【2019夏の旅行調査】GW10連休の反動で旅行控え発生!?インスタ映えも求める海外旅行派は前年比増

【2019夏の旅行調査】GW10連休の反動で旅行控え発生!?インスタ映えも求める海外旅行派は前年比増

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、一般ネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用して、今夏に旅行予定がある消費者のネット行動を分析しました。 ※当記事は2019年7月22日にプレスリリースした調査レポートとなります


調査概要

夏の旅行予定については、全国のVALUESモニター(20歳以上男女)を対象として、2019年6月21日~7月1日にアンケート調査を実施、その回答者9,219人をネット行動分析の対象としました。

前年度データについては、2018年6月29日~7月9日に、全国のVALUESモニターを対象にアンケート調査を実施、その回答者10,184人をネット行動分析の対象としました。

※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっています
※サイト分類のカテゴリは、ヴァリューズが独自に定義しています

旅行業界のサイト訪問者数ランキング(2019年6月度)

GW10連休の反動か上位は軒並み前年割れとなるも、LINEトラベルjpは前年比25%アップと好調

ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」関連のサイトにおいて、2019年6月度のサイト訪問者数ランキングを集計したところ【図1】、1位「じゃらんnet」、2位「楽天トラベル」、3位「トリップアドバイザー」、4位「全日本空輸(ANA)」、5位「日本航空(JAL)」となりました。

じゃらんnetと楽天トラベル、ANAとJALの順位はそれぞれ昨年と入れ替わりましたが、トップ5の顔ぶれは昨年と変わっていません。ただし、6位の「東日本旅客鉄道(JR東日本)」まで、上位サイトは軒並み前年同月比がマイナスとなっており、平成から令和への大型連休となったゴールデンウイークの反動とも考えられます。

一方、9位の「LINEトラベルjp」は前年比25%増と躍進。2018年9月にLINEトラベルとTravel.jpが統合して誕生した「LINEトラベルjp」は、航空券、ツアーと取り扱い対象を順次拡大し、250社以上の旅行会社・航空会社から検索、最安値比較ができるサイトです(2019年7月15日現在、LINEトラベルjp掲載内容より)。LINEの公式アカウントでもあり、購入者にはLINEポイントをプレゼントするキャンペーンなども実施。国内で圧倒的な数を誇るLINEユーザーを、巧みに集客していると考えられます。

【図1】旅行業界サイト訪問者ランキング(2019年6月)

【図1】旅行業界サイト訪問者ランキング(2019年6月)

観光スポット、お店、グルメ情報などを詳しく紹介するメディアが急上昇

同じく「旅行・交通」カテゴリのサイトにおいて、サイト訪問者数の対前年比の伸び率でランキングしたところ【図2】、旅先のお店やグルメ情報のメディア「TRAVEL STAR」(前年比:+577.1%)、お出かけ情報メディア「aumo」など、具体的な観光スポットやお土産情報を詳しく紹介するメディアが月間訪問者数100万人を超えており、多くのユーザーを集め、急伸していました。

【図2】旅行業界サイト訪問者数 対前年比ランキング(2019年6月)

【図2】旅行業界サイト訪問者数 対前年比ランキング(2019年6月)

今夏の旅行予定は、国内派:約30%、海外派:約10% 前年と比べると海外派が+2.5ポイント増

次に、アンケートで、今年の夏に旅行予定があるかどうかをたずねたところ【図3】、「国内旅行派」は30.3%、「海外旅行派」は10.0%、「行先は決めていないが旅行を検討中」が7.1%となり、合わせると47.4%が、この夏の旅行を予定していることが分かりました。海外旅行派が前年よりも2.5ポイント増加しています。

今年は8月に「山の日」を含む3連休があり、8月13日~16日にお盆休みを入れることで9連休とすることも可能な日並びであることも影響していると考えられます。

【図3】今夏の旅行予定

【図3】今夏の旅行予定

宿泊予約は約73%がインターネットで予約。海外旅行や女性20代は店頭予約も比較的高い傾向

予約の手段はどのようになっているのでしょうか。アンケートで宿泊予約、交通手段の予約それぞれの予約方法をたずねると【図4】、宿泊ではインターネットによる予約が72.9%を占めました。交通手段の予約でもインターネットは5割を超えています。(なお、交通手段は車を利用したり、予約をせずに当日電車で移動する人もいるため、「予約していない」割合も高くなっています。)

【図4】予約チャネル

【図4】予約チャネル

さらに、宿泊予約チャネルを性年代別【図5】や国内・海外旅行別【図6】に見てみました。性年代別では、女性20代でインターネット予約の割合が他世代に比べて低く、店頭での予約が25%と高くなっていました。また、国内旅行よりも海外旅行の方が店頭予約の割合が高くなっています。

ネットを使いこなす若い世代でも店頭予約の割合が高いのは意外とも思えますが、海外旅行は店頭での予約が安心感があるのかもしれません。また最近では、大手旅行代理店のH.I.S.が表参道や池袋パルコにカフェを併設した店舗をつくり【図7】、くつろぎながら旅行の本を読めるスペースを提供したり、旅に関するイベントを開催するなど若年層のニーズにも対応しています。

【図5】宿泊予約チャネル(性年代別)

【図5】宿泊予約チャネル(性年代別)

【図6】宿泊予約チャネル(国内・海外旅行別)

【図6】宿泊予約チャネル(国内・海外旅行別)

【図7】「 H.I.S. The ROOM of journey IKEBUKURO」

【図7】「 H.I.S. The ROOM of journey IKEBUKURO」

今夏に旅行を予約・検討している人が特徴的に閲覧しているサイトは?

国内旅行派 ─「じゃらんnet」が1位。2位に「楽天トラベル」、3位に「Yahoo!路線情報」

海外旅行派 ─ Googleユーザーが多く、SNS好き。3位は「エクスペディア」、4位に「JAL」

次に、今夏に旅行を予約・検討している人が特徴的に閲覧しているサイトを明らかにするため、アンケート回答者全体との比較により、国内旅行予定者、海外旅行予定者、それぞれのサイトランキングを作成しました。(サイトへの接触率の差が大きい順に集計しています)

国内旅行予定者(手配済+検討中)がよく閲覧するサイトの1位は「じゃらんnet」、2位に「楽天トラベル」が続きました【図8】。上位には「トリップアドバイザー」「一休.com」「Yahoo!トラベル」「Booking.com」「るるぶトラベル」など宿泊予約サイトが並んでいます。また、「Yahoo!路線情報」や「地図・ルート検索 ナビタイム」など交通手段を検索するサイトもよく閲覧されています。

【図8】国内旅行予定者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

【図8】国内旅行予定者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

アンケート回答者全体と比較して、国内旅行予定者の接触率が高いサイトランキング
※PCからのアクセスを集計

一方、海外旅行予定者(手配済+検討中)がよく閲覧するサイトをみてみると【図9】、1位「Gmail」、2位「Googleアカウント」のほか、「Google Calendar」や「Google翻訳」もランクインしており、Googleユーザーが多いことがわかります。

旅行関連では、3位「エクスペディア」、4位「日本航空(JAL)」、11位「旅のクチコミ フォートラベル」、12位「全日本空輸(ANA)」などがあがりました。また、「Instagram」や「Facebook」も上位に入っており、海外旅行派はSNS好きな傾向もうかがえます。

【図9】海外旅行予定者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

【図9】海外旅行予定者がよく閲覧するサイトランキング(2019年6月)

アンケート回答者全体と比較して、海外旅行予定者の接触率が高いサイトランキング
※PCからのアクセスを集計

海外旅行派はテレビよりもSNS、知人からのクチコミから新しい情報を入手

最後に、アンケートで新しい情報入手先をたずねたところ【図10】、回答者全体や旅行非検討者と比べて、旅行検討者は「インターネットの情報サイト」や「SNS(LINE、Twitter、Facebookなど)」を活用していることがわかりました。特に海外旅行派は情報入手先として「テレビのCM」や「テレビ番組」は低い一方で、「SNS」や「インターネットの広告」、「家族や友人・知人からのクチコミ」の割合が比較的高くなっていました。

【図10】新しい情報の入手先

【図10】新しい情報の入手先

今回の調査結果から、アクティブな旅行検討者へリーチし予約に至らせるには、デジタルマーケティングの重要性がより高まっていることがわかりました。また、店頭やクチコミなどリアルな場での認知、動機づけも効果が期待されます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


キャンプブームはコロナ禍を経て落ち着いたのか? 検索行動データやアンケート調査から市場を考察

キャンプブームはコロナ禍を経て落ち着いたのか? 検索行動データやアンケート調査から市場を考察

新型コロナウイルスの拡大の時期に、キャンプが注目を集め、一大トレンドになりました。日常を取り戻した現在、キャンプブームは下火になっているようにみえます。一方で、キャンプブームが収まったのではなく、人々の生活にキャンプが文化として根付いたという意見もあります。今回は、キャンプブームをデータで分析し、その変遷と現状について考察します。


【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年7月~9月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の20歳以上の男女45,818人を対象に、今夏の旅行予定に関する消費者アンケート調査を実施しました。またヴァリューズが保有する約250万人の独自消費者パネルを活用したインターネット行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用して、消費者の観光ニーズを分析しました。


レトロ可愛い「フレンドシップ・ブレスレット」、娯楽に出費を惜しまない「ファンフレーション」| 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年7月)

レトロ可愛い「フレンドシップ・ブレスレット」、娯楽に出費を惜しまない「ファンフレーション」| 海外トレンドに見るビジネスの種(2024年7月)

海外からやってくるトレンドが多い中、現地メディアの記事に日々目を通すのはなかなか難しいもの。そこでマナミナでは、海外メディアの情報をもとに世界のトレンドをピックアップしてご紹介します。今回は、コンサート会場で手作りブレスレットを交換する「フレンドシップ・ブレスレット」と、インフレでもレジャー需要が止まらない現象「ファンフレーション」について紹介します。


最新の投稿


タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

タイのコーヒーの特徴とは?タイのコーヒー市場の現状やショップを紹介

近年タイではコーヒーブームが起こっています。バンコクには次々と新しいカフェができており、SNS映えする店内だけではなくコーヒーの味にもこだわりを持つカフェが増えています。実際に、起業してカフェオーナー兼バリスタになるのはタイでは一つのトレンドです。 近年、タイのコーヒー市場は右肩上がりに伸びており、タイのコーヒー市場は日本円で1440億円を超えると言われています。 そこで本記事では、タイのコーヒー市場の現状を読み解くとともに、タイでなぜコーヒーの人気が高まっているのかを、タイのコーヒーブームの歴史と共に解説します。


2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

2025年上半期Z世代トレンド予想!Trepo、「ファッション」「グルメ」「コト・モノ」の3部門のランキングを発表

株式会社Creative Groupは、同社が運営するメディア『トレンドメディアTrepo(トレポ)』にて、10代~20代の女性を対象に、2025年上半期のZ世代トレンド予想調査を実施し、結果を公開しました。


ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

ADK MS、「ゲーム総合調査レポート2024」を発表!最新のゲーム市況の把握から、ゲームプレイヤーの行動・心理の分析まで網羅

株式会社ADKマーケティング・ソリューションズは、ゲームプレイヤーの心理・行動を分析し、分かりやすく彼らの実態を可視化した「ゲーム総合調査レポート2024」を作成し、公開しました。


スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

スリープテック ~ 睡眠の質とテクノロジー

疲労回復、毎日のコンディション管理に必要不可欠な「睡眠」。その睡眠、あなたは足りていますか?最近ではニュースでも多く取り上げられた通り、日本は世界規模での「不眠大国」。実に日本人の平均睡眠時間は経済協力開発機構(OECD)の加盟国33ヵ国の中で最下位とも言われています。そして睡眠はただ眠るだけではなく、経済とも大いに関わりがあるのです。本稿では広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、良質な睡眠の鍵を解説します。


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ