こんにちは、現役Z世代による”Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
第9弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、現役大学生のとりとり(01年生まれ・カフェ好き)も分析に参加し、本記事のライティングまで担当しています。
“Z世代”とは
“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2023年7月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
Z世代とミレニアル世代の関心はどこに?
2023年7月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。
Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前月比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前月に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2023年7月(前月比は2023年6月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2023年7月時点で16~26歳(Z世代)・27~42歳(ミレニアル世代)のモニター
まろん:世代を問わず「Threads」「女子サッカーワールドカップ」「Pokémon Sleep」「君たちはどう生きるか」がトレンドに上がっているね。
とりとり:どれも話題になりましたよね。今回は、「Threads」「Pokémon Sleep」「君たちはどう生きるか」を3大テーマとして、これらがZ世代の心を掴んだ理由を探っていきましょう。
Threads
■どんなアプリ?
とりとり:Threads(スレッズ)は、InstagramやFacebookを運営するMeta社からリリースされた、テキストベースの会話アプリです。2023年7月6日のリリースからわずか5日で、登録者数が1億人を突破したそうです。
Mark Zuckerberg (@zuck) on Threads
https://www.threads.net/@zuck/post/CuhOXGmr74RThreads reached 100 million sign ups over the weekend. That's mostly organic demand and we haven't even turned on many promotions yet. Can't believe it's only been 5 days!
■Z世代はThreadsをどのように捉えている?
➀Instagram拡張機能
とりとり:私はInstagramの拡張機能として認識しています。Threadsのリリース日にInstagramを開くと、先ほどの画像の左下のようなThreadsのビジュアルイメージが画面いっぱいに写されて驚いたことが強く印象に残っています。
まろん:僕もその認識でいたよ。Instagramで「(アカウント名)がThreadsで初めて投稿しました」と通知が来て、「流行っているうちに使いはじめよう」と思って一旦DLした。
➁Twitter(X)の乗り換え先のひとつ
ばんちゃん:私は、2023年7月に起きたTwitter(X)のAPI制限(一時的な閲覧制限)に伴って注目されたTwitter代替系アプリのひとつだと認知しているよ。
せーら:Z世代のランキング5・6位には、Twitterの代替サービス候補として有力な「Misskey(ミスキー)」もランクインしているね。Misskeyのような分散型SNSは、個人が独自のルールで運営するものであって、特定の企業が運営する中央集権的SNSで起こりうる、突然で一方的な仕様変更に振り回されるリスクを軽減できるという点が特徴的だよね。
マナミナでは、Twitter代替系の分散型SNSアプリの利用者や乗り換え状況について紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
Twitterからの乗り換えが進む?今大注目の分散型SNSとは
https://manamina.valuesccg.com/articles/25802023年7月1日、Twitterでは一時的に、1日に閲覧できるツイート数が制限されるAPI規制がかかりました。相次ぐTwitterの仕様変更に伴いユーザーの不安が高まる中、Twitterからの乗り換え先として他のSNSを探す動きも加速しています。そこで今回は、Twitterを代替する可能性が高いのはどのサービスなのか、有力候補と考えられるアプリについて、利用者像や乗り換え状況を調査しました。
Threadsを使っているのはどんな人?Twitterの代替となれるか
https://manamina.valuesccg.com/articles/2670Meta社は2023年7月6日、新しいSNS「Threads(スレッズ)」を発表しました。Threadsのユーザー数はリリースからわずか5日間で1億人を突破し、度重なる改変で話題となるX(旧Twitter)を代替するサービスの候補として注目されています。本稿では、そんなThreads利用者の人物像を分析し、今後の動向を占います。
Meta社の意図
「Instagramは、世界中の数十億人もの人が写真や動画を通じてつながる場所です。Meta社が目指しているビジョンは、Threadsを通じて、Instagramの最大のメリットをテキストの世界に拡張し、アイデアを表現できるポジティブでクリエイティブな場を作ることです。
とりとり:Meta社は、Threadsリリースの意図をこのように説明しています。
ばんちゃん:Meta社はTwitterともInstagramとも異なる新しいコミュニティ型SNSとしてThreadsをリリースしたようだね。サービスの受け手である私たちの認識とは少し違うね。
■現役Z世代の利用状況
ばんちゃん:実際、Threadsってどれくらい利用されているんだろう。
まろん:僕のInstagram上のリア友のうち、Threadsのアカウントがあるのは20%くらい(2023年8月9日時点)だよ。
とりとり:私のInstagram上のリア友のなかだと、Threadsのアカウントをもっているのは10%強(2023年8月9日時点)です。アカウントを持っている中でも、頻繁に投稿しているリア友はさらに少ないですね。インフルエンサーや芸能活動をしている友人は投稿を継続していますが、そうでない友人はTwitterやInstagramのストーリーと同様の内容を投稿している人がごく稀に見られる程度です。
まろん:リリースから4週間ほど経つけれど、「みんながみんな使っている」というほどではないし、アカウントを持っていても投稿はしていない人がほとんどという状況だね。
とりとり:新しいもの好きの人は一旦DLして「これどうやって使うの!」「初投稿」と投稿して、その後は一切投稿していないことが多い印象です。2021年に流行した招待制の音声チャットSNS「Clubhouse」を思い出します。
マナミナでは過去に、音声コンテンツ市場についての記事でClubhouseについて紹介しています。また、Threadsの利用状況の詳細も紹介しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
radikoやDiscord、Clubhouse〜音声コンテンツ市場3サービスのユーザー数や属性を調査
https://manamina.valuesccg.com/articles/1365#outline7音声コンテンツ市場のサービス動向を調査しました。取り上げたのはradiko(ラジコ)、Discord(ディスコード)、Clubhouse(クラブハウス)の3サービス。それぞれのサービス概要に加え、ユーザー数推移、ユーザー属性について集計しています。音声コンテンツ市場の分析にお使いください。
Z世代のスレッズ(Threads)利用率は?4人に1人が「登録したが使わなくなった」という結果に【RECCOO調査】
https://manamina.valuesccg.com/articles/2729株式会社RECCOOは、同社運営するZ世代に特化したクイックリサーチサービス『サークルアップ』にて、現役Z世代を対象に「スレッズ(Threads)の活用状況」の調査を実施し、結果を発表しました。
Pokémon Sleep
■どんなアプリ?
とりとり:Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)とは、2023年7月20日に日本国内で正式リリースされた睡眠ゲームアプリです。睡眠を計測・記録するだけではなく、ポケモンの寝顔を集めるというゲーム性を兼ね備えています。
■Z世代はどこに惹かれている?
①自分の睡眠タイプを診断・理解できる
とりとり:Pokémon Sleepでは、その日の睡眠を「ぐっすり」「すやすや」「うとうと」「特徴なし」の4タイプに分類してくれます。
まろん:その日の睡眠がどうだったのか、ひとことでタイプ別に表されると理解しやすいよね。他の睡眠管理アプリを使っていたこともあるけど、睡眠の深さの推移を見せてくれるだけだからちょっと解釈しにくくて、結局使わなくなっちゃった。
ばんちゃん:顔タイプ診断やパーソナルカラー診断もそうだけど、「自分はこのタイプです」ってラベル付けしてもらえると安心するというのは、私たちZ世代の特徴だよね。
「顔タイプ診断」が新たなトレンドに。Z世代は「診断ブーム」をどう乗りこなしている?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】
https://manamina.valuesccg.com/articles/2297Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今回のテーマは「パーソナルカラー診断」「骨格診断」「顔タイプ診断」です。パーソナルカラー診断を皮切りに始まった「診断ブーム」。マーケティングにおいてもよく取り入れられるようになりましたが、Z世代は実際どう感じているのでしょうか。Z世代メンバーによるリアルな声を取り入れつつ、深掘りしていきます。
せーら:診断要素があるのは、Pokémon SleepがZ世代にウケている理由のひとつなのかもしれないね。
とりとり:それから、「自分の睡眠の質をよくしたい」という欲求や、睡眠への興味は世代を問わず高まっていそうですよね。他にもたくさんの睡眠記録アプリがあります。
ばんちゃん:たしかに。私は5年くらい前から他の睡眠記録アプリを使っていて、そっちに蓄積されたデータがあるから、Pokémon Sleepへの乗り換えに抵抗感があるよ。元々睡眠記録アプリを使っていなくて、ポケモンが好きな人には、Pokémon Sleepはもってこいだね。
②睡眠記録やポケモンの寝顔をシェアしやすい
せーら:Pokémon Sleepには、「ソーシャルリサーチ」というフレンド機能があるよ。フレンドの睡眠記録やポケモンの寝顔の記録、ポケモンのレベルアップに必要な「アメ」を受け取ることができて、「こんな寝顔があるんだ!」「こんなポケモンが出るんだ!」というのをシェアできるのがいいんだよね。
とりとり:私もそう思います。同じアプリを使っている友人とは、アプリ上でもフレンドになって楽しみを共有したいですよね。
まろん:フレンド機能があるなんて知らなかった。僕は、自分の睡眠タイプや出てきたポケモンの様子について、家族や友人とシェアするのが毎日の楽しみになっているよ。
とりとり:そういったシェアのしやすさがSNSとの親和性が高いためか、Twitter(X)のツイートやInstagramのストーリーでは、自分の睡眠記録やポケモンの寝顔のスクショもよく見かけます。「ポケモンが可哀想だから寝なきゃ」と自分の睡眠習慣を見直したという友人も多いです。
③コレクション欲・育成欲が刺激される
せーら:「友達が昨日出会っていたあのポケモン、いつ出てくるかな?私も欲しい!」とコレクション欲を刺激されるのも、続けられる理由だと思う。ガチャガチャみたいな感じで、推しポケが出てくるまではやめられないんだよね。
まろん:たしかに。いろんな寝姿や色違いのポケモンを集めて、「ポケモン寝顔図鑑」を完成させたくなる。
とりとり:それから、カビゴンなどのポケモンたちが大きく育っていくので、擬似ペット育成欲がくすぐられます。
マナミナでは、Pokémon Sleepの利用動向の詳細についても紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
ゲーム好き以外も使っている?睡眠アプリ「Pokémon Sleep」の利用動向
https://manamina.valuesccg.com/articles/2720大人気コンテンツのポケモンから新たに睡眠アプリがリリースされました。睡眠を利用したゲームアプリとして注目を集める「Pokémon Sleep」はどのような人に利用されているのでしょうか。リリース直後の利用状況とユーザーの人となりについて調査しました。
君たちはどう生きるか
■どんな作品?
とりとり:「君たちはどう生きるか」は、2023年7月14日に公開されたスタジオジブリの長編アニメ映画作品です。「風立ちぬ」から10年ぶりとなる宮崎駿監督作品で、公開以前の情報公開はこちらのポスタービジュアルのみという異例の広告手法でも注目を集めました。
ばんちゃん:本作品は、Z世代の3位、ミレニアル世代の4位にランクインしているね。VOD利用が広まっているにも関わらず、「公開期間中に劇場で観たい」という気持ちになったのはどうしてだろう?
■なぜ劇場で観たくなる?
①Z世代に刺さるタイトル
ばんちゃん:自分に問いかけられている感じがするタイトルも、注目された要因のひとつだよね。特にZ世代は、学生から社会人へのライフステージの変化があったり、仕事を始めて思い悩むことがあったりするので、このタイトルが自然と刺さったんじゃないかな。
せーら:私もタイトルに惹かれて観に行ったよ。同世代の友人のなかには、タイトルが刺さったから観ることにしたけれど、スタジオジブリ作品を観るのは人生初という人もいたよ。
まろん:僕もタイトルきっかけ。大衆寄りしていなくて、作り手の意思がはっきり表れた作品なんだろうなという雰囲気をタイトルから感じて、面白そうだと思った。
②「宣伝をしない宣伝」が興味をそそる
せーら:この映画は、公開以前の情報解禁がポスタービジュアル1枚のみだったのがすごく印象的。最近の映画広告では、映画の内容をハイライト的にみせて「面白い」と確信させた上で劇場への動線をひくものが多いのに対して、この宣伝手法は新しいよね。
まろん:スタジオジブリの宮崎駿監督作品ということで、ネームバリューがあって、作品の質が担保されているからこそできたマーケティング手法だよね。
とりとり:固定のジブリファン層の存在もこの広告手法の支えになっていると思います。公開時期には、金曜ロードショーで「もののけ姫」「風の谷のナウシカ」などの宮崎駿監督の過去作品が放送されたり、「金曜ロードショーとジブリ展」の東京展が開催されたりしていました。ジブリファンの情報感度が高められていたからこそ、興行収入の初速もよかったのではないでしょうか。
③観に行った人の「秘密の共有」に参加したい
ばんちゃん:私はまだこの映画を観ていないんだけれど、観に行った人の間で謎の結束感・絆感があると感じるよ。感想や考察を語り合っていたり、観ていない人には頑なにネタバレしないよう配慮してくれたりしていて、その「秘密の共有」の仲間になりたいと思わせられる。劇場公開期間に映画を観ることの付加価値ってそこなのかもしれないね。
とりとり:映画館入り口で「君たちはどう生きるか」のポスターとチケットを写した写真をInstagramのストーリーにあげている友人もかなり多いです。こうしたSNSでの「行ったよ報告」によって、「流行に乗り遅れないようにしなきゃ」という感情を波及させるというのも、劇場への導線のひとつになっていそうですね。
マナミナでは、映画『君たちはどう生きるか』に関心を持つユーザーの調査結果についても紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
ジブリ最新作『君たちはどう生きるか』宣伝なし戦略でユーザーはどう動いたかを調査
https://manamina.valuesccg.com/articles/2617宮﨑駿監督10年ぶりとなる長編監督作品『君たちはどう生きるか』が、2023年7月に公開されました。この作品は宣伝や試写会、キャスト発表などを行わずに公開される異例のスタートとなったことでも話題になりました。 今回はジブリ最新作『君たちはどう生きるか』の宣伝なし戦略の中でユーザーがどのように動いたのか、インターネットでの行動ログから調査し、探っていきます。
まとめ
今回は、2023年7月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、Z世代の「Threads」利用の様子や、「Pokémon Sleep」「君たちはどう生きるか」がZ世代に刺さった理由について分析・考察を行いました。
では、結果と見えてきた仮説をおさらいしましょう!
結果①
2023年7月には、SNSアプリ「Threads」がZ世代のトレンドになりました。
仮説①
「Threads」はTwitter(X)の代替アプリまたはInstagramの拡張機能として認識されており、有名人やインフルエンサーは発信を続けているものの、一般ユーザーにはあまり定着していないようです。
結果②
2023年7月には、ゲームアプリ「Pokémon Sleep」がZ世代のトレンドになりました。
仮説②
「Pokémon Sleep」は、診断要素、シェアのしやすさ、コレクション欲・育成欲の刺激によって、Z世代からの人気を高めているようです。
結果③
2023年7月には、アニメ映画「君たちはどう生きるか」がZ世代のトレンドになりました。
仮説③
「君たちはどう生きるか」は、問いかけるようなタイトル、「宣伝をしない宣伝」、「秘密の共有」への参加欲によって人々を劇場に導いているようです。
Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。
今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)