まってヒソヒソと話していたよね。
せーら:今では会話のなかで普通にアニメの話題を出せるけれど、それは声の大きいインフルエンサーがアニメ好きを公言してくれることもあって、アニメが趣味のひとつとして認められるようになったからかもしれないね。
とりとり:二次元好きでいることは、かつては「オタク」としてマイナスイメージを抱かれていましたが、最近では「推し活」の一部としてプラスイメージを持たれるようになりましたよね。
こと:アニメを観る人が増えたことには、VOD(ビデオ・オン・デマンド)の登場でアニメとの接点を持ちやすくなったことも関係していそうだよ。
まろん:どうやら、アニメ好きに寛容な社会通念と、アニメ作品にアクセスしやすい環境が整ったからこそ、近年では多くのアニメ作品がヒットしているようだね。
Z世代のマリオ馴染みと「マリオワンダー」
■どうやってプレイしはじめた?
まなてぃ:Nintendo Switchの「スーパーマリオブラザーズ マリオワンダー」、今とても人気ですよね!大学時代のサークル仲間で話題になっていて、Switchを持っている人のお家に遊びに行ったときに、プレイしました。
こと:私はゲームが好きなわけではないけれど、街中、交通、テレビなどの広告がたくさんあって、その影響でなんとなくプレイしはじめたよ。電車で流れているピクミンの広告も、もうすぐマリオに切り替わるのかな。
せーら:それから、普段はゲームをやらない人からすると、ゲーム実況の動画をみて話題になることも多いですよね。ゲーム開発者は、それを狙ってゲーム実況系YouTuberに先行プレイをしてもらうこともありそうです。
ロン:僕は友人のインスタグラムのストーリーで見ました。小さい頃にDSをやっていた僕ら世代からすると、なんとなくマリオに懐かしさを感じてまたプレイしたくなるのかもしれませんね。
こと:ユニバーサルスタジオジャパンにマリオエリアもあるくらいだから、いざプレイするとなっても親しみやすいよね。2023年4月28日にも映画が公開されていて、マリオ関連の話題が途切れないようになっているのもヒットの法則かもしれないね。
■アニメ・ゲームのヒット作は究極のLTV
まろん:「マリオ」「ポケモン」「プリキュア」って、シリーズとしてのコンテンツ力が強いよね。マスが同じものを見ている時代は大ヒットさせやすかったのかもしれないけれど、今はどうなんだろうね?
ばんちゃん:10年以上脈々とリピートできるアニメ・ゲームコンテンツは、そのコンテンツを継ぎ接ぎして生き永らえていて、究極のLTV(顧客生涯価値)とも言えるよね。
せーら:大ヒット作を並べてみると、小学生くらいの子どもにウケるかどうかが鍵を握っていると感じるよ。例えば、今でいうと、「妖怪ウォッチ」や「鬼滅の刃」あたりが子どもを中心に人気で、彼らが大きくなったときに同シリーズのコンテンツが出たら、「子どもの時にやっていたから」とやりはじめる人も多いんじゃないかな。
ばんちゃん:例えば私の従兄弟(小学3年生)は、キッズ向けのYouTubeやVODを観ているから、意外と昔のものでも知ってるかもしれないよね。
せーら:それから、子どもからの人気を得るためには、その親世代からの支持を得ることも重要だよね。例えば仮面ライダーだったら、若手イケメン俳優を起用することで、お母さん世代からの支持も得ている印象があるよ。
まろん:つまり、戦略としては、小さい子の人気を獲得して、彼らが大きくなったときに親しみのあるメジャーなキャラクターになることが大事なんだね。キッズ向けのYouTubeとかを使って認知と人気を得ると、アニメ・ゲーム作品にLTVを見出せそう。とはいえ、今の子どもたちは観るメディアが分散しているから、昔よりは難易度が高そうだね。
ハロウィンからクリスマスへ
■クリスマスに本気なZ世代
とりとり:Z世代のランキングでは、「ハロウィン」は10月のみのランクインでしたが、「クリスマス」は2ヶ月前の10月からのかなり早いランクインです。
ロン:Z世代はやはり好んで季節モノ消費をするんだろうね。季節系イベントの代名詞であるクリスマスともなると、楽しみ方の幅も広がりそう。
まろん:2023年10月データの「クリスマス」の掛け合わせワード内訳を見てみると、「ディズニー」「旅行」「イルミネーション」などの当日のお出かけ内容の他に、ホテル予約やギフトの情報収集といった当日への事前準備がみられるよ。
とりとり:今年はクリスマスイヴが日曜日で混雑が予想されるので、どこに行くにも予約必須ですよね。ディズニーのパークチケットの場合、クリスマス前日・当日は販売開始直後に売り切れることもあるようです。
まなてぃ:早め早めに動かないとだよね。私は、土日の休みでクリスマスを満喫できるように、12月23日のホテル・レストランを10月中に予約しました!去年・一昨年だとクリスマスマーケットに行きましたが、その時も事前に予約しました。
まろん:ホテルはいつの間にか埋まってるよね、僕も早く情報収集をはじめなきゃと思ったよ。ちなみに、クリスマスマーケットってどんなものなの?そんなに人気なの?
ロン:イルミネーションを見ながら、クリスマスっぽい食べ物や飲み物を楽しめるので、クリスマスデートの大定番ですよね。
まなてぃ:当日はすぐ予約でいっぱいになってしまうので、10月には情報収集をして、11月にチケット予約が解禁されたらすぐに予約した方が確実です。
とりとり:本場ドイツをイメージしたお店がたくさんあって、イルミネーションも綺麗ですよね。友人のインスタグラムのストーリーでもよく見かけましたし、いつか行ってみたいと密かに憧れています。
まろん:クリスマスマーケットって、過ごし方としてそんなにメジャーなんだ。
とりとり:お出かけもいいですが、友人同士で誰かのお家に集まって、クリスマスパーティーをするのもまた特別感があっていいですよ。チキンやケーキを買ってきて、プレゼント交換をする、という定番な過ごし方ですが、予約や買い出しの時点からすでにワクワクが止まりませんでした。
まろん:出かけるわけではなくても予約するんだ!本気だね。
とりとり:ケンタッキーは当日だと買えないので、事前予約が必須です。最近では、コンビニ各社でもチキンやケーキを予約できるようになりましたよね。クリスマスを過ごす人と一緒に事前準備をすると、お互い楽しみにしているのが伝わってくるのが良いんだと思います。
■クリスマスコフレ商戦は早くも10月から
せーら:10月段階での「クリスマス」のランクインには、クリスマスコフレ商戦も関係していそうだね。高級なデパコスから安価なプチプラまで、各ブランドが11月頃にクリスマス限定のコスメセットを販売解禁していて、一部では予約必須となっているよ。
こと:私の場合、クリスマスコフレの情報を自発的に探すというよりも、いつも観ている美容系YouTuberが紹介していて、10月頃に自然と情報に触れることが多いよ。
まなてぃ:私も同じように情報を獲得しますが、見るだけで実際には購入しないことが多いです。ただ可愛いものをみたいから見る、という感じ。
とりとり:色や香りが限定だったり、デザインが格別に可愛くて、特別感があるのが魅力ではありますが、普段使いしづらい色が入っていたり、自分のために買うには高かったりという懸念要素が勝ってしまいますよね。
せーら:ちなみに社会人になると、年末はボーナスシーズンなのもあって、クリスマスコフレを自分へのご褒美として買ってみようかなと思ったりもするよ。もちろん、使いたい色があればね。
ばんちゃん:確かに、コフレとなると自分が必要としていないものまでセットになっているから購入するかかなり悩むよね。私の場合、買おうとしている時は、自分用としてではなく、プレゼント用としてみていることが多いよ。
ロン:僕は女性へのプレゼントで、クリスマスコフレを検討しています。
こと:クリスマスコフレは、同性間、異性間ともにプレゼント交換の贈り物に最適だと思う。貰い手からすると、自分の好みではなくても「そういうものだから」と思えるし、自分じゃ買わないからマイコスメと被らないのも良いよね。
せーら:それに、パッケージが映えているからそれで十分なんですよね。彼女へのクリスマスプレゼントはクリスマスコフレにしておけば間違いないと思う。
まろん:そうなんだ、勉強になります!
まとめ
今回は、2023年10月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、「葬送のフリーレン」「マリオワンダー」「クリスマス」について分析・考察を行いました。
では、結果と見えてきた仮説をおさらいしましょう!
結果①
2023年10月には、「葬送のフリーレン」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説①
SNSマーケティングや人気歌手による主題歌、VODでの配信によって、人々と「葬送のフリーレン」との距離が近づいたことで話題になったと考えられます。
結果②
2023年10月には、「マリオワンダー」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説②
オフライン広告や、関連話題を途絶えさせないことに加え、Z世代がDSでマリオを楽しんだ世代であるために人気を得ていると考えられます。
仮説①’②’
アニメ・ゲームコンテンツのヒットの背景には、世の中的にオタク系コンテンツに寛容でオープンになったことが影響していると考えられます。また、ロングヒットのためには、子ども時代から人気・認知を集めることが重要だと考えられます。
結果③
2023年10月には、「クリスマス」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説③
該当月の2ヶ月前という早い時期でのランクインには、Z世代の季節モノ消費好きとクリスマスコフレ商戦が関係していると考えられます。
Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)